藤の家のお婆さん／ひさ（鬼滅の刃）の徹底解説・考察まとめ

藤の家のお婆さん（ひさ）のプロフィール・人物像

CV：谷育子

藤の家のお婆さん（本名：ひさ）とは、とは、大正時代を舞台にした吾峠呼世晴の漫画作品『鬼滅の刃』の登場人物で、かつて鬼殺隊に命を救われた“藤の花の家紋の一族”の人間。名字は不明。
鬼殺隊は人食いの怪物・鬼を狩るために活動しており、命を救われた恩返しに一族を上げてこれをサポート。療養所や物資の提供など様々な形で彼らの鬼退治を支えている。藤の家のお婆さん（ひさ）自身は屋敷一つの管理を任されており、療養のために訪れる傷を負った鬼殺隊の剣士を持て成し、その世話をすることを役目としている。

直前の戦いでそれぞれに傷を負った竈門炭治郎（かまど たんじろう）、我妻善逸（あがつま ぜんいつ）、嘴平伊之助（はしびら いのすけ）の三名を受け入れ、彼らが回復するまで身の回りの面倒を見る。これは彼らにとって鬼殺隊の剣士になってから初めてのまとまった休息であり、戦いから離れた場所で同期の仲間と交流する貴重な時間となった。
この後、炭治郎たち三人は鬼殺隊の重要な戦力へとして成長していくが、その彼らが打ち解ける最初の機会を提供したという意味で物語に少なくない貢献を果たしている。特に山で獣同然の暮らしをしてきた伊之助にとって藤の家のお婆さん（ひさ）の与えた影響は大きく、ただ自分の強さを誇示することにしか興味の無かった彼が“鬼殺隊の剣士”という自覚と誇りを持つようになったのは、この時の交流が最初のきっかけである。

藤の家のお婆さん（ひさ）の関連用語・お持て成し一覧

天麩羅（てんぷら）

野菜や魚介類に、小麦粉と卵から作った衣をまとわせて揚げた料理。日本食の代表格であり、卵や油が貴重だった大正時代では世間における「高級品」という認識が今より強く、“滅多に食べられないご馳走”という扱いだった。
油で揚げているため、伝統的な日本食の中では比較的カロリーが高い。得意料理なのか、傷を癒すためにも栄養を必要としている若い剣士たちには最適と考えたのか、藤の家のお婆さん（ひさ）は炭治郎たち三人にこれを振る舞っている。
伊之助が天麩羅を食べたのはこの時が初めてで、その様子から気に入ってもらえたと判断した藤の家のお婆さん（ひさ）は、その後も彼にこれを用意している。

火打石（ひうちいし）

火打ち金と石英などを打ち合わせることで火花を打ち出す道具。似たようなものは石器時代から存在しており、現在も一部のライターはこのシステムを応用して着火している。
魔除けに火を用いるという発想は古今東西に存在し、日本では仕事に出掛ける者に災難が訪れないよう、その背に向けて火花を起こす「切り火」という簡単な儀式が長らく行われていた。
新たな任務に赴く炭治郎たちにこれを行うも、切り火の存在を知らなかった伊之助は「いきなり背後で妙なことを始めた＝攻撃されそうになった」と勘違いして騒ぎ出す。炭治郎や善逸の執り成しで彼がとりあえず矛を収めると、鬼殺隊の剣士として誇り高くあれとの言葉を送った。

藤の家のお婆さん（ひさ）の来歴・活躍

“藤の花の家紋の一族”の屋敷を任される

どれくらいの時期からかは不明ながら、鬼殺隊に協力する“藤の花の家紋の一族”の屋敷の一つの管理を任される。炭治郎たちを持て成した時の手際の良さから、かなりの長期に渡って鬼殺隊の剣士たちの面倒を見てきたことがうかがえる。

炭治郎たちを迎え入れる

炭治郎、善逸、伊之助の三名を迎え入れる。彼らは直前の戦いで肋骨を折るほどの重傷を負っており、この治療のため“藤の花の家紋の一族”の屋敷を訪れている。
善逸が驚くほどの手際の良さで身の回りの世話をし、手料理を振る舞い、医者の手配をする。その言動から伊之助が人の世とは隔絶された場所で育ったことを見抜き、気に入ってくれた天麩羅を用意したり、くつろげる衣服を用意したりと、特に親身に対応している。
なお、炭治郎は鬼にされてしまった妹・禰豆子と共に旅をしており、屋敷の中にも彼女を連れ込んでいる。鬼の存在を知る藤の家のお婆さん（ひさ）が、彼女のことに気付かなかったとも思えないが、少なくとも屋敷に滞在中に炭治郎が禰豆子について咎められた形跡は無い。何か事情があるのだと判断して何も言わなかったか、禰豆子について事前になんらかの連絡があったのだと思われる。

炭治郎たちを送り出す

炭治郎たちの怪我が完治した頃、彼らに「那田蜘蛛山に向かえ」との新たな任務がもたらされる。出立する彼らを見送り、この際に火打石で切り火を行うも、この魔除けの儀式のことを知らない伊之助は「いきなり背後で妙なことを始めた」と騒ぎ出す。炭治郎たちが彼を落ち着かせる中、慌てず騒がず「どんな時も誇り高くあれ」との言葉を送った。

肋骨の骨折の場合、一般的には完治には一か月ほど必要になる。作中には人間の身体能力を上昇させる「全集中の呼吸」という技法が存在し、炭治郎たちはこれを修得しているが、この時は“常に「全集中の呼吸」を維持する”ことはできていない状態だった。このため彼らが骨折の治療にかかった時間は、一般的な例とそう変わらないと思われる。
屋敷を訪れる前は炭治郎や善逸に対してケンカ腰だった伊之助が、出立する際には彼らと行動を共にすることをすんなりと受け入れているのも、この間の交流で相応に打ち解けた結果だと考えると辻褄が合う。この後炭治郎たちはたびたび任務で共闘し、力を合わせて強敵を打ち破っていくこととなる。“藤の花の家紋の一族”の屋敷で共に過ごした一月ほどの日々は、結果として彼らに互いの人柄を知る貴重な時間を提供しており、その影響は物語全体で見ても無視できないほど大きいものだったといえる。

藤の家のお婆さん（ひさ）の関連人物・キャラクター

竈門炭治郎（かまど たんじろう）

鬼殺隊の新人剣士。炭焼きの家に生まれ、家族を鬼によって惨殺される。唯一生き残った妹の禰豆子も鬼にされており、彼女を守り、人に戻す術を探すため、鬼殺隊に入隊した。
鬼殺隊の剣士となって以来、立て続けに鬼との戦いを繰り返し、肋骨を三本折る重傷を負う。これを治療すべく善逸たちと共に初めてまとまった休息を取ることとなり、「鬼殺隊って休んでも良かったのか」と安堵と呆れが合わさったような声を漏らしていた。
礼儀正しく優しい少年で、身の回りの世話をしてくれる藤の家のお婆さん（ひさ）に対しても素直に感謝を示している。鬼にされてしまった禰豆子とは常に行動を共にしており、屋敷の中にも連れ込んでいる。特に隠そうという行動も取っておらず、彼女の存在は藤の家のお婆さん（ひさ）も承知していたと思われるが、これについて咎められることは無かったようである。