キャットストリート(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『キャットストリート』とは2004年から2007年の3年間神尾葉子が『別冊マーガレット』で連載したヒューマンストーリーである。かつて人気子役だった主人公・青山恵都(あおやま けいと)。9歳で芸能界を引退してからは不登校になり、ずっと引きこもりの生活を送っていたが、16歳の彼女の前にフリースクール「エル・リストン」へ誘う男が現れる。「エル・リストン」で様々な人間と出会い再び恵都は女優復帰を目指す。2008年にNHKでドラマ化され、谷村美月が主演を演じた。
佐伯玲(さえき れい)
ドラマには登場しないキャラクター。恵都が初めてエル・リストンに来た時に、恵都に声をかけた青年。サッカーの才能が抜群にあり、恵都の地元のサッカー部界隈では佐伯玲の名前を知らない者はいない。中学のときに弱小チームを決勝戦までもっていき、その才能が認められて高校はサッカー推薦で入学する。在学中には海外に移籍するだろうとの噂まであった。しかし、高校のある試合で、ゴールキーパーを除くチームメイトから無視をされ、サッカー界から姿を消す。高校も中退し、エル・リストンに通う。人見知りしない性格で、誰とでもすぐに打ち解けることのできる人。サッカーを長らくやっていなかったが、恵都の小学校の同級生の大洋から、大洋のサッカーチームのコーチになることをお願いされて、以後コーチになる。サッカーをやめたものの、サッカーへの未練は拭いきれていなかったのだ。恵都が芸能活動を始めたころに、恵都への恋心に気がつき告白する。女好きで、多数の女の子と関係を持っていたが、恵都との交際を機に恵都一筋になる。恵都と付き合うが、交際中に恵都が浩一の家で一晩過ごしたことが原因で浩一と喧嘩になる。そしてそのまま恵都とも別れる。浩一と仲直りするが、すぐにブラジルに行く。サッカーの腕を上げるためだ。2年経った頃、日本に帰国し恵都らと再会する。4人の中ではムードメーカー的な存在で、無口な浩一とも仲がいい。浩一が立ち上げた会社「コックス・コーム」の社名の由来を恵都に教えた人物。ブラジルへ行ったあとは、イギリスのチームに活動の拠点を移しサッカーを続ける。
野田紅葉(のだ もみじ)
演:黒川智花
ロリータファッションに身を包み、自身もロリータの服を作るのが好き。高校在学中に、まわりのみんなと同じ制服を着るのが嫌で、思い切ってロリータファッションで登校するも周りのみんなからいじめられ高校を中退する。その後エル・リストンに通うことになった。恵都が紅葉の作った服を褒めたことで、恵都のことを気に入り友達になる。恵都のことをよく理解し、よき相談相手でもある。繊細なところはあるが、大胆な性格である。真面目な浩一に対してつっこむことのできる存在だ。紅葉は高校の時に好きだった同級生、山口にロリータの服を着て告白をする夢を持っていた。気合いをいれて服を作り、山口に告白をするが「まともな格好をしてこい」と言われた上にかつての同級生からも集団でいじめられて告白できなかった。この一件で紅葉は、自分で服を作ることを諦めようとするが、家族の支えで立ち直る。恵都が芸能界へ復帰した後もこまめに連絡をとり、エル・リストン卒業後はアパレルショップで働く。
峰浩一(みね こういち)
演:勝地涼
IQ200の頭脳を持つ天才プログラマー。高校に合格したものの、周りの人間が頭が悪くて嫌だという理由で高校には進学せずエル・リストンに通う。いつもパソコンルームで、プログラムを制作している。寡黙だが人間を見る目は長けており、人の善悪を見分けることができる。人間をよく見ている。4人のなかではエル・リストンに通っている期間が一番長い。恵都とは、初めて会った時不愛想だったが徐々に仲良くなる。玲と紅葉とはエル・リストンに入ってからすぐ出会い、いつも一緒にいた。恵都の女優復帰への後押しをした人物。家庭環境が複雑で、中学生の頃に親が離婚し義理の姉がいる。玲と恵都が交際を始めたころ、恵都の意志で浩一の家で一晩過ごしたことが原因で玲と喧嘩になる。その後、1人でセキュリティソフト会社「コックス・コーム」を設立し、エル・リストンを卒業した。今まで仲良くしていた恵都に黙ってエル・リストンから離れたため、恵都とは気持ちがすれ違ったまま別れてしまった。浩一が設立した会社の名前「コックス・コーム」は、「けいとう」の花からとっており、これは恵都の名前が由来である。普段はクールで無口だが、いざという時には頼りになる存在である。エル・リストンを卒業した2年後、恵都と街中で再会し恵都への恋心に火が付く。今まで自分が一番大事で、誰かを本気で好きになって傷つくことを恐れていたが、恵都のことは諦めきれなかった。何度もすれ違いながら、恵都と結ばれる。スクール長の小島が亡くなったあと、居場所のない若者たちを救うためにエル・リストンを自分の財産で買い取る。後にスクール長となり、エル・リストンを運営する。そして恵都と結婚した。
小島(こじま)
演:生瀬勝久
エル・リストンのスクール長。恵都が引きこもり生活を送っていた時、街中で恵都に「エル・リストンに来ないか」と声をかけた。優しい目をしており、エル・リストンに通う生徒たちの自主性や個性を尊重している。恵都が女優復帰をしたことを喜んでいた。また、浩一がエル・リストンを離れ、玲にも別れを告げられた恵都に「他人から幸せを与えられるのではなく、自分で幸せを掴みなさい」と恵都に説いた。この言葉がきっかけで恵都は芸能界への復帰を決意できた。ほかの生徒のこともよく見ており、玲がサッカーのコーチをしていること、紅葉が自分で服を作っていること、そして浩一がパソコンに熱中しすぎて倒れないようにと、一人一人のことを気にかけていた。もともと肝臓が悪く、恵都がエル・リストンを離れてから2年後に病に倒れる。亡くなったあとは、エル・リストンを廃校にするつもりだったが浩一が後を引き継ぐ。穏やかで優しいスクール長である。
マーサ
ドラマには登場しない。元モデルで、ヘアメイクの練習をしながらエル・リストンに通う生徒。もともと奈子の下で、奈子のヘアメイクを担当していた。奈子と恵都を再会させるために、恵都に近づいた。恵都の過去の失敗についてテレビの取材をするように仕向けたのはマーサである。しかし、恵都が奈子と再会したものの恵都にはエル・リストンの仲間がおり、9歳の頃とは違っていた。このことで、「自分は野心があって奈子の下で働いてきたが、青山恵都のようにコツコツ頑張るのもいいのではないか」と思い、奈子の下で働くことをやめた。恵都が奈子の代役でミュージシャンのPVに出演する際、恵都のヘアメイクを担当し恵都を美しく変身させた。紅葉はマーサの顔が好みだが、マーサ自身は男に興味がある。
恵都を取り巻くキャラクター
園田奈子(そのだ なこ)
演:高部あい・鈴木理子(10歳の役)
恵都が9歳の頃にロングランミュージカル「サニーデイズ」で同じ主演を務めた少女。その頃奈子は恵都と同い年の9歳であった(ドラマでは10歳の設定)。恵都に憧れて児童劇団に入り、恵都と共演することをとても楽しみにしていた。友達がいない恵都に「いっしょにがんばろう」と声をかけて、2人で朝から晩までレッスンに励んだ。しかし、本番当日恵都を「友達1人もいないなんて気持ちの悪い人」と侮辱する。恵都が人間不信になり、芸能界引退の原因を作った人物。マーサを使い、恵都と再会するが恵都にはエル・リストンの仲間がいて9歳の頃とは違っていたため、奈子は自分の孤独感を痛感する。恵都にとって奈子は芸能界で成功しているかのように見えたが、ネットで誹謗中傷されていた。そして、ミュージシャンのPV撮影を無断で休み失踪する。その後恵都の前に現れ再び女優として復活してみせると恵都に誓った。したたかな女だが、恵都が女優として復活した後は恵都となんでも話せる仲になった。
原沢大洋(はらさわ たいよう)
演:石黒英雄
恵都の小学生の頃の同級生。恵都が「サニーデイズ」の舞台を降板、芸能界を引退して引きこもりの生活を送っているとき、恵都が学校に来てくれるように毎日恵都の家に来ていた。その時、大洋は恵都のことが好きだった。小学生の頃から人気者で、いつも人に囲まれていた。サッカーが好きで高校ではサッカーチームに所属している。将来の夢はセリエAでプレイすることである。早くに母親を亡くし、弟たちの面倒をみている。大洋は恵都にとって初恋の人物であるが、サッカーチームのマネージャーの平野と付き合っている。恵都と玲が友達であることを知り玲がサッカーをやめたことを残念がっていた。だが玲のことを放っておくことはなく、自分のサッカーチームのコーチを頼んだ。根っからのお人好しで純粋な性格である。大洋は高校卒業後教員免許を取り、教師になった。
平野ユミ(ひらの ゆみ)
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目次 - Contents
- 『キャットストリート』の概要
- 『キャットストリート』のあらすじ・ストーリー
- 元天才子役の負った深い傷
- 初めての友達
- 初恋の失恋
- 過去と決着
- 交差する思い
- それぞれの道を歩く4人
- 結ばれる2人
- 結ばれる2人
- 『キャットストリート』の登場人物・キャラクター
- エル・リストン
- 青山恵都(あおやま けいと)
- 佐伯玲(さえき れい)
- 野田紅葉(のだ もみじ)
- 峰浩一(みね こういち)
- 小島(こじま)
- マーサ
- 恵都を取り巻くキャラクター
- 園田奈子(そのだ なこ)
- 原沢大洋(はらさわ たいよう)
- 平野ユミ(ひらの ゆみ)
- 恵都の家族
- 青山知佳(あおやま ちか)
- 恵都の母
- 恵都を誘拐した2人組
- なつみ
- 隆(たかし)
- 『キャットストリート』の用語
- エル・リストン
- コックス・コーム
- キャットストリート
- 『キャットストリート』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 野田紅葉「だってあたし達みんな野良猫みたいなもんだもの」
- 青山恵都「とり返せ、あたしの失敗を。肩にのしかかる記憶を自分の力でふきとばせ」
- 小島「動き出すことに早いとか遅いとかはないよ」
- 恵都と浩一が抱き合う場面
- 『キャットストリート』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者が『キャットストリート』に込めた思い
- 『キャットストリート』のヒロインは黒髪にしない
- ドラマ『キャットストリート』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:いきものがかり「プラネタリウム」(エピックレコードジャパン)
- 挿入歌:kagrra(カグラ)「四月一日」(キングレコード)