まつりスペシャル(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『まつりスペシャル』とは2007年から2009年まで、集英社『ジャンプスクエア』で連載された青春漫画である。作者は神尾葉子。主人公の羽生まつり(はにゅう まつり)は女子高校生でありながら、覆面レスラーとして日々実家の「まごころプロレス」のリングにあがる。プロレスラーとしての顔は秘密にしているが、ある日クラスメイトの重松荒太(しげまつ あらた)に正体がバレてしまう。少女漫画要素の「恋愛」と、少年漫画要素の「格闘技」を織り交ぜた作品である。かつ神尾が初めて少年漫画として連載した漫画だ。

『まつりスペシャル』の概要

『まつりスペシャル』とは2007年から2009年まで集英社の『ジャンプスクエア』で連載された青春漫画である。作者は少女漫画のベテラン作家、神尾葉子でだ。神尾は『花より男子』をはじめとする少女漫画を長年にわたり連載してきたが、『まつりスペシャル』は初めての少年漫画作品だった。
神尾は、幼い頃からプロレスが大好きだった。WWE(ワールド・ワイド・エンターテインメント)をメインとしたプロレスや格闘技が好きで、少女漫画はほとんど読んでいない。『あしたのジョー』などの少年漫画を愛読し、模写もしている。その影響もあり、神尾が描くほかの漫画にも男同士の乱闘シーンや、女の子であっても強く逞しい精神をもつキャラクターが描かれている。
『まつりスペシャル』は、そんなプロレス大好きな神尾がプロレスへの愛と情熱を詰め込んだ作品になっている。作中には、実際に存在するプロレス技が丁寧に描かれている。神尾にとっては、初めての少年漫画としての連載だったため、プロレス技を研究した。特に動きのある描写を描くことに、神尾は苦戦した。これは少女漫画とは決定的に違うポイントである。なぜなら少女漫画では、静止した絵でコマがすすめられていくことが多いからだ。神尾は『まつりスペシャル』を描く際に、プロレスのビデオを一時停止して取り組み合いのスケッチも行っている。さらに、連載中には「阿佐ヶ谷ロフトA」という小さい会場で行われている女子プロレスも観に行った。神尾の徹底した研究と観察力が描写にも反映され、技の掛け合いの場面は違和感がなく、美しい。さらに、単に乱闘するだけではなく、主人公であるまつりの恋愛も描いているので、「少年漫画と少女漫画の融合」ができた漫画である。
また、この作品は2008年11月6日から集英社サイト内のデジタルコンテンツ『VOMIC』(ヴォミック)で配信されていた。『VOMIC』とは、カメラを漫画のイラストに固定したままフレームの位置を水平や垂直に移動させて、撮影された動画である。その動画に声優たちが声をあてるので、読者は漫画を読みながらキャラクターの声を聴くことができる。『まつりスペシャル』の『VOMIC』は全4話であり、2008年11月6日から2008年11月27日の間に発表された。
作品が連載された雑誌は少年漫画が多く連載されている『ジャンプスクエア』であったが、女性の読者も多い。「プロレス漫画」と聞いて戸惑う女性読者もいたが、神尾の作風の一つである終盤にかけて話が面白くなっていく展開に好感をもつ読者が多かった。「この漫画をきっかけに『ジャンプスクエア』から発行される『SQコミックス』を初めて購入した」というレビューも見受けられる。
主人公である羽生まつり(はにゅう まつり)は、同じクラスのイケメン、諸角渉(もろかど わたる)に恋する女子高校生。いつも女子が群がる諸角を見つめるのが、まつりの小さな幸せだった。しかし、まつりには誰にも言えない秘密がある。それは実家が「まごころプロレス」というプロレス事務所で、放課後は覆面レスラー「ハニープリンセス」としてリングにあがっていることだ。ハニープリンセスであるまつりは、本当は強いにもかかわらず、決して本気で闘わない。なぜならまつりは、プロレスが大嫌いでプロレスは時代遅れだと思っているからだ。家業がプロレスだということを恥じており、本当の自分をさらけ出すことのできる友達はいなかった。また、諸角に「ごつい女好みじゃない」や、「キモイ」と言われたりと、まつりは涙が出るほどうまくいかない毎日を送っていた。
そんな中、近所の河原で不良に絡まれたまつりは、1人でその不良たちを投げ飛ばす。大の男がすっ飛んでいく様を、偶然にも同じクラスの転校生、重松荒太(しげまつ あらた)が目撃していた。重松は、どんな大男が喧嘩をしているのかと興味本位で見たところ、そこに立っていたのはまつりだったのだ。重松はまつりに「まごころプロレスのハニープリンセス」でないかと問い詰める。なぜ重松が「ハニープリンセス」を知っているのかというと、重松は大のプロレスオタクで「ハニープリンセス」のファンだからである。まつりの父が元帝国プロレスの「ハニーギャング」であることも知っており、重松はまつりの父や、まごころプロレスに居候するレスラーから気に入られる。まつりが必死で隠そうとしているにもかかわらず、重松はまごころプロレスの門下生として入門までする。まつりは小学生の時から格闘技の世界で生き、強いということだけで、クラスメイトから避けられていた。しかし、重松は違った。「強いハニープリンセスを見てみたい。おまえはかっこいい」とまつりに言ったのである。こうして、まつりにとって初めて秘密を共有する友達ができた。
加えてまつりは、諸角が付き合っていた女からの復讐でボコボコにされる危機から諸角を救う。そのことで諸角が少しずつ「ハニープリンセス」に興味を持ち始める。諸角に絶対バレないようにとハラハラするまつりだが、それに比例するように重松とは仲良くなっていく。そして重松はまつりに本気で恋をする。プロレスでの乱闘シーンも見物だが、まつりの恋愛のときめきや切なさも充分に描かれており、男女関係なく楽しめる作品になっている。

『まつりスペシャル』のあらすじ・ストーリー

おまつり人生は完敗中

羽生まつり(はにゅう まつり)は、同じクラスでサーファーの諸角渉(もろかど わたる)に片思いしている。話しかける事すらできず、離れた席の諸角を見つめるのがまつりの学園生活の楽しみであった。まつりが諸角を見つめていると転校生の重松荒太(しげまつ あらた)が隣の席に座った。同じクラスでニュース好きの井田知子(いだ ともこ)は重松が隣町の人を半殺しにしたと噂する。重松は不良扱いされ、怖がられていた。
噂ばかりが流れる学園で、まつりには秘密がある。それはまつりが「現役の女子高生レスラー」ということである。家業はプロレス事務所「まごころプロレス」で、家に帰るとまつりはリングの上で覆面レスラー「ハニープリンセス」としてプロレスをするのだ。まつりは本気を出さず、いつもわざと負ける。その負けっぷりが客には好評だが、まつりの父はまつりに本気を出してほしいと思っている。プロレスで生計を立て、借金返済のために試合をやることが、まつりは嫌だった。だから、自分がハニープリンセスだということは誰にも言えないのだ。
試合終わりに川沿いを歩いていると、諸角が女と一緒にいるところに遭遇する。まつりの体格を馬鹿にする諸角にまつりはみじめな気分になった。すると見知らぬ不良の男3人がまつりに絡んできた。イライラしていたまつりは、絡んできた不良をプロレスの技で投げ飛ばした。その様子を、重松が偶然見ていたのだった。

秘密の友達

翌日学校で「昨日川沿いを歩いてたら人間がすっとんで行くのを見た。どんな大男がケンカしてるのかと思ったらちっこい女だった」と重松はまつりに話す。まつりは正体がバレると思い、屋上へと逃げる。気持ちを落ち着かせるために、得意の首ブリッジをしていると、重松がやってきて「それは格闘技の技だよな?」と詮索する。まつりは逃げようとしたが、重松が手を引っ張ってきたのでプロレス技のニールキックを重松にかけた。重松は一時倒れたが、目を覚まし、まつりがハニープリンセスであることを確信したのだった。
放課後まごころプロレスにやってきた重松は、プロレスファンであることを熱く語る。まつりの父は重松を気に入り、門下生として迎え入れる。まつりは、自分が幼い頃から周りに「怖い」と言われてきたので、自分がハニープリンセスであることが嫌だったのだ。しかし重松は、ハニープリンセスのファンで、まつりのことを「かっこいい」と尊敬し、「いつか本気で闘うハニープリンセスを見たい」と言った。まつりは重松にハニープリンセスであることは秘密にするようにお願いし、重松は約束した。

まつりの強さが発揮される時

まつりは、諸角にいつもくっついている女子たちにカラオケに誘われる。彼女たちは「諸角もカラオケにやってくる」とまつりに噓をつき、まつりをカラオケに置き去りした。一方で重松は駅前で女子たちがまつりのことを騙した話をしているのを聞いていた。重松はまつりの所にやってきて、諸角が来ないことをまつりに言う。でも重松が一緒にいてくれたから落ち込まなかった。
カラオケでまつりは、学年一の美女を見かける。彼女は、諸角に振られた復讐に諸角をボコボコにする計画を企て、諸角を学校に呼び出している。まつりは諸角を助けるために学校へと走る。心のなかで「いまあたしの力は何のためにあるのかと問われたら迷わずに答える。好きな人を守るためにあると」とまつりは言った。
まつりは姿を隠すために、カラオケボックスでアニメの「レスキュー仮面」の衣装を借り、その姿で学校に着いた。諸角はすでに殴られて意識がない。まつりは男ら相手に闘うが、被り物が汗で顔に張り付き苦戦する。
すると重松がハニープリンセスの目隠しをまつりに投げた。まつりの事が心配になって、重松は目隠しをまつりに届けにきたのだ。ハニープリンセスの目隠しに切り替え、まつりはプロレス技で男らを倒した。
諸角は、レスキュー仮面の女がまつりであることに気づいていないが、助けてくれたことにお礼を言った。
自前の新聞を貼りに学校に来た知子は、まつりが倒した連中が気絶しているのを発見する。そして近くを歩く重松を目撃した。知子は重松が暴力事件を起こしたと勘違いし、それを自分の新聞の記事に書いた。
翌朝の学校では、重松の暴力事件記事が皆に知れ渡る。重松は校長室で自宅謹慎を言い渡された。クラスメイトは重松を悪者扱いするが、まつりは重松を庇う。そしてまつりは自分がやったと告白しようと決意し校長室に向かう。だが、知子の新聞を見た諸角が校長室に行く。そして「俺が呼び出されてボコられてボコった」と噓をついた。校長は諸角の言い分を信じ、これで重松の謹慎も解けた。
一件落着したが、重松は「羽生、おまえクラスで俺とダチってことになって浮いてるけどいいのか?」と問う。まつりは「いいよ、ホントのことだし。あんたは友達だし」とまつりは笑顔で重松に言った。その笑顔に重松は胸が熱くなった。

美々丸の登場

まごころプロレスは、覆面プロレス団体のジョンソンズと対戦することになった。千葉で開催されるこの試合は、負けた方が客の前で覆面をはぎとられるルールだ。
まつりの対戦相手は、美々丸(みみまる)だ。美々丸は中学の時からまつりをライバル視している。だがまつりは試合に集中できない。なぜなら、千葉にサーフィンに来ていた諸角が、試合を観に来ていたからだ。リングの一番近くの席から諸角が観戦する。まつりは、いつものように負ければ顔がバレてしまう。美々丸の必殺技「サソリ固め」を受けたまつりは、立ち上がりジャイアントスイングで美々丸を倒した。「ハニープリンセスの勝利!」とセコンドがアナウンスした時、諸角はまつりを凝視する。レスキュー仮面の女に似ていると思ったからだ。
美々丸はまつりに負けて悲しかったが、プロレスファンの重松が美々丸の良さを熱弁する。美々丸は重松のことが好きになり、まつりと重松がいる学校へ転入した。
美々丸は「前野美々(まえの みみ)です。ジョンソンズっていう団体でプロレスやってます」と堂々と皆に自己紹介した。重松は、まつりの正体をバラしにきたと思ったので、美々にまつりがハニープリンセスであることを黙っておくように懇願する。すると美々は条件で重松と付き合いたいと言い出した。まつりの秘密を死守する為、重松は美々と付き合う。これを知ったまつりは、重松に対して噓つきだと思った。ハニープリンセスの一番のファンであると言っていた重松が、美々丸と付き合っていることがまつりの気持ちをモヤモヤさせる。さらに美々のように堂々とプロレスラーを名乗れない自分のことも嫌になった。そしてまつりは、まごころプロレスの試合を放棄した。

父の愛

まつりが帰ってこない中、美々丸が代わりにリングに立つ。「あたしはプロレス好きだからお客さんをがっかりさせたくないの」と美々丸は意識の高さを口にし、試合は盛り上がった。
夜遅くに帰ってきたまつりは反省の色を見せない。まつりの父は「もうまごころプロレスのレスラーじゃねえ」とまつりに言い放ってまつりの頬をビンタした。まつりは「最初からやりたくなんてなかった。プロレスなんて好きじゃない。あたしの方から辞めてやる」と言い返して、家を出た。
雨の中座り込むまつりは、自分が客を裏切ったことの重大さを反省した。すると父がまつりを迎えにきてくれた。まつりは父に謝る。父は「プロレスを辞めたければ辞めればいい。おまえの自由にしろ」とまつりに言ったのである。こうしてまつりは正式にまごころプロレスから脱退し、普通の女子高生の生活を送ることになる。

一番のファン

重松は、まつりがまごころプロレスを脱退したことを知りショックを受けた。さらに、ハニープリンセスが抜けたことで客は不満でいっぱいだ。まごころプロレス所属のまさお、吉本(よしもと)、斉藤(さいとう)はトリオ漫才をリング上で披露するが客からの大バッシングを受けた。まごころプロレスはリングもろとも破壊された。何も知らないまつりは街中で諸角と偶然会う。諸角は、レスキュー仮面の女の正体を知る為に、カラオケボックスをしらみつぶしに回っているのだ。まつりは諸角が自分に興味を持っていることに驚いた。
帰宅したまつりは破壊されたリングを見て愕然とした。まさおは涙ながらにハニープリンセスの穴埋めをしようとしたと語る。奮闘した3人を労いながら、まつりはリングの片付けをする。すると借金取りがやってきた。父は興行に行って不在だ。 ぐちゃぐちゃの事務所を見ながら、借金取りはまごころプロレスを馬鹿にし、リングに唾を吐く。その悪態に怒りがこみ上げたまつりは借金取りをプロレス技で引きずり落とした。借金取りのヤクザの親分は、まつりの実力に目をつけ、ヤクザ主催の試合に誘う。まごころプロレスを建て直し、借金を返すために、まつりは美々丸とトレーニングする。本気で闘うことを決意したまつりに美々丸は感動し、応援してくれた。
学校では重松が熱を出して欠席している。重松宅に見舞いに行ったまつりは、重松の部屋一面にハニープリンセスのポスターやグッズが飾ってあるのを見た。そして重松は、まつりの存在に気付き熱で朦朧としながらまつりにキスをした。まつりのファーストキスである。
キスのことは一旦忘れようと思い、まつりはヤクザ主催の試合に向かう。熱から回復した重松はまさおから借金取りの話を聞き、まつりについてきた。

まごころスピリッツ

試合は八百長試合で、まつりは対戦相手であるカズン・みちるにわざと負けるように指示される。試合は不正なやり方で、カズン・みちるはパイプ椅子でまつりを殴る。頭を強く打ったまつりは倒れこみながら父の言葉を思い出した。それは「いいかまつり、美しい技で勝て。それがまごころプロレスのスピリッツだ」という言葉だ。そして応援してくれる重松に「重松、あんた本気で闘うあたしを見たいって前に言ってたよね。観せてあげる」と言った。まつりはカズン・みちるを投げ飛ばしブレーンバスターで突き落とした。ヤクザの親分は文句を言うが、その首根っこをまつりの父が引っ張った。借金をまとめて返すことを約束し、まつり達は撤収した。

大切な人のために

重松はまつりの試合後高ぶる気持ちでまつりに告白した。熱でキスをしたことも覚えていたのだ。まつりは驚き何も言えない。
重松はまつりに本気であるため、美々に別れを申し出た。まつりの本気のプロレスへの想いを知った美々は、別れを受け入れた。まつりが本気でプロレスと向き合うことが美々の目的のひとつでもあったからだ。美々は、重松がまつりを庇うために美々と付き合っていたことをまつりに告げる。だがまつりは諸角のことが好きだ。まつりは美々から考え直すように説得されるがその弾みで体育館の2階から落ちる。だがまつりは空中回転し着地。その様子を見た諸角は、まつりの身体能力の高さに驚き、まつりの後をつける。そこにはハニープリンセスとして闘うまつりがいた。諸角はまつりがレスキュー仮面の女であることと、ハニープリンセスである事実を知る。諸角はまつりに惹かれていたため、告白した。しかしまつりは、重松のことが頭に浮かぶ。告白されてより意識するのは重松のことばかりだ。
だが重松は親の転勤で転校する。離れ離れになってしまうことに悲しさでいっぱいのまつり。そして今まで父や重松たちのおかげでまつりの笑顔は守られてきたと痛感した。まつりは復活したまごころプロレスのリングで、覆面をつけずにプロレスをする。堂々とし、まつりは試合に集中したので、客席は大いに盛り上がった。
試合終わりに諸角は、まつりの覆面を外したのは重松だと言い、まつりをあえて振った。すぐにまつりは重松の元に駆け付け、別れのキスをする。まつりは重松と結ばれたのである。まつりは「強くなれたのはやっぱり大事な人がいたからだ」と重松のことを見ながら思った。もう覆面レスラーであることを隠す弱いまつりはいない。まつりは相変わらずの週一の試合をこなし、学園生活を送る。

『まつりスペシャル』の登場人物・キャラクター

まごころプロレス

羽生まつり(はにゅう まつり)

CV:坂本真綾(VOMIC)

『まつりスペシャル』のヒロイン。女子高校生でありながら、覆面レスラー・「ハニープリンセス」として放課後は実家の「まごころプロレス」のリングにあがる。ガタイが良く、男たちが襲ってきても投げ飛ばすほど強い。しかしリングの上ではわざと本気を出さず、全敗記録を持っていた。嫌々ながらもリングにあがる毎日だったが、相手にやられっぱなしのハニープリンセスにファンは多い。やられっぷりに興奮する客が多いからだ。
物心がついた時からすでに柔道着を着せられ、小学生の時には3歳年上のいじめっ子を投げ飛ばしたことがある。それをクラスメイトに目撃され、「女の子なのに怖い」「バケモン」だと友達から避けられるようになってしまった。また、当時まだ父親が現役プロレスラーだとバレた時も、クラス中が大騒ぎになった。これらの理由からまつりは「プロレスは時代遅れ」「プロレスなんか大嫌い」と思っていた。そうして自分が覆面レスラーであることも、家業がプロレス事務所であることも、絶対秘密にしている。
河原で不良に絡まれた時、まつりは持ち前の強さで不良たちを投げ飛ばす。だが、その光景を転校生の重松荒太(しげまつ あらた)に目撃される。重松がハニープリンセスのファンであり、プロレスが大好きだったため、正体を知っても重松はまつりを怖がることはなかった。それから重松とまつりは秘密を共有する友達になる。
まつりは同じクラスの諸角渉(もろかど わたる)に恋心を抱き、毎日彼を見ている。諸角に「ごつい女好みじゃねーし、キモ」と言われてもドキドキしていた。しかし、持ち前の正義感の強さを発揮する。諸角が女関係をこじらせ、ボクサーを含む集団にボコボコにされるところをまつりは救いに行った。まつりは深夜アニメの「レスキュー仮面」のマスクをつけて男たちと闘ったので、諸角には顔をバレずに済んだ。
興行先でまつりが対戦した美々丸(みみまる)が重松に一目惚れし、まつりたちの学園に転入してくる。まつりは美々丸みたいにプロレスにプロ意識もなく、さらに重松が美々丸のファンだと嘘をついたことが重なり、まつりはまごころの試合を放棄。父と大喧嘩し、仲直りするが「プロレス辞めたければ辞めればいい」と父に言われ、まつりは正式にまごころプロレスを脱退する。しかし、まごころプロレスにやってくる客足は遠のいた。策を講じた居候レスラーのまさおたちの漫才に客は腹を立て、まごころプロレスはぐちゃぐちゃになる。何も知らないまつりが家に帰ると、リングは破壊され再起不能であり、加えて5000万円の借金があることをまつりは知る。「自分はまごころプロレスの看板であることを知ってたのに本気を出さなかった。自分がなんとかする」とまつりは思い直し、ヤクザ主催の試合に参加する。八百長試合だったが、重松の応援もありまつりはその試合で本気になり勝つ。まつりにプロ意識が芽生えたのだった。
重松はまつりのことが真剣に好きになり、告白する。しかし鈍感なまつりは自分の気持ちに気づかなかった。まつりは諸角のことばかり考えて、諸角は自分を助けてくれた「レスキュー仮面のマスクの女」をずっと探し続けていた。とうとう諸角は、自分を助けてくれたのはまつりであることを知り、2人の距離は縮まる。だが、重松が北海道へ転校すると知ったまつりは、自分が本当に大切なのは重松であると気づく。「大切な人のために強くなる」と誓ったまつりは、仮面を外してまごころプロレスのリングに上がる。クラスメイトたちもその試合を見ていたが、もう正体を隠さなかった。
まつりは、1人去ってゆく重松に会いに試合終わりに会いに行った。そこでまつりは自分が好きなのは重松だと伝えてキスをする。2人は結ばれ、遠距離恋愛でありながらも月に一回は会っている。

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