ドラゴンへの道(ブルース・リー)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ドラゴンへの道』とは、イタリア・ローマを舞台に、ギャングの悪行に立ち向かっていくカンフーの達人や中華料理店の従業員姿を描いたカンフー映画である。主演のブルース・リーが初監督を務めた海外ロケ作品であり、前二作『ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』とは対照的にコミカルな演技が多々見られる。また、クライマックスでのブルース・リーとチャックノリスとのコロッセウムでの対決場面は、現在でも語り草となっており、多くの映画人にも影響を与えた。

日本語吹替:千葉耕市
タン・ロンに対抗すべく、ギャングのボスがアメリカから招いた武術家であり、手始めに練習試合にて助っ人として来た日本人武術家・長谷平を叩きのめす。その後、コロッセウムで待ち構え、ホーがタン・ロンを罠にはめコロッセウムまでおびき寄せたところで、一対一の対決を行う。最後はタン・ロンにより、右半身を負傷し倒れた後、首を絞められ絶命する。またその後、タン・ロンが敬意を称し、体に道着をかけられる。
アメリカ人武術家・コルト役を演じたチャック・ノリスは、元世界プロフェッショナル空手選手権ミドル級チャンピオン保持者で、その生涯戦績は195戦183勝10敗2分を誇る。また俳優としても、『地獄のヒーロー』シリーズや『デルタ・フォース』シリーズ等、ミリタリー・アクション物に出演し人気を得る。2012年には『エクスペンダブルズ2』にて久々の映画出演を果たす。

ヨーロッパ人武術家・フレッド(演:ボブ・ウォール)

出典: pbs.twimg.com

日本語吹替:不明
ギャングのボスがタン・ロンに対抗しようと、コルトや長谷平らと共に、「助っ人」として呼ばれた。練習試合でコルトに敗北する。またタン・ロンとの勝負にも敗北する。
ヨーロッパ人武術家・フレッド役を演じたボブ・ウォールは、1964年に開催された世界空手道選手権大会にてブルース・リーと出会い、彼に弟子入りをする。1972年には映画『ドラゴンへの道』で俳優デビューを果たし、翌1973年には『燃えよドラゴン』では用心棒・オハラ役で出演し、多くの映画ファンにも知られる。映画『死亡遊戯』(1978年)に出演以降、俳優活動は行っていなかった。しかし1993年に制作のドキュメンタリー作品『実録ブルース・リー ドラゴンと呼ばれた男』ではプロデューサーとして活躍。

日本人武術家・長谷平(演:ウォン・インシック)

日本語吹替:仲木隆司
ギャングのボスがタン・ロンに対抗すべく、コルトやフレッドらと共に、「助っ人」として呼ばれた。練習試合でコルトにあっさり負ける。そしてタン・ロンに勝負を挑むが敗北したうえ、その場にいたトニー達からも痛めつけられる。
日本人武術家・長谷平役を演じたウォン・インシックは、ハプキドー(韓国合気道)の師範で「世界ハプキドー協会(World Hapkido Association)」から10段の段位を贈られた。またアクション俳優として、1970年代から『アンジェラ・マオの女活殺拳』(1972年)や『スカイホーク鷹拳』(1974年)等、数々のカンフー映画に出演する。なかでも特に名が知れ渡ったのがジャッキー・チェン主演作『ヤングマスター 師弟出馬』(1980年)での魔人キム役であり、クライマックスにおけるジャッキー・チェンとの15分にわたる格闘場面は今でも語り草となっている。その後も続けて『ドラゴンロード』(1982年)へ出演し悪役武道家を演じた。

ギャングの手下・ホー(演:ウェイ・ピンアオ)

出典: pbs.twimg.com

日本語吹替:川辺久造
ギャング一味の手下に襲う様に指示する一方、ボスの通訳(英語)を行うが、武術や喧嘩は全くできない。チェンの食堂を手下達と共に度々訪れ、土地を渡す様にチェン達に促す。そこへタン・ロンがやって来て、計画が阻止される。そこで、殺し屋を雇いチェンを襲わせたり、ある日タン・ロンを銃で脅し店の外へ追い出し、中でチェンに対しボスや手下らと共に強引に交渉させようとする。しかし外で手下達を倒したタン・ロンが、中へ入って来て、銃を構える男に投げ矢を投げ、トニー達が中の手下達を倒す。立ち去ろうとしたボスの腕にタン・ロンが投げたヌンチャクが引っかかる。そしてタン・ロンが歩み寄り、店に手を出すなとボスに訳せと(ホーが)指示され、英語で伝える。そして、ボスや手下達と共にその場を去って行く。
タン・ロンの対抗策としてアメリカから武術家コルトを呼ぶ。先ずタン・ロンにこれまでの事を謝るから、ボスに会ってくれと促す。そして「(ボスのいる)会社まで送る」と偽り、ある場所へ連れて行く。そこには、コルトの助っ人であるフレッドと長谷平が待ち構えていた。タン・ロンが二人を倒すと、コロッセウムまで逃げ出し、コルトにタン・ロンを任せる。勝負の末、タン・ロンが勝利しコルトが絶命すると、再び逃亡。そして、ボスが乗る車までたどり着くも、ボスの銃撃に遭い死亡。
ギャングの手下・ホー役を演じたウェイ・ピンアオは、1950年代から活躍した香港のベテラン俳優である。日本で公開された出演作品には『アンジェラ・マオの女活殺拳』(1972年)や『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年)といった作品があり、悪役ながらも特徴的なキャラクターを熱演。晩年はジャッキー・チェン主演の『奇蹟/ミラクル 奇蹟』(1989年)等に出演した。1989年12月に死去。

ワン伯父(演:ウォン・チュンスン)

ワン伯父(写真右)。

日本語吹替:富田仲次郎
チェンの伯父であり、彼女が経営する中華料理屋のオーナーである。タン・ロンがギャング集団に対抗する行動にトニーやチェンが肯定的なのに対し、一人消極的である。
物語後半、日本人武術家を倒したトニーやジミーに歩み寄り、彼等を刺殺する。香港にいる自分の家族を楽にさせる為に、店を売り大金を手に入れたかったが、タンのせいで計画が全て台無しになったとの事。物語終盤、自ら傷つけた状態で油断させてタン・ロンを殺そうとするも、車でやって来たボスの銃撃に遭い死亡。
ワン伯父役を演じたウォン・チュンスンは、1950年代から活躍し現代物から時代劇まで幅広く活躍、『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年)や『十四女英豪』(1972年)等に出演。1976年10月に死去。

ギャングのボス(演:ジョン・ベン)

日本語吹替:大木民夫
地元ギャングのボスであり、チェンの中華料理店を奪い取ろうと、様々な手段で店を襲う様に部下達に指示する。タン・ロンがやって来た以降も、殺し屋を雇いチェンを襲わせたりして、銃撃の手を止めない。そしてある日、ホーや手下達と共にチェンの店を訪れ、タン・ロンを手下の一人が銃で脅し店の外へ追い出した後、チェンに対し強引に土地を売却させようとする。しかしそこへ外の手下達を倒したタン・ロンが中へ入って来て、銃を構える男へ投げ矢を投げ、トニー達が周りの手下達を倒す。煮えを切らしてその場を立ち去ろうとするも、タン・ロンがヌンチャクを投げ腕に引っかかる。そしてタン・ロンが歩み寄り、二度と店に手を出すなと訳せとホーに告げ、ホーから英語で同じ内容を伝えられる。そして、ホーや手下達と共にその場を去る。
カンフーの達人であるタン・ロンに対抗すべく、アメリカから武術家のコルトを呼ぶ。ホーの罠により、コロッセウムまでたどり着いたタン・ロンはコルトと対決する。戦いの末にタン・ロンが勝利し、コルトが絶命する。車で逃亡しようとした矢先、タン・ロンから逃げて来たホー、自ら傷つけてタン・ロンを油断させようとしたワンを続けて銃で射殺。その直後、駆けつけた警察により逮捕される。
ギャングのボス役を演じたジョン・ベンは、後にブルース・リーについての著書を執筆した他、香港にてレストラン「ブルース・リー・カフェ」を開店させた。

街の娼婦(演:マリサ・ロンゴ)

出典: pbs.twimg.com

日本語吹替:不明
タン・ロンがチェンと共にお金を預けに銀行へ行った帰り道、街のベンチに座っていたタン・ロンを誘って来た女性。タン・ロンはそのまま、彼女の家に連れていかれ、部屋で待っていた。すると、奥の方から女性が裸で出て来て、タン・ロンはびっくりしてその場から立ち去ってしまう。
街の娼婦役を演じたマリサ・ロンゴは、イタリアのモデル兼女優で、1970年代を中心に『禁じられたデカメロン』(1973年)や『アマゾネス対ドラゴン 世紀の激突』(1975年)等、多くの作品に出演。

『ドラゴンへの道』の用語

ダブルヌンチャク

出典: eiga.k-img.com

タン・ロンがギャングの手下相手に披露した武器。その後、手下の一人がタン・ロンのヌンチャクを拾い、見よう見まねで構えるも、自分で当ててしまい気絶する。ブルース・リーが前主演作『ドラコン怒りの鉄拳』に続き、華麗なヌンチャクアクションを披露した。

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