亜人(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『亜人』は、桜井画門による漫画作品で、講談社の『good!アフタヌーン』にて、2012年から連載。2015年には3部作の劇場アニメが上映、2016年からはTVアニメが放送された。2017年には実写映画も公開され、シリーズ累計発行部数は900万部を突破するほどの人気を誇る。
主人公の永井圭は、ある日交通事故により亡くなってしまうが、直後に生き返った。それにより、自身が死ぬことがない生物「亜人」だと判明する。亜人であるが故に、政府に追われる身となり、様々な困難立ち向かう物語となっている。

亜人(あじん)

1990年代にアフリカの戦場で初めて発見された。何度死んでもすぐに生き返るという能力を持っている。当初は怖がられていたが、不死である以外は一般人と同じと思われたため恐怖は薄れ、後に人類の研究対象と定義された。不死ではあるが、不老ではないため、加齢により寿命を迎える亜人も存在している。寿命で死んだ亜人は、生き返ることはなく、通常の人間と同じように死ぬ。

作中当初の段階では、亜人は世界で47人、日本では2人しか発見されておらず、希少な存在とされていた。このため、TVショーでは「亜人を捕獲した人には1億円の懸賞金が出る」などの報道がされた。ただし、実際のところ懸賞金は支払われず、ガセ情報であると戸崎は指摘している。それでも、海外の裏ルートでは実際にさらに高値な取引金額が提示されるなど、金銭目的で行動する人間を惹きつける格好の的となっている。金になる事から、マフィアや外国の工作員、スパイなどありとあらゆる勢力が狙っており、亜人が発見された場合は、国が全力で捕獲に当たる。

医療・軍事関連の人体実験用の動物として非常に優秀なサンプルとなりえることから、政府・企業のプロパガンダにより「亜人は人間でない」と定義されており、発見次第人権や尊厳をはく奪される形で処理される。実際のところ、企業で亜人を所有した会社は大きく躍進するというジンクスが作中内でも存在することから、どこの企業も血眼になりながら亜人を捜索している。
世間の人間は亜人に対して他人種であるかのように排他的な感情を抱いている。しかし、発祥など謎の部分も多く、発覚さえしなければ普通の人間と何ら変わらない面から、一部の人間は「亜人も人間である」と主張している。

黒い幽霊

通称IBM(Invisible Black Matterの略)。
亜人が操ることができる自身の分身のような存在。全身に包帯を巻いた人のような姿をしている。

科学的には屈折率がおよそ1.000292の完全に透明な物質で構成されている。亜人同士にしかその姿を見ることはできないが、強い殺意を感じた場合は通常の人間も姿を視認できるようになる。霊的な存在ではなく物質であるため、足跡は残り、幽霊が手に持っているものは宙に浮いて見える。小麦粉などの粉をかけると、誰からでも存在を認識できるようになる。カメラやビデオを通じても姿は見えず、この場合は亜人でも姿を視認することができない。

黒い幽霊の外見は、共通してヒト型の男性であり、原始的な動物の攻撃手段である鋭利な歯や爪を持つ。いわゆる「火事場の馬鹿力」を常に発揮するため、高い跳躍力や人体を一撃で引き裂く高い戦闘力を持っている。亜人によって姿に個体差があるものの基本的にはプレーンと呼ばれる人型。稀に腕が伸びるものや、羽が生えて空を飛ぶことが可能なものなども存在する。

黒い幽霊を構成する物質は極めて不安定なため、『発生』と『崩壊』が同時に始まっている。手足など細部の欠損、刀傷などは徐々に回復するが、殴打で粉砕された場合はその部分が砂のように飛び散ってしまい、再生できなくなる。幽霊の弱点は頭部であり、頭を粉砕された場合は戦闘不能となってしまう。
操者とは電気信号のようなもので繋がっているため、情報の伝達が遮断される雨や霧など悪天候下では出せない。しかし操者とIBMの両者が傘をさす等で雨を防げば操縦は可能である。黒い幽霊の頭部同士が衝突しお互い崩壊した際、お互いの記憶の断片が飛び込んだり、精神状態が入れ替わる現象が起こる。

亜人の中でも黒い幽霊を操る者は「別種」「アドバンス」と呼称されている。亜人だからといって全員が黒い幽霊を出せるわけではなく、何らかの素質や覚醒が引き金となって突然に使えるようになる特殊能力である。殺され続ける、誰かを恨み続けるなど、強いストレスがかかることでIBMの出現の可能性は上がる。
IBMは亜人にとって、ラジコンを操縦するというより犬に命令するといった感覚に近い。田中のように従順かつ言葉を喋れるものもいるが、本体が意識を失った場合は行動不能になってしまう。
黒い幽霊の独断の行動を「自走」と呼び、佐藤は自身の黒い幽霊を放任することでそれを可能にした。

フラッド

黒い幽霊が同時に複数出現する現象のこと。
フラッドが起こる条件は、一生に一度あるかないかの感情の高まりと復活時のIBM濃度の上昇の2つである。フラッドで作り出されるIBMは平均10〜15体で発現の発端となったシンプルな感情に従い行動し続ける。そのときのIBMはコントロール不能である。
中村慎也事件の場合は、シンプルな感情は「殺意」であり、消失するまで付近の人間を殺し続けた。また、フラッドの発現付近で亜人になりかけの死体が観測されることが度々ある。オグラ・イクヤによるとフラッドの発現時に高濃度化した体内IBMが近くの死んで間もない人間に影響を及ぼすという。

フラッドを発生させた亜人に対して、「黒い幽霊同士の頭部衝突による精神交差」を行うと、精神交差をした亜人にもフラッド現象が発生する。この場合両者の持つIBM量が異なっていても同量・同性能の黒い幽霊が発生し、発生した黒い幽霊はフラッド現象の起因となる感情に沿って行動する。これを繰り返し起こす事で数百体に及ぶ黒い幽霊を発生させる事が出来る。

亜人管理委員会(あじんかんりいいんかい)

厚労省によって結成された亜人を管理するための組織。亜人の扱い、亜人候補のリストアップ、佐藤への対策など、管理だけでなく、亜人にまつわる業務を一手に引き受けている。戸崎や下村の所属組織である。作中では役員にかなりの報酬が支払われている描写がある。

中村慎也事件(なかむらしんやじけん)

中村慎也による亜人管理委員会の役人の惨殺事件。日本における初のフラッドの発現。
彼の殺意に従った十数体のIBMが目撃された。この事件の発生までは亜人は不死身なこと以外は人間と同じと考えられていた。IBMの存在が日本でも明らかになるきっかけとなる。

AJIN.com(あじんどっとこむ)

佐藤の指示によって日本国民に動画やメッセージを通じて亜人の実体を知らしめて煽動したり、佐藤が国家の支配と統治を目論むために奥山によって配信されているウェブサイト。
ロシアや中国のサーバを経由することによって身元が分からなくなっているため、日本の警察でもこのサイトの運営元にたどり着けずにいる。佐藤がSATを壊滅させた際にはこのサイトで配信が行われており、これをきっかけに、世間の亜人に対する印象は変化した。

『亜人』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

永井圭が作中で初めて意図的に黒い幽霊を発現させたシーン

佐藤に追い詰められた永井圭が、自分の意志で黒い幽霊を発現させるシーン。圭は幼い頃に自身が出した黒い幽霊を見たことがあったが、成長してから発現したことはなかった。窮地に立たされたことで、再び自身の力で黒い幽霊を発現することができた印象的なシーンとなっている。
圭は体内のIBMが他人よりも非常に多いため、他の亜人よりも長い間IBMを発現させることができる。そのため、永井圭のIBMを見た佐藤は 「なんなんだ、その量は」 と驚いていた。

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