海皇紀(川原正敏)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『海皇紀』とは、川原正敏によって『月刊少年マガジン』で1998年から2010年まで連載されていた冒険活劇物語。舞台は、一度文明が滅びて地図も全く変わってしまった世界。海の一族として海上で生活するファン・ガンマ・ビゼンは、旅の途中で偶然出会った亡国の姫君や仲間たちと共に一族を巻き込んだ戦いに身を投じていく。コミックス全45巻にもおよぶ壮大なストーリーと、広島商船高等専門学校出身である作者の緻密で正確な船舶描写が話題となった。

『海皇紀』の概要

『海皇紀』とは川原正敏によって月刊少年マガジンで1998年から2010年まで連載されていた遠い未来を舞台にした冒険活劇漫画である。単行本は45巻まで発行されており、累計発行部数は1000万部を記録している。物語は主人公ファンが小国の王ウォルハンの新王「カザル・シェイ・ロン」や「マイア・スアル・オンタネラ」「トゥバン・サノオ」との出会いをきっかけに伝説の地「グリハラ」に住むと噂される「イルアンジャ」を求め旅をしていくところから始まり、ウォルハンと大国ロナルディアとの世界の覇権を巡っての戦いに身を投じていく。暗躍する闇の魔人衆(イベルグエン)やファンの母親である「マリシーユ・ビゼン」との邂逅を通じて物語中何度か語られた「アナハラム」が実はこの戦争の裏で糸を引く存在だと知ることになる。

『海皇紀』のあらすじ・ストーリー

大魔導師「イルアンジャ」の情報を追い求めて小国ウォルハンにたどり着いた「マイア・スアル・オンタネラ」と「トゥバン・サノオ」は「魔道士アナハラムを訪ねるか、グリハラという土地に訪れよ」との助言を受けた。その帰途ウォルハンの新国王『カザル・シェイ・ロン』と居合わせた謎の男「ファン・ガンマ・ビゼン」と出会う。隣国クアラへの和平交渉の為の船を求めたカザルとグリハラの情報を知っているというファンの言葉を信じたマイア一行はそのままファンの船である影船八番艦に乗り込むことになる。クアラにたどり着いたカザルは和平交渉を行うが交渉は決裂(はわざと決裂させた)し敵の勇将ジンバハルを斬りつける。会談の最中ウォルハンの大臣「ダンマ・ウズキ」の裏切りを知ったカザルは帰国後即座にこれを処断。ジンバハルの死を口実に攻め込んできたクアラとの決戦に挑むため要所であるルガイ関に進む。ファンはカザルに協力しクアラの海軍を影船一隻で打ち破ることに成功する。カザルと一旦分かれグリハラに向かう途上で立ち寄った補給地の港で放浪の大軍師チャダの最後の弟子と呼ばれる「アル・レオニス・ウル・グルラ」と出会う。ガルハサンに仕えながら見聞の旅をしていたアルもグリハラへの船を求めていたため影船で共に向かうことになっていたが、カザルのクアラ平定の報を知った為にガルハサンへの報告を優先してファン一行とは別れることになる。
途中寄った名も無き島にて謎の技・謎の道具を使う闇の魔人衆「ギルス・ヴェダイ」と出会う。ギルスを仲間にした一行はグリハラを薬で支配していた双子の導師を倒しその過程で出会った「メルダーザ」と共に内陸の地「エル・グリハラ」に向かうことになる。エル・グリハラの遺跡の地下でイルアンジャと出会った一行だったがイルアンジャは遺跡に置かれていた兵器「土武者」が動かないことに絶望し精神異常を生じてしまっていた。ファン一行を侵入者と判断し魔導兵器「ドルトルーヴォの火」で攻撃するイルアンジャだが爆発の影響で起動した土武者に頭部を攻撃され絶命してしまう。ファンの武器を借りたトゥバンによって土武者を破壊することに成功した一行は遺跡を脱出するのであった。島を発ったファン一行にロナルディアの将「オンブルワ・ゼ・フォレスト」率いる船団が戦闘を仕掛けてきた。彼らの目的は亡国の姫であるマイアであった。戦闘の最中でイルアンジャも使った「ドルトルーヴォの火」や戦艦に取り付けられた「カノン」を見たファンはロナルディアとの海の覇権をかけた戦いを決意して自身の故郷であり海の一族の本拠地である「海都」に向かうのであった。海都で新たな王を決める一族の争いの中ファンは海の王に名乗りを上げる。7人の影船の艦長の信任を問う儀式でファンは1人、海の王の第3子である「ソル・カプラ・セイリオス」が残りの6人の信任を得る。7人の艦長の票が割れたため候補者同士の対決「王海走」が執り行われることが決定する。様々な妨害がある中でファンは王海走に勝利。しかし先王の妻の圧力により結果は捻じ曲げられソルが新たな海王に選ばれる。試合に勝って勝負に負けた形となったファンではあったがこれでソルに自身の存在感を植え付けることに成功し大海師(だいかいすい)の職を得る。
海の都を離れガルハサンを攻めるウォルハンに協力するため北インガルナシオ海へ向かう。物資輸送が困難な海峡を抜けるために当地の海将「ジト・サントニウス」の協力を仰ぎこれを攻略。同時にジトの信任を得ることに成功する。物資輸送も成功しウォルハンはガルハサンを攻略。その結果かつてファンと出会いガルハサンで参謀としてウォルハンを苦しめた「アル・レオニス・ウル・グルラ」を幕僚としてウォルハンに迎え入れることに成功する。

『海皇紀』の登場人物・キャラクター

主要人物

ファン・ガンマ・ビゼン

本作の主人公。絶滅したとされている鷹の「ルファ」やシャチの「ナギア」を相棒として背中にニホントウを携え、海の王直属のはずの「影船」を自由に動かす男。
生来の怠け者であり自身を「稀代のペテン師」と称するなど普段はやる気のない姿を見せるが、実はその正体は海の一族の海王の隠し子。
他人の能力やその心情の変化を読み解く能力に優れておりそれを利用した策を用いて戦うことが多い。反面自身への他人の評価には疎くそれが後に悲劇の引き金となっている。風や地形を読む能力も群を抜いており普段は操舵手のナオに舵を任せているがいざという時には自身が舵を切り様々な業を見せている。
魔導の力を用いたロナルディアの侵攻に海の自由が失われる危険性を感じウォルハンの領土拡大を陰ながら支援する。その結果ロナルディアと協調路線を取ろうとする新海王「ソル・カプラ・セイリオス」と相対することになり一族全軍と戦うことになるがこれを打ち破ることに成功。一族の軍の指揮権を与えられロナルディアとの決戦に向かうことになる。

マイア・スアル・オンタネラ

大国ロナルディアによって滅ぼされたオンタナの王女。伝説の「イルアンジャ」及び「カガク」を求めての旅の途中でファンと出会い徐々に惹かれていく。当初は復讐心の強さ故誰に対しても強気に振舞っていたがアグナ・メラの出現や周りの人々の影響で素直さを取り戻していく。

トゥバン・サノオ

大陸一と評される伝説の兵法者。オンタナに対するロナルディアの侵攻が始まった際に当地に滞在しておりマイアや宮廷魔導士と共に逃避行の旅にでることになりその途上でファンと出会う。

ギルス・ヴェダイ

闇の魔人衆を父にもちルドランの眼という魔導具を装備する男。ファン一行がたどり着いた島でファンと戦い完敗。以降は子分として八番艦に乗船し、ファンたちと同行することになる。八番艦の中ではトゥバンの稽古相手になることも多く、艦で三番手に位置する実力の持ち主になる。メルダーザに好意を寄せておりメルダーザの八番艦下船の際に護衛として共に船を降りることになる。

メルダーザ

アナハラムの娘。グリハラで八番艦に乗船後ロナルディアと父との関係を調べに向かうため一行と別れる。

カザル・シェイ・ロン

辺境の小国ウォルハンの新王。かつて大陸を席巻した興武王「ウォル・シェン・ロン」と同様に胸に丸形の痣を持つことで「興武王の再来」と呼ばれるようになる。いわゆる猪突猛進型の将で戦闘の際にも自らが先陣を切って戦いに臨むその姿勢から、出会った当初ファンやトゥバンから「大馬鹿」と言われるほど。クアラに向かう船賃としてファンと「1億ゴルド」を支払う約束をしている。

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