
『同級生』とは2006年より中村明日美子が『OPERA』(茜新社)で連載していたBL漫画、およびアニメ映画。「まじめにゆっくり恋をしよう。」をコンセプトに描かれた高校生のピュアな純愛ボーイズラブ作品。性格も見た目も真逆な佐条と草壁は高校2年生の時に同じクラスになり、合唱祭を通じて恋愛が始まる。ジャンルの違う者同士、男同士で付き合うこと、進路や受験などに日々迷いながらも、まじめにゆっくり恋愛していく。この漫画からBLにハマる人が続出するなど、青春BL漫画の不朽の名作と言われている。
原と空乃
空乃は高校卒業後、バイトをしながらモデルの仕事をしていた。
原は空乃が高校卒業まで手を出さず、未成年だからとさらに2年プラトニックな関係が続いていた。ついに空乃が20歳になったある日、これで堂々と体の関係を持てると意気込んでいた空乃と原は、どちらがタチかネコかで揉めに揉める。結局根負けした原が下になる雰囲気になったものの、2人の初めてはうまくいかずに終わる。
次会える日を決めようとした時、原は母親の命日を思い出す。そしてその日、父にカミングアウトしようと思っていることを空乃に話した。
当日「言えなかった」と肩を落とした原に空乃は「余計なことを言って申し訳ない」と謝る。そんな空乃に原は「お前がいてくれてよかった」とぎゅっと抱きしめた。
『blanc』

『blanc』1巻の表紙
結婚式
20歳の誕生日に指輪を贈り合った草壁と佐条だが、未だ結婚はしていなかった。同性カップルのパートナーシップ制度が徐々に広まってきており、草壁が「時期を見たほうがいい」と言ったのだ。佐条はショックを受けて徐々に疎遠となってしまう。草壁も貰った指輪を佐条に返していた。二人はそれぞれの周囲の人間から「本当に別れていいのか」と問われ、自分を見つめなおす。
そんな中佐条の母親の再入院が決まり、ステージ3のがんだという事が知らされた。草壁は忙しい佐条に代わって母親の見舞いに行くことを申し出る。気に入りそうな曲をピックアップした自作アルバムの中に、草壁は一曲だけ佐条にあてた思いをつづった曲を混ぜていた。佐条の母は曲を聞いて二人の関係が変化していることに気付く。そして「今でもあの子の一番はあなただと思う」と励ました。
その後佐条から母親が他界したという連絡を受け、草壁が病室へ向かうと、父親が現れる。「家族以外は出ていけ」という父親に対して、佐条は「彼は僕の恋人だ」と止めに入った。壮絶な言い争いの末草壁と二人きりになると、佐条は「恋人だなんて言ってごめん」と謝る。草壁は「俺はずっとそのつもりだよ」と応じたのだった。
葬儀の日「チャラチャラした髪しやがって」という言葉を受けた草壁は、坊主になって現れた。その姿を見た佐城は草壁を連れて外に飛び出し、今までの事を謝罪する。気持ちを確かめ合った二人は追いかけてきた父親に対して、「結婚します」と宣言した。
結婚式当日父親は姿を見せなかったが、懐かしい面々がお祝いに駆け付ける。するとそこに紙袋に入った大量のCDが届けられる。届けたのは父親だった。佐条は父親に対し「幸せです」とだけメールを返すのだった。
劇場アニメ版『同級生』
2016年2月20日に公開された劇場版『同級生』は劇場動員数10万人、興行収入1億5千万円突破のヒットを記録。映画化に伴い、コミックスの売れ行きも再び伸びている。
原作漫画に忠実に作られているが、原と佐条の出会いの話のみ省略されている。佐条利人役は野島健児、草壁光役は神谷浩史、原は石川英郎が演じた。
『四月は君の嘘』『七つの大罪』などを代表作に持つ人気アニメスタジオのA-1 Picturesが制作を手掛けた美しいアニメーションと、アコースティックギタリストである押尾コータローが担当したギターBGMが、原作の持つ独特の雰囲気を美しく再現している。
スタッフ
原作:中村明日美子「同級生」(茜新社刊)
監督:中村章子
キャラクターデザイン:林明美
美術監督:中村千恵子(スタジオ心)
色彩設計:歌川律子
撮影監督:長瀬由起子
3DCG:佐藤香織
編集:西山茂(リアル-T)
音楽:押尾コータロー
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:HALF H・P STUDIO
制作:A-1 Pictures
劇場アニメーション版のBlu-ray / DVDが2016年5月25日に発売

出典: www.amazon.co.jp
2016年5月25日には本作のBlu-ray&DVDが発売されており、未視聴でも自宅で鑑賞することができる。
『同級生』映画版のPVと予告
劇場版『同級生』PV第一弾
中村明日美子の描く、どこか儚げな空気感はそのままの美しい映像
劇場版『同級生』PV第二弾
劇場版『同級生』本予告1
劇場版『同級生』本予告2
佐条利人役には野島健児、草壁光役には神谷浩史を起用
『同級生』の登場人物・キャラクター
佐条 利人(さじょう りひと)
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目次 - Contents
- 『同級生』の概要
- 『同級生』のあらすじ・ストーリー
- 『同級生』
- 馴初め
- 原先生
- 草壁のバンドのライブ
- 二度目の夏
- 『卒業生』
- ー冬ー
- 原の過去
- 手袋
- 母の病気
- 京大入試
- 卒業
- 『空と原』
- 新入生
- デート
- 野球部
- 有坂先生
- 『O.B.』
- 草壁と佐条
- 有坂と響
- 原と空乃
- 『blanc』
- 結婚式
- 劇場アニメ版『同級生』
- スタッフ
- 劇場アニメーション版のBlu-ray / DVDが2016年5月25日に発売
- 『同級生』映画版のPVと予告
- 劇場版『同級生』PV第一弾
- 劇場版『同級生』PV第二弾
- 劇場版『同級生』本予告1
- 劇場版『同級生』本予告2
- 『同級生』の登場人物・キャラクター
- 佐条 利人(さじょう りひと)
- 草壁 光(くさかべ ひかる)
- 原 学(はら まなぶ)
- 青砥 空乃(あおと そらの)
- 有坂 悟志(ありさか さとし)
- 佐野 響(さの ひびき)
- コマっちゃん(コマツ)
- 谷(たに)
- フジノ
- 佐条久美(さじょうくみ)
- 佐条の父(さじょうのちち)
- 『同級生』の用語
- 東府第一高等学校
- ズゴック
- 京都大学薬学部
- 『同級生』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 草壁「どーいうふうに生きても後悔するときはあるし、逆に得るものもあると思ってんだよね。でも今んとこ佐条と別れるっていう選択肢はないんだ」
- 草壁「俺はそのときどきで1番ベストの選択をしてるつもりだし、それで幸せになる自信あるし、それで幸せにする自身もあるよ」
- 佐条母「大切なものって本当に大切にしていてもある日急になくなってしまうこともあるのよ。だから後悔しないで。大切な人なんでしょ?」
- 『同級生』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 宙出版『このBLがやばい!』でBLコミック・ザ・ベスト第1位を受賞
- 草壁を不安にさせた異性も同性も魅了する佐条の色気
- 『空と原』連載中に過労で倒れていた中村明日美子
- 佐条と原のデートで空乃が草壁を説得した方法
- 佐条と草壁がよく飲んでいた炭酸飲料は「KIRIN NUDA」(キリン ヌーダ)
- 劇場版来場者特典
- 『機動戦士ガンダム』のランバ・ラル大尉がモデルとささやかれる草壁と佐条の同級生
- 2015年には缶バッジ化
- 『同級生』の主題歌・挿入歌
- 映画主題歌:押尾コータロー with Yuuki Ozaki (from Galileo Galilei)「同級生」