ReLIFE(リライフ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ReLIFE』とは、日本の漫画家である夜宵草のウェブコミックおよび、これを原作とする漫画単行本、小説、テレビアニメ、映画、舞台作品である。入社3カ月で会社を自主退職し無職になった主人公が社会復帰プログラム「リライフ」の対象者となり、薬によって見た目を若返らせ高校生活を送る様子が描かれている。周囲との関わりによって本来の自分の良さを取り戻しながら成長していく過程がラブコメ要素を交えながらコミカルかつしっとりと展開される点と、受け手が人生のやり直しを疑似体験できる点が魅力である。

『ReLIFE』の概要

『ReLIFE』とは、日本の漫画家である夜宵草によるウェブコミックおよび、これを原作とする漫画単行本、小説、テレビアニメ、映画である。原作は2013年10月12日 にNHN comico株式会社(英語名:NHN comico Corp.)が開発・運営するスマートデバイス向け電子コミック・ノベルアプリ『comico』で配信が開始し、2018年3月16日まで連載された。『comico』では、ジャンルは「学園」「ドラマ」「コメディ」に分類されるが、恋愛も重要な要素に挙げられる。

これを原作にした漫画単行本の第1巻がアース・スターコミックスから2014年8月12日に発行され、2020年2月13日に最終巻である15巻が発行された。本作は『comico』で配信された作品の中で初のコミック化を果たした作品である。その後、2016年7月よりTOKYO MX他でテレビアニメが放送され、同年9月に最終話である13話で完結している。同作は監督を小坂知、アニメーション制作をトムス・エンターテイメント、主人公の海崎新太(かいざきあらた)役を小野賢章、ヒロインの日代千鶴(ひしろちづる)役を茅野愛衣が務めた。なお、TVで放送された全13話の続編となる「完結編」が14~17話まで制作された。海崎新太のリライフ実験終了までのエピソードが盛り込まれた内容になっている。BD & DVDでのリリース及び、動画サブスクリプションサービス等で公開された
続いて2016年9月より舞台が公開され、脚本を久米伸明、演出を岡村俊一、主人公の海崎新太役を小野賢章、ヒロインの日代千鶴役を荒井萌が務めた。また、2017年4月15日より松竹配給で映画が『ReLIFE リライフ』のタイトルで公開されており、監督を古澤健、主演を中川大志と平祐名がW主演で務めた。

小説版は2017年3月25に1巻が刊行されたものの、発行元のリンダパブリッシャーズの倒産により2巻以降の発行が中止になり、以降は著者と出版社を変えて1巻から改めてリリースすることになる。その後は2019年から2020年にかけて双葉社からノベライズ版が全5巻刊行された。ノベライズ版第1巻は、徳間書店およびリンダパブリッシャーズから発行された第1巻と同じ箇所を再著述したものである。

原作はcomicoのサービス開始時期から配信され、2014年6月7日に公開したcomicoの人気ランキングで1位を獲得した。また、単行本化に先駆けてリリースされた単独アプリは公開から15日間で40万ダウンロードを記録しApp storeの無料総合ランキングで1位を記録するなど、comicoを最も代表する作品である。その後発行された漫画単行本はこれまでに累計発行部数150万部を記録し、2015年2月4日に「全国書店員が選んだおススメコミック2015」にて第6位を獲得した。また、テレビアニメは2015年4月3日に『第39回講談社漫画賞・一般部門』にノミネートされ、映画は初日の出口調査では満足度93%を示した(松竹調べ)。

また、『「ReLIFE」キャラクターソングVol.1/海崎新太』『「ReLIFE」キャラクターソングVol.2/日代千鶴・小野屋杏』『「ReLIFE」キャラクターソングVol.3/大神和臣・狩生玲奈』の3種類がトムス・ミュージックより発売となる。
2016年9月28日には『「ReLIFE」ドラマCD「バラエティBOX」』がフロンティアワークスより発売。完全書下ろしシナリオによるコメディを中心とした短編集および、特典として声優陣によるキャストトークが収録された。
同年11月30日には、Comico内の『ReLIFEチャンネル』にて公開されたラジオ番組『ReLIFE研究所広報課』の第1回~第14回を収録したCDに加え、新規に取り直したオーディオCDも併せてパッケージングされた『ReLIFE研究所広報課』が発売となる。

comicoアプリ内サービス『ReLIFEチャンネル』よりWEBラジオ『ReLIFE研究所広報課』が配信された。放送期間は2016年6月24日~2016年9月30日で、8月26日の第9回からはHibiki Radio Stationでも配信開始となった。放送回数は全14回。メインパーソナリティは夜明了役の木村良平と、小野屋杏役の上田麗奈が務めた。
『ニコニコ生放送』でも2016年2月22日~2016年5月30日に全4回、『ReLIFE配信所~ニコ生支部~』が放送され、TVアニメに関する情報や作品にまつわるトークを中心に展開した。また、2017年2月27日にはTVアニメシリーズのBD&DVD全巻発売記念として、『ReLIFE研究所広報課』が放送された。

『舞台 ReLIFE リライフ』は脚本を久米伸明、演出を岡村俊一が務め、海崎新太役を小野賢章、日代千鶴役を荒井萌が演じた。舞台は東京公演がサンシャイン劇場で2016年9月8日~2016年9月19日に公演。大阪公演が梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで2016年9月24日~2016年9月25日まで上演された。

入社3カ月で会社を自主退職し無職になった主人公である海崎新太が、リライフ研究所による社会復帰プログラム「リライフ」の対象者となって、同社が開発した薬によって見た目を若返らせ高校生活を送る様子が同作では描かれている。主人公の社会復帰を主軸にしつつ、同級生らと交流する中で互いに影響し合い学園生活をめぐる各々の課題を乗り越える様子がコミカルかつシリアスに展開される。併せて、主人公とヒロインの関係性が変遷していく様も、本作の重要な要素である。

「もう1度、学生時代に戻れたなら」という願望を疑似体験できる点は本作の魅力として多く語られている。テレビドラマでも通用するようなクセがなくとっつきやすい世界観だが、登場人物の心情描写が非常に細やかでキャラクターの個性がコミカルかつシリアスに際立っており、読み手はリアルに各々の心情を疑似体験することが出来る。主人公の目を通して、気づいたら変化していた生活習慣や価値観、体力の衰えなどのあるあるネタは勿論のこと、自分の本来の持ち味を生かした生き方の気付きを与えてくれる。

『ReLIFE』のあらすじ・ストーリー

「リライフ」開始

主人公の海崎新太(かいさきあらた)は求職中の27歳。初めて就職した会社を3か月で辞め、今日も就職面接を受けるも回答は空回り。ある日、友人に誘われた飲み会で会社帰りのふりをしてスーツ姿で参加したその帰り道、実家の母親から仕送りの打ち切りを電話で告げられてしまう。途方に暮れる中、目の前に現れたのはリライフ研究所の夜明了(よあけりょう)と名乗る会社員風の男性。夜明から突然、1年間高校生として学校生活を送るプログラム「リライフ」の紹介がなされ、プログラム終了後には就職先を紹介するとの説明を受ける。そして夜明は海崎の手に姿が高校生に戻ると言うカプセル入りの薬剤を握らせる。翌日、酔った勢いで薬を飲んでしまった自分に愕然とした状態で海崎は目を覚ます。その時、夜明が突然海崎宅を来訪。「知らない人からもらった薬をよく飲む気になれましたよね。ちょっと信じられないです」「酔って覚えてないだなんて、さすが大人のクズですね☆」とにこやかな顔の夜明から辛辣な言葉を浴びせられる海崎。そして夜明から改めてリライフの説明を受け諭され、海崎はリライフの契約書に判を押し、新たな一歩を踏み出す。

4月、新学期を迎えて海崎の「リライフ」が始まるも、初日に待っていたのは予期せぬ学力テスト。学生の必需品である筆箱を忘れ早速ピンチに陥る海崎。「コイツら(同じクラスの生徒たち)って今3年生になったばっかだよな。その点俺は1回高校卒業して2浪までして勉強した身なワケだし?思ったよりできちゃったりするもんかもなぁ」と息巻くも結果は散々。さらに担任の天津心にはカバンの中にある煙草を見つかり、教室の中で「いつものクセでつい!!」と口を滑らせ、周囲の高校生を「不良?」とざわつかせ、初日にして放課後、天津に呼び出しを食らう。

「リライフ」に参加する1年間はリライフ研究所から生活費が支給され、さらに期間終了後は同研究所から就職先を紹介してもらえる。海崎が「リライフ」に参加したのはあくまでもこの恩恵にあずかるためのドライな動機によるものだった。登校初日のテスト後の昼食時、食堂にて夜明に伝えられたのは海崎の「俺はただ、生活費のアテがないこの1年を繋ぐため、就職先を紹介してもらいたいがために、この話に乗っただけだ」という、どこか装った味気なさのある言葉だった。

クラスメイトと打ち解けていく海崎

登校初日、海崎は誤って女子生徒、日代千鶴(ひしろちづる)の席に座ってしまい日代本人から指摘を受ける。学力テスト返却後、海崎が食堂で昼食を取っている際に財布を忘れて困っている日代を見かけ、1000円札を渡す。海崎の名前を覚えてない日代は、なんら悪気も無く「タバコの人」という辛辣な呼び名を海崎に与え、さらに自分にお金を貸してくれたことに対して「あなたのような方に心配されるとは…ちょっとシャクです」とこれまた悪気なくとどめを刺す。

海崎は同じクラスの3年3組にて、イケメンで一見チャラいが秀才でちょっとヘタレで面倒見がいいチャラオーガこと大神和臣(おおがみかずおみ)と、ツンデレで素直になれない不器用さがあり分かりにくいが気はやさしい狩生玲奈(かりうれな)と、いじりいじられながら仲良くなる。

海崎が編入した青葉高等学校では入学初日に行われた学力テストでクラス内の男子1位と女子1位がその学期のクラス委員に選出される。その学力テストで狩生は今回も1位を狙うが、選ばれたのは大神と日代。狩生は学力1位の座と、ひそかに思いを抱いていた大神の隣を日代に明け渡すことになってしまう。片や日代は食堂の件から海崎と仲良くなれたのをきっかけに今度は狩生と親しくなろうと試みる。しかしそんな思いとは裏腹に、日代が狩生に向ける不慣れな笑顔が狩生の目には悪意のように映り、さらに日代が大神と一緒に委員活動をする場面が狩生の嫉妬心を刺激してしまう。

そんなある日、廊下に放置されていた日代のカバンを目にした狩生は魔が差し、カバンを奪って逃げてしまう。しかし、偶然通りかかった海崎によって感づかれ、狩生は海崎に諭されることになる。さらに日代とちゃんと関わってみるように狩生は海崎から勧められ、実際に狩生は日代と話してみた。結果、日代の不気味な笑顔は狩生を馬鹿にしているという誤解が解け、2人のわだかまりが解消されていった。以降、日代は狩生と、狩生がかねてから仲良くしている同じバレー部キャプテンの玉来ほのか(たまらいほのか)と3人で良く行動することになる。

一難去ったのもつかの間、狩生と玉来がバレー部で高校生活最後の試合を控えたある日、練習時に玉来が転倒して籠に入った大量のボールをコートに転がしてしまう。コート内にいた狩生は転がってきたボールを避けようとしてジャンプ中にバランスを崩して倒れ、足に大怪我を負ってしまう。怪我は試合までにぎりぎり治るものではあったが、それまで練習ができない状態では部に迷惑をかけてしまうため試合に出場はできないと考えた狩生は、玉来と顧問の天津の説得を聞き入れず、天津に退部届を出してしまう。その様子を受けて日代は、玉来と狩生の仲を取り持つために海崎に相談する。
試合当日、日代と海崎が観戦に行くも狩生の姿が見えない。しびれを切らした日代は海崎を連れて狩生の自宅に駆けつけ、2人で説得するも狩生は意地を張って会場に行こうとしない。その時、「いい加減にしなさい」と日代が喝を入れ、やっと折れた狩生は会場に向かい試合に参加することが出来た。この一件で3人は友情をさらに深めることになる。

海崎に現れ始めた変化

編入早々、学力テストで狩生に筆記用具を借りたり、その学力テストで全教科赤点を取ったことで陥った再試ループ対策で大神に勉強を教えてもらったり、体力テストの短距離走で盛大に転んで怪我をして同クラスの男子高校生にお姫様抱っこで運ばれたりと、周囲にお世話になるかたちでクラスに溶け込んでいった海崎。しかし、海崎は一方で大神や日代、玉来に対する狩生の複雑な感情をくみ取り、狩生の抱える問題に日代と関わっていくことになる。ある時は狩生と仲良くなるために一歩を踏み出そうとする日代には、傍からはわかりにくいその気持ちが日代から語られるまで話につき合ったり、どんなに頑張っても日代と玉来に追いつくことが出来ずに自分を認められない悔しさとそれによって自分の心がどんどん汚れていく苦しさを叫ぶ狩生には「周りと比べようとするから見えにくいだけで、頑張った分はちゃんと狩生の成長になってる」「今まで積み重ねてきた努力や信頼を自分で踏みにじるな。頑張ってきた自分に失礼だ」と語って諭すなど、海崎は各々の気持ちを受け止め、そっと後押しする。そしてその度に海崎は「説教しちまった。おっさんくせぇ!」と苦悶する。しかし、苦しさを抱える人を放っておけない海崎の面倒見の良さが日に日に芽吹き、言葉で勇気づけたり、時にはそっと何気なく付き添ったり、心配で物陰から「元の姿でスーツだったら逮捕モンだな」とぼやきながら見守ったり、動かずにはいられない海崎が現れ始めた。

日代がコミュニケーションアプリのIDを聞こうとしたら「携帯をください」と言い間違え、スマホをカツアゲされるのかと海崎が戸惑いを抱いたものの、前述の1000円札の貸し借りをきっかけに連絡先を交換することができた2人。以降、日代は狩生と仲良くなりたいと思った時も、狩生と玉来の仲を心配した時も海崎におのずと相談するようになった。日代と一緒にクラスでの出来事に首を突っ込むたびに大神や狩生、玉来などのことが海崎の頭の中を占めるようになるが、その中でも日代に対する感情に対する違和感に気づき始める。編入当初、一瞬あこがれた「合法JK」だが、日代に対する自身の気持ちをうやむやにし、まだその思いの正体をつかみきれずにいた。

過去への気持ち・日代への想い

1学期の終わりが近づき周囲との仲も深まって海崎の「リライフ」が軌道に乗ってきたころ、海崎は元上司である佐伯みちる(さえきみちる)の命日を迎えた。海崎の教育係だった佐伯は仕事の業績が良く、海崎にとって信頼できる存在であったが、佐伯の同期からは妬まれ嫌がらせを受けていた。佐伯が同期に仕事のミスをでっち上げられ海崎と共に謝罪をさせられた日、海崎は喫煙室にて、ミスを仕込んだ佐伯の同期らが彼女を嘲笑する声を耳にする。同室している自分に悪びれる様子もないその姿に海崎は我慢しきれず、佐伯の同期らに介入し苦言を呈してしまう。結果、同期らの佐伯に対する嫌がらせはエスカレートし、海崎は当の佐伯に「あまり踏み込まないで欲しいかな」「私は大丈夫だから、海崎君も大人になって」と言われてしまい、「自分勝手な正義感で先輩の我慢をぶち壊して、結果、嫌がらせは悪化した」という罪の意識を抱えることになる。そして海崎が入社して3カ月を迎えた頃、会社の資料室で首を吊った佐伯を発見する。

夏休みに入り、大神は海崎にたきつけられ、狩生に告白することを決心する。花火大会をその舞台に選ぶが、なぜか3年3組のメンバーで行くことになる。移動中、大神と狩生は皆とはぐれてしまい、人ごみの中、なぜかこのタイミングで大神は狩生に告白をする。すると狩生は、なぜよりによって人通りの多いこのシチュエーションで大神は告白しようと思ったのかという突っ込みたい気持ちと、実は自分から告白するつもりが逆に告白された衝撃が入り混じって照れながら手に持っていた巾着で大神を殴ってしまう。その後2人は無事つき合うことになり、心配になった海崎と後学のためについてきた日代がその姿を物陰から見守った。
花火が始まり、海崎と日代は2人で空を見上げる。日代は海崎のことを「楽しませてくれる分、離れる時はきっとツライ」と胸の内で言葉にしつつ、光に照らされる互いの顔を見ながら日代は「海崎さんって花火みたいですね」と呟く。

海崎の中で佐伯との一件は、佐伯を取り巻く理不尽な現実に対処することが出来なかった失敗体験として根付き、後悔の念と無力感を燻ぶらせていた。しかし、玉来と狩生のトラブルを日代とともに解決に貢献できたこと等を通して、海崎は徐々に持ち前の誠実さと人を思いやる力を賦活させていった。佐伯の自殺を目撃して以降、しばらくネクタイを結ぶことが出来なかった海崎。青葉に通う頃には締めることが出来るようになり、3か月が経過していった。

海崎は夜明の同行の下、佐伯の命日に墓参りに向かう。すると海崎の退職後に入社した新入社員である上岡善(かみおかぜん)と直見瑠美(なおみるみ)が佐伯の墓を訪れ、海崎と鉢合わせることになる。佐伯を陥れた先輩社員らに反駁を投げつけ、佐伯が自社で自ら命を絶った事実を「愛社精神」として語った社長に退社の意をその場で叩きつけた自らの行いが社内で悪評になっていると海崎は思い込んでいた。しかし、上岡と直美らにとっては自らも感じている会社への疑問に対して真っ向からぶつかっていった海崎の姿は勇姿として受け入れられており、上岡曰く、彼らが持つ疑問を肯定してくれた存在として海崎は彼らにとっての「ヒーロー」になっていた。海崎は退職以降、抱え続けていた自らの行いに対する疑問がこれにより晴れていき、現状を鑑みながら「今は、辞めてよかったって思ってる」と口にすることが出来た。

海崎は大神の狩生に対する恋愛感情を確かめるために尋問することにした。「今好きな子とかはいねーの?」という問いに対して「みんな好きだよ?」という大神の回答に「ニブイと言うか頭が恋愛方向に切り替わりにくいというか」と嘆く海崎。しかし、「気付けばこの子といることが多いなぁって思う子」「なんでも言い合えるなとか」「誰かに取られたらヤダなとか、手を繋ぎたいなとか」「キスしたいなとか」「その先もしたいなとか」と海崎が続けて尋ねると、「ハレンチ!」と顔を赤らめながら大神は狩生のことが好きであると気づいた。しかし花火大会の夜、花火を見終えて日代と2人きりになった海崎は大神に問うた質問が自身の脳内で蘇り、そこで海崎自らも日代に恋愛感情を抱いていることに気づくことになる。
しかし、日代も「リライフ」の被験者であることを知らない海崎は、最終的に「現役の高校生である」日代には海崎の記憶は残らず、日代と多くを共にすることは日代の大切な青春に大きな空白を作ってしまうことに気づき、自らの思いに対して葛藤を抱くことになる。3年3組のメンバーと訪れた花火大会で日代と隣り合わせた海崎は、大輪を咲かせはかなく消えゆく花火を見上げながら、日代の記憶から自分の存在が消える事実を納得させようと自らに言い聞かせていた。

日代からのアプローチから両想いへ

日代は海崎が「リライフ」の被験者でないかと、「言動の節々から感じるんです、大人びた空気を。家にはMDコンポなんて言う懐かしいものがあり。そういえば、タバコも。あと、現役の高校生とは思えない学力と体力。その他もろもろ」と理由を挙げて疑いはじめる。思い立った日代は夜明を呼び出し真相を確かめるもうまい具合にはぐらかされてしまう。幼少の頃、度重なる引っ越しにより対人関係を築いては壊されを繰り返してきた日代。気づけば人の縁といういつか切れてしまうものに価値を見出すことが出来なくなると、無関心になることで日代は自分の中で収まりをつけてきた。しかし一方で、1学期に日代のカバンを盗んだ狩生と偶然鉢合わせた海崎が階段でともに転んで2人が重なり合うように気を失っている姿を見て感じた気持ちの違和感の正体を、日代はいまだにつかみきれずに疑問を燻ぶらせていた。

2学期が始まってしばらくたち青葉高校では学園祭を迎え、クラスの男子代表を海崎、女子代表を日代が務めることになった。これをきっかけに、日代は疑問を調査し検証する自らの探究力を用い、海崎への気持ちの正体を確かめるべく早速奇行に走る。学園祭中の空き時間に突然無言で海崎の腕に自分の腕を絡ませてくっつき、自分の感情の変化を検証し始めた。理解不能な日代の急接近に困惑する海崎は交際前にこのような行いは望ましくない旨を日代に説明しようと思い立つ。しかしその矢先、日代が今度は逆に海崎と距離を取り出し、避け続けることによる自分の感情の変化を検証し始め、さらに海崎を困惑させる。検証の結果、意識すればするほどどうしたら良いのか分からないままだが、日代は海崎をクリスマスデートに誘うことを決意する。デートはつつがなく進展していき、そこで2人は赤いストラップを日代から海崎へ、水色のストラップを海崎から日代へ贈り合った。
当初は「無難に時間が過ぎてくれるのを待つ」というスタンスだった海崎は、気づけば持ち前のお人よしさもあり、入学して早々に頭の中を占めるのは大神や狩生、そして日代ら3年3組の面々になっていた。そして気づけば、やがて来る別れが海崎の胸を突くようになっていた。そんなある日、夜明は海崎から「絶対に元に戻らないといけないのか?このまま皆と大学に行って、年を取っていっちゃダメか?」と告げられる。
「リライフ」開始当初、海崎には学校生活を送ることで成長という「変化」が起きることを期待して観察をしてきたが、物語の進展とともに、徐々に「変化」という言葉を使わなくなる。夜明は、先述の海崎の問いに対して「ずいぶん変わりましたね。変わったというより、取り戻した、の方が正しいですね」「(リライフで起きた海崎の変化を指して)そういう風になれたのはリライフの前から一生懸命生きてきた自分があるおかげです。過去の海崎新太を捨てないでください」と返し、新しい海崎新太としてこれからの人生を歩むことを否定した。

数々の奇行を通して、自分なりに自分の海崎に対する感情に向き合ってきた日代。いつか自分のことを忘れてしまうであろう海崎と関係を築くことはこれまでの価値観から言ったら無価値であると判断するはずだが、日代は海崎に対する感情の正体にこだわり続けた。一方で日代のことが好きであることに既に気づいていた海崎は、いつか自分のことを忘れてしまうであろう日代の中に空白の時間を作ってしまうことからこれ以上接近することを諦めていた。しかし、夜明に「記憶は残らなくても、ほかに残るものもあります。海崎さんがいなければこうならなかったことやできなかったこと、その結果だけは残ります。証、みたいなものです。ただ消え去るだけではない、ということは覚えておいてください」と示唆されてから「今しかない時を楽しむ」と考えるようになり、日代への恋心を否定することをやめる。結果、海崎はいつぞや高校時代の友情や恋愛について自身が日代に向かって伝えたこの言葉が、夜明を介して自分に返ってくることになった。するとある日、海崎は日代からクリスマスデートの誘いを受け、承諾する。

クリスマス当日、デートはつつがなく進んでいき楽しいひと時を過ごす。最後に乗った観覧車で海崎は自分の存在を日代に忘れられてしまう将来を憂い寂しさで表情が曇る。その帰り道、海崎は日代から「海崎さんのことを、意識すればするほど、どうしたらいいか分からなくなるんです」という旨の告白を受ける。そしてしばしの沈黙。目を潤ませながら海崎は日代を見つめ、「一緒だよ。意識しているのは、俺も一緒なんだ」と語り出す。再度沈黙が訪れ、海崎が改めて日代を真剣なまなざしで見つめ「好きなんだ、日代さんが」と告白する。すると日代は「一緒です。海崎さんと、一緒だったんです」と答えほほ笑み、降り出した雨の中を2人で同じ傘の柄を握りながら帰路についた。

一方、2人の様子を観察していた夜明と小野屋は2人を見守るも心境は複雑だった。これより前、被験者同士が持つお互いの記憶は「リライフ」後にどうなるのかについて、夜明と小野屋は研究所薬剤科の天ヶ瀬賢人と話し合ったことがあった。結果、断定はできないがお互いの記憶の中に「リライフ」期間の生活の記憶は残っても、海崎は日代の、日代は海崎の記憶のみは空白になる可能性が濃厚であることが分かった。小野屋は海崎と日代が今感じている率直な感情を大切にしたい反面、「リライフ」後に互いの記憶が消え、互いに再度出会う術も持つことがない虚しい行く末に胸を痛め続けていた。

「リライフ」の終結と海崎・日代の再始動

内部進学の試験を無事突破した海崎。卒業式を迎え、皆と入学式での再会を約束し、海崎は教室を後にする。しかし正門前にさしかかり、名残惜しさに海崎と日代の2人はなかなか帰ることができない。すると日代がこの1年間で人との関係を築こうと頑張ってきたご褒美という名目で、躊躇いの間を入れつつ絞り出すように「ぎゅっと…してくれませんか?」と海崎に伝えた。ひとけもなくなった正門前。海崎が被験者であることに気が付きつつあった日代は、海崎の腕の中で互いに被験者であり互いの存在を忘れてしまう事実に堪えきれず、大粒の涙を流す。すると、日代が被験者であると知らない海崎が少し震えた声で「これでお別れってわけじゃないのにね。また大学でも一緒なのにね」と優しい嘘をつく。

帰宅後、海崎は夜明から、日代は小野屋から薬を受け取ってその場で飲み、「リライフ」の終わりが訪れる。小野屋は薬の副作用で眠る日代の横で、夜明に電話で状況を報告する。すると日代のベッドからマジックペンが落ちたことに小野屋は気が付き、日代の手に書かれた「私は海崎新太に恋をした」を見てしまう。これにより、海崎が被験者であることがサポート課の夜明と小野屋以外の人間である日代に気づかれていたことを小野屋は知ってしまう。「リライフ」には、知られてしまった被験者本人の記憶からもリライフの記憶を消さなくてはならないことが規約にあり、海崎の記憶からもリライフの記憶を消さなくてはならないことになる。互いに被験者である日代と海崎が互いの存在を忘れてしまう事実に最も胸を痛めていたのは、他でもなく小野屋であった。

海崎はリライフ研究所に就職を希望する旨を夜明に伝えた際、「リライフ」によって「これまで素通りしてきた時間にどれだけ意味があったのか思い知らされた」と語っている。リライフ時だけではなくこれまでの自分の軌跡を再確認する作業を経て「自分が体験した思いを誰かに伝える仕事がしたい」という思いに気づき、海崎はリライフ研究所を選んだ。

「リライフ」終了後、海崎は夜明が斡旋した就職先を断って、日代は小野屋の勧めもあり、自らの希望でリライフ研究所に就職することになった。海崎はサポート課としてひきこもり状態にある大神の兄を担当することになる。その日、新入社員の歓迎会があり、海崎が誤って日代の席に座ってしまったことで2人は再会する。退店して互いに自身が元被験者であり、職場のメンバーにそのことを守秘する旨の希望を海崎はしなかったことを知ることになる。そして、2人は小雨が降る店の軒先で互いのリライフについて語り合うが次第に違和感を抱き始め、「花火」のようなその感覚を確かめ合う。すると、日代の脳裏にかつて自らの手に書いた「私は 海崎新太に 恋をした」という文字がよぎり、次第にふたりは失った記憶を見つけることが出来た。日代は目に涙を浮かべ、海崎の名を口にすると、傘を地面に落とし、ふたりは抱き合って再会の喜びを分かち合った。

『ReLIFE』の登場人物・キャラクター

主要人物

新海新太(かいさきあらた/演:中川大志)

CV:小野賢章
舞台俳優:小野賢章

誕生日:8月12日(獅子座)
血液型:O型

本作の主人公で27歳(アニメ設定)無職、彼女なし。大学院卒業後に就職して早々に会社を退社後、再就職にも恵まれずフリーター生活を送る。ある日、リライフ研究所のサポート課の夜明了に出会い、高校3年生になって1年限定の「人生やり直し」をする「リライフ」に参加することを決意。

2浪の末に大学に入学し、特になりたいものがあるわけでもなく大学院に進学。入社した会社は3カ月で、かつ転職先が見つかっていない状態で自主退職した。
勤めていた会社では指導係の先輩を慕っていたが、彼女が他の先輩から嫌がらせを受けていた事に気付きそれを咎めたところ、嫌がらせがエスカレート。最終的に彼女は首吊り自殺してしまう。そのトラウマから、しばらくネクタイを締めることができなくなる。それを克服した後も、首に触られる事に極端に拒否反応を示す。
やや逃避気味な面もあるが本人は不真面目なわけではなく、少し不器用で実直な性格の持ち主である。実年齢のせいもあるが、クラスでは気さくなお兄さんキャラで、人の心の機微によく気が付き面倒見がいい。一方で、時に自身のおせっかい感に自ら恥じらう場面も。やや口が悪いが自然体な飾らない性格で、「リライフ」の当初は適当に学校生活を送るつもりだったが、本人も意識しないうちにいつもクラスの友人を思いやるようになり、早々に溶け込んだ。当初、クラスの友人と一定の距離を保とうと考えていたのには、適当に学校生活を送ろうとしていた以外にも理由があり、「リライフ」後に海崎の記憶が皆から消えるにもかかわらず過度に干渉することで影響を与えてしまうことへの懸念があったからである。

喫煙者で日頃からビールをよく飲む。趣味は釣り。部屋は綺麗にしており、現役で稼働できるMDコンポを今も持ち合わせており物持ちが良い。女性の扱いにはやや手慣れた感があり、クラスの女子生徒を慰める際に頭をポンポンする場面が散見される。物語の当初は喫煙がばれる、体力測定で散々な結果を出す、悪気はないが日代に邪険な扱いを受けるなどなかなかハードな体験をするが意外とめげない。大分の漁村出身で、大学進学で東京に進出するも、理由は高校の時の修学旅行で東京に行った際に漠然と抱いたあこがれ。

「リライフ」では、絶望を抱くことになった社会の理不尽な現実と挫折を乗り越えて自らの在り方を発見していくことになる。単純に新しい姿へと成長していくのではなく、過去のトラウマを解決しながら元来持ち合わせていた周囲を思いやる力や誠実さ賦活していった点で海崎の「リライフ」は特徴づけられる。多くの人が多かれ少なかれ経験するであろう社会に出てぶつかる壁やそれに伴う傷つきを消化していく自らの姿を本作で海崎に投影することが出来る。

日代千鶴(ひしろちづる/演:平祐奈)

CV:茅野愛衣
舞台俳優:荒井萌

誕生日:12月25日(山羊座)
血液型:B型

本作のヒロインで、高校生に戻った海崎と同じ3年3組に所属する。女子の学年成績1位を誇る頭脳の持ち主。優秀が故に周囲と歩調が合わずにトラブルになる反面、わからないことはネット検索等で調べながら自分なりに解決を試みる努力の人。だが大真面目に斜め上にズレた言動をやらかすため、本作随一のど天然キャラ。

海崎と同じ3年3組に所属するが、実は2年生の頃から夜明の担当のもとで「リライフ」生活を送る被験者。被験者ナンバーは001。子どもの時に転校が多い生活を送り、どうせ離れ離れになるのに仲良くなっても意味がない、と対人関係を諦めるようになる。「リライフ」を開始すると、1年目は積極的に人とかかわることがなく、特に変化がなかったために2年目を迎え、2学期からは夜明の後輩にあたるサポート課の小野屋の担当のもとで継続参加することになった。しかし2年生では、海崎の計らいと本人の努力で狩生と玉来と仲良しになり、狩生と玉来の仲に亀裂が入った際は間を取り持って関係を修復させた。「リライフ」中、海崎に対して次第に恋愛感情を抱いていくのだが、それが「恋」にあたるのかうまく自身の感情がつかめず試行錯誤する。最終的に自分の気持ちに気づくことが出来たものの、互いに被験者であるため、卒業を迎えてふたりとも互いのことを忘却してしまう。「リライフ」終了間際では、海崎が被験者であることに薄々気づいていたものの海崎に尋ねるわけにもいかず、互いが互いのことを忘れる日が近づくたびに日代は1人でその事実に苦しんだ。「リライフ」終了後、偶然2人はリライフ研究所に就職することになり、そこで互いの「リライフ」について語り合ううちに互いの存在に関する記憶がよみがえることになる。

学業成績は非常に優秀で、2年生に引き続き3年生も女子でクラストップになり学級委員の座とシルバーピンを得ている。一方で人の名前はことごとく覚えが悪く独特な呼び方をすることがある。人に対して興味関心を持ってこなかったと自身のことを思っており、「ぼっち女」と自虐する。このように対人関係を諦めた背景には子ども時代に転校が多く、どうせ離れ離れになるのに仲良くなっても意味がない、と理解することで自分の境遇を消化してきた過去がある。そのため、海崎をはじめ3年3組のメンバーと関係を築くたびにその心地よさと対人関係に対する諦めの狭間で揺れ動くことになり、自身の在り方が徐々に変化していく。わからないことがあったらすぐに調べるのは本人の解決努力であり、苦手な対人関係に関しても「リライフ」を機に克服しようと不器用ながら奮闘する。そのため非常に努力家な一面が垣間見え、海崎との出会いを糧に日代の悪気ない素直さが次第に理解されクラスに馴染んでいく。空気が読めず(読まないのではなく読み間違う)どストレートな発言をする『ReLIFE』随一の天然キャラであり、毎回海崎をハラハラさせフォローされてきた。ややナーバスさのある狩生とは性格が真反対で当初は相性が悪く、さらに狩生が狙っていたシルバーピンを日代が得たこともあって狩生から複雑な感情を抱かれていた。狩生と文化祭のエピソードは、これまで日代が抱えてきた対人関係の躓きを象徴的に描いている。

リライフ研究所(兼 青葉高等学校 3年3組)

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