ReLIFE(リライフ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ReLIFE』とは、日本の漫画家である夜宵草のウェブコミックおよび、これを原作とする漫画単行本、小説、テレビアニメ、映画、舞台作品である。入社3カ月で会社を自主退職し無職になった主人公が社会復帰プログラム「リライフ」の対象者となり、薬によって見た目を若返らせ高校生活を送る様子が同作で描かれている。周囲との関わりによって本来の自分の良さを取り戻しながら成長していく過程をラブコメ要素を交えながらコミカルかつしっとりと展開される点と、受け手が人生のやり直しを疑似体験できる点は本作の魅力である。

ReLIFE(リライフ)の概要

主人公の海崎新太はリライフ研究所のサポート課に所属する夜明了(中)に出会い、薬の力で27歳(右)から17歳(左)に戻り人生をやり直し「リライフ」に挑む.

『ReLIFE』とは、日本の漫画家である夜宵草によるウェブコミックおよび、これを原作とする漫画単行本、小説、テレビアニメ、映画である。原作は2013年10月12日 にNHN comico株式会社(英語名:NHN comico Corp.)が開発・運営するスマートデバイス向け電子コミック・ノベルアプリ『comico』で配信が開始し、2018年3月16日まで連載された。ジャンルは「学園」「ドラマ」「コメディ」に分類されるが(『comico』による分類)、恋愛も重要な要素に挙げられる。

これを原作にした漫画単行本の第1巻がアース・スターコミックスから2014年8月12日に発行され、2020年2月13日に最終巻である15巻が発行された。本作は『comico』で配信された作品の中で初のコミック化を果たした作品である。その後、2016年7月よりTOKYO MX他でテレビアニメが放送され、同年9月に最終話である13話で完結している。同作は監督を小坂知、アニメーション制作をトムス・エンターテイメント、主人公の海崎新太役を小野賢章、ヒロインの日代千鶴役を茅野愛衣が務めた。なお、続編となる『完結編』が14~17話まで制作されており、BD & DVDでのリリース及び、動画サブスクリプションサービス等で公開された。続いて2016年9月より舞台が公開され、脚本を久米伸明、演出を岡村俊一、主人公の海崎新太役を小野賢章、ヒロインの日代千鶴役を荒井萌が務めた。また、2017年4月15日より松竹配給で映画が『ReLIFE リライフ』のタイトルで公開されており、監督を古澤健、主演を中川大志と平祐名がW主演で務めた。

原作はcomicoのサービス開始時期から配信され、2014年6月7日に公開したcomicoの人気ランキングで1位を獲得した。また、単行本化に先駆けてリリースされた単独アプリは公開から15日間で40万ダウンロードを記録しApp storeの無料総合ランキングで1位を記録するなど、comicoを最も代表する作品である。その後発行された漫画単行本はこれまでに累計発行部数150万部を記録し、2015年2月4日に『全国書店員が選んだおススメコミック2015』にて第6位を獲得した。また、テレビアニメは2015年4月3日に『第39回講談社漫画賞・一般部門』にノミネートされ、映画は初日の出口調査では満足度93%を示した(松竹調べ)。

入社3カ月で会社を自主退職し無職になった主人公である海崎新太が、リライフ研究所による社会復帰プログラム「リライフ」の対象者となって、同社が開発した薬によって見た目を若返らせ高校生活を送る様子が同作では描かれている。主人公の社会復帰を主軸にしつつ、同級生らと交流する中で互いに影響し合い学園生活をめぐる各々の課題を乗り越える様子がコミカルかつシリアスに展開される。併せて、主人公とヒロインの関係性が変遷していく様も、本作の重要な要素である。

「もう一度、学生時代に戻れたなら」という願望を疑似体験できる点は本作の魅力として多く語られている。テレビドラマでも通用するようなクセがなくとっつきやすい世界観だが、登場人物の心情描写が非常に細やかでキャラクターの個性がコミカルかつシリアスに際立っており、読み手はリアルに各々の心情を疑似体験することが出来る。主人公の目を通して、気づいたら変化していた生活習慣や価値観、体力の衰えなどのあるあるネタは勿論のこと、自分の本来の持ち味を生かした生き方の気付きを与えてくれる。

ReLIFE(リライフ)のあらすじ・ストーリー

「リライフ」開始

主人公の海崎新太は求職中の27歳。初めて就職した会社を3か月で辞め、今日も就職面接を受けるも回答は空回り。ある日、友人に誘われた飲み会で会社帰りのふりをしてスーツ姿で参加したその帰り道、実家の母親から仕送りの打ち切りを電話で告げられてしまう。途方に暮れる中、目の前に現れたのはリライフ研究所の夜明了と名乗る会社員風の男性。夜明から突然、1年間高校生として学校生活を送るプログラム「リライフ」の紹介がなされ、プログラム終了後には就職先を紹介するとの説明を受ける。そして夜明は海崎の手に姿が高校生に戻ると言うカプセル入りの薬剤を握らせる。翌日、酔った勢いで薬を飲んでしまった自分に愕然とした状態で海崎は目を覚ます。その時、夜明が突然海崎宅を来訪。「知らない人からもらった薬をよく飲む気になれましたよね。ちょっと信じられないです。」「酔って覚えてないだなんて、さすが大人のクズですね☆」とにこやかな顔の夜明から辛辣な言葉を浴びせられる海崎。そして夜明から改めてリライフの説明を受け諭され、海崎はリライフの契約書に判を押し、新たな一歩を踏み出す。

4月、新学期を迎えて海崎の「リライフ」が始まるも、初日に待っていたのは予期せぬ学力テスト。学生の必需品である筆箱を忘れ早速ピンチに陥る海崎。「コイツら(同じクラスの生徒たち)って今3年生になったばっかだよな。その点俺は1回高校卒業して2浪までして勉強した身なワケだし?思ったよりできちゃったりするもんかもなぁ」と息巻くも結果は散々。さらに担任の天津心にはカバンの中にある煙草を見つかり、教室の中で「いつものクセでつい!!」と口を滑らせ、周囲の高校生を「不良?」とざわつかせ、初日にして放課後、天津に呼び出しを食らう。

「影うすーく、サラーッと一年過ぎてくれりゃそれでいい」と割り切った「リライフ」のはじまり

「リライフ」に参加する1年間はリライフ研究所から生活費が支給され、さらに期間終了後は同研究所から就職先を紹介してもらえる。海崎が「リライフ」に参加したのはあくまでもこの恩恵にあずかるためのドライな動機によるものだった。登校初日のテスト後の昼食時、食堂にて夜明に伝えられたのは海崎の「俺はただ、生活費のアテがないこの1年を繋ぐため、就職先を紹介してもらいたいがために、この話に乗っただけだ」という、どこか装った味気なさのある言葉だった。

初対面早々に日代からバカ扱い(悪気なし)を受ける海崎

第1話 席順の概念を忘れ、意気揚々と後ろの席を確保する海崎を上から見下ろす日代(左)

投稿初日、海崎は誤って女子生徒、日代千鶴の席に座ってしまい日代本人から指摘を受ける。学力テスト返却後、海崎が食堂で昼食を取っている際に財布を忘れて困っている日代を見かけ、1000円札を渡す。海崎の名前を覚えてない日代は、なんら悪気も無く「タバコの人」という辛辣な呼び名を海崎に与え、さらに自分にお金を貸してくれたことに対して「あなたのような方に心配されるとは…ちょっとシャクです」とこれまた悪気なくとどめを刺す。

友人の輪の中に巻き込まれていく

海崎は同じクラスの3年3組にて、イケメンで一見チャラいが秀才でちょっとヘタレで面倒見がいい大神和臣(チャラオーガ(海崎命名))と、ツンデレで素直になれない不器用さがあり分かりにくいが気はやさしい狩生玲奈と、いじりいじられながら仲良くなる。

海崎が編入した青葉高等学校では入学初日に行った学力テストでクラス内の男子1位と女子1位がその学期のクラス委員に選出される。その学力テストで狩生は今回も1位を狙うが、選ばれたのは大神と日代。狩生は学力1位の座と、ひそかに思いを抱いていた大神の隣を日代に明け渡すことになってしまう。片や日代は食堂の件から海崎と仲良くなれたのをきっかけに今度は狩生と親しくなろうと試みる。しかしそんな思いとは裏腹に、日代が狩生に向ける不慣れな(不気味な)笑顔が狩生の目には悪意のように映り、さらに日代が大神と一緒に委員活動をする場面が狩生の嫉妬心を刺激してしまう。

そんなある日、廊下に放置されていた日代のカバンを目にした狩生は魔が差し、カバンを奪って逃げてしまう。しかし、偶然通りかかった海崎によって感づかれ、狩生は海崎に諭されることになる。さらに日代とちゃんと関わってみるように狩生は海崎から勧められ、実際に狩生は日代と話してみた。結果、狩生が抱いていた日代の不気味な笑顔は狩生自身を馬鹿にしているという誤解は解け、狩生と日代のわだかまりが解消されていった。以降、日代は狩生と、狩生がかねてから仲良くしている同じバレー部キャプテンの玉来ほのかと3人で良く行動することになる。

一難去ったのもつかの間、狩生と玉来がバレー部で高校生活最後の試合を控えたある日、練習時に玉来が転倒して籠に入った大量のボールをコートに転がしてしまう。コート内にいた狩生は転がってきたボールを避けようとしてジャンプ中にバランスを崩して倒してしまい、足に大怪我を負ってしまう。怪我は試合までにぎりぎり治るものではあったが、それまで練習ができない状態では部に迷惑をかけてしまうため試合に出場はできないと考えた狩生は、玉来と顧問の天津の説得を聞き入れず、天津に退部届を出してしまう。その様子を受けて日代は、玉来と狩生の仲を取り持つために海崎に相談する。
試合当日、日代と海崎が観戦に行くも狩生の姿が見えない。しびれを切らせた日代は海崎を連れて狩生の自宅に駆けつけ、二人で説得するも狩生は意地を張って会場に行こうとしない。その時、「いい加減にしなさい。」と叫び日代が活を入れ、やっと折れた狩生は会場に向かい試合に参加することが出来た。この一件で3人は友情をさらに深めることになる。

海崎が元来の面倒見の良さを取り戻していく

編入早々、学力テストで狩生に筆記用具を借りたり、その学力テストで全教科赤点を取ったことで陥った再試ループ対策で大神に勉強を教えてもらったり、体力テストの短距離走で盛大に転んで怪我をして同クラスの男子高校生にお姫様抱っこで運ばれたりと、周囲にお世話になるかたちで無事(?)クラスに溶け込んでいった海崎。しかし、海崎は一方で大神や日代、玉来に対する狩生の複雑な感情をくみ取り、狩生の抱える問題に日代と関わっていくことになる。ある時は狩生と仲良くなるために一歩を踏み出そうとする日代には、傍からはわかりにくいその気持ちが日代から語られるまで話につき合ったり、どんなに頑張っても日代と玉来に追いつくことが出来ずに自分を認められない悔しさとそれによって自分の心がどんどん汚れていく苦しさを叫ぶ狩生には「周りと比べようとするから見えにくいだけで、頑張った分はちゃんと狩生の成長になってる」「今まで積み重ねてきた努力や信頼を自分で踏みにじるな。頑張ってきた自分に失礼だ」と語って諭すなど、海崎は各々の気持ちを受け止め、そっと後押しする。そしてその度に海崎は「説教しちまった。おっさんくせぇ!」と苦悶する。しかし、苦しさを抱える人を放っておけない海崎の面倒見の良さが日に日に芽吹き、言葉で勇気づけたり、時にはそっと何気なく付き添ったり、心配で物陰から「元の姿でスーツだったら逮捕モンだな」とぼやきながら見守ったり、動かずにはいられない海崎が現れ始めた。

日代をささえるうちに海崎の中で日代への意識が芽生えていく

日代がコミュニケーションアプリのIDを聞こうとしたら「携帯をください」と言い間違え、スマホをカツアゲされるのかと海崎が戸惑いを抱いたものの、前述の1000円札の貸し借りをきっかけに連絡先を交換することができた二人。以降、日代は狩生と仲良くなりたいと思った時も、狩生と玉来の仲を心配した時も海崎におのずと相談するようになった。日代と一緒にクラスでの出来事に首を突っ込むたびに大神や狩生、玉来などのことが海崎の頭の中を占めるようになるが、その中でも日代に対する感情に対する違和感に気づき始める。編入当初、一瞬あこがれた(?)「合法JK」だが、日代に対する自身の気持ちをうやむやにし、まだその思いの正体をつかみきれずにいた。

過去と向き合うかたわら、有限な今の関係に切なさを覚える

1学期の終わりが近づき周囲との仲も深まって海崎の「リライフ」が軌道に乗ってきたころ、海崎は元上司である佐伯みちるの命日を迎えた。海崎の教育係だった佐伯は仕事の業績が良く、海崎にとって信頼できる存在であったが、佐伯の同期からは妬まれ嫌がらせを受けていた。佐伯が同期に仕事のミスをでっち上げられ海崎と謝罪を課せられたある日、海崎は喫煙室にて、ミスを仕込んだ佐伯の同期らが佐伯を嘲笑する声を耳にする。同室している海崎に悪びれる様子もないその姿に海崎は我慢しきれず、佐伯の同期らに介入し苦言を呈してしまう。結果、同期らの佐伯に対する嫌がらせはエスカレートし、海崎は当の佐伯に「あまり踏み込まないで欲しいかな」「私は大丈夫だから、海崎君も大人になって」と言われてしまい、「自分勝手な正義感で先輩の我慢をぶち壊して、結果、嫌がらせは悪化した」という罪の意識を抱えることになる。そして海崎が入社して3カ月を迎えた頃、会社の資料室で首を吊った佐伯を発見する。

夏休みに入り、大神は海崎にたきつけられ、狩生に告白することを決心する。花火大会をその舞台に選ぶが、なぜか3年3組のメンバーで行くことになる。移動中、大神と狩生は皆とはぐれてしまい、人ごみの中、なぜかこのタイミングで大神は狩生に告白をする。すると狩生は、なぜよりによって人通りの多いこのシチュエーションで大神は告白しようと思ったのかという突っ込みたい気持ちと、実は自分から告白するつもりが逆に告白された衝撃が入り混じって照れながら手に持っていた巾着で大神を殴ってしまう。その後二人は無事つき合うことになり、心配になった海崎と後学のためについてきた日代がその姿を物陰から見守った。
花火が始まり、海崎と日代は二人で空を見上げる。日代は海崎のことを「楽しませてくれる分、離れる時はきっとツライ」と胸の内で言葉にしつつ、光に照らされる互いの顔を見ながら日代は「海崎さんって花火みたいですね」と呟く。

自身の過去に対する捉え方が変わっていき、海崎の中で整理がついていく

海崎の中で佐伯との一件は、佐伯を取り巻く理不尽な現実に対処することが出来なかった失敗体験として根付き、後悔の念と無力感を燻ぶらせていた。しかし、玉来と狩生のトラブルを日代とともに解決に貢献できたこと等を通して、海崎は徐々に持ち前の誠実さと人を思いやる力を賦活させていった。佐伯の自殺を目撃して以降、しばらくネクタイを結ぶことが出来なかった海崎。青葉に通う頃には締めることが出来るようになり、こうして3か月が経過した。

第11話 海崎の中で佐伯との問題が解決のかたちを持つことが出来たのを象徴する図。海崎は無駄だと思っていた自分の行いに意味を見出すことができた。この絵はエンディングで使用されており、毎回その回を象徴する場面の書下ろしのイラストが使用される。

海崎は夜明の同行の下、佐伯の命日に墓参りに向かう。すると海崎の退職後に入社した新入社員である上岡善と直見瑠美が佐伯の墓を訪れ、海崎と偶然(本当は夜明と小野屋が図らった)鉢合わせることになる。佐伯を陥れた先輩社員らに反駁を投げつけ、佐伯が自社で自ら命を絶った事実を「愛社精神」として語った社長に退社の意をその場で叩きつけた自らの行いが社内で悪評になっていると海崎は思い込んでいた。しかし、上岡と直美らにとっては自らも感じている会社への疑問に対して真っ向からぶつかっていった海崎の姿は勇姿として受け入れられており、上岡曰く、彼らが持つ疑問を肯定してくれた存在として海崎は彼らにとっての「ヒーロー」になっていた。海崎は退職以降、抱え続けていた自らの行いに対する疑問がこれにより晴れていき、現状を鑑みながら「今は、辞めてよかったって思ってる」と口にすることが出来た。

日代への思いに気づくも、日代の記憶に自身が残ることがない事実に葛藤する海崎

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