ReLIFE(リライフ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ReLIFE』とは、日本の漫画家である夜宵草のウェブコミックおよび、これを原作とする漫画単行本、小説、テレビアニメ、映画、舞台作品である。入社3カ月で会社を自主退職し無職になった主人公が社会復帰プログラム「リライフ」の対象者となり、薬によって見た目を若返らせ高校生活を送る様子が同作で描かれている。周囲との関わりによって本来の自分の良さを取り戻しながら成長していく過程をラブコメ要素を交えながらコミカルかつしっとりと展開される点と、受け手が人生のやり直しを疑似体験できる点は本作の魅力である。

海崎は大神の狩生に対する恋愛感情を確かめるために尋問することにした。「今好きな子とかはいねーの?」という問いに対して「みんな好きだよ?」という大神の回答に「ニブイと言うか頭が恋愛方向に切り替わりにくいというか」と嘆く海崎。しかし、「気付けばこの子といることが多いなぁって思う子」「なんでも言い合えるなとか」「誰かに取られたらヤダなとか、手を繋ぎたいなとか」「キスしたいなとか」「その先もしたいなとか」と海崎が続けて尋ねると、「ハレンチ!」と顔を赤らめながら大神は狩生のことが好きであると気づいた。しかし花火大会の夜、花火を見終えて日代と二人きりになった海崎は大神に問うた質問が自身の脳内で蘇り、そこで海崎自らも日代に恋愛感情を抱いていることに気づくことになる。
しかし、日代も「リライフ」の被験者であることを知らない海崎は、最終的に「現役の高校生である」日代には海崎の記憶は残らず、日代と多くを共にすることは日代の大切な青春に大きな空白を作ってしまうことに気づき、自らの思いに対して葛藤を抱くことになる。3年3組のメンバーと訪れた花火大会で日代と隣り合わせた海崎は、大輪を咲かせはかなく消えゆく花火を見上げながら、日代の記憶から自分の存在が消える事実を納得させようと自らに言い聞かせていた。

日代が海崎に(独特な)アプローチをし始め、クリスマスデートが実現

日代は海崎が「リライフ」の被験者でないかと、「言動の節々から感じるんです、大人びた空気を。家にはMDコンポなんて言う懐かしいものがあり。そういえば、タバコも。あと、現役の高校生とは思えない学力と体力。その他もろもろ」と理由を挙げて疑いはじめる。思い立った日代は夜明を呼び出し真相を確かめるもうまい具合にはぐらかされてしまう。幼少の頃、度重なる引っ越しにより対人関係を築いては壊されを繰り返してきた日代。気づけば人の縁といういつか切れてしまうものに価値を見出すことが出来なくなると、無関心になることで日代は自分の中で収まりをつけてきた。しかし一方で、1学期に日代のカバンを盗んだ狩生と偶然鉢合わせた海崎が階段でともに転んで二人が重なり合うように気を失っている姿を見て感じた気持ちの違和感の正体を、日代はいまだにつかみきれずに疑問を燻ぶらせていた。

2学期が始まってしばらくたち青葉高校では学園祭を迎え、クラスの男子代表を海崎(推薦)、女子代表を日代(立候補)が務めることになった。これをきっかけに、日代は疑問を調査し検証する自らの探究力を用い、海崎への気持ちの正体を確かめるべく早速奇行に走る。学園祭中の空き時間に突然無言で海崎の腕に自分の腕を絡ませてくっつき、自分の感情の変化を検証し始めた。理解不能な日代の急接近に困惑する海崎は交際前にこのような行いは望ましくない旨を日代に説明しようと思い立つ。しかしその矢先、日代が今度は逆に海崎と距離を取り出し、避け続けることによる自分の感情の変化を検証し始め、さらに海崎を困惑させる。検証の結果、意識すればするほどどうしたら良いのか分からないままだが、日代は海崎をクリスマスデートに誘うことを決意する。デートはつつがなく進展していき、そこで二人はおそろいのストラップ、赤いストラップを日代から海崎へ、水色のストラップを海崎から日代へ贈り合った。

海崎の中で、単に変化するのではなくこれまでの自分を取り戻す「リライフ」の在り方に気づく

当初は「無難に時間が過ぎてくれるのを待つ」というスタンスだった海崎は、気づけば持ち前のお人よしさもあり、入学して早々に頭の中を占めるのは大神や狩生、そして日代ら3年3組の面々になっていた。そして気づけば、やがて来る別れが海崎の胸を突くようになっていた。そんなある日、夜明は海崎から「絶対に元に戻らないといけないのか?このまま皆と大学に行って、年を取っていっちゃダメか?」と告げられる。
「リライフ」開始当初、海崎には学校生活を送ることで成長という「変化」が起きることを期待して観察をしてきたが、物語の進展とともに、徐々に「変化」という言葉を使わなくなる。夜明は、先述の海崎の問いに対して「ずいぶん変わりましたね。変わったというより、取り戻した、の方が正しいですね」「(リライフで起きた海崎の変化を指して)そういう風になれたのはリライフの前から一生懸命生きてきた自分があるおかげです。過去の海崎新太を捨てないでください。」と返し、新しい海崎新太としてこれからの人生を歩むことを否定した。

日代が海崎に対する意識に向き合い始め、二人の関係が芽生える(今しかない時を楽しむ)

数々の奇行を通して、自分なりに自分の海崎に対する感情に向き合ってきた日代。いつか自分のことを忘れてしまうであろう海崎と関係を築くことはこれまでの価値観から言ったら無価値であると判断するはずだが、日代は海崎に対する感情の正体にこだわり続けた。一方で日代のことが好きであることに既に気づいていた海崎は、いつか自分のことを忘れてしまうであろう日代の中に空白の時間を作ってしまうことからこれ以上接近することを諦めていた。しかし、夜明に「記憶は残らなくても、ほかに残るものもあります。海崎さんがいなければこうならなかったことやできなかったこと、その結果だけは残ります。証、みたいなものです。ただ消え去るだけではない、ということは覚えておいてください」と示唆されてから「今しかない時を楽しむ」と考えるようになり、日代への恋心を否定することをやめる。結果、海崎はいつぞや高校時代の友情や恋愛について自身が日代に向かって伝えたこの言葉が、夜明を介して自分に返ってくることになった。するとある日、海崎は日代からクリスマスデートの誘いを受け、承諾する。

クリスマス当日、デートはつつがなく進んでいき楽しいひと時を過ごす。最後に乗った観覧車で海崎は自分の存在を日代に忘れられてしまう将来を憂い寂しさで表情が曇る。その帰り道、海崎は日代から「海崎さんのことを、意識すればするほど、どうしたらいいか分からなくなるんです」という旨の告白を受ける。そしてしばしの沈黙。目を潤ませながら海崎は日代を見つめ、「一緒だよ。意識しているのは、俺も一緒なんだ。」と語り出す。再度沈黙が訪れ、海崎が改めて日代を真剣なまなざしで見つめ「好きなんだ、日代さんが」と告白する。すると日代は「一緒です。海崎さんと、一緒だったんです」と答えほほ笑み、降り出した雨の中を二人で同じ傘の柄を握りながら帰路についた。

一方、二人の様子を観察(ストーキング)していた夜明と小野屋は二人を見守るも心境は複雑だった。これより前、被験者同士が持つお互いの記憶は「リライフ」後にどうなるのかについて、夜明と小野屋は研究所薬剤科の天ヶ瀬賢人と話し合ったことがあった。結果、断定はできないがお互いの記憶の中に「リライフ」期間の生活の記憶は残っても、海崎は日代の、日代は海崎の記憶のみは空白になる可能性が濃厚であることが分かった。小野屋は海崎と日代が今感じている率直な感情を大切にしたい反面、「リライフ」後に互いの記憶が消え、互いに再度出会う術も持つことがない虚しい行く末に胸を痛め続けていた。

「リライフ」の終結と海崎・日代の再始動

内部進学の試験を無事突破した海崎。卒業式を迎え、皆と入学式での再会を約束し、海崎は教室を後にする。しかし正門前にさしかかり、名残惜しさに海崎と日代の二人はなかなか帰ることができない。すると日代がこの一年間で人との関係を築こうと頑張ってきたご褒美という名目で、躊躇いの間を入れつつ絞り出すように「ぎゅっと…してくれませんか?」と海崎に伝えた。ひとけもなくなった正門前。海崎が被験者であることに気が付きつつあった日代は、海崎の腕の中で互いに被験者であり互いの存在を忘れてしまう事実に堪えきれず、大粒の涙を流す。すると、日代が被験者であると知らない海崎が少し震えた声で「これでお別れってわけじゃないのにね。また大学でも一緒なのにね」と優しい嘘をつく。

第17話 大人の姿に戻る薬を飲んで眠りにつく日代の手に書かれたメモ。海崎が被験者であることに気づきつつあった日代は、海崎との出会いを掌にしたためた。

帰宅後、海崎は夜明から、日代は小野屋から薬を受け取ってその場で飲み、「リライフ」の終わりが訪れる。小野屋は薬の副作用で眠る日代の横で、夜明に電話で状況を報告する。すると日代のベッドからマジックペンが落ちたことに小野屋は気が付き、日代の手に書かれた「私は海崎新太に恋をした」を見てしまう。これにより、海崎が被験者であることがサポート課の夜明と小野屋以外の人間である日代に気づかれていたことを小野屋は知ってしまう。
帰宅後、海崎は夜明から、日代は小野屋から薬を受け取ってその場で飲み、「リライフ」の終わりが訪れる。小野屋は薬の副作用で眠る日代の横で、夜明に電話で状況を報告する。すると日代のベッドからマジックペンが落ちたことに小野屋は気が付き、日代の手に書かれた「私は海崎新太に恋をした」を見てしまう。これにより、海崎が被験者であることがサポート課の夜明と小野屋以外の人間である日代に気づかれていたことを小野屋は知ってしまう。「リライフ」には、知られてしまった被験者本人の記憶からもリライフの記憶を消さなくてはならないことが規約にあり、海崎の記憶からもリライフの記憶を消さなくてはならないことになる。互いに被験者である日代と海崎が互いの存在を忘れてしまう事実に最も胸を痛めていたのは、他でもなく小野屋である。

これまでの自分と「リライフ」での気づきを経て、リライフ研究所に就職する

海崎はリライフ研究所に就職を希望する旨を夜明に伝えた際、「リライフ」によって「これまで素通りしてきた時間にどれだけ意味があったのか思い知らされた」と語っている。リライフ時だけではなくこれまでの自分の軌跡を再確認する作業を経て「自分が体験した思いを誰かに伝える仕事がしたい」という思いに気づき、海崎はリライフ研究所を選んだ。

互いを覚えてない状態で海崎と日代が再会を果たし、お揃いのストラップを目にする

第17話 リライフ研究所の歓迎会でもまた、誤って日代の席に座り日代に指摘を受ける海崎。直後、日代は人に呼ばれている旨を海崎に伝え、「ファイ、オー!」と気合を入れて向かっていく。

「リライフ」終了後、海崎は夜明が斡旋した就職先を断って、日代は小野屋の勧めもあり、自らの希望でリライフ研究所に就職することになった。海崎はサポート課としてひきこもり状態にある大神の兄を担当することになる。その日、新入社員の歓迎会があり、海崎が誤って日代の席に座ってしまったことで二人は再会する。退店して互いに自身が元被験者であり、職場のメンバーにそのことを守秘する旨の希望を海崎はしなかったことを知ることになる。そして、ふたりは小雨が降る店の軒先で互いのリライフについて語り合うが次第に違和感を抱き始め、「花火」のようなその感覚を確かめ合う。すると、日代の脳裏にかつて自らの手に書いた「私は 海崎新太に 恋をした」という文字がよぎり、次第にふたりは失った記憶を見つけることが出来た。日代は目に涙を浮かべ、海崎の名を口にすると、傘を地面に落とし、ふたりは抱き合って再会の喜びを分かち合った。

ReLIFE(リライフ)の作品展開

原作(ウェブコミック)

作者:夜宵草
配信アプリ:comico
配信元:NHN comico
連載期間:2013年10月12日~2018年3月16日
話数:222話

テレビアニメ

テレビシリーズ

原作:夜宵草(comico)
監督:小坂知
シリーズ構成:横手美智子・兵頭一歩
キャラクターデザイン・総作画監督:山中純子
色彩設計:磯貝深雪
美術監督:秋山健太郎
美術設定:座間智子
撮影監督:設楽希
編集:坂本久美子
音楽:坪口昌恭
音響監督:はたしょう二
音響制作:HALF H・P STUDIO
アニメーション制作:トムス・エンタテイメント
製作:リライフ研究所

キャスト:海崎新太役 小野賢章/日代千鶴役 茅野愛衣 ほか
放送局:TOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビ・AT-X ほか
放送期間:2016年7月~2016年9月(上記の放送局による放送)
配信:ReLIFEチャンネル、Amazonプライム・ビデオ、ニコニコチャンネル/ニコニコ生放送(2020年10月現在)
話数:全13話

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