ベヨネッタ2(BAYONETTA 2)のネタバレ解説・考察まとめ

『ベヨネッタ2』とは、美しく妖艶な魔女ベヨネッタが天使達を華麗に叩きのめすクライマックス・アクションゲーム『ベヨネッタ』の続編。
諸事情で一度開発中止となりながらも、パワーアップした操作感とヴィジュアルを伴いより爽やか且つスタイリッシュに進化した形で世に生み出され、「究極を超える究極」が盛り込まれたよりスケールアップしたアクションを体感できることとなった。本作では世界の目を含む天地創造やベヨネッタの父母に関する真相など前作に残された伏線や謎も描かれており、見どころの一つとなっている。

インシディアスの爆発により脱出したベヨネッタとロキは記憶の遺跡に辿り着き、遂に目的地ゲイツ・オブ・ヘルを目にする。
「こんな扉の奥へ会いに行くなんてアンタの友達もロクなもんじゃない」というロキのからかいに、ベヨネッタは「自分を庇って地獄に落ちたのだから本当にロクなものじゃない」と静かに肯定する。
ロキはその事実に驚くも「そういうろくでなしは嫌いじゃない」と笑い、フィンブルヴェトルは後回しにしてゲイツ・オブ・ヘルを開けるのを手伝うことを申し出る。
ベヨネッタとロキは共に魔界の住人達の襲撃をかわしながらパラディソを行き来し鍵を拾い集め、ゲイツ・オブ・ヘルの封印を一つ一つ解いていく。

CHAPTER IX ゲイツ・オブ・ヘル

遂にゲイツ・オブ・ヘルの封印を全て解いたベヨネッタとロキ。
「お守も終わったことだから一人でフィンブルヴェトルへ行く」というロキをベヨネッタは制止し、自分の用事が終わったら一緒に付いていくと申し出るも、ロキは「ろくでなしの友達にヨロシクな!」と構わず一人行こうとする。
すると再び目の前に賢者が現れ、続けて祭服の男が現れる。
男は「預言の者」といい、ロキの記憶にない罪を糾弾しながらベヨネッタの闇の左目を狙っていた。
ロキと賢者、ベヨネッタと予言の者はそれぞれ激闘を交わすが、ベヨネッタとロキはその圧倒的な力に圧されてしまう。
子供の命を狙う奴らにくれてやるものは一つもないと尚も抵抗するベヨネッタに、預言の者は嗤いながら「面白いもの」と称して彼女にとって衝撃的なビジョンを見せた。
目の前には因縁の場所でもある故郷の魔女の修練場があり、そこには同胞達の死体、そして若かりし父バルドルと懐かしい母ローサの姿があった。
魔女たちの反乱を止めるためだと信じて動いていたバルドルは、この目に余る惨状について上空にいる四元徳フォルティトゥードを問い詰めた。
フォルティトゥードからは、天界の総意として全ての魔女と賢者を滅ぼして「神の目」を人間たちから取り戻し、世界をあるべき姿へ戻そうとするために賢者達と魔女を争わせ、民衆を魔女狩りへと先導したという、半年前に父の口から聞かされたものとはまた別の魔女狩りの真相が語られた。
どんな理由があれバルドルが魔女を虐殺するはずはないと信じていたローサはフォルティトゥードの話を聞いて、やはり魔女狩りを先導したのは夫ではなかったということを確信する。
やがて二人を始末するために少年が現れ、魔力が込められたカードが放たれる。
バルドルを庇ったローサは愛した夫の腕に抱かれて死に、バルドルもまた妻から引き離され、生きている者が誰も居なくなった場にセレッサとジャンヌが飛び込む。
見知った記憶が繋がったところで、ベヨネッタは現実に引き戻された。
預言の者は、それこそが時の流れが記憶した真実のビジョンだと言いながら愕然とし動けない彼女を手に掛けようとするも、ロキがカードを放って邪魔をする。
カードは魔界へのゲート開放を誘発させ預言の者は去り、ロキとベヨネッタ、そして賢者は魔界へと飲み込まれていった。

CHAPTER X 魔の領域

魔の領域で一人目覚めたベヨネッタは、ジャンヌに残された時間がほんの僅かだということを改めて確認し、魔界の赤い大地を駆ける。
その時、ベヨネッタに灼熱を編むもの・ファンタズマラネアが襲い掛かる。
つい半年前まではベヨネッタと共に闘うこともあったこの蜘蛛は、本来は丁重に扱えば珍しい財宝や秘術を授けてさえくれる比較的温厚な魔界の住人であった。
だが今は魔界の異変で凶暴化してしまい、ベヨネッタに牙を剥くことになった。
ベヨネッタが容赦なくファンタズマラネアを撃退して先に進むと、彼女とは別の目的で一足先に魔界に降りていたロダンが葉巻を吸いながら待っていた。
地上から現れたインシディアスの背に乗り、二人は共闘しながら先へ進む。
最強の堕天使であるロダンによる強力な助力もあり、魔界の者達の猛攻にもかかわらず難なく目的地は目前にまで迫った。
薔薇のつぼみのようなそこにはロダンの獲物がおり、そしてジャンヌの魂もあるらしい。
ベヨネッタはロダンをその場に残し、急ぎ自らの翼で飛び立った。

CHAPTER XI 魔界 ~統治者~

ベヨネッタがつぼみに到達すると、魔界の言葉で話す女の声がした。
生身の人間がこの場にいることへの疑問に「友達を迎えに来た」とするベヨネッタの答えに得心した声は「あの魔女ならもう喰った」と返し「しばらくは何も喰う必要がないほど上質な魂だ」と続けた。
昼寝の最中だったらしいその声は「自らの宮殿を破壊したことは不問にするから去れ」と促すも、ベヨネッタはマダム・バタフライを呼んで殴りつけ宮殿を尚も破壊し「これでも許してくれるの?それじゃこの宮殿がなくなったらどうなるのかしら?」と挑発する。
その言葉とマダム・バタフライの存在に、声はようやくベヨネッタも魔女だと気付く。
声はマダム・バタフライと因縁があるらしく、千年経っても恨みを忘れないと怒り、姿を現した。
禍々しい薔薇の化身のような姿をしているその声の主は、狂気を囁くもの・アルラウネであった。
彼女はマダム・バタフライへの復讐の機会に歓喜しながらベヨネッタに襲い掛かる。
アルラウネはジャンヌの魂を喰らったことにより力を漲らせている上に執念深く、力で圧倒されても狂気をはらむものとして戦闘に特化した姿へ禍々しく変化させるなどしたため、戦闘は長く激化した。
だがその姿の変化により未だ形を保っているジャンヌの魂の様子を露出させることに目を付けたベヨネッタは、攻撃を加えながらジャンヌの魂を力づくで引きずり出した。
瀕死のアルラウネに渾身の力でとどめを刺そうと殴りつけるところで、ロダンが現れ「こんな奴を相手にしている暇があるのか」とその拳を止められて我に返り、ベヨネッタは急ぎジャンヌの胸にブローチを付ける。
必死の呼びかけに応じ、やがてジャンヌは目を覚ました。
感動の目覚めもつかの間、ジャンヌは肉体に戻るために姿を消した。
「世界に何かが起きようとしている」という彼女の警告に対し、ベヨネッタは「そんな心配は良いから寄り道しないで帰るのよ」と明るく見送った。
一方ロダンは新たに作った魔界の武器にアルラウネの魂を喰わせ、目的を果たしていた。
完成した「芸術品」を見て満足そうに笑うロダンに、ベヨネッタは「ロマンティックなシーンが台無しだわ」とボヤく。
その時、魔界の揺れを感知したベヨネッタは自らの闇の左目で賢者とロキが闘っているビジョンを見る。
ベヨネッタは闇を切り裂くもの・ディオメーデスを呼び寄せ、ロダンからの餞別であるアウラウネの武器を手に、急ぎロキの元へ向かった。

CHAPTER XI ルーメンの賢者

ベヨネッタはディメーデスを駆って小さな友の元へ走り、その駿足で無事ロキを絶体絶命から救い出す。
ロキを仇と信じている賢者バルドルは、ロキを必死に守るベヨネッタに対し「邪魔をするなら容赦しない」と忠告する。
その時、賢者の仮面が砕け素顔が露わになる。それは預言の者が見せたビジョンで見た父バルドルの、若かりし頃の姿だった。
諸悪の根源、母の仇…。半年前そう信じて父を倒し、過去にケリを付けたベヨネッタにとって、預言の者が見せたビジョンを簡単に信じられる筈もなく「容赦なんかしたら次は仮面じゃ済まない」と、敵対心を露わにする。
両一族の中でも強力な、しかも互いに世界の目を持つ者同士の闘いは凄まじかった。
バルドルの愛する妻を失ったの怒りと憎しみは激しく、元より誇り高く強力な彼の戦闘力を後押しし、ベヨネッタは自分が知る父とのギャップと、胸にあるローサのルージュから感じるものに一層動揺する。
その時、気を失っていたロキが光を放ちながら宙に浮き始める。
気が付いたロキは何かを察しベヨネッタに自分から離れるよう叫ぶも、直後強力な光が放たれ、賢者と魔女を飲み込んだ。

CHAPTER XIII 奇縁の街 ヴィグリッド

ロキの不思議な力に飛ばされたベヨネッタが降り立った場所は、懐かしくも濃密な奇縁の街ヴィグリッドだった。
半年前に訪れたものとは違う500年前の記憶の中にある様相に、ベヨネッタはあの忌まわしい過去の事件の日まで飛ばされてしまったことを悟る。
修道院裏庭から移動する最中、天使の軍勢に遭遇する。その瞬間一際華麗なバレットアーツの使い手の魔女が助太刀に入る。
愛銃アンフォーギブンを納め「時計塔に結集せよ」と呼びかけるその魔女は、ベヨネッタの母ローサであった。
互いに名乗ることはないものの感じるものはあるのか、二人は共闘しながらその場の天使を一掃し、魔女が使う秘匿された地下通路を使い時計塔を目指す。

CHAPTER XIV 魔女狩り

ベヨネッタとローサは安置されていた歩行兵器アンブランアーマーに乗り、地上に出る。
上級三隊だけでなく四元徳といった大天使すらも駆り出された天界による猛烈な侵攻を一つ一つ退けながら、二人は時計塔を目指す。

CHAPTER XV 真実

時計塔に辿り着いたベヨネッタとローサは、既に侵攻してきた大量の天使を共闘して排除していく。
だが健闘も空しく、時計塔は四元徳フォルティトゥードにより破壊されてしまう。
アンブラの魔女の象徴が崩れていくのを目の当たりにし、ローサは「こんなことをあの人が首謀するはずがない!」と叫ぶ。
フォルティトゥードの更なる攻撃により足場が崩れ、ベヨネッタとローサは落下しながら戦いを続ける。
天使をひとしきり一掃した後、ベヨネッタの背後から覚えのある一撃が来る。それはよく見た少年のカードによる一撃だった。
迎えに来てやったぜとロキと同じ声で明るく話しかける少年に対し、ベヨネッタは少年に向かって無言で岩を蹴り飛ばす。
少年は岩を難なく弾き飛ばし、屈託のない話し方を止めてベヨネッタを「闇の左目の所有者」と呼んだ。
「あんた誰?」というベヨネッタの問いには答えず、少年は「未だ残っている一番厄介な魔女と賢者を、早いうちに始末しておきたい」と言った。
その目的は、二つに分かれた彼の力…世界の目を取り戻すためであり、その強大な力を未来に逃げた自分に渡すわけにはいかないと、邪魔者であるベヨネッタを始末しようと襲い掛かった。
少年の名はロプトといい、宙から隕石をも掴み投げつけるほどの力を持つ巨大な腕を3対呼び出しベヨネッタを圧倒すると、呼び出した火球が降り注ぐ中、「それじゃあお先にね!」と言い残して去って行った。

一方、現代のノアトゥーンではルカが一人フィンブルヴェトル間近まで辿り着いていた。
自らの手帳に記した情報を基に扉を開けると、中から瀕死のロキが現れる。
心配するルカに対し、ロキはなりふり構わず「俺を…フィンブルヴェトルまで連れて行ってくれ。全てを思い出したんだ」と懇願する。
ロキは、自身とロプトは善と悪であるが故に、ロプトを野放しにするのは危険であること、そして自らがフィンブルヴェトルに行かなければ世界が終わってしまうことを告げ、「とっておきの切り札」としてかつてベヨネッタに穴を空けられたカードをルカに託して気を失う。
ルカは、女の子ならともかくガキのお願いなんて冗談じゃないとしながらも、「泣き虫の女の子のお守よりはマシかもな!」とロキを背負い、フィンブルヴェトルに向かった。

賢者と魔女の谷で目を覚ましたベヨネッタは魔女の修練場に向かい、目的地の入り口にたどり着いたところでバルドルと再会する。
目的を同じくした二人は互いに何も言わず先を急ぐと、同胞の魔女たちの遺体と、先程まで共に闘ったローサ、そして血の付いたカードを握るロプトの姿があった。
バルドルはすぐさまロプトに斬りかかるも躱され、そのまま逃げられてしまう。
ローサの亡骸を抱いて呼びかけるバルドルに、ベヨネッタは少年の額の紋章の違いを以て「あれがあんたの仇よ」と告げ、この場所なら次元の扉を開けることができるから共に元の時代に帰るよう説得する。
月の光により魔力が満ち濃密な因果を孕むその場所で、ベヨネッタは自らのブローチを媒体に次元の扉を開き、悲しみに暮れるバルドルに早く一緒に来るように呼びかける。
その時、死んだと思われたローサが最後の力を振り絞り、「セレッサをお願い。あの子こそ世界の目を継ぐ者」と言い遺し、バルドルに触れて今度こそ息絶えた。
愛しい者の亡骸を横たえ、上を向いたバルドルはベヨネッタを見る。
無言で手を伸ばすベヨネッタに、バルドルも何かを感じ取ったのか応えてその手を掴み、二人は元の時代へと戻って行った。

二人が去った直後、セレッサとジャンヌがその場に飛び込んでくる。
ベヨネッタが今し方体験し見聞きしたことが、彼女自身が知る由もなかった真実であった。

CHAPTER XVI 采配の力

ベヨネッタとバルドルは、現代の魔女の修練場に戻るものの、直後危機に見舞われる。
そこは半年前に訪れたときよりも更に脆く崩壊し始めており、因縁の場所諸共谷に飲まれようとしていた。
急ぎベヨネッタはここから走り飛び降りるようバルドルに呼びかける。
生きて着地できる場所など何処にもない場所に跳べと言う彼女の言葉に気を疑うバルドルに、ベヨネッタは「いつでも正気よ。私“たち”は!」と叫び、バルドルと共に獣に変化して跳んだ。
突如、言葉通り復活したジャンヌが絶妙なタイミングでジェット機に乗って現れ、飛び降りた二人を拾い上げた。
魔女二人の破天荒さに面食らうバルドルに、自分に付いてくるとは随分素直になったとからかうベヨネッタ。
だが、バルドルはそれには答えず「何故私の名前を知っている?」と質問を返し、ベヨネッタはあのローサって魔女がアンタをそう呼んでいたじゃないと誤魔化す。
世界の目が狙われていることを感じ取るベヨネッタ達は、全ての始まりの地フィンブルヴェトルを目指す。
山には天使と魔界の者達が取り囲み、簡単には近付けそうもなかった。

バルドルは奴らを片付けるまでは休戦だとしながら、ベヨネッタとの共闘を暗に申し出た。
ベヨネッタはバルドルのその言葉に楽しいダンスパーティーになりそうだと楽し気に応えるのだった。

一方ルカは「こんなことなら小さな女の子の子守の方がマシだ」とぼやきながらロキを背負い、一足先にフィンブルヴェトルの神殿に辿り着いた。
ルカが神殿の中に入ると突如預言の者が現れ、彼の首を締め上げた。
そこに先程まで気絶していたロキが助けに入り「相手を間違えているぜ、“半人前”」と罵った。
預言の者はその言葉を人聞きの悪いとしながらも嬉しそうに「今や力は全て私の手にあるのですよ。ただ一つ采配の力を除いて。そうでしょう。“残りカス”さん?」と返す。

ベヨネッタとバルドルは、天界と魔界の住人が押し寄せるその場をジャンヌに任せ、二人でフィンブルヴェトルの神殿に降り立つ。
最奥に向かうと、預言の者がロキを圧倒していた。
預言の者は「光の右目の所有者、ルーメンの賢者。闇の左目の所有者、アンブラの魔女。これで準備は整った」と歓迎しながらロキをバルドルに差し出し、仇は目の前だから何なりと好きにしろと言った。
バルドルはその言葉に槍を構え、穿った。切っ先はロキを通り過ぎ、預言の者の額に当たり装飾を砕き、ローサの命を奪った少年ロプトと同じ額の紋章が浮かぶ素顔を晒した。
預言の者は余裕の表情で「どうしたのですバルドル。好きにしろと言ったのですよ。自分の仇への怒りはそんなものなのですか?」と挑発し、自らがロプトだと言うことを認めた。
バルドルはその挑発に応えるかのように再び攻撃を仕掛け、ロプトとそのまま戦闘に突入する。
ベヨネッタもロキを助けるために加勢するが、ロプトは余裕の表情で二人を圧倒し、ロキに辿りつくことすらままならない状態だった。

ロプトは語る。曰く、ロプトとロキは元々一つの存在であったが、ロキが人間たちを自我に目覚めさせると言い、自らの神の力を二つに分けたと同時にその身も二つに引き裂いたのだという。
引き裂かれた肉体はただの抜け殻となるはずだったが、ロキは世界のバランスを守るために、世界の目を自在に操る「采配の力」を自らの肉体に残していた。
一方でロプトも、人間たちの繁栄と共に膨れ上がった邪なる心の力によりかつての神の力を取り戻し、500年前にはロキの力をも取り込もうとしたのだが寸でのところで取り逃がし、ロキが再び転生し機会が巡るのを待ったのだという。
ロプトはロキを取り戻すことによって世界を司る力を得、混沌の神エーシルとして復活することを目論んでおり、それは遂に果たされるところまで来ていた。
ロキからは采配の力を、バルドルからは光の右目を取り戻し、次はベヨネッタの闇の左目を奪おうとした。

そこに、絶妙なタイミングでルカによる邪魔が入る。
ロキを助け出し「好きなだけ暴れていいぜ」というルカの発破に、ベヨネッタもまた最愛の人の仇を討つためロプトに挑む。
不完全とはいえ重要な力を二つ取り戻したロプトの力は既に絶大で、続けざまに放たれた大魔獣召喚も瞬時に無効化してしまう程だった。
そして激戦の末、遂に闇の左目をも取り戻したロプトは混沌の神エーシルとして復活する。

自らが宇宙意思となり、世界を観測し創造するのだと告げてベヨネッタにとどめを刺そうとするが、バルドルによって防がれる。
「人間は自分の意思でこの世界を創る。貴様の意思など必要ない」と言うバルドルに、エーシルは「混沌を好む人間らしい答えだ」「そうやってどれだけ世に混迷を招いてきたのか」と嗤う。
バルドルは怯むことなく「時に乱れ、時に迷い、それも我々は歩んできた」と力強く返し、立ち上がったベヨネッタと共に、その人間の力を見せてやろうと神に挑む。

神と激戦を繰り広げる一方、ロキはルカに介助されながら「俺の力は“采配”なんてチャチなものじゃねえ」と祭壇にカードを並べる。
「審判」「右目」「左目」「世界」、ベヨネッタによって風穴を空けられた「愚者」…それらは全てエーシルに関わるものを示しており、そして最後に手にした手札は「無」であった。
これこそがロキの真の切り札であり、世界の目さえ全て想いのままに滅ぼす混沌の世を統べるエーシルの本当の力「無」であるのだと言う。
カードの力を発動させると、エーシルの神々しく放たれていた力が全て無効化された。
ルカが危惧する通り、確かに神の力を滅ぼした場合の影響は計り知れず、ともすれば人間界すべてに危険が及ぶ可能性もあった。
だがロキは言った。「世界が消えるか、それとも自ら道を創るかはアンタたち人間次第だ」と。
エーシルの善の半身は、人間が積み重ねたものを信じた上で賭けに出たのだった。

ロキの助力により弱りきったエーシルにベヨネッタとバルドルは猛追撃を加え、互いの力を合わせた大召喚を行い、万物を統べるもの・OMNEを呼び出す。
それはかつてその存在を知られることはあっても決して召喚されることの無かった、光と闇の調和によってのみ出現する天魔融合の奇跡であり、決して何かが欠けては成しえなかった人間の可能性の結晶であった。
OMNEが渾身の力でドロップキックをお見舞いすると、まともに喰らったエーシルはその拍子に魂が抜け、肉体は上空を飛んで行きジャンヌの魔獣に喰われた。
一方、その場に残された魂は次元の扉を開き、別の時代に逃亡して転生し歴史の作り直しを図ろうとしたが、バルドルがそれを体を張って止めた。
自らの中に封印して無限の円環に閉じ込めてやると、暴れ続ける魂を抑え込む。
だが、彼が抑え込んでいるその魂は「邪悪」の象徴であり、吸収すれば本来正気ではいられない。
ロキもまた「吸収すれば自らも悪に染まってしまう」と忠告したが、バルドルは「悪ならば正すことができる。それが人間だ」と構わず封印を続行した。
「バルドル!」
ベヨネッタの呼びかけに、バルドルは一言も名乗っていない彼女の本当の名前「セレッサ」の名を口にし応じる。
そして困惑する娘に対し、「もしも私が道を踏み外すことがあったら、お前の手で私を…」と続けた。
ベヨネッタはその言葉を振り払うようにもう一度バルドルの名を呼んだが、父は「一度でいい、私を父さんと」と静かに懇願した。
「お父さん…」父を仇だと信じ憎んだ半年前には遂に言わなかった言葉を、ベヨネッタは万感の思いで初めて口にした。
「ありがとう。私の愛する娘よ…」次元の扉の向こうに消えゆく父の姿を、娘セレッサは泣き出しそうな声で追いかける。

過去より現れた父は、聡明で勇気ある美しい彼の真実と、妻と娘への愛を残して去って行った。

フィンブルヴェトルで、もう一つの別れが起きようとしていた。
「世界はまだ無くなっていないようだ」そう言ってベヨネッタの膝の上で気が付いたロキは「俺は信じているぜ。人間たちが世界を創っていくことを」と穏やかに言った。
そして、自分はもう必要ないから一休みするのだと続ける。じきに消えようとしている力も半身も失った神は、あくまで軽やかだった。
たった一日限りのパートナー同士、ベヨネッタとロキが小気味良い軽口の応酬に隠した約束を交わしている内に別れの時間は訪れ、ロキの身体が光に包まれた。
「じゃあな、ベヨネッタ」

「またね、坊や。…私のこと、セレッサって呼んでもいいのよ」
「セレッサってガラかよ!」
最後まで互いの名は呼び合わず、だが確かな友情を感じさせながら二人は別れた。またどこかに転生して運が良ければ会えるという、ロキ自身が口にした再会の可能性を信じながら。

ロキは先の応酬で「坊や」と呼ぶベヨネッタに対し、一度は真の名であるエーシルだと訂正を入れようとした。だがすぐに「いや、俺はロキだ」と満足そうに笑って言った。
自らにロプトを封印し悪に染まってしまったバルドルも、既に過ぎた過去で約束が果たされこの世を去った。
人間の繁栄を支えてきた統治者エーシルはこの瞬間、地上より永遠に消滅したのだった。

数日後。クリスマスムードもなくなり、人間界は新年を迎えていた。
平穏を取り戻した都会のブティックからは、桜色のドレスを纏った美女と、その後ろから「ずいぶんと買い込むな…」とショッピングバッグを手にした黒のドレスを纏った美女が出てきた。
ベヨネッタとジャンヌ。今回の大事件も生き残ったアンブラの魔女2人は、親友同士ショッピングを楽しんでいた。
とある通りに出た際、ベヨネッタは「丁度この通りで一番のお気に入りを台無しにされちゃったんだわ」とぼやき、その自ら発した「時と場所」という言葉に引っかかりを覚える。
すると後ろから、ベビーカーを押した親子が通り過ぎた。
ベビーカーからは見覚えのあるカードが一枚零れ落ちる。穴の空いていない綺麗なそれは、ベヨネッタが拾い上げようとするとすぐに風に舞って飛んで行ってしまった。
まるでつい先日出会った、生意気で掴みどころのない友人のように。

少しセンチメンタルな雰囲気になったベヨネッタの元に、チラシが舞いこんでくる。通り過ぎたピンクのオープンカーでは、ルカが新年早々「俺だって暇じゃない」とぼやきながら運転していた。
助手席ではロダンが「俺の店がつぶれたらお前もネタ集めに困ることになるぜ」と言いながら自らの店の看板を担ぎつつせっせとチラシを撒いていた。
そんな様子を見て仲がいいと笑うベヨネッタは、先日のショッピングにはいた荷物持ちがいないことに気付く。
「いけない。エンツォのこと忘れてたわ」
一体どこに置いてきたんだというジャンヌに「確か飛行機で道案内させてその後…」と言った矢先、見覚えのあるプロペラ機がこちらに突っ込んでくるのが見えてきた。
無事自力で帰ってきたらしいエンツォが、天使に追われている。いつかのようにベヨネッタとジャンヌはプロペラ機を蹴り上げ、そのまま乗り込んだ。
二番目にお気に入りのドレスまで台無しにされたことに怒るベヨネッタに、ジャンヌは日頃の行いだと笑いつつも、彼女もまた服を台無しにされたことに気付く。
「やっぱり私たちにはこれがお似合いね」
そう言いながら二人はお気に入りの服を脱ぎ捨て美しい戦闘服を纏い、楽し気に天使を「踊り」に誘うのだった。

After Staff Roll

とある時代の、魔女と賢者の谷。嵐の中で一人佇む男がいた。
髪をかき上げた額にはエーシルの悪の半身の紋章が浮かび、力を発露すると魔女の像に天界の巨大な矢が稲妻と共に突き刺さった。
ゆっくりと金の片仮面を着け不敵に笑うその表情からは、彼がかつて抱いていた筈の愛や正義は伺えそうもなかった。

『ベヨネッタ2』のゲームシステム

難易度

1st CLIMAX

気軽にストーリーを楽しめるモード。

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