サバイバル(さいとう・たかを)のネタバレ解説・考察まとめ
『サバイバル』とは、原作・原案さいとう・たかを、作画さいとう・プロダクションによるサバイバル・ファンタジー漫画(劇画)作品である。
1976年から1978年にかけて『週刊少年サンデー(小学館)』にて連載されていた。
ある日、突如として世界中に発生した巨大地震を生き残った日本人少年・鈴木サトルが、文明の壊滅した世界で己が生存をかけて抗う姿を描く。
大自然に放り出された人間が、人類原初の生活に戻り、そこから創意工夫と勇気をもって少しずつ元の文明を取り戻そうとしていく様が読者を大いに惹きつける。
大量のネズミ。
せっかく保存した食料を狙って大群をなし、仲良くなったフクロウをも食い殺し、またサトルに病原菌を感染させた恐ろしい存在として描かれている。
(実際、人類の歴史はネズミとの戦いの歴史でもある。縄文時代には高床式倉庫が出現し、ネズミからいかに食料を守るかが人類の課題だったことが伺える。また、現代においてもネズミは家屋に棲みつき天井裏を糞で腐らせる、ケーブル類をかじって断線・火災を引き起こす、飲食店の建ち並ぶ都市部などに出現して衛生上の問題を引き起こすなど、その戦いに終止符が打たれたわけではない。作中では、ネズミに狙われる恐ろしさがホラー映画さながらの演出でなされており、ややオーバーながらもその脅威が良く描かれている)
最後は新たに起きた地震に恐慌をきたし、大軍団で海に入水、自滅した。生き残ったのはサトルのカバンにまぎれていた1匹だけだった。
他の動物に比べて圧倒的なほど凶悪に描かれているのは、1970年代当時の衛生水準が現在よりも低く、鼠害が日本のいたるところで発生し国民を悩ませていた背景もある。
廃墟の東京で関わるキャラクターたち
東京で出会った男
島を脱出し東京へたどりついたサトルが、最初に出会った生存者。
災害後の世界で略奪と殺人を繰り返していた極悪人。
当初こそトラに襲われていたサトルを猟銃で助けはしたものの、それは彼に食料や女性などの、なにがしかの利用価値が付加していないかと下心あってのものに過ぎなかった。
サトルがビルの屋上で野菜を栽培している事実を知ると、彼を奴隷として食料供給係にしようとし、逃げだそうとすると猟銃で脅した。また、その最中にサトルが出会った盲目の志賀老人をも容易く手にかける残忍さを見せたが、東京で再度起こった大地震に巻き込まれ死亡する。
志賀
サトルが男に脅されている最中、廃墟の一角で出会った老人。
盲目であり、もはや生きる望みは断たれたと絶望していたところをサトルに励まされ、希望を取り戻すが男に殺害される。だが、サトルに感謝の言葉を述べたその最期は、彼に志賀の分までなにがあっても生き抜くという決意をもたらした。
富士の樹海で関わるキャラクターたち
シロと母犬
米軍人ロバートが最初に遭遇した犬の親子。母犬はロバートに襲いかかり、彼が行動不能になるほどの傷を負わすが、自身も崖から落ちて死んだ。首輪がついており飼い犬だったことが予測され、また、その首輪がサトルのかつての飼い犬のものと似ていたが、彼を思い出すような描写はなかった。
子犬のシロは、サトルが保護し名付けた。
子犬ゆえに当初は無力な存在で、サトルからも、いよいよとなれば食料として食べてしまう他はないかと逡巡されることもあったが、犬ゆえの成長の早さと、彼と行動を共にしたことで、野生動物の強さを獲得していく。
道中で離ればなれになり、成犬になる程度の時間を経てから、サトルとは敵対的な関係として再会する(シロは、サトルが倒した野犬の群れのリーダーになっていた)が、最終的にはサトルのことを思いだし、彼を野犬の群れから守った後、つがいの雌犬と共に彼の前から去った。
ウィリアムとロバート
調査のために派遣され、富士の樹海に降り立っていた米軍人の2人。本来ならば日本の状態をいくらか調べて撤収するはずだったが、彼らを回収する予定の救援機は、いつまで経ってもやって来ることはなかった。
ウィリアムはサトルと出会って同行を許可したが、間もなくのどの渇きに耐えられず汚染された川の水を飲んで死んだ。
ロバートは日本語話者であり、サトルに殺意を向けたこともあるものの、しばらく行動を共にする。だが、やがて行動不能になり、サトルが救助のためその場を離れていた間に鳥に目玉を啄まれ死亡する。
彼らの言動から、アメリカ合衆国も全滅ないしはそれに近い状態であることがうかがえる。
富士の樹海脱出後から村の到達までに関わるキャラクターたち
マリとその父
サバイバルの道中で出会った親娘。父は氏名不詳だが、娘はマリという名前が判明している。
多くの仲間と集落を築いて文明崩壊の世界を生き抜いていたが、蝗害によって仲間と生きる術を失い、伏して死を待っていた。それでも娘だけは、と放浪を計画した生き残りの仲間にマリを託そうとするが、出戻られてしまっている。サトルと出会ったことで一時的に希望を取り戻すも、壊滅した世界への絶望へは抗えず、最後は親娘で飛び降り心中してしまった。
インコ
名無しのインコ。
サトルが大量発生したセキセイインコの巣から卵とヒナを獲って食べてしまったのだが、この個体はその後にケガをした状態で見つかって助けられた為、なついた。その後の山中でサトルに硫黄が充満している場所を知らせたりして役だってくれたが、最後は脱獄犯に焼き鳥にされてしまう。
『サバイバル』に登場する動物たちはみなたくましいが、このインコは仲間を食われたうえ、主人公に関わったばかりに最終的には自分も食われてしまうというあまりにも損な役回りだった。事実、名前すらつけてもらえていない。
ゲンと脱獄犯たち
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目次 - Contents
- 『サバイバル』の概要
- 『サバイバル』のあらすじ・ストーリー
- 物語序盤~大地震の発生とサバイバルの始まり~
- 物語中盤~本州上陸、次々とサトルへ襲いかかる脅威~
- 物語終盤~家族を追ってのサバイバル旅~
- 物語最終盤~父の死去。そして母・姉との再会へ~
- 『サバイバル』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 鈴木サトル
- 島で関わるキャラクターたち
- アキコ
- フライデー
- ネズミ
- 廃墟の東京で関わるキャラクターたち
- 東京で出会った男
- 志賀
- 富士の樹海で関わるキャラクターたち
- シロと母犬
- ウィリアムとロバート
- 富士の樹海脱出後から村の到達までに関わるキャラクターたち
- マリとその父
- インコ
- ゲンと脱獄犯たち
- 辰野
- 東京流民たち
- 小見山博士と瀬川助手
- カラス(カー公)
- 神主が支配する村で関わるキャラクターたち
- 和夫と松じい
- 神主
- さつき
- サブ
- 火守りじい
- 学校廃墟で関わるキャラクターたち
- シゲオとユウジと洋子
- 旅の最後の村で関わるキャラクターたち
- ツネ
- 岩造一家
- その他のキャラクターたち
- 不良の友人
- 鈴木信一郎
- サトルの母と姉
- 『サバイバル』の用語
- DANGER-○
- 地殻変動
- 生きる
- 食料・飲料
- 住居
- イーグルス
- 東京流民
- 『サバイバル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「これだけが俺の生きていくための"道具"ってわけだ! ……心細いかぎりだけど……たよりにしてるぜ諸君!」
- 「なにが可哀想なものか!! あんただって平気で牛や豚の肉を食べてきたんだろ!?」
- 「これじゃ、コンクリートジャングルどころか……ほんもののジャングルになっちゃったぞ……」
- 「く…………食えねえかな、これ…………」
- 「がんばるんだ! がんばって生き抜くんだ! 希望を持って!! …………」
- 『サバイバル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- さいとう・たかをの少年漫画(劇画)
- 劇画の技術が漫画へ伝わった時期の主要作品
- ザリガニ食が(なぜか)失明を治す
- ムキムキになったシロ
- 熊殺し超人サトル
- 気づかれないコラ画像