最高に素晴らしいこと(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『最高に素晴らしいこと』とは、2020年2月28日にNetflixオリジナル作品として配信されたアメリカ合衆国の青春恋愛映画。
姉を交通事故で亡くし心に深い傷をおったバイオレット。同級生であり精神面に問題を抱えたセオドアと出会い徐々に笑顔を取り戻していくが、セオドアの心の闇が現れてしまう。若者達が自死とどう向き合うべきなのかを問う作品。
今作は自殺の兆候を描かずに自殺は突発的に起こりうるものであるという非常にセンシティブなテーマを扱ってる作品である。

『最高に素晴らしいこと』の概要

『最高に素晴らしいこと』(英題:All the Bright Places)とは、主人公のバイオレットと同級生のセオドアとの交流を映画いた青春恋愛物語。それぞれの問題で心に深い傷を負った2人が共に日々を過ごし、前向きに歩もうとするがセオドアにはどうしても乗り越えられない問題があった。
青春恋愛映画でもあるが、自殺といったセンシティブなテーマにもスポットを当てた作品となっている。

本作は世界40ヶ国で翻訳されベストセラーになったジェニファー・ニーヴンの小説『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』を原作としている。
バイオレット役を『マレフィセント』のエル・ファニング、セオドア役を『名探偵ピカチュウ』のジャスティス・スミスが演じた。

映画評価サイトのロッテン・トマト(Rotten Tomatoes)で批評家支持率は10点満点で6.58点を獲得している。
本作は表向きには分かりにくい「心の病」について、そのシグナルとなるヒントを教えている。

『最高に素晴らしいこと』のあらすじ・ストーリー

セオドアの救い

インディアナ州の小さな街の早朝。セオドアがヘッドフォンで音楽を聴きながらランニングをしていると、橋の手すりに上り立ちすくみ今にも落ちてしまいそうな同級生のバイオレットを見かける。
バイオレットの隣りに立ち、片足でバランスを取ってみたりと戯けながら彼女を橋から降りるよう促し、手を差し伸べる。

セオドア、バイオレットそれぞれの問題

翌日、セオドアは学校でカウンセリングを受ける。不登校が多く成績も不安定、校内で問題行動も起こし進級が危ういセオドア。真剣に向き合おうとしてくれている先生をはぐらかし、話を逸していた。
食堂に付くと、友人達にも茶化されてしまうほど無意識にバイオレットの姿を目で追っていた。
そんなバイオレットは姉を交通事故で亡くしたばかりで姉の死に気持ちがふさぎこみ、友人のアマンダやボーイフレンドのローマー、家族にまでも心を閉ざしていた。彼女が落ち込んでいる原因は学校中に知れ渡っていた。

バイオレットの辛い過去

バイオレットの事が気になったセオドアは、彼女の事を調べてみた。すると、姉のエレノアと一緒に写るバイオレットの写真が載ったSNSや、事故の写真が載ったサイト等が出てきた。姉が事故死した現場は、バイオレットと初めて出会った橋のある場所だった。

自分の殻に閉じこもるバイオレット

翌日、地理の授業でクラスメイトとペアを組んでインディアナ州の名所を調べて2カ所以上巡り、レポートにまとめるという課題が出された。バイオレットと仲良くなるためにペアを組もうとするセオドアだが、バイオレットは人と交流することを拒んでいる。この課題を別のものに代えてもらえるよう母親に訴えるが、家に引きこもり自分の殻に閉じこもる娘を心配し、友達と交流できるいい機会になるから取り組むよう勧める。更に母親から「友人との時間」を過ごした方が良いと促され、アマンダから誘われていたホームパーティーへと出向く。そこで元気付けようと話しかけたローマーだったが、つれないバイオレットの態度に思わず「姉の死からもう一か月だろ?」と本音をこぼしてしまう。その言葉に傷ついたバイオレットは、パーティーから一人で抜け出してしまう。

バイオレットに近づこうとするセオドア

落ち込みながら歩く帰り道。バイオレットの携帯が鳴り、セオドアから「橋の話がしたい」と連絡がくる。2人は会う事になる。姉との思い出を語ろうとしないバイオレットにセオドアは橋での出来事を「あんな経験はもう二度と嫌だ」と、伝える。セオドアが敬愛している小説家ヴァージニア・ウルフの言葉を引用したものだった。課題を一緒にしようとセオドアは提案したが、誰かと協力して課題をするという気持ちがまだ持てないバイオレットは断った。

課題でペアを組む2人

翌日、先生に課題の免除を申し立てに行くが、そんなわがままは通らず、バイオレットは気を落としながら帰宅する。その様子を見かけたセオドアは車を止めて声をかけた。課題を一緒にしようと再び誘うと、「車だけは乗らない」という条件付きでペアを組むことを承諾してくれた。

早速自転車で町を回り始めた2人。セオドアが最初に選んだ名所は「まだ、人の手が入れられてない場所」とのことであったが、それは標高383メートルしかない折れた大木の上だった。町の良い景色を巡る課題だというのに、「しょぼい景色」に連れ出したセオドアの行動を笑ってしまったバイオレット。
しかし直ぐに真顔に戻ってしまったバイオレットに対しセオドアは「笑ったからって地獄には堕ちない」と伝える。

バイオレットの告白

それからチャットで言葉を交わすようになった2人。バイオレットが送った「自分の真実を語らないなら、他人の真実も語るな」という言葉に感化されたセオドアは、すぐにバイオレットに会いに行った。家の前まで来ているセオドアに気づいたバイオレット。そのまま夜の町へと2人で散策に向かった。
雑踏の中で座り込んだとき、セオドアは姉のエレノアについて教えてほしいと切り出してみた。バイオレットは「姉であり親友」と姉について初めて答えた。ずっと口を閉ざしてきた話題だったが、初めて同級生に打ち明けることができ、バイオレットの心は少し軽くなった。
翌朝、パンケーキを焼く父親に自ら話しかける。表情が格段に変わったバイオレット。その様子をすぐに察した母親は安堵した。

セオドアの噂

翌日、バイオレットが学校に着くとアマンダがやってくる。ローマーと課題のコンビを組んだと言い、バイオレットはセオドアと組んだと言う。
アマンダは「セオドアは急にキレてイスを投げつけたことがあるから、相当ヤバいヤツだよ」と忠告をしてくる。セオドアの悪い噂を聞いたバイオレットは少し憂鬱になってしまう。そんな矢先、セオドアがバイオレットに話しかけにくる。その様子を見たローマーは近づいてきて、バイオレットから離れるよう注意しにくる。ローマーから「いかれてる」と暴言をはかれて気分を損ねたセオドアは、何も言わずその場を離れてしまう。

セオドアとのドライブ

早朝、バイオレットが気づくと家の前でセオドアが寝ていた。課題のために一緒に行きたい場所があると、誘い出しに来たのだ。そこは車でしか行けない場所だった。絶対に車に乗りたくないというバイオレットにスピードを出さないと約束をし、2人は学生最後の旅に出た。

ドライブ中、バイオレットが姉が命を落とした事故のことを話しだした。
姉の運転する車に同乗していたバイオレットは、自分だけが生き残ってしまったことに罪悪感を抱き、事故の恐怖から自動車を恐れたのだった。
初めて自分の感情を表に出せて、人前で泣くことができた。

そうこうしていると、目的地にたどり着いた。そこは手作りの小さな遊園地だった。小さなジェットコースターに乗る2人。バイオレットは感情の赴くまま素直に笑うことができた。
帰り道、セオドアは「君のどこが好きかわかる?全ての色が混じり合って最高に輝いているところだよ」とバイオレットに告白をし、キスをする。その思いを受け止めたバイオレットは今度は自らキスをする。

セオドアの変化と告白

恋人同士となった2人は、インディアナ州の名所に出かけるようになる。だが突然、数日間セオドアと連絡が取れなくなった。バイオレットは心配してセオドアの友人に相談すると、「よくあることだ。セオドアと付き合うなら慣れる事だよ」と言われる。バイオレットにとってはまた大事な人がいなくなるのではないかという不安が先行してしまい思い悩む。
帰宅すると、家のリビングにセオドアがいた。あっけらかんとしているセオドアに対しバイオレットはどうして連絡を返さないのかと怒る。そんなバイオレットに車いっぱいに積んだラベンダーを贈るセオドア。さらにドライブに誘い「底のない」と言われる湖へ連れて行った。
セオドアは一緒に湖に飛び込んでみようと言うが、バイオレットは断る。セオドアが「この世で1番怖いものは何か」と聞くと彼女は「死ぬ事」と答える。それを訂正し「平凡である事」と答えて一緒に勢いよく飛び込む。
バイオレットはセオドアの脇腹に大きな傷跡を見つけ問いただす。それは幼い頃、父親の暴力によってつけられた傷だった。その経験がきっかけで時々、情緒が不安定になるのだった。自分は父親のようにならないと自分探しのために数日間連絡を絶つことがあるのだ。
初めてセオドアの心の内を知ったバイオレットは、もっと一緒に居たいと願い眠りについた。

離れてしまう2人

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