修羅の門(第壱門・第弐門)のネタバレ解説・考察まとめ

『修羅の門』とは、川原正敏が『月刊少年マガジン』において連載されていた漫画。千年不敗を誇るとされる架空の古武術・陸奥圓明流の継承者である陸奥九十九を主人公とし、陸奥圓明流が地上最強であることを証明するため、様々な強敵達と戦うストーリーは幅広い層に熱い支持を受ける。前作あした青空においての格闘シーンが好評を得たことで、制作が決定した。1987年5月号から1996年12月号まで連載の後に長期休載。2010年11月号より『修羅の門 第弐門』として連載を再開し、2015年7月号で完結している。

テディビンセント「スタンド アンド ファイト」

ボクシングの名トレーナー、テディ・ビンセントが陸奥九十九に唯一送ったアドバイス。
ボクシングヘヴィ級トーナメントに挑む中でほとんどのアメリカ人が九十九に敵意を剥き出しにする中、温和な性格で日系アメリカ人のテディは九十九の強い味方となる。
テディは基本的に九十九が戦いに挑む際に細かい指示などは出さずこのセリフしか言わないが、九十九もそれが力になったと語っており、ファンからも「ほっこりする」「修羅の門の癒し」と評価されている。反則を受け、ボロボロになりながらもトレーナーのテディ・ビンセントからの唯一のアドバイスを胸に戦う姿は鳥肌ものである。トレーナーの気持ちを汲んでボクシングのルールで戦う九十九の姿勢は優しさがあふれかえっている。

徳光 将「ドアホ信じんかい」

レオンに一方的に攻撃を受ける九十九に対してネガティブな言葉を放つイグナシオに神武館ブラジル支部の徳光が言ったセリフ。この言葉に対してイグナシオはムツか先生どちらを信じるのか尋ねる。しかし徳光はイグナシオ自身を信じろと言う。「なんで??」という顔をするイグナシオに対して、最強の男であるイグナシオ・ダ・シルバを倒した陸奥九十九という男は誰にも負けるはずがない。陸奥九十九の不敗を信じる気持ちと共に神武館空手のブラジル支部の徳光とイグナシオの師弟愛を見ることができる隠れた名シーンとなる。

九十九「この金はレオン・グラシエーロが命を捨ててまで得ようとした金だ。この金をもつ資格があるのは俺から戦ってとれるやつだけだ」

レオンとの戦いが終わりレオンが死亡して九十九がアニータに優勝賞金を投げ出して取りに来たアニータに左ハイキックを放って居言った台詞。アニータたちの戦わずに弱いものから奪う姿勢から強いものに対しても逃げずに戦う姿勢に未来を感じた九十九は大金をそのまま渡す。人生は戦いから逃げてはだめだという教訓を読者は感じ取った。決して弱くはないマッイイツォの肘を極めて投げることのできるアニータは普通に柔術をしたらいいのにと思う読者も多かった。

海堂晃「空手の空とは因果を読み 受け入れ 呑み込み 崩し…一撃を放つ ただそれだけの事」

天才空手家・海堂晃が師匠・龍造寺徹心に語ったセリフであり空手の究極の形。連載初期の陸奥九十九のライバルだった海堂は師匠の龍造寺徹心が理想とした空手の型を完成させて九十九の最後の敵として立ちはだかった。相手が出すどんな攻撃だろうとすべて受け流して一撃必殺のカウンターを叩き込むという空手の極意で海堂は九十九を追い詰める。初期のライバルが最後の敵として登場するという展開には感慨深いというファンの声もある一方で、数年間世界の強豪たちと限界を超えた殺し合いをしてきた九十九に対してその間山籠もりで修行していただけの海堂が互角以上の戦いを見せるという展開にファンから不満の声も挙がった。

修羅の門・修羅の門 第弐門の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

修羅の門連載終了の理由は内容に対する読者からの批判

第四部を連載中、ストーリーの展開や描写に読者から否定的な意見が多く寄せられた。この反応に川原は落胆し、第四部完結をもって無期限の連載休止とすることを発表。第31巻の巻末でその顛末や、川原自らの心境が綴られている。川原の弁によると、陸奥圓明流という人殺しの技の使い手をあえて主人公として描き、人を守るための活人拳に対するアンチテーゼに据えて様々な疑問を提唱することが本作の主題だったという。しかし第四部終盤の描写について殺人を実行できる人間こそが強者であるという理屈は間違っており、そのような描写は控えるべきだという旨の投書が届き、川原は『10年以上同じテーマを描き続けてきたのに、それでも伝わらなかったのか』と愕然とし、筆を置く決心をしたと述べている。

連載再開理由は読者に対する責任感と海皇紀の格闘描写がきっかけ

川原は休筆中に受けたインタビュー内で『何だか疲れてしまった。格闘技について自分が描きたいことは大体描いたし、修羅の門は自分の中のものを出し尽くした感がある』と語るなど連載再開について消極的ともとれる発言をしている。その後、海皇紀が好評を受け長期連載となり、修羅の門は事実上完結した作品として認知されるようになった。しかし川原が抱いていた読者に対する責任感と、海皇紀内で格闘を描いたことによって再び人間対人間のぶつかり合いを描けるように感じたことから、海皇紀終了後に第四部終了から14年を経て連載を再開することが決定された。連載再開は修羅の門 第弐門と改題の上で行われ、また現実で過ぎた14年と作品内の時間がダイレクトに繋がらないことを考慮して第四部の直接の続きとはせず、4部終了時の約3年後から再開している

バキシリーズの作者板垣恵介氏も絶賛

格闘漫画を執筆している板垣恵介は、第四部について『グレイシー柔術を食い散らかさず、骨まで残さない描き方をしていて感激したと』その内容を絶賛している。

修羅の門異伝 ふでかげにはイグナシオが出演

負傷したブラジル代表のスター選手の推薦でピンチヒッター選手として南米選手権に出場し得点王に輝き、国立競技場での日本代表との親善試合で、いきなりハットトリックを決める。試合後のインタビューで「日本サッカー界の救世主となるような天才が、近々ブラジルから帰国する」と発言したところから物語が始まる。
1年後には、神武館本部(東京)の指導員として日本に滞在中。拳将に請われて13人目の選手として選手登録だけは受けていた。天皇杯準決勝も、最初は観客として試合を観戦するだけのつもりだったようだが、後半絶望的な状況になっても笑顔を失わない拳将の姿に心を打たれ、選手としてフィールドに立つ事になる。

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