王様ランキング(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『王様ランキング』とは、十日草輔によるファンタジー漫画である。
最初はweb漫画投稿サイト『マンガハック』で毎週土曜日に更新されていたところ、徐々にその人気が認められ、現在は様々なweb媒体で読むことが可能であり、KADOKAWA書店(ビームコミックス)より書籍化もされている。絵本のようなやさしいタッチが魅力の作品。
主人公の耳が聞こえず、話すこともできないボッジ王子と友人のカゲが『王様ランキング』で1位になることを目指して奮闘する物語である。

物語が始まる少し前。ドルシ、ドーマス、アピス、ベピンは国最強の戦士として選出され、四天王の称号を得ることとなる。しかしベピンは「四天王の中では自分が一番弱い」と感じており、その称号に見合った力を得るべく修行を重ねるも、さらなる強さを得られない状況を続けていた。
冥府に世界最高の師範とされるデスパーという男がいることを知ったベピンは、思い余って彼の下に向かい、「自分を強くしてほしい」と頼み込む。デスパーは「真面目で努力家」というベピンの強みを見抜く一方で、それだけにただ真っ直ぐ己を鍛えることしかできていないことを指摘。壁にぶち当たったら今までとは違う方法を試してみることも必要だと説き、ベピンに己の殻を破らせる気付きを与える。後にベピンがボッジにデスパーを紹介したのも、この時の経験が元となっている。

ベピンの成長と共に、総合力では拮抗するようになった四天王だったが、それだけに「自分が一番強い、自分が一番王国の役に立っている」との自負が強く、普段はいがみ合う関係にあった。ボッジの後を継いで王となったダイダはこれを憂慮し、四天王それぞれと交流のあるホクロに彼らの仲を改善するよう命じる。
一計を案じたホクロは、四天王を酒場に連れ出した上で密かに雇った腕相撲の名人と競わせ、それによって4人の関係を改善しようと試みる。ホクロは最終的には名人にわざと負けさせるつもりでいたが、四天王は彼を強敵と見るや一致団結。彼の戦法を分析して独力でこれを倒してしまう。「四天王は普段はいがみ合っているが、それは各々の自信と互いを認めるからこそ生まれるもので、憎み合っているわけではない。強敵が現れた時、国に危機が訪れた時はおのずと協力する」と気付いたホクロは、この事実をダイダに報告するのだった。

ボッジの旅立ちとオウケンの復活

ボッスやミランジョ、多くの者が大切な人の幸せのために奔走して擦れ違って生じた混乱からいくらかの時がながれ、王国は復興への道を確かなものとしていた。人知れず去ってしまったカゲを案じたボッジは、王の座を捨ててでも彼を追うことを決め、弟のダイダに王国を委ねる。
多くの人々に見送られて王国を出発したボッジは、無事にカゲと合流し、2人であてのない旅に出る。この時、彼らは道端に座り込んで廃人のように呆けているデスハーによく似た人影を見付けるが、「まさかデスハーなわけがないだろう」と話しかけることなく歩み去る。しかし、実はこの廃人こそは、オウケンを救うために自分の記憶の全てを魔人に差し出したデスハーなのだった。

王国の内乱後、王様ランキングで1位となったデスハーは、その座にある者の特権としてあらゆる願いが叶うという神の宝物庫に赴いていた。しかしそこは願いを叶えてはくれるがそれに見合う代償も求められる場所であり、彼は「オウケンを救うなら、魔人の子供の命を差し出せ」と要求される。弟を救うためとはいえ子供の命を奪うようなことはできないと考えたデスハーは、代わりに自分の記憶の全てを差し出してしまったのだ。
人としての体と心を取り戻したオウケンは、デスハーの異変を察して神の宝物庫へと向かい、そこでおおよそ何が起きたのかを把握。誰よりも尊敬する兄が自分のために廃人と成り果てたことを知り、部下たちと共に涙ながらにこれを探す。いくつもの謎を残したまま、物語は次の舞台へと進んでいくのだった。

『王様ランキング』の登場人物・キャラクター

ボッジ

ボッス王国の第一王子。
両親共に巨人で力自慢でありながら、普通の子よりも小さく非力で剣すらまともに振るえない。
その上耳も聞こえず言葉も満足に発することができなボッジ王子。
彼は周囲の人間からは「王の器ではない」と思われている。
しかし、カゲという友人を得てから彼の物語は動き出す。
耳の聞こえない非力な王子の物語、こう聞くと何か特別な力があるようにも思える。
しかし本当に耳が聞こえない非力な存在なのだ。
ただしその分、目が良い。
相手の口の動きを読むことで読唇術をも会得している。
自分の劣っている部分を受け入れる器もある。
物語後半では、旅に出てデスパー(後述)という師にであい、自分の戦い方というものを会得する。
そうして作中でも屈指の実力者になり王国の危機に駆けつける。
最終的にボッスを乗っ取られたダイダに完勝してみせ、その強さを示す。

カゲ

見た目は目玉がついたカゲ。
手はあり動くこともできる。
実は絶滅した暗殺集団「影の一族」の生き残りである。
ボッジの言葉を唯一理解できる、そして初めての友達。
幼少時に一族を皆殺しにされて以来、卑屈になりコソ泥のような生活を送っていた。
盗みに入った所で偶然出会ったボッジを最初は騙し彼の衣服を手に入れてそれを売って金に変えていた。
だが、ボッジに興味を持ちその精神と器の大きさに触れたことで「どんな時も味方になる」と近い、友人になる。
とにかくボッジの第一の友人であろうとする、何をするにしても自分だけはボッジを応援すると心に決めている。

ダイダ

ボッス王国の第二王子。
ボッジからすると異母弟。
巨人と人間のハーフで、体格は人間のそれだが、巨人の父譲りの剛力も授かっている。
その上文武両道で周囲の期待に答えるため厳しく育てられる。
ボッジ王子(兄)には複雑な感情を抱いており、その優れた能力による優越感のほかに、甘やかされていることへの羨望などがまざっている。
芯の強い心を持っており、王として高みを目指すために努力を惜しまない。
父ボッスがなくなった際に次期国王に押されたのは第一王子のボッジであった。
だが、母親であるヒリングの策もありボッスの後をついで王となる。
そしてボッジと自分を推さなかった者を国外追放する。
物語の渦中にはいると、自分の非力さ未熟さのせいで王様ランキングを大幅に下落される。
その焦った心を付け込まれ体を乗っ取られてしまう。
そうして乗っ取られた体はボッスの復活に利用され、ダイダは暗い闇の中に閉じ込められてしまう。
暗闇の中一人きりで最初は挫けそうになってしまう。
しかし、暗闇の中でボッジの非力の理由やミランジョ(後述)の記憶に触れることで怯え泣き続けることやめ前に進み始める。
進み続ける中で、彼は暗闇の中(おそらくはミランジョの精神世界)で父ボッスとミランジョの過去を追体験する。
兄ボッジが非力な理由もミランジョの凄惨な過去も全てを知る。
そうしてダイダはいつしかミランジョに恋し彼女を救おうと考える。
最終的は兄ボッジのおかげで体を取り戻し、魔神(後述)への望みでミランジョを復活させることに成功する。

ボッス

ボッス王国の国王。
王様ランキングは7位で巨人族の戦士。
凄まじい剛力を誇る。
魔物に襲われていた村をたった一人で救い、一代で王国を築ずきあげた英雄。
若い頃、魔神と契約し「寿命」と「後に生まれる息子(ボッジ)」の力を代償に、強さだけなら「王様ランキング1位」になる。
ボッジが非力になったのはこのせいである。
また契約のせいで病気になり、物語の初期に次期国王にボッジを指名して死去する。
ところが、ミランジョの暗躍によりダイダの体をのっとる形で復活する。
こうしてボッスは二人の息子を生贄にしてしまった。
ボッスにはミランジョに対して複雑な思いがある。
自分では真の意味で彼女を救えなかった、自分がいるせいで彼女は苦しんでいるのではないかと苦悩する。
最後は息子ボッジに完敗し身体をダイダにかえし本当に死去する。

ヒリング

ボッス王国の王妃。
ダイダの実母でありボッジとは義母の関係。
初当場時はきつい性格でヒステリックな言動が多く見られる、典型的な継母だが、その実態は心優しい女性。
元僧侶で回復魔法を使え、継子であるボッジに対しても惜しみない愛情を注いでいる。
嫁いできてすぐのころから、ボッジに対して愛情深く接し、ダイダを妊娠してからも「お兄ちゃん」と接していた。
回想シーンではボッジと仲良くなるためにいろいろ苦心したり、仲良くなって追いかけっこで遊んだり、泣き声に反応してすぐ駆けつけるなど。
普段のきつい物言いや、ボッスの死後の遺言に背いてまでダイダを次期国王に押し上げたのも、すべてボッジへの愛情から。
体も弱く耳も聞こえない、その上人望もないボッジではとても国王の重圧に耐えれないという慈愛の心からの行動だった。
ボッスが復活した後は息子(ダイダ)の体を取り戻すためボッスと決別する。
とにかく、聖母とはこの人のことではないかと思うほどに、息子たちを愛している。
実子はもちろん正妻との子であったボッジに対しても愛情深く接する。
それは息子たちだけでなく、関わり合う全ての人間動物、魔物にすら与えられる。
彼女の回復魔法のおかげで命を救われたものは多く、回復魔法を使うためには苦い薬を飲まなくてはならなくても迷わず飲み干す。

シーナ

ボッス王国の前王妃。
巨人族の女性でボッジの実母、作中ではすでに故人。
王妃として優しさを持ちつつ戦士としての勇猛さを持った彼女は、ミランジョ(後述)の合図で放たれた無数の矢からボッジを庇い死亡した。
物語後半には、賽の河原のような死者の生き別れの場所でミランジョと立ち会うことになる。

ドーマス

ボッス四天王の一人「ソードマスター」。
騎士団の剣術指南役であり、ボッスの強さに憧れた「剛の剣」の使い手。
その剣の腕を見込まれボッスからボッジの教育係に任じられるが、ボッジの非力さに諦めをついており放任状態であった。
ひょんなことからダイダと試合をすることになり彼の才能に惚れ込んでしまう。
そして次期国王の投票でダイダに投票する。
しかし、その事をボッジに対する不忠だとダイダにとられ、その失地回復のためにボッジ暗殺の令を下される。
かくして王位継承権を失い旅に出たボッジ王子を崖から突き落とすことに成功する。
その後は国を抜け、ホクロ(後述)と共に冥府に向かう。
ホクロにボッジ暗殺がバレた際には自責の念から手を差し出す。
後に強くなったボッジを目の当たりにし、今度こそ自分は間違えないと新国王に協力する。

ベビン

ボッス王国四天王のひとり「蛇使い」。
デスパー(後述)に師事を受けていたことがある、多数の蛇を使役して王国では諜報の任に就いている。
あきらかに悪人面だがその実は情に厚い性格で、蛇達にも愛情を持って接している。
ダイダの教育係であるがボッジのことも相応に評価している。
ボッジが旅立つ際にはデスパーへの紹介状をカゲに託した。
その後、ダイダの命を受けてアピス(後述)の暗殺を試みるが失敗。
返り討ちに遭って重傷を負い、瀕死のところを蛇に助けられ療養に入る。
後半は療養に入っているため大きな動きはないが、対ボッス戦には間に合い四天王が揃う。

アピス

ボッス王国四天王のひとり「王の槍」。
長尺の槍使いで、王の護衛を務めている。
元々臆病な性格だったが、ミランジョによって克服し四天王の地位まで登りつめたという過去がある。
そのため、ボッスとミランジョに大きな忠誠を誓っている。
だがそれは精神が繊細であるための依存でもある。
アピスはミランジョへの忠誠をすて切れない、最後の時も彼女の助命を懇願してしまう。

ドルーシ

ボッス王国四天王のひとり「王妃の盾」。
禿頭の巨漢で、四天王最強と称される実力者。
その力と性格を見込んだボッスより王妃の護衛に任命される。
常に鎧を着こんでいるためか足は遅い。
しかしパワー・タフネスともに高く、ヒリング暗殺のため送りこまれた魔獣を一人で撃退する。
ヒリングとボッジが仲良く遊んでいる思い出でもあるため、ヒリングの行動に一定の理解をしている。
遅い重い強いという重戦車タイプそのままで、王妃ヒリングをまもり、また彼もヒリングの回復魔法で助けられる。

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