異世界居酒屋「のぶ」(蝉川夏哉)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『異世界居酒屋「のぶ」』は、蝉川夏哉によるライトノベルを原作とし、コミカライズ・スピンアウト・アニメ・ドラマと多岐にわたるメディアミックス化をしている。異世界転移というジャンルではあるが、経営している居酒屋の入口が異世界に通じ現代日本の料理と酒で異世界の人々を癒すという異世界転移にグルメジャンルを取り入れた異色のストーリーだ。帝国の古都アイテーリアにある居酒屋「のぶ」。そこはアイテーリアの人々が見たこともないようなお酒や料理を出し訪れた客を暖かく癒やしてくれる不思議な居酒屋だった。

ロドリーゴ

温かい食事を食べその味に懐かしさを覚える。

とある目的のためアイテーリアへやってきた魔女狩りをしていると噂の大司教。
しかしその実際は自身の失敗をイングリドに負わせてしまったことを謝るために、酒と甘いものが名物の土地や魔女が現れたと聞けば駆けつけるということをしていただけだった。ちなみに当時は背が低いことを気にしてミルクをよく飲んでいたが、今は縦にも横にも大きくなっている。
しかしダミアンの企みにより利用され居酒屋のぶにやってきたところ、イングリドに再会した。
謝りたいという気持ちは本当であったが、立派になった自分を見てもらいたいという気持ちもあり、枢機卿選挙で戦い抜く活力が湧いてくる。しかし、ダミアンから贈られた内側に鉛の張ってあることをイングリドから指摘され、更に彼女から枢機卿なんて地位を目指さず隠居を勧められたことにより肩の力が抜けたのか枢機卿の選挙は諦めることになる。

その他の人々

バッケスホーフ

料理が出せないと言われた後に店ごと買い取ると言い出す傲慢な性格。

CV:大塚明夫
演:篠井英介

バッケスホーフ商会を運営している上、市参事会の議長であるアイテーリアの最高権力者と呼べる存在。
居酒屋のぶが禁止されているラガーをトリアエズナマとして販売していることをたてに取り、居酒屋のぶを買い取ることとシノブやヘルミーナを妾としてよこせと言ってきた。
その時すでにベルトホルトと婚姻していたヘルミーナに婚姻なんてどうにでもなる上、ラガーの販売は死罪だと告げる。
先手を打って教会にベルトホルトとヘルミーナの婚姻無効調査願いを出し、元々1度食いついたら骨までしゃぶると評判だったゲーアノートを調査担当にしてきた。
しかしながらバッケスホーフの意思とは反対にゲーアノートが正当な調査をしたことと、先帝がラガーに関する制度を廃止したことにより逆に自分が罪人として破滅することになる。

ダミアン

彼は居酒屋のぶの料理を食べたことはない。

CV:井上和彦
演:梶原善

居酒屋のぶ初来訪時はブランターノに仕えていたが、次にバッケスホーフに仕え、更にロドリーゴに仕えた。
ブランターノに仕えていた際、シノブに強引に店を貸切にするよう上から言い放つが、シノブが拒否するとゴロツキをのぶの店先に待機させ物理的に貸切状態にさせる。
そしてそんな手口が気に入らなかったブランターノから解雇を言い渡される。自分の解雇は居酒屋のぶのせいだと思うようになり、復讐することに執念を燃やし色々と悪い企みを働かせていた。
バッケスホーフが捕まった時は我先と逃げだし事なきを得たが、ロドリーゴの時は上手くいかず思わず居酒屋のぶの裏口から逃げ出し永遠と続く鳥居から逃げ出せなくなった(白狐によるお仕置き)
その後アイテーリアに戻ってきたが捕縛された。

塔原

タイショーの師匠。

料亭ゆきつなの板長。
興信所にて居酒屋のぶの場所を知っており、シノブの父や母も知っているとタイショーにつげる。
迷っていたタイショーに対して「守・破・離」の教えを伝えてタイショー自身で悩みを解決することを後押した。
そして意外と洋食も嗜み、タイショーに対してアヒージョを作ってくれと注文し、タイショーをあんぐりとさせる。

白狐

居酒屋のぶの料理に満足げ。

CV:下田麻美

居酒屋のぶの近所にある稲荷神社に祀られている神の使い。
倉稲魂命のお力で向こうの土地につなげた。アニメでは居酒屋のぶに訪れその料理に満足し、シノブが賽銭箱に入れた1万円で会計をしており、シノブを驚かせる。
居酒屋のぶの面々が神棚に油揚げをお供えしていたところ、エーファはそれを物珍しく思い尋ねた。しかしその神棚から油揚げを一匹の狐が咥えて裏口から逃げてしまう。裏口には絶対出るなと言われていたエーファだったが、神様に供えられた油揚げを取り戻すため狐を追いかけるとそこは異世界だった。
迷いに迷った末、神棚と似た雰囲気の神社にやってくると例の狐が彼女の前に現れその神通力でエーファをアイテーリアに戻してくれた。

『異世界居酒屋「のぶ」』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

バッケスホーフ事件

嵐の前の静かさ。
そう感じてしまうほど客がやってこない嵐の日にその人物達はやってきた。
以前も自分勝手な態度をとっていたダミアンと彼が連れてきたバッケスホーフと名乗る男。彼らはトリアエズナマを注文をすると互いに何かを確かめあうような言葉を交わす。
そして彼は居酒屋のぶを買い取ると言い放ち、更には給仕をしていたシノブやヘルミーナを妾として世話してやるとまで言い出した。
彼女を渡す代わりに店で提供しているトリアエズナマが製造流通が禁止されているラガーであることは黙ってやると交換条件を出す。
アイテーリアでは先帝が禁止しているラガーの販売は死罪。
教会にはベルトホルトとヘルミーナの婚姻無効調査願いが届けられ、激昂するベルトホルトと怯えるヘルミーナ。
先帝に話は出来ないかと模索するが、それより先にバッケスホーフの方が行動が早いだろうと判断するエトヴィン。
その言葉に皆に迷惑をかけるぐらいならば、とシノブはのぶを閉めることを考えるが、タイショーがひとまず夜だけは店を開けようとシノブに言う。
常連客であるホルガーが店にやってきた。
市参事会合での話し合いを伝えにきてくれたのだ。
そして水運ギルドの3人がのぶの味方に回ってくれたこと、ローレンツもホルガー自身ものぶを守ろうと意見を出した。しかしバッケスホーフの方が先手を打っており、市参事会での調査対象に決まっており、しかも担当はゲーアノートである、と。彼も常連客ではあるが、市参事会からの直々の仕事で功績をあげれば将来も安泰なのでゲーアノートも敵に回るだろうから、もし身を隠すあてがあるなら準備をしておいた方がいいとのアドバイスを告げてくれる。
シノブとタイショーは話し合う。別にアイテーリアの方で店を閉めてもまたあちらで出せばいいと、シノブは言うが、タイショーは真っ直ぐな目で言う。
「色々な人がこの店を助けようとしてくれている。お客様が来てくれる限りはここで店をやっていこう」と。

それからは噂を聞いた客やのぶの料理や酒が味わえなくなる、と多くのお客さんが来るようになった。
そうこうしていると市参事会の使いがやってきて、明朝居酒屋のぶにいるようにとの届けが来る。

翌朝、バッケスホーフとダミアン、そしてゲーアノートがやって来た。
ゲーアノートの調べではかなりの量のラガーが密輸されていたとの調査結果がでる。5年で37樽のラガーが。
しかしたった37樽では少ない!とバッケスホーフはバカにするが、ゲーアノートは絶対に流通してはいけないラガーが37樽も外に漏れていることはかなりの量だと反論する。
37樽の内30樽はオイリアへ密輸されていることがわかり、更に6樽は帝国の南に運ばれたこともわかった。では残りの1樽はアイテーリアに渡っており居酒屋のぶはその1樽で営業していた!とバッケスホーフは言い張る。
そこでゲーアノートは「いくら混ぜ物をしていたとしても一口飲んでラガーだとわかるほど味が残っているものなのか?」とバッケスホーフに問い詰めた。
追い詰められたバッケスホーフは「居酒屋のぶのエールを飲めばラガーだとわかる!トリアエズナマを持ってきなさい!」と言うが、ゲーアノートはそれを断った。何故なら「ラガーを一滴も飲んだことがない自分が飲んでもわかるはずがない」から。
更にゲーアノートは疑問を口にする。
「バッケスホーフさん。貴方は何故ラガーの味をご存じで?」
呆然とするバッケスホーフにゲーアノートは調査結果の続きを伝えた。
「残りの1樽の行方…バッケスホーフ商会に納入されたところまでは分かっているのです。あとはどなたの口に入ったのか…」
そこまで聞くとダミアンはいち早く走り去っていった。ゲーアノートは小物は放っておき、タイショーに指示を出す。
「詰所まで衛兵を手配してくれませんか。罪人がここにいるとね」
バッケスホーフはガクリと膝を折った。シノブが感動している側でゲーアノートは高らかに宣言した。
「さぁ、今日は忙しくなりますよ。会合で決めねばならない事がたくさんありますから。バッケスホーフ議長の後任も含めて…ね」

その後、心配をかけてしまったお詫びとして常連客を招いて宴を開く。
無事にこれからも居酒屋のぶが営業出来ることに喜ぶ面々。
ベルトホルトはゲーアノートがこの短期間でよくあれだけの情報を調べたと感心をし、今夜は来れない彼のことを残念に思いながら称えた。
それに答えるようにローレンツが、短期間であれだけの情報を集めた情熱の理由がナポリタンを食べたいという理由だったことを言う。
そんなところに教会の使いがエトヴィンに至急の届け物を渡しに来る。
それはエトヴィンが骨を折って取り寄せた教導聖省枢機卿、つまり教会の最高権威からの婚姻確認状だった。バッケスホーフがベルトホルトとヘルミーナの婚姻に対して裏で小細工していた時のために入手していたのだ。無駄にはなったがせっかくだから記念にとっておけと言うエトヴィンに感動してベルトホルトとヘルミーナは抱きしめ合い婚姻が無効にならなかった幸せを喜び合う。
無駄になったといえば、という話の流れからそれぞれが居酒屋のぶを守るために奔走していたことがわかる。
ハンスはノブの減刑を求める署名を118人分集め、ニコラウスは以前付き合っていた酒造関係の彼女や未亡人に土下座までして証文を作ってもらおうとしており、ローレンツはバッケスホーフ派の参事会員一人一人に「ノブを潰すな」と訴えて回り、ホルガーは「ノブを潰そうとするなら取引先を変える」と脅しをかけ、ゴドハルトとラインホルトとエレオノーラは居酒屋のぶが買い取られないように資金の準備をしており、エーファは毎日神棚にお祈りをしていた。
そんな皆の気持ちが嬉しくて、シノブはタイショーに泣きそうな笑顔で言う。
「私たちこの街に店が出せて本当によかったね」
タイショーも柔らかく微笑みを浮かべる。
そして常連客達は今日はノブにとってめでたい日だと笑いながらトリアエズナマを飲み交わしていた。

魔女狩り騒動

話は今より前に遡る。
ノッポの尼とチビの学僧がいた。2人にとある大役が回ってきた。それはサクヌッセンブルク侯爵への饗応役だ。ノッポは酒と甘味、チビが料理の担当だった。
2人は最高の酒に最高の料理を用意する。ところが一番の目玉料理にきのこを使ってしまった。サクヌッセンブルク領はきのこが禁忌だと言うことを調べ忘れていたのだ。サクヌッセンブルク侯は怒りはしなかったが誰かが責任をとらなければならない。そこでノッポの方が「魔女になる」と残し姿を消した。
これが魔女狩り騒動の始まりの出来事。

魔女狩りを行なっている大司教がアイテーリアにやってきたという噂がたった。
それと近い時期に居酒屋のぶは魔女の店だという噂も広がっていた。

これは全てはダミアンの企みである。元々ロドリーゴ大司教が魔女探しをしていることを利用してダミアンは居酒屋のぶを魔女の店として魔女狩りの対象にさせるつもりであった。
しかし彼の思惑とは別に魔女が居酒屋のぶにいるとダミアンから聞いたロドリーゴはすぐさま居酒屋のぶに行くと言う。色々な裏工作をする前に行くことになったため慌てるダミアンだったが、なんとか居酒屋のぶを嵌めるためにロドリーゴと一緒に居酒屋のぶへ向かったのだった。

今日も今日とて、酒を呑んで酔い潰れているイングリドが居酒屋のぶにいた。しかしその姿はどこか憔悴しており、弱音らしきこともタイショーやシノブに言っている。
いざとなったら俺が出るとタイショーは言うが、そんな時にダミアンとロドリーゴがやって来た。
ダミアンは早速居酒屋のぶに対する魔女疑惑を口にしシノブを追い詰めるが、そこに笑いながらイングリドが口を挟む。
「私こそ魔女さ。正真正銘のね」
だがそれでも自分は教導聖省の信徒だと言う。
そこでイングリドとダミアンは激しく口論になるが、それを止めたのは大司教であるロドリーゴであった。
元々ロドリーゴの目的は自分の失敗を庇って魔女になると残して姿を消してしまったイングリドに謝るため魔女探しをしていたんだ、と。
魔女狩りを行なっている大司教など元々おらず、魔女を探して謝りたいロドリーゴしかいなかったのだ。
何年かかっても酒と甘味のある場所に魔女が現れたと聞けばその地に赴きイングリドを探していたロドリーゴ。
しかし納得のいかないダミアンは諦めずに居酒屋のぶは魔女の店だと喚くが、ロドリーゴに諌められ自分の計画がまたもや失敗したことを悟ると逃げようとする。
入口は抑えられ逃げられず思わず裏口から逃げ出したところいつもの商店街とは違う景色が広がっていた。
驚くシノブだったが再度裏口を開くといつもの商店街の風景が広がっており、シノブは首を傾げる。

こうして元チビだった青年はノッポと再会を果たすのであった。

『異世界居酒屋「のぶ」』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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