異世界居酒屋「のぶ」(蝉川夏哉)のネタバレ解説・考察まとめ

『異世界居酒屋「のぶ」』は、蝉川夏哉によるライトノベルを原作とし、コミカライズ・スピンアウト・アニメ・ドラマと多岐にわたるメディアミックス化をしている。異世界転移というジャンルではあるが、経営している居酒屋の入口が異世界に通じ現代日本の料理と酒で異世界の人々を癒すという異世界転移にグルメジャンルを取り入れた異色のストーリーだ。帝国の古都アイテーリアにある居酒屋「のぶ」。そこはアイテーリアの人々が見たこともないようなお酒や料理を出し訪れた客を暖かく癒やしてくれる不思議な居酒屋だった。

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ニコラウスもまた自分の道を歩み出すことになる。

衛兵だったハンスが、居酒屋のぶへと料理人として転職してから少し経った頃のこと。
元同僚であったニコラウスは居酒屋のぶへ向かう途中、ハンスと出会う。
料理人の格好もだいぶ板についてきたと言うニコラウスにハンスは嬉しそうに笑う。
居酒屋のぶへと入店するとカウンター席へと案内され、メニューに悩みながらもニコラウスはトリアエズナマを注文し一気に飲み込む。
ニコラウスの飲みっぷりにハンスは良い飲みっぷりですねと言うと、ニコラウスはニヤと笑いながらちゃんと店員しちゃってぇ〜と揶揄う。
そしてハンスの仕事っぷりに目をやりながらニコラウスは思った。

「ノブで働くと聞いた時はどうなる事かと思ったけど、それなりにちゃんとやれてるじゃないの。手先も器用だし、ちょっとばかり気の優しすぎるところもあるお前にゃ、少なくとも剣を振り回すよかこっちの方が性に合ってるだろうな。…オレには何が向いているんだろ。」

「ま、それはさておき。さてハンス!今日の″オススメ″は何だ?」
ニコラウスは悩んでいたことを顔にまったく出さずに笑顔でハンスに聞く。
「今日はコナベダテ…いや、ブリダイコンがよく炊けてますよ」と答えるハンス。
その答えにニコラウスは満足して注文をする。
元傭兵で居酒屋のぶに縁を感じ給仕として働くことになったリオンティーヌの提案で酒はクロウシのヌルカンを合わせて注文した。次々と注文をとっていくリオンティーヌの姿に、ハンスと同時期に入ったのにソツなくこなしているとニコラウスは感心する。
その様子にハンスはもじっと居心地が悪そうな顔をした。それを見てニコラウスはクスと笑う。
ハンスはタイショーに確認をしてからニコラウスにブリ大根とクロウシのヌルカンを出す。
「これはハンスが?」とニコラウスは聞くがハンスは恥ずかしげにまだ盛り付けだけですと答える。その答えにニコラウスは満面の笑顔で大したものだ、と褒めた。
そうですか?と照れるハンスにニコラウスは「料理に厳しそうなタイショーが客の口に入るものを任せてくれてるってことだろ。自信を持っていい!もしオレが剣を包丁に持ち替えてもこんなにすぐに厨房には入れてもらえないさ。タイショーがお前の事を認めてるってことだろ。安心しろよ」続けて言う。
その言葉に僅かに自信をつけたような顔をするハンスを見てタイショーも優しい顔をする。
ありがとうございますと言う彼にニコラウスはまた揶揄うように笑いながら、ホンット真面目な、と返した。
そのあとニコラウスは出てきたブリ大根を口に運ぶ。
相変わらずの美味さだ。ブリ大根と料理に合う酒を飲みニコラウスは満足な表情をした。
「思えばノブに来るまでは魚なんてほとんど食べなかったのにな…。今ではすっかり…、煮物でも生でも好物になっちまった!」
と笑顔でブリ大根に舌鼓をうつ。
この時、居酒屋のぶのメンバーはヘルミーナの代わりにリオンティーヌが給仕になり、ハンスが厨房に入るという変化があったが、ニコラウスはやっぱりノブはノブだなと言い、続けて言葉を重ねた。
「店員が客に合うオススメを選んでくれて、美味しい飯と酒をさらに美味しくしてくれる!あの時ノレンを潜った時からずっと変わらないままだ」
ニコラウスの言葉にタイショーは照れたような顔をし、最初の頃からの常連客であるニコラウスにそう言われるのはありがたいと告げる。
他の客には小鍋立てが提供されているのをチラリと見てニコラウスはハンスに聞いた。
なんで自分にコナベダテじゃなくてブリダイコンをオススメしたんだ?と。
それにハンスはすぐに「そりゃだって、コナベダテは"1人用"ですからね」と答える。
ハンスのこの言葉にニコラウスはますます不思議そうな顔をした。そこへ1人の客が入ってくる。その人物は水運ギルドの鳥娘の舟唄マスター、エレオノーラだ。
水運ギルドの人だぐらいの認識で彼女を見るニコラウスだったが、エレオノーラが自分の隣の席に案内されて思わずギクッとする。
隣にやってきたエレオノーラは、ニコラウスが隣の席だと気付くとまた会いましたねと挨拶をしてきた。
どうもと返すニコラウスだったが慌ててハンスに彼女と知り合いだったっけ?と確認するが、ハンスはニヤニヤしているだけで答えてくれない。
その間にエレオノーラもオススメの料理を尋ね、ブリ大根をオススメされる。ブリ大根がテーブルの上に置かれるとエレオノーラは困ったような様子でブリが魚だと知らなかった、美味しそうだが上手く食べれるかと言ってニコラウスを見た。
「″また″手伝って頂けるかしら。色男さん」
クスと笑うエレオノーラにニコラウスは衝撃を受けるが、すぐさまとあることを思い出す。
以前自身がとても酔っ払った時、居酒屋のぶでエレオノーラが秋刀魚を上手に食べられずにいたので自分が彼女の上手くとれなかった秋刀魚の身を取り分け、更にお節介にもオススメの料理である秋刀魚ご飯を食べさせていた事を。そして最後には「お姉さん美人だからまた美味しいもの教えちゃいますよ」と言っていた事を。その時ニコラウスは相手がエレオノーラだと分かっていないままお節介を焼き口説いてしまったのだが、彼女から「色男さん。機会があればまた会いましょう。次も美味しい料理を教えて頂きたいわ」と言われていた。
その出来事を一気に思い出しニコラウスは真っ赤になり拳を握る。そもそもハンスはエレオノーラが来る事を知っていて自分にブリ大根をオススメし、更にさりげなく自分の隣の席はずっと空席になるように他の従業員がしていたことに気付いた。
焦りながらニコラウスはすぐさまエレオノーラに自分が以前差し出がましいマネをしてしまったことを謝罪をする。そんなニコラウスにエレオノーラは笑顔でとんでもない、美味しい食事ができて良かったと答えてくれた。
それで彼女が怒っていないことに安堵するニコラウスだったが、厨房にいるハンスをはじめノブの看板娘であるシノブや給仕役もしていた少女エーファもニヤニヤと自分を見ていることに皆グルだったんだなと、まんまとしてやられた気持ちになる。
タイショーが若干気の毒そうに割り箸と小皿いるかい?と聞いてそれらを渡してくれた。ニコラウスは受け取るとブリを綺麗にとりわけてエレオノーラに渡す。
エレオノーラはありがとうとお礼を言うと何と呼べばいいのかと尋ねてくる。ニコラウスですと自己紹介した。そして彼女がブリ大根を食べ始めようとした時に、リオンティーヌがジェスチャーでニコラウスに酒の紹介をと伝えてくる。
ニコラウスははっと気付くとエレオノーラに良く合うお酒があるからオススメしていいかを聞いた。エレオノーラはぜひと答え、クロウシのヌルカンを彼女に持ってきてもらえるよう、ニコラウスはシノブに注文する。
がそこでエレオノーラはシノブに「オチョコは2つ、お願いしますわ」と1つ追加のお願いをした。
そのお願いにニコラウスはじっとエレオノーラを見つめ、彼女はニコリと笑う。
居酒屋のぶの従業員達が笑いながら自分達を見守っているのを感じる.。
「なんだかまるで、オレ自身が″オススメ″されてるみたいな…。でもま…それはそれで…」とニコラウスはエレオノーラとお猪口をカチンと合わせながら思ったのだった。

『異世界居酒屋「のぶ」』の用語

居酒屋のぶの世界観

居酒屋のぶが繋がった異世界の国について

居酒屋のぶの入口が繋がった世界は中世ヨーロッパのような世界。
そして帝国と呼ばれる国の北に位置する城壁の古都アイテーリアと呼ばれる街の馬丁宿通りの奥にある場所にひっそりと繋がった。
アイテーリアは歴史と伝統の溢れる街であり帝国直轄領でもある。治めているのは貴族ではなく商会のギルドマスターや有権者達による″市参事会″であり、居酒屋のぶが開店した当初はバッケスホーフ商会のトップが議長を務め絶大な権力を握っていた。
更にアイテーリアの位置は帝国の内地になっており北から流れているベルフラウ河で流通をしていたが、アイテーリア北部の貴族達が下流に通行税を課したことと北方三領邦との相続問題により徐々にアイテーリアの流通は難しいものになっていく。特に冬になると食料が一気に少なくなり、この季節にアイテーリアを訪れた者達やアイテーリアに住んでいる者ですらもうじゃがいもは食べたくないと言うほどじゃがいもばかり食べることになる。
しかしこれも居酒屋のぶが開店した当初の話であり、物語が進むと帝国先帝が内政問題で揉めていた北方三領邦との会議を成功させたことにより北方分断の危機は回避された。これにより治安が良くなったため新しい水路を作る計画が持ち上がり一気に水上による流通が復活しようとしている。

帝国周辺の国々。

帝国の周囲には様々な国がある。
隣に位置する大国である東王国オイリアをはじめ、連合王国ケルティア、聖王国ルブシア。
それぞれに抱えている密偵にも呼称があり、オイリアは奇譚拾遺使、ケルティアは外套と短剣、ルブシアは法皇の長い手。
勿論帝国側にも密偵組織がありその名は硝石収集局と呼ばれている。

特にオイリアは南から西の一帯が帝国と接しているため数百年間もの間覇権争いが絶えない間柄でもあった。隣国という関係上、居酒屋のぶの登場人物の中にもオイリア出身の者は多い。
オイリアは現在幼王ユーグが治めており、即位した年齢があまりにも幼かったため彼の姉であるセレスティーヌが摂政宮として幼い弟王を支えている。

日本と確実に違う点

中世ヨーロッパのような世界ではあるが、日本と確実に違うことがある。
それは月が2つあるということだ。
大きな月を″雄月″、小さな月を″雌月″と呼び、合わせて″双月″と言われている。
この世界の星に関しては最新の学説では周転円という仮説が有力だとこと。
タイショーとシノブはこの星に関する話を聞いて地動説や天動説のことか?と頭の上にハテナを沢山だしていた。

居酒屋のぶの料理

トリアエズナマ

日本で普通に提供される、いわゆるジョッキに入れられたビール。
のぶで提供しているものはラガーだが、正しい種類は「ビルスナー」である。

イツモノ

居酒屋のぶ常連客の好物をシノブが覚えていて出してくれる。
シノブお任せになってしまうこともあるが、彼女の鋭い観察眼から出される料理のため食べたことのないものが出てきても食べれば一気に好物になる。

おでん

オーディン鍋という名前になって、アイテーリアにて流行した。

ハンス、またはハンスのアレ

ハンスが初めて創作した料理だが、タイショーやシノブからは「餃子」と言われている。

アイテーリアの風習など

護符

居酒屋のぶに持ち込まれた護符は、「出会いの護符」。
願いが果たされたものは一般的に占事や呪術に長けている薬師、所謂魔女に託すことになっている。

サクヌッセンブルクの仕来り

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