青のフラッグ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『青のフラッグ』とは集英社のWebサイト『少年ジャンプ+』に掲載されたKAITOによる漫画。人生の岐路とも言える高校3年生の4月、地味な主人公・一ノ瀬太一は苦手意識を持っていた空勢二葉、幼馴染で人気者の三田桃真と同じクラスに。桃間に思いを寄せる二葉が、太一に協力してほしいと頼んだことから始まる青春真っただ中、新感覚の”純”愛物語。誰かを好きになるとはどういうことなのか、男女の友情は成り立つのかといったテーマに深く切り込んでいる。
『青のフラッグ』の概要
『青のフラッグ』とは2017年2月1日から『少年ジャンプ+』(集英社)で連載が開始されたKAITOによる漫画。2020年4月8日に最終話が配信された。全54話で完結。コミックは全8巻。2017年の第3回次にくるマンガ大賞におけるWebマンガ部門3位を受賞。
高校ラクロス部の物語「クロス・マネジ」、甲子園を目指す高校球児たちの「バディストライク」などで青春ものを描いてきたKAITOによる、ジャンプ作品としてはいまだかつてない純愛物語。主人公・一ノ瀬太一とその仲間たちが、恋や友情、進路に悩み迷いながらも成長していく。
地味で目立たない主人公・太一が、幼馴染で明るく学校一の人気者・桃間(トーマと)同じクラスになったところから物語が始まる。子供の頃は手を繋いで遊びに出かける程仲の良かった二人。しかし、自分との性格の違いに溝を感じて、太一はトーマとの距離を取るようになっていた。にもかかわらず、以前と変わらず接してくるトーマに太一は戸惑っていた。ある日太一は、トーマに思いを寄せる二葉から恋の相談を受けることになり、これをきっかけに太一とトーマの距離感も変わっていく。高校生活最後の1年の男女間の恋愛と友情、同性への感情、将来への迷いを本音でぶつけあう若者たちの青春を描いている。
読者から高い評価を受けているのは、表情や視線などで言葉にできないような感情を表現している点である。これは作家本人も、天望良一によるインタビュー作品「ヒット作のツメアカください!」の第13回で、「説明セリフを少なくして読者の人に察してもらうような表現を使っています キャラの表情だけで感情を読み取ってもらえるように」と答えている。また、作品の中で語られた言葉が本心を表す伏線が張られているという巧さも評価されている。本作は性別を問わない恋愛や友情について様々な価値観を表現している点でもネット上で様々な議論が交わされた。
『青のフラッグ』のあらすじ・ストーリー
高校3年生の始まり
高校3年生となった一ノ瀬太一は小学校からの幼馴染・三田桃間(トーマ)と同じクラスになった。目立たず人と接することが苦手な太一に対して、見た目も良くスポーツ万能、何でも平均以上に出来て、スクールカーストのトップにいるトーマ。小学校時代の二人はとても仲が良かったため、トーマは以前と変わらない明るさで太一に接してくるのだが、太一はトーマに劣等感を抱いていた。同じクラスには1、2年も一緒だった空勢二葉もいた。どんくさくていつも俯いている二葉の姿が自分に重なり、太一は二葉のことが苦手だった。
ある日、立ち寄った本屋で太一は高い位置にある本を取ろうとしている二葉を見かけ、迷った末に声をかける。その時太一は、二葉に好きな人がいることを知ってしまい、その相手がトーマだと知る。昔ほど仲良くないから協力は出来ないと言う太一に、二葉はその頃のトーマのエピソードを訊ねるのであった。
翌日、小学校時代の話を聞いた二葉は、持ってきたバトル鉛筆を太一に見せた。そこへトーマが現れため、太一は3人で遊ぶことを提案し、結果的に二葉に協力をすることになってしまう。二葉からトーマの好みの髪型を聞かれた太一は、バッサリとショートにするぐらいでないと変化には気が付かないだろうと一般論を言い放った。
すると次の日、二葉は長かった髪をショートにしてきた。それを見たトーマも似合うと褒めるが、太一は自分が何気なく放った一言で髪を切ってしまった二葉に驚きと責任を感じて声を荒げてしまう。太一は二葉にトーマの好みは二葉とは全然違うタイプだと言う。しかし二葉は、嫌いな自分でいつづけるのはやめると決めたから頑張るんだと太一に告げた。
変わると宣言した二葉に協力をすることにした太一は、偶然を装い二葉とトーマをデートさせることを思いつく。太一はトーマを、二葉は親友の伊達真澄をそれぞれ誘い、映画館で落ち合った。太一は真澄を連れ出して、二葉とトーマを二人きりにするが、協力的だと思っていた真澄は、二葉を振り回すな、傷つけたら許さないと言う。更に真澄は「あんた三田桃真に好きな人がいることも知ってるんじゃないの?それも関係ないっていうわけ?」と追い打ちをかける。一方でトーマは、太一が二葉を好きだと思い込んでおり、二葉に「空勢さん、タイちゃんのこと、好きだったりしねぇ?」と問いかけた。そんな時、トーマと二葉の元へ太一が戻って来たが、険しい表情でそのまま理由も言わずに帰ってしまう。
翌朝、真澄は太一に言い過ぎたと謝罪。太一の席には二葉からの手紙が置いてあった。トーマが二葉との関係を誤解していると知った太一は、二葉とはもう関わらないと返事をした。しかし、泣きながら太一と友だちでいたいと言う二葉に押され、自分の二葉への恋心を押し隠しながら再び側にいることにした。
同じ頃、トーマは真澄を呼び出し屋上にいた。トーマは、真澄が太一に何をしたのか聞きだすつもりが、逆に自分の気持ちを言い当てられてしまう。「あんたの本当に好きな人って…」と言いかけた真澄に「まさか、それ太一に言ったのか!?」と慌てるトーマ。すると「言ってない。でもやっぱりね、あんた私と一緒ね」と返す真澄だった。
ある日、太一は真澄の姿を駅で見かける。彼女は付き合っていた彼氏と別れたばかりだった。太一は「好きじゃねーのに付き合ってたの?」と問う。すると真澄は「だから別れたのよ。」と答える。そして、「ねえ、異性に恋するってどんな感じ?恋と友情ってどう違うのかしら」と問う。太一が一緒にいてドキドキするかだと答えると、真澄は「二葉といるとそんな感じなんだ。あんた好きでしょ?二葉」と言う。太一は慌てて、二葉はトーマのことが好きで、自分は二葉のことは好きではないと否定する。すると、「じゃああんたは性対象との友情、男女の友情は成り立つってことか。じゃあ、同性同士の恋愛は?もし私が二葉を好きって言ったらあんたどうする?」と太一に問いかけるが、遠くにいる子供の転ぶ姿が目に入った太一が助けに行ったことで話はそこで途切れてしまう。
最後の夏休み
夏休みとなり、二葉は野球部の練習中のトーマに差し入れをしたいと言った。それに付き合う太一。しかし、そこには既に同じクラスでトーマを好きなマミがおり、野球部全員に差し入れしており、トーマの分しか用意のない二葉は自分では渡せず太一に託して帰った。
しばらくして高校野球の地方予選の試合が行われた日、太一たちもトーマを応援するためにスタジアムに駆けつけていた。帰宅時、太一は引かれそうな猫を捕まえようと車の前に飛び出してしまう。太一も猫も無事だったが、太一を助けようとしたトーマが骨折して入院。トーマは次の試合に出場できなくなってしまう。トーマの子供の頃のからの夢が野球選手だと思っていた太一は、自分のせいでその夢が叶わなくなったと落ち込んだ。そんな太一に「夢なんてどうでもいいんだよ!お前より大事なものなんてあるか!」とトーマが言う。
野球部の試合を2人で見たいという伝言を聞いた太一はトーマの病室に来ていた。試合は相手校がリード。トーマは最終回の間、手を繋いでいて欲しいと太一に頼む。結局、試合は負けてしまい太一はボロボロと涙をこぼしながらトーマに謝った。
毎日見舞う太一に対し、二葉は全く訪れなくなっていた。二葉も自分の気持ちの変化に気が付いており、ある雨の日に太一と手を繋いだことを真澄に告白していた。そこへ連絡が入り、二葉は太一と見舞いに行くことにする。病室ではトーマと兄の誠也が大声で言い争っていた。誠也に連れ出された太一と二葉は、トーマが大学に行かず就職して家を出ると言っていることが言い争いの原因だと知る。誠也はトーマの本音を聞きだすよう太一に依頼した。
退院祝いをトーマの自宅で行った時、誠也の妻・アキコが妊娠していることを知った太一。思い切って、トーマが好きな人はアキコなのかと聞くとそれは無いと答える。それならば急いで家を出る必要もないと言う太一に、トーマは自由に生きたいと答えた。
ある日、偶然に街で会ったトーマと二葉の目に花火大会のポスターが目に入る。ちょうど太一の誕生日なので真澄も誘い4人で出かけようと話をする。花花火大会当日、太一は二葉とトーマを二人にしようと企み、真澄に2人でジュースを買いに行こうと誘うが断られた。そんな太一の姿を見て、自分が一緒に行くと二葉がついてきてしまう。二人で歩きながら二葉は、これ以上トーマとのことに協力してもらわなくて良いと太一に話す。トーマへの気持ちは憧れで太一への好きとは違ったと告げる二葉。二葉の『トーマくんは、太一くんとは違って、付き合いたいとかそういう好きじゃないんだなっ…て』という言葉で、太一は二葉が自分のことを付き合う対象として好きだと思っていることに気が付く。ずっと気持ちを押し隠していた太一だったが、二葉の気持ちが分かり二人は付き合うことになった。
2学期
2学期が始まり太一と二葉が付き合い始めたことが知れ渡った。そこへマミが太一に急接近してきた。オメガ、モンちゃん、ヨーキーという3人のゲーム仲間とつるんでいる時でさえ、マミが絡んでくるようになったのだ。始終マミが太一と一緒にいることによって、太一と二葉が話す機会は減っていった。
ある日、女子たちが太一にマミについて忠告をしてきたので、話しかけてきたマミにそれとなく諭そうとすると、マミはただ友だちになりたいだけなのに自分が女だから問題なのかと太一に問い詰めた。
泣いているマミを見て、マミに惚れているケンスケが太一に詰め寄る。ケンスケが今でもマミを好きだから放っておけないと言うと、マミは「何で女として見るのよ!何で友達として見てくれないのよ!」と太一の手を取ってその場をその場を離れた。
偶然2人の姿を見てしまった二葉と真澄。2人に説明をすべく、太一・マミ・二葉・真澄の4人で店に入り話をする。マミは2人に、男同士なら手を引っ張るのは普通なのに男女ならダメなのか、男女なら何でも恋愛になるのかと言う。マミの恋愛観を聞いた真澄は納得し、勝手なイメージでマミが二葉との間を邪魔していると決めつけていたことを謝罪した上で、なぜ太一と仲良くしたいのかと聞いた。マミはトーマにふられたので、せめて親友になりたいと思ったことを打ち明けた。そして、太一が現在、トーマの親友のポジションにいるため、少しでも真似をしたいと夏休み明けから急激に太一に近づいたのだと本音を語った。店を出る時に太一は二葉に心配をかけたことを謝り、「お前と一緒にいる時間が一番大事だから」と話す。
文化祭の出来事
文化祭が始まったその日、真澄は街中でアキコに会い、自分が好きになる人は普通ではないと告白していた。関係ない他人にどう思われようと関係ないが大切な人だけは別だと。それを聞いたアキコは、その秘密は罪でも弱点でもなく、自分の選んだ最善に対して相手がどう評価するかは相手の問題だと話す。
一方、太一とトーマは文化祭を一緒に回りながら進路について話していた。太一が器用で何でも出来そうなトーマを羨ましがっていると、自分のことを分かっていないとトーマは怒りだし「オレが今一番願う幸せって何だと思う?」と太一に問いかける。面食らう太一を置いてトーマは立ち去った。
その後、トーマがマミのいるファッション研究会に行くと、トーマにメイクをさせてくれと頼んできた。トーマは根負けし、二人はメイク中に話をしていた。マミはトーマに好きだと言い、もし同性であれば一番の友だちになれたのだろうか、トーマはこのまま自分と友だちでいるのはイヤかと聞いた。マミが必死に話し続けると、トーマは「好きな人がいる」と、自分のことを話す。それを盗み聞きしたケンスケがトーマに掴みかかった。二人のケンカは、体育館で二葉とともにライブを楽しんでいた太一の耳にも届くこととなった。
文化祭が終わる頃には、ファッション研究会で起きたケンカの原因となった「トーマが好き人は誰か」ということは学校中の噂になっていた。太一は自分で確かめたことだけが真実だと自分に言い聞かせていた。ケンカをしたトーマとケンスケに加え、2人の友人でもありその場に居合わせたシンゴも1週間の謹慎になっていた。そんな折、太一が帰り道で呼び止められて振り向くとそこには謹慎中であるはずのトーマがいた。しばらく黙り込んだ後、トーマは太一「好きだ」と告げる。「ずっと好きだった」そして「ごめんな」と太一に向けて呟いた。太一は驚きの表情を浮かべるだけで、トーマには何も言い返せなかった。帰宅した太一はご飯も喉に通らず、自室に引きこもった。太一はトーマがまるで知らないヤツみたいだったと悶々するのだった。
学校では女子たちがトーマと太一の噂話をしていた。彼女たちは二葉の存在が二人には邪魔だと喋っていて、それはロッカーの反対側にいる二葉にも丸聞こえだった。そこへ居合わせた真澄がドンとロッカーを叩き、彼女たちは去っていった。たまたまマミもやって来たため、マミは二人に文化祭の日の出来事を話した。トーマが自分の好きな人を教えてくれた時、ケンスケが入ってきたこと。ケンスケの一言でトーマが激昂したこと。止めに入ったマミを振り払って女だ男だと関係ないとトーマが言い放ったこと。マミの理解者でもある男友だち・シンゴがその言葉を許せずトーマを殴ったこと。そこからは3人の殴り合いになったこと。それを聞いた二葉は、太一が今どう思っているのか、それはつまり自分に当てはめると真澄から告白されるような感じで大切な友だちから告白されたら自分は、と呟く。二葉の言葉を聞いて動揺した真澄は唐突に用事を思い出したと帰ってしまう。不審に思ったマミは、二葉をその場に残したまま真澄を追いかけた。マミは、二葉の発言の後に急に帰った真意を真澄に何度も問いただした。そして、二葉の発言が真澄の気持ちを言い当てていたことに気が付いた。
その頃、太一はマミの友だち二人に話しかけられていた。シンゴからかかって来た電話を差し出され渋々応答すると、会って話したいと言われる。太一は彼女たちと一緒にシンゴの所へ向かった。既にそこにいたケンスケから、男同士で恋愛というのが理解できないしトーマがそんなことを言うのが嫌だったと言われる。女子たちは、ケンスケの考えの方こそキモいと言い、ケンスケと女子たちはどこまでも平行線だったが、シンゴが女子たちに2人はケンスケとやっていることが変わらないと割って入った。彼女らは今、ケンスケの価値観を全否定しているのだと。結局、言い返すことも出来なかった彼女たちは部屋を出ていく。その後、残された太一を含めた3人は話をする。ケンスケはトーマにまだ謝れずにいたが、シンゴはもう電話もしたからこれからも今まで通りだと語った。
謹慎明け
謹慎明けの日、トーマは授業に出なかった。太一もインフルエンザで休んでいた。ケンスケは女子たちに呼び止められるがもうトーマには謝罪済だと伝える。ケンスケと納得できない女子たちの言い争いに他の生徒たちが止めに入った。
休み時間、二葉は窓の外にトーマの姿を見つける。トーマは二葉が所属する園芸部の育てる花壇の前に立っていた。トーマの元へ急ぐ二葉。そして二葉がなぜ太一に告白したのか訊ねると、トーマはけじめだと答えた。二葉はトーマのことを怒ってないけれど太一が好きだから不安だったと呟く。それに対してトーマは、太一が選んだのは二葉なのだからもっと自信を持てとアドバイスする。しかし、二葉は太一がまだ悩んでいることに気が付いていた。太一が、二葉と付き合っているからトーマの告白を受け入れられないと言った言葉が引っかかっていたのだ。
インフルが治り登校した太一。そこには、ケンスケやシンゴと楽しそうに歩いているトーマの姿があった。以前と変わらない日常のように見えたが、体育の着替え中にトーマは太一をネタにからかわれ、しかし何も言い返すこともなかった。
翌日、トーマは学校へ来なくなった。太一は自分の考えがまとまらず、帰宅するなりあらゆる物に八つ当たりをした。その時、机の上に置いたトーマ手作りのお守りが目に入った。意を決して中を開いてみると小さな紙が。それは手作りのすごろくの駒と親友パワーと書かれた紙だった。子供の頃に2人で作ったすごろくを思い出し、太一の目には涙があふれていた。トーマに電話をかけようと決心してボタンを押すも留守電になってしまう。間もなく着信があったがトーマではなく二葉からだった。近くに来ていた二葉と会っている間に、太一はもう一度トーマに電話をするが繋がらなかった。事情を知った二葉はトーマに会いに行こうと提案し、2人は一先ずトーマの家へ向かった。中から出て来た誠也にトーマの居場所とお金を渡され、自分のことを第一に考えてそれでもトーマに会いに行くならそのお金を使えと言われる。
次の日、太一と二葉はトーマに会いに行った。トーマは、学校が受験一色になるのを機に住み込みで働き始めていたのだ。、二葉は先ずは2人で話すよう太一に促した。太一はトーマに会った。そして、海を見ながらお守りの中身の話をした。太一は自分の願う幸せを語り、なりたい自分になって二葉がいて、「そして、お前もいる。俺の親友として」と正直な気持ちを語った。トーマと一緒にいることに劣等感があったが、本当はトーマと一緒にいるのが好きなのだと。その後二葉も合流し、3人はそれぞれが好きだと想う相手への感情を、海に向かって叫ぶことで、本音をぶつけ合うのだった。
高校卒業、そして時は流れ
2年の月日が経ち、太一と二葉は破局していた。その理由は他人から見れば些細なことだが、お互いの幸せのために別々の道を選んだのだ。
5年後、太一と二葉は再会した。トーマが4人で会おうと言ってきたのだ。実はトーマは、二葉と真澄とも連絡を取り続けていた。再会をした時、太一は二葉に自分の選びたい未来の話をした。
そしてまた時が流れたある日、太一が自宅に戻ると1通の手紙が届いていた。二葉からの結婚式への招待状だった。
式場の入り口で「一ノ瀬」と記入した人物が会場へ入ると、そこには真澄の姿があった。彼女は一緒に出席している夫・ミツユキを紹介する。真澄が友人に呼ばれたためミツユキと2人残された時に、彼は「真澄がステキだから男女問わず誰といてもやきもきするのだ」と話した。続けてミツユキは、それでも真澄が自分を選んでくれたのだと、「一ノ瀬」に嬉しそうに語った。
披露宴が始まり、「一ノ瀬」は真澄とともに二葉に声をかける。そこには幸せそうな二葉がいた。
二葉の披露宴からの帰り道、「一ノ瀬」の携帯にメッセージが入った。「同じくらいの時間に駅に着きそうだ」とやり取りして待ち合わせ場所に向かうと、そこには太一がいた。太一は高校時代のゲーム仲間であるオメガの結婚式に参列した帰りだった。太一がふと目をやった先に、昔4人で見た映画の最終章の看板があった。そこには、「選べ、親友か恋人か」というキャッチコピーが書かれていた。自分のしてきた選択を振り返り、帰るかと「一ノ瀬」に手を伸ばす太一。その左手の薬指にはリングがはめられていた。
『青のフラッグ』の登場人物・キャラクター
一ノ瀬 太一(いちのせ たいち)
神奈川県立青浜高等学校3年A組。身長155センチ。8月30日生まれ。トーマからは「タイちゃん」と呼ばれている。人づきあいは苦手。3年になるまでは友人のオメガ、ヨーキー、モンちゃんと4人でつるみ、週末には誰かの家に集まってゲームをして過ごしていた。帰宅部。三田桃真(トーマ)とは小学校からの幼馴染で、お互いの家を行き来するほど仲が良かった。中学に入ると器用に何でもこなし常に仲間の輪にいる桃間と不器用な自分との違いを目の当たりにすることが増え、太一は次第にトーマに劣等感を抱き距離を置くようになった。地味で少しどん臭いところが自分に似ているため空勢二葉のことが苦手だった。ある日、二葉と偶然本屋で会い、太一は彼女がトーマに片思いをしていることを知る。今までの自分を捨てて振り向いてもらえるように頑張る二葉の姿に心を打たれ二葉の恋に協力することになるが、その過程でトーマに話しかけたり一緒に出かけたりするようになり、少しずつトーマとの距離も縮めていくようになる。
三田 桃真(みた とうま)
神奈川県立青浜高等学校3年A組(太一と同じクラス)。身長189センチ。愛称は「トーマ」。野球部ではキャプテンをしており、チームメイトにも頼りにされている。小学生の頃の将来の夢は野球選手だが、歳を取るにつれて次第に、働いて自立をしたいと思うようになる。運動神経が抜群で、何でも器用にこなすため成績も良い。長身で筋肉質、イケメンなので女子から絶大な人気があるが、ユーモアもあって人あたりも良いため男子からも慕われており、学校一の人気者である。彼女がいたことはない。小学6年生の時に両親を事故で亡くしてから兄夫婦と暮らしている。太一とは小学校からの幼馴染で、よく2人で一緒に遊びお互いの家を行き来していた。兄夫婦にとって自分が邪魔なのではないかと思っていたある日、兄とケンカをして家を飛び出し太一を訪ねたことがあった。迎えに来た兄を太一が突き飛ばしてしまい、そしてトーマの手を取り一緒に逃げてくれたことがあった。その時トーマは太一のことを特別な存在だと認識したが、男同士であるため太一を好きだということを誰にも知られないように隠している。
目次 - Contents
- 『青のフラッグ』の概要
- 『青のフラッグ』のあらすじ・ストーリー
- 高校3年生の始まり
- 最後の夏休み
- 2学期
- 文化祭の出来事
- 謹慎明け
- 高校卒業、そして時は流れ
- 『青のフラッグ』の登場人物・キャラクター
- 一ノ瀬 太一(いちのせ たいち)
- 三田 桃真(みた とうま)
- 空勢 二葉(くぜ ふたば)
- 伊達 真澄(いたち ますみ)
- 八木原 舞美(やぎはら まみ)
- 増尾 健助(ますお けんすけ)
- 仁井村 津吾(にいむら しんご)
- 三田 誠也(みた せいや)
- 三田 明希子(みた あきこ)
- 奥田 了平(おくだ りょうへい)
- 余根木 雄斗(よねき ゆうと)
- 村雨 文寺(むらさめ もんじ)
- 『青のフラッグ』の用語
- バトル鉛筆
- メンズメイク
- すごろく
- 親友パワー
- 『青のフラッグ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「変わるって…決めたから…あきらめちゃうのも やらないのも やる前からムリと思うのも やらないで後悔するのも 嫌いな自分でいつづけるのも」
- 「夢なんてどうでもいいんだよ!お前より 大事なものなんてあるか」
- 「大事な人がたくさんいたら…いけないの?」
- 「もしも誰かに否定されたり キズ付けられても お前が誰かをキズ付けても オレは 味方だから」
- 「私は私に生まれちゃったんだもんね どんなに憧れても努力しても私は私がなれる範囲の私にしかなれないんだもんね」
- 「良かったことだけ考えよーぜ 後悔の数 数えるより 貢献できた数 数える方が前向けるだろ」
- 「アタシはアタシが大好きだもん アタシはアタシに生まれたことを誇りに思ってるし アタシをアタシに生んでくれた パパとママにめっちゃ感謝してる アタシはアタシとして生まれたこの人生を 絶対幸せに生きるって決めてんだ」
- 「後悔しない選択しろよ」
- 「その選択に相手がどんな評価を下すか それはその相手が抱える問題 自分の信じる最善の道を選ぶことしか 私達にはできない」
- 『青のフラッグ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- タイトル『青のフラッグ』の意味は、登場人物の相関図を表す旗の形であるという説、レースで使われるブルーフラッグからという説がある
- 二葉の結婚相手は同作者の別作品のキャラクターという説がある
- 『青のフラッグ』の作者・KAITOの関連記事