青のフラッグ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『青のフラッグ』とは集英社のWebサイト『少年ジャンプ+』に掲載されたKAITOによる漫画。人生の岐路とも言える高校3年生の4月、地味な主人公・一ノ瀬太一は苦手意識を持っていた空勢二葉、幼馴染で人気者の三田桃真と同じクラスに。桃間に思いを寄せる二葉が、太一に協力してほしいと頼んだことから始まる青春真っただ中、新感覚の”純”愛物語。誰かを好きになるとはどういうことなのか、男女の友情は成り立つのかといったテーマに深く切り込んでいる。

二葉はトーマが好きなのになぜ今自分と一緒にいるのか、けがをしているトーマに付き添うべきだと言う太一に、「太一くんもトーマくんと同じくらい大切な人だよ」と告げた後に続けて言った言葉。これに対して太一は「男と女に関してはそうだ…」と返答する。この時はまだ二葉の中で、トーマに対する憧れと太一への好きという思いに明確な線引きがされていない。しかし太一の返答によって、二葉は太一に対して友情とは違う感情があることに気づき始める。

「もしも誰かに否定されたり キズ付けられても お前が誰かをキズ付けても オレは 味方だから」

退院祝いの日に太一とトーマが2人で話をした時の言葉。卒業後の進路を聞かれたトーマは、ただ誰からも否定されず、誰も傷付けず誰にも傷付けられず自由に生きたいと答え、そのトーマに太一がこの言葉を返した。これをきっかけに、太一は自分の立ち位置をトーマの親友としてきちんと認めることになる。太一の味方宣言を受け、トーマは太一の自分への応援が嬉しくもあり、逆に親友にしかなれない切なさも同時に感じていると思われる。

「私は私に生まれちゃったんだもんね どんなに憧れても努力しても私は私がなれる範囲の私にしかなれないんだもんね」

園芸部の花壇の前で話し込むトーマと二葉。トーマになりたかったという自分の素直な思いを告げ、話を進めるうちに二葉から出た言葉。トーマと話すことによって、二葉の心の中が整理されていき、トーマは憧れの対象であるということが明確になっていったと思われる。逆にトーマからは「二葉になりたかった」と聞かされたことで、二葉の中に彼に対する友人としての親近感が沸いていったように見受けられる。

「良かったことだけ考えよーぜ 後悔の数 数えるより 貢献できた数 数える方が前向けるだろ」

二葉と一緒に帰る約束をしたため時間を潰すのにトーマの掃除を手伝う太一。けがをさせたことを改めて謝る太一にトーマが言った言葉。何度も自分のせいだと責める太一に思わず出た言葉だが、自分自身にも言い聞かせているようにも見える。トーマは過ぎてしまったことよりも、未来を向いて生きていると思わせる言葉である。

「アタシはアタシが大好きだもん アタシはアタシに生まれたことを誇りに思ってるし アタシをアタシに生んでくれた パパとママにめっちゃ感謝してる アタシはアタシとして生まれたこの人生を 絶対幸せに生きるって決めてんだ」

マミが太一の手を取ったところで二葉と真澄に遭遇。その後4人でレストランに行きマミがトーマの親友になりたくて太一に近づいたと告白した際、二葉が男の子になりたいと思うのかと聞いた時のマミの答え。マミは男女の親友も成り立つと思っているからこそ女として生まれた自分に誇りをもち、この人生を幸せに生きると決めている。自信を持って語るマミに二葉は強く心を動かされ、二葉も自分に生まれて良かったと思うキッカケとなった。一方で、真澄は同性を好きになってしまった自分に自信が持てず、マミの前向きな姿勢にかえって自己嫌悪を募らせるのだった。

「後悔しない選択しろよ」

二葉が北大に行きたがっていることを知り志望校を変えると言い始めた太一にヨーキーが言った言葉。太一の真意をくみ取ったヨーキーは、女を追っかけて大学を選ぶのは女側もドン引きだし、夢も主体性も将来設計や計画性もないアホ男だと自分で言っているとしか思えないと太一にまくしたてた。太一は二葉には自分の考えで志望校を選択するように促しそれを尊重すると言ったが、実際は太一の方の志望校選びがブレブレだった。太一自身も自分の心が恋愛中心に傾いていることには気が付いているが、改めて強く指摘されたことでヨーキーの言葉が胸に刺さったようだった。

「その選択に相手がどんな評価を下すか それはその相手が抱える問題 自分の信じる最善の道を選ぶことしか 私達にはできない」

太一が今できる最善の選択は何だったのかと問うた時の真澄の返答。以前、真澄の悩みに対してアキコが言った言葉でもある。この言葉に続けて真澄は、「割り切れないと割り切るのも 一つの手なんじゃないかしら」と告げてその場を去っている。トーマの告白によって崩れた二人の友人としての関係について、これから自分がどうすればいいか全く分からないという太一。真澄は、その分からない関係をそのまま分からないものとして受け入れるという選択肢を提案したが、それすらも太一には出来なかった。一つの選択肢を示されて尚、太一は自分の取るべき道筋が見えないことにますますいら立ちを感じてしまう。

『青のフラッグ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

タイトル『青のフラッグ』の意味は、登場人物の相関図を表す旗の形であるという説、レースで使われるブルーフラッグからという説がある

作者からの明確な発言はないため読者間で様々な考察がされており、その一説として、太一・トーマ・二葉の3人が三角関係、真澄が二葉に片思いをしているその相関図がフラッグの形をしているからというものがある。また、自動車レースなどで使われる青色の旗(ブルーフラッグ)が後続車に進路を譲る時に使われることから、主な登場人物たちが自分の気持ちよりも他者を優先させるという関係性を示しているという説もある。

二葉の結婚相手は同作者の別作品のキャラクターという説がある

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