強い絆で結ばれた人々に起きた悲劇を描く映画まとめ!『母なる証明』など

ここでは強い絆で結ばれた人々に起きた悲劇を描く映画をまとめた。心に深い傷を負った父娘のすれ違いが生んだ悲劇を描いた『父の秘密』、息子を盲目的なまでに愛する母親の狂気を語る『母なる証明』などを紹介している。

▼『戦慄の絆』

出典: www.allcinema.net

”両極端な性格の一卵性双生児の均衡が崩れた時、悲劇は起こってしまった!”

バリ・ウッド、ジャック・ギースランド共著による「Twins」を原案とし、デヴィッド・クローネンバーグが監督・脚本、ジェレミー・アイアンズ主演で映画化した1988年の作品。幼い頃から一心同体で育った一卵性双生児の婦人科医の兄弟、エリオットとビヴァリー。容姿こそ瓜二つのふたりだったが、性格は正反対。兄は社交的な野心家、弟は内気で繊細な性格だった。その両極端な性格からそれぞれを補い、いつも一緒に生活していた彼らは、共同で婦人科医院を運営していた。診察に訪れた女優のクレアに惹かれていく弟だったが、それは戦慄の悲劇の始まりだった...。

ジェレミー・アイアンズが二役を演じた一卵双生児の兄弟、エリオットとビヴァリー。性格が正反対の彼らだったが、何故か非常にバランスが取れた関係を維持していた。その二人の間に女優のクレアが入り込んだ時、彼らのバランスは一気に崩れ始める。知らずの内に兄弟双方と関係を持ったクレア。彼女を純粋に愛していたビヴァリーはそのことを知ってから、ドラッグに溺れ、医師として致命的なミスを犯す...。

出典: blog.livedoor.jp

常に映像の実験を意識した作品を作り出し、悪趣味で醜悪なヴィジュアル表現と、挑戦的なストーリー展開で観客をどん底に突き落としながら、感嘆感動させる映像を作り出すデヴィッド・クローネンバーグ氏。人呼んで「内臓的映像表現作家」はダテじゃない、悪趣味でグロテスクな映像世界で名作を残したが、その後は精神的な部分に重きを置いた名作を作り出している。この『戦慄の絆』は、彼流のサイコ・スリラーの初期作品と言える重要作。

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映画『戦慄の絆』(原題:Dead Ringers)オリジナル予告篇 - YouTube

性格も真反対で、それぞれに確固としたアイデンティティを持つかに見えた双子。ところが二人の間に別の人間が入り込んだことによって、目に見えぬ絆がお互いの魂に食い込み、決して離れられなくなっている事実に気付かされることになるのですね。

出典: blackmamesu.at.webry.info

後味の悪さでは天下一品なのになんで見る。そら他人事とは思えないからですよ。記憶の原風景というか、病根を暴かれるマゾヒスティックというか、ね。

出典: www.womanlife.co.jp

共に成功者で秀麗な二つの体に宿る負の昂ぶり、二人で女優を共有したように薬物にも依存して行くんだが、反発しながらも同じ道を辿るのは何とも詮無い事だ。

出典: d.hatena.ne.jp

▼『ZOO』

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”同時に悲劇に見舞われた双子の兄弟の感情を斬新な映像と流麗な音楽で表現”

ピーター・グリーナウェイ監督・脚本、音楽をマイケル・ナイマンが手掛けた1985年の作品。主演はアンドレア・フェレオル、ブライアン・ディーコン、エリック・ディーコン他。動物園で働く動物学者のオズワルドとオリヴァーの兄弟。奇遇にも、彼らは同時にパーソナルな悲劇に見舞われて哀しみのどん底にあった。そして二人は動物園の動物が死んで腐ってゆく過程を記録しはじめ、その実験の記録に没頭し始める。そして、片足の女性アルバに同時に魅かれた双子は、奇妙な共同生活をはじめる。そこには愛の様なものが生まれるが、再び彼らを悲劇が襲うのだった...。

この作品の原題は『A ZED & TWO NOUGHTS』である。ふたつのOとは、双子の学者、オズワルドとオリバーの頭文字からきているとされる。一つ一つのイメージがシュールでナンセンスな映像世界が展開される。この真のカルト・フィルムは、ハマる人は思い切りハマるが、受け付けない人が多いのもまた事実。

映画美術作家であり、同時に画家でもあるイギリスの鬼才中の鬼才ピーター・グリーナウェイ。鮮やかで退廃した相反するものが混在する色彩感覚や、徹底したシンメトリーの多用、多重フレームの手法など、多才な映像芸術を見せてくれる反面、非常に悪趣味で人によっては見るに堪えないであろう映像も作り出す。今作も超現実的なヴィジュアル表現と、肉体の滅びを混在させた類まれなる映像絵巻。ただし悪趣味ではある。

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『ZOO』予告編 - YouTube

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