機甲猟兵メロウリンク(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『機甲猟兵メロウリンク』とは1989年にサンライズで制作されたOVA作品。全12話。
同社の人気作『装甲騎兵ボトムズ』シリーズ初となる、別主人公の外伝作品として制作された。
二つの陣営に分かれた百年戦争が続くアストラギウス銀河を舞台に軍の謀略に伴う作戦で仲間を謀殺された機甲猟兵メロウリンクによる復讐劇。シリーズ構成に高橋良輔、キャラクターデザイン・作画監督に谷口守泰、音楽に乾祐樹と、同シリーズでおなじみのスタッフに加え、監督に『機甲戦記ドラグナー』等を手掛けた神田武幸を迎えている。

対ATライフルを装備した、白兵部隊の呼称。メロウリンクはもともとAT部隊だったが、ギルガメス軍上層部の軍事物資強奪に、隊長であるシュエップスが異議を申し立てたことで、ATを取り上げられ、機甲猟兵部隊として再編成されることになってしまう。

プランバンドール機甲大隊

メロウリンクとそのターゲット、そして仲間達

百年戦争当時、最前線の一つであった惑星ミヨイテに就いていた大隊の一つ。
メロウリンクが所属していたシュエップス小隊はこの大隊の配属下にあった。
当時の指揮官であったヘルメシオン准将は、バッテンタイン中将の命で、パーフェクト・ソルジャーの開発に用いられる鉱石ヂヂリウムの強奪を命じられる。その後の撤退作戦にて、シュエップス小隊を囮を命ずる。
その作戦への小隊の参加をシュエップス少尉に反対されるが、生還の暁には軍事勲章を与える条件で、機甲猟兵部隊への再編を命じた。

シュエップス小隊

メロウリンクと、シュエップス小隊

プランバンドール大隊第8中隊に属する小隊のうち、シュエップス大尉を隊長とする小隊であり、メロウリンクもこの部隊の一員だった。惑星ミヨイテにおけるプランバンドール・スキャンダルにて、部隊は上層部の指示で、機甲猟兵部隊に再編された。
その後、バララントのAT部隊との戦いで、メロウリングを残し全滅した。

AT(アーマードトルーパー)

スコープドック(『装甲騎兵ボトムズ』より)

アストラギウス銀河における、主力兵器である人型ロボットである「アーマードトルーパー」の略称。
戦時中、大量に生産されたものの、貧弱な装甲によるパイロット生存率の低さから、まさに「最低」ともいえる兵器であった。
こういった由来から、AT、またそれに乗っている兵士の蔑称としてボトムズ乗り、または最低野郎と呼ばれている。
ギルガメス・バララント双方で主力武器となり、また百年戦争後も、軍からあぶれたボトムズ乗りによる賭け試合「バトリング」や、クメンを始めとした各地の内乱等で、傭兵として雇われるなど、その地位こそ低いものの、活躍の場が多い。

パーフェクト・ソルジャー

プロトワン(『装甲騎兵ボトムズ』より)

百年戦争の終戦間際、ギルガメス軍にて、バッテンタイン中将指揮の元研究が為されていた、最強の兵士として作り出される人造人間の俗称であり、略してPSと呼ばれる事もある。
『装甲騎兵ボトムズ』本編における「フィアナ」「イプシロン」がこれにあたる。
百年戦争末期に、ATの登場とその急激な技術発達から、そのメカニズムに対応できる、コンピューターと一体化させる強化改造を施し、「死なない兵士」を人工的に作り出す意図で生み出された存在である。
そのため、一般の兵士では、彼らの駆るATの攻撃に一切攻撃を当てることが出来なければ、彼らの攻撃から生き残ることが出来ないほどの超人的なAT操縦技術を有する。
プランバンドール・スキャンダルにて強奪された軍事資源である「ヂヂリウム」を浴びることで、彼らはその高い能力を発揮するだけでなく、その生命を維持することが出来る。

ヂヂリウム

ヂヂリウムカプセル(ミクロマンシリーズより)

アストラギウス銀河における、液体金属の一種で、コンピューター回路の半導体や、ATに用いられるミッションディスクにもで用いられる。
これを用いることで、コンピューターの演算能力を大きく向上させることが出来る。ミッションディスクにおいても、その使用の有無で、演算処理能力に大きな差が出るとされている。
また、ギルガメス軍が開発を進めているパーフェクト・ソルジャーのコンディション・生命維持にも必要不可欠なものであるが、このヂヂリウムは非常に入手が困難な代物であり、『装甲騎兵ボトムズ』においてもこれの争奪戦が物語において描かれることがしばし見受けられており、プランバンドール・スキャンダルは、プランバンドール機甲大隊がヂヂリウムを強奪したのが事件の発端である。

『機甲猟兵メロウリンク』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

切ないぜ(主題歌サビ冒頭の歌詞)

本作の主題歌である『SOLDIER BLUE』のサビのはじめに来る歌詞である。
『ボトムズ』本編のTVシリーズ主題歌『炎のさだめ』における「むせる」同様、作品の世界観を端的に示した言葉として、前者よりも知名度こそ低いが、ファンの間でも特に印象的なフレーズで、本作品を褒める際などに、この言葉が用いられることが多い。

顔に迷彩を塗るシーン

敵との戦闘中、顔の傷から出た血で、顔に迷彩を塗るメロウリンク。

メロウリンクが、本作中に決まって行う仕草で、顔に就いた傷から流れた血や泥などを付けた指で、ひっかくような形で横に線を引き、顔に縞模様のようなペイントをつけるというもの。
作中で、各話にて相対する敵との戦いでピンチに陥りながら、反撃に移る前などによくこの仕草をしており、今でいうところの、メロウリンクの戦闘時におけるルーティーンのようなものと考えられる。

『機甲猟兵メロウリンク』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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