艦隊これくしょん -艦これ-(メディアミックス)のネタバレ解説・考察まとめ

『艦隊これくしょん -艦これ-』とは、女性に擬人化された艦艇(軍艦)を使用したDMM.comの育成シミュレーションゲーム、およびそれを原作としたアニメ・漫画・小説などのメディアミックス作品。
ブラウザゲームと同日に配信開始した「吹雪、がんばります!」を皮切りに、設定を明確にせず、解釈の幅を広く容認することで様々なメディアミックス作品が送り出された。初期は戦記路線が中心であったが、現在は洋酒や音楽など戦い以外を扱う作品も展開されている。

あらすじ・ストーリー

海の平和を守るために戦う艦娘たちにも、普段の日常生活は存在する。座学の授業や演習で戦う技術を学び、バレンタインデーが近くなれば恋の話に花を咲かせる。桜の季節になればお花見を楽しみ、新任の艦娘が来れば歓迎会を開く。身体測定が近くなると体重を気にする艦娘もいる。そして、艦娘と一般市民が交流する数少ない機会である観艦式に合わせて、艦娘たちは学園祭ならぬ鎮守府祭を開催することを決めた。艦娘たちの考えた色々な出し物を楽しむ市民で鎮守府祭は盛況。そして、観艦式で披露される艦娘の雄姿は、深海棲艦の脅威に怯える人々を勇気づけるのだった。

主な登場人物・キャラクター

「一航戦、出ます!」に準ずる。

艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 瑞の海、鳳の空

著者:むらさきゆきや(協力:「艦これ」運営鎮守府)
イラスト:有河サトル
発行:2015年2月1日~2016年1月1日
単行本:全3巻

角川スニーカー文庫から発売された「艦これ」のノベライズシリーズ。戦記色が強かったこれまでのノベライズと違いラブコメ色を前面に出す企画として開始された。「新しく着任した朴念仁の提督に興味津々の艦娘たち」という恋愛ゲームのような大筋ではあるが、深海棲艦によってもたらされた被害の深刻さや艦娘の生命を危険に晒す非情な命令を下さざるを得ない軍上層部などシリアスな部分も描かれている。
このシリーズの独自設定として、提督は「妖精」を見る能力がない人間には務まらないというものや艦娘は人間サイズであるが深海棲艦は実際の艦艇サイズの巨人であり、艦娘の武装は放たれた後に実際の艦艇のものと同等に巨大化するというものがある。

あらすじ・ストーリー

〈第1巻〉
深海棲艦の襲撃を受け、乗艦と戦友を失った海軍の青年士官。彼の命を助けたのは、海を駆け弓矢から戦闘機を放つ謎の少女だった。傷の癒えた彼は海軍司令長官から深海棲艦に立ち向かう新兵器を指揮する素質を見出され「提督」となる。しかし、その新兵器とは艦船の魂を持つ少女である「艦娘」だった。朴訥で女性慣れしていない提督は、いきなり若く美しい女性だらけの「鎮守府」で指揮を行わなければならないことに困惑する。そこで提督は、自分を助けてくれた少女である軽空母・瑞鳳と出会う。瑞鳳は空母としては小型ということもあり自分の実力に自信がなかった。しかし、提督は自分を助けてくれた瑞鳳の力を信じており、何かと頼るようになる。瑞鳳も、そんな提督に心を開くのだった。
そして、艦娘たちの艦隊は輸送部隊護衛のための作戦に出撃する。敵艦隊との戦闘で大破した瑞鳳だったが、ここで退くわけにはいかないと進撃を主張。瑞鳳の生命か作戦完遂かを選ばなければならなくなった提督だが、瑞鳳の言葉を信じて進撃許可を出す。なんとか瑞鳳を失わず作戦を終えた艦隊の前に現れたのは、かつて提督の乗艦を襲った敵戦艦・ル級であった。戦友たちの仇を目にした提督の心は揺れ動くが、彼の下した決断は艦隊の撤退であった。瑞鳳を二度も生命の危機に晒したくはなかったのだ。
作戦を終え帰還した瑞鳳は、提督に対する恋心を自覚する。その様子を見た秘書艦の加賀は、兵器である艦娘と必要以上に心を触れ合わせないよう提督に対して釘を刺すのだった。

〈第2巻〉
司令本部から北方海域の深海棲艦部隊撃破を命ぜられた艦隊。しかし、その戦いで秘書艦である加賀は負傷してしまう。代理として艦隊の最古参である駆逐艦の五月雨を臨時秘書艦に任命するが、ドジでうっかり者の五月雨は何かと失敗をして提督の仕事を余計に増やしてしまう。疲労困憊の提督を見かねた瑞鳳は手料理で提督をねぎらおうとするが、料理の経験がないためうまくいかない。なんとか料理が得意な艦娘を見つけ出し特訓を受けた瑞鳳は玉子焼きの作り方をマスターしたのだった。一方の提督は、五月雨のドジのせいで連鎖的に次々とエッチなハプニングに不本意な形で巻き込まれ、それを提督のご乱行と誤解した加賀に追い回される羽目になる。
そんな時、司令本部は沖ノ島沖への戦闘哨戒という新たな命令を出してきた。北方海域に主力艦隊を割いている現状で二面作戦を要求する本部の無茶な要求だったが、艦娘たちの立場を守るため引き受けざるを得ない提督。彼は、哨戒部隊の旗艦に瑞鳳を任命した。日頃からの瑞鳳の努力を評価しての人選であった。しかし、哨戒部隊は想定していなかった敵の主力艦隊と遭遇してしまう。苦戦する艦娘たちだったが、提督を信じる瑞鳳の頑張り、そして最古参として戦場ではその強さを発揮する五月雨によって敵主力艦隊の撃破に成功するのだった。同時期に負傷が癒えた加賀率いる主力艦隊も北方海域の敵主力艦隊を撃破。司令長官は提督の指揮手腕を称賛するが、それと同時に艦娘と提督が個人的な恋愛関係を結ばないよう注意してきた。瑞鳳は、手作りの玉子焼き弁当を届けに来た時に提督の「個人的な感情で戦力を減じるようなことはしない」との司令長官への返答を聞いてしまうのだった。

〈第3巻〉
軍の偵察機が深海棲艦の陸上前線拠点を発見していた頃、鎮守府では艦娘の基礎体力向上を目的とした陸上演習を口実に運動会が開催されていた。久々のレクリエーションを満喫する艦娘たちだったが、瑞鳳は一人落ち込んでいた。提督が個人的な感情を艦娘に向けることはないと報告していたのを聞いたからであった。「自分の気持ちは提督にとって迷惑なのでは」と思い涙する瑞鳳。そんな瑞鳳を慰める駆逐艦の時雨は、その気持ちがいつか晴れることを告げて去っていく。
一方、提督は工廠を取り仕切る工作艦・明石から「大型建造」の導入を聞かされる。必要とされる資源量の多さに二の足を踏む提督だったが、明石の勢いに圧されて一度だけ大型建造を試すのだった。
司令本部から深海棲艦の前線拠点を発見したという連絡を受けた提督は、現状打開のためには敵拠点の制圧が必要として主力艦隊を拠点制圧に振り向ける作戦を立案。しかし、司令本部との連絡役を務める軽巡洋艦・大淀は、深海棲艦勢力が手薄になった鎮守府を狙ってくる可能性を示唆。主力艦隊の戦力を落としてでも鎮守府の守りを固める必要を説く。しかし提督はそれを拒絶、提督の代わりなら他にいくらもいると答える。それに激昂したのは加賀だった。提督に代わりはいないと言う加賀の言葉で艦娘たちに自分が信頼されていたことを知った提督は、命を粗末にしないことを誓う。
赴任してきた提督と初めて出会った演習場で物思いに耽っていた瑞鳳は、見廻りに来た提督に心配された際に思わず「これ以上好きになってはいけないから」と口走ると逃げ出してしまう。この言葉は告白したのと同然であると気付き更に悩みを深くする瑞鳳だが、それを振り切るように主力艦隊の一員として出撃するのだった。
その翌日、主力艦隊の出撃を見透かしたように深海棲艦の奇襲部隊が鎮守府を襲撃する。二軍部隊では前線を支えきれず、古参の軽空母・鳳翔は艦娘たちを犠牲にしてでも提督は生き延びるよう要請してきた。しかし、提督はそれを拒否して全員で生き残る道を模索する。そこに現れたのは、主力艦隊に随伴していたはずの瑞鳳だった。加賀の助言により鎮守府防衛のため主力艦隊を離れた瑞鳳の活躍で鎮守府の壊滅は免れたが、敵艦隊の第二波が迫っていた。そこには、提督にとって戦友の仇であるあの戦艦ル級の姿もあった。
敵の第二波によって遂に鎮守府が敵の砲撃に晒され、施設が破壊されていく。そして、先の戦いで負傷した瑞鳳が修理中であった船渠も砲撃を受けた。それを見た提督は我を忘れて船渠へ向かう。船渠の破片に足を挟まれていた瑞鳳を助けた提督は、これまで抑え込んでいた瑞鳳に対する気持ちを打ち明ける。それを聞いた瑞鳳は、感情を抑えきれず提督にキスをする。こうして提督と瑞鳳の想いが通じ合った時、桜の花びらのような輝きと共に瑞鳳に新しい力が宿る。
鎮守府への砲撃を続ける戦艦ル級に立ち向かう瑞鳳。しかし敵戦艦は強く、足の怪我で動きの鈍った瑞鳳ではなかなか有効打を与えられない。その戦艦ル級を一撃で粉砕したのは、破壊された工廠から現れた一人の艦娘だった。大型建造で造られた戦艦・武蔵だ。武蔵の活躍で活気づいた鎮守府防衛部隊によって敵艦隊はその数を減らしていく。対する深海棲艦もこの機を逃すと次がないと判断したのか、新型である戦艦レ級を投入してきた。戦艦でありながら強力な航空戦力を持つレ級は瑞鳳と武蔵を追い詰める。その時、敵前線拠点を制圧し終えた加賀たち主力艦隊が鎮守府に帰還。戦艦レ級も撃退され、鎮守府は守られたのだった。

崩れ落ちる船渠で瑞鳳を助けた際に重傷を負っていた提督は、鎮守府から離れた病院に収容されそのまま帰ってこなかった。鎮守府では、司令本部の命令を無視し艦娘と恋愛関係になったため提督は解任されるのだと噂されていた。提督の帰還を願い鎮守府の近況を手紙に書く瑞鳳。
しかし、軍司令本部は提督と艦娘の心が通じ合った時に生まれる力を有用であると認め、提督と瑞鳳の仲を公式に認めていた。そして、提督は瑞鳳の待つ鎮守府へと帰ってくるのだった。

主な登場人物・キャラクター

提督(ていとく)

作中で名前は描写されない。海軍士官であったが深海棲艦の襲撃で乗艦と戦友を失い、自分も艦と共に命を落としそうになったところを瑞鳳に救われる。その後、軍の司令本部で「妖精」と呼ばれる生き物を見ることができる資質を見出されて艦娘を指揮する「提督」へと抜擢される。
軍人時代から自己鍛練が最優先で女性との交際経験がなく、朴念仁の堅物と呼ばれていた。そのため女性ばかりの鎮守府に配属され非常に困惑することになる。しかし、かつて自分を救ってくれた瑞鳳に対しては当初から特別視しており、自信のなさに悩む瑞鳳を支えていく。そのことで瑞鳳からも好かれるようになるが、加賀や司令本部からの忠告もあって瑞鳳との距離を縮めないように悩むこととなる。
最終巻では敵艦隊の砲撃による船渠の崩壊で傷ついた瑞鳳を自身の身を顧みずに救い、勢いに任せて瑞鳳へ愛の告白をする。その際に内臓破裂の重傷を負い、敵艦隊の撤退を見届けた後に遠方の病院へ搬送され鎮守府を離れた。その後は解任も噂されたが、軍司令本部から瑞鳳との仲を公認され鎮守府へと帰還する。

瑞鳳(ずいほう)

瑞鳳型航空母艦1番艦。この作品のメインヒロイン。艦載機をこよなく愛するが、体の小ささや艦載機搭載数の少なさなどから自分は主力艦隊にはなれないのだというコンプレックスを持っていた。しかし、新任の提督が自分を肯定し、大事に扱ってくれたことでコンプレックスを克服。主力艦隊の一員として活躍するだけの力を身につける。しかしそれと同時に提督へ恋心を抱くようになってしまう。元々は料理が得意ではなかったが、提督に食べてもらいたい一心で修業。玉子焼きが得意料理となる。
最終巻では提督が艦娘と恋愛関係になってはいけないことを知り苦悩するが、船渠で負傷した自分を助けに来た提督から愛の告白を受けたことで吹っ切れて提督にキスをし、そのことで新たな力を得た。(註:ゲーム内におけるレベルキャップ解放である「ケッコンカッコカリ」の再現)
艦載機を愛するだけでなく航空機プラモデルを作るのも趣味で、プラモデルを作る時には眼鏡をかけている。

加賀(かが)

航空母艦。提督の秘書艦を務める。寡黙かつ厳格で、当初は男性である提督を警戒。物珍しさから提督に激しいスキンシップをする他の艦娘を苦々しげに見ていた。自分が負傷して入渠している間に代理秘書艦となった五月雨のドジによって提督がエッチなハプニングに連鎖的に巻き込まれた際には、船渠から飛び出して提督に制裁を加えようとしたこともあった。
しかし提督が真面目な性格であり艦娘のことを大切に考えていること、装備の新造や改修で艦娘の戦力を上げることで艦娘が戦いで傷つくことを減らそうとしていることを知り信頼と好感を抱くようになる。
最終巻では提督が提督自身の命より作戦の成功を優先したことに激昂、平手打ちをしてまで「提督の代わりは他にはいない」と訴えた。提督が入院で鎮守府を離れた際、司令長官からの事情聴取に対して自らも提督に想いを寄せていることを告げている。

前任提督(ぜんにんていとく)

鎮守府の前任提督。女性であり、艦娘を大切に思うあまり重要な輸送護衛作戦において作戦完遂よりも艦娘の生命を優先。司令本部の不興を買って更迭された。作中では前任提督の残したものとして英国式のティーセットがあったと描写されていた。(註:作中の鎮守府に金剛が現在所属していないことの示唆と思われる)

大淀(おおよど)

大淀型軽巡洋艦。軍司令本部との連絡役を務めており、加賀や瑞鳳に次いで提督の側にいることが多い。最終巻では作戦遂行のために提督自身を危険に晒そうとする提督を諌め、また提督に想いを寄せていたが瑞鳳と提督が両想いであることを察して身を引いたことを瑞鳳に告げている。

五月雨(さみだれ)

白露型駆逐艦6番艦。鎮守府の初期艦で艦隊の最古参。温和で真面目な性格で何事にも一生懸命だがとにかくドジで、加賀の負傷により代理秘書艦を務めた際には書類の山をぶちまける等で提督の仕事量を倍増させたばかりか執務室で着替えをしたことが原因で提督を連鎖的なハプニングに陥れた。
しかし最古参だけあって戦闘における技量は高く、日常のドジっ子ぶりとは見違えるような戦いぶりを見せた。

愛宕(あたご)

高雄型重巡洋艦2番艦。豊満なスタイルを誇る陽気な金髪の艦娘で、初めて間近で見る男性が珍しいのか提督に対してはそのボディを活かした過激なスキンシップを頻繁に試みるが、そのせいで提督からは苦手意識を持たれている。

yuku_sakana
yuku_sakana
@yukusa_kana

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