Dead Space(デッドスペース)のネタバレ解説・考察まとめ

Dead Space(デッドスペース)とは、EA Redwood Shores開発、エレクトロニック・アーツ発売のサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)。強烈なゴア描写とショッキングなホラー表現が話題となった。2508年、採掘艦USG Ishimuraからの救難信号を受けた主人公アイザックらは、調査のためにIshimuraへと乗り込む。しかし、そこで生活していたはずの乗組員たちは謎の怪物に惨殺されていた。アイザックらは生存と脱出のために戦いを余儀なくされる。

『Dead Space』の概要

『Dead Space』とは、2008年10月14日にエレクトロニック・アーツから発売されたサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)で、同シリーズの最初の作品。開発はEA Redwood Shoresで、対応プラットフォームはPlayStation 3、Xbox 360、PCの3つ。ゴア描写の規制のために日本や中国では発売されていないが、エレクトロニック・アーツのダウンロードゲーム配信プラットフォーム「Origin」でダウンロードした北米版を日本語化することが可能。

本作を開発したEA Redwood Shoresのチームは、カプコンの人気ホラーTPSゲーム「バイオハザード4」を強くリスペクトしており、同じような作品を作ってみたいという熱意のもとに本作を製作した。そのため、本作には随所に「バイオハザード4」を意識した演出や仕掛けが見られる。本作もまたホラーゲームとして非常に高い評価を得ており、「バイオハザード4」の三上真司氏は、本作をサバイバルホラーゲームとして高評価している。また、ゲームレビューサイトIGNでは、本作は「ここ数年でもっとも怖いゲーム」の第7位にランクインしている。

本作のホラー要素をレベルの高いものにしているのは、その強烈なゴア描写(血が飛び散る残虐なシーン)だろう。本作の敵となる凶悪な生命体「ネクロモーフ」のデザイン自体もおぞましいが、それを効率的に倒すためには四肢を分断しバラバラにしなくてはならない。激しい戦いの中では、そこら中に血が飛び散り怪物の手足が吹き飛ぶというゴア描写が楽しめる。敵だけではなく、主人公である「アイザック」の死亡パターンも非常に豊富。敵に切り刻まれる、窒息死、体を引きちぎられる、頭部を切り落とされ寄生されるなど、ゴア描写満載となっている。

「どこから敵が出てくるかわからない」という点も、本作のホラーゲームとしての魅力を高めている。本作の舞台となる巨大な惑星採掘艦「USG Ishimura」には随所にダクトや通気口が存在し、敵であるネクロモーフはそこから突然出現することがあるため、プレイヤーは常に緊張を強いられる。さらに、ネクロモーフは正面からだけでなく背後から忍び寄って奇襲を仕掛けてくることもある。また、ネクロモーフにはプレイヤーを殺すまでどこまでも追ってくる性質があり、手足を1本切断した程度では絶命せず、上半身だけになってもしつこく追いかけてくる。さらに、扉を挟んだ別の部屋に逃げ込んでも通気口を伝って侵入してくることがあるため、完全に安全と言えるエリアが少ない。

本作はプレイヤーをゲームに没入させるために、様々な工夫がなされている。代表的なものが画面表示物の削除だろう。通常のゲームでは当然のように存在するライフゲージなどの画面表示物(HUD)は本作では一切削除されており、その代わりにライフゲージや酸素ゲージといった表示は、主人公が着用しているスーツの背中部分に表示されるという方式になっている。TPSという「プレイヤーキャラがプレイヤーに対して背中を向けている」という特徴をうまく利用した表示方式であると言えるだろう。また、ゲームプレイを途切れさせてしまう代表的な要因の一つであるローディングについても、ドアロックのハッキング中、エレベーターやトラムでの移動中にさりげなく行われており、各チャプター間以外でローディングが挟まることでゲームが中断されることがない。

通常のゲームではメニュー画面を開くとゲーム内の時間進行が止まることが一般的だが、本作ではそれがない。仲間からの通信やマップ表示、インベントリ表示などは全てその場でホログラム表示される形になっており、画面は切り替わらない。そのため、本作ではポーズボタンを押した時以外はゲームの時間進行は止まらないようになっている。

2508年、植民星「イージス7」にて採掘活動を行っていた惑星採掘艦USG石村(USG Ishimura)から、謎の救難信号が発信された。その救難信号を受け取った採掘船USG Kellionは、原因解明のためにIshimuraへと向かう。その中には、主人公アイザック・クラークの姿もあった。Ishimuraに到着したアイザックたちを待っていたのは、乗組員たちの死体の山だった。やがて彼ら自身も、Ishimuraを襲った謎の怪物「ネクロモーフ」との戦いを余儀なくされる。

『Dead Space』のあらすじ・ストーリー

本作の舞台となる惑星採掘船「USG Ishimura」。その内部には大量の怪物が巣食っていた。

2508年、資源惑星「イージス7」にて採掘活動を行っていた惑星採掘船「USG Ishimura」から、救難信号が発信された。その救難信号を受け取った宇宙船「USG Kellion」は、主人公であるアイザック・クラーク、上級警備員のハモンド、女性技術官のケンドラ、パイロットのチェン伍長とサブパイロットのジョンストン伍長を乗せてIshimuraへ向かう。Ishimuraにはアイザックの恋人であるニコルも勤務しており、アイザックに助けを求めるような内容のビデオレターを送ってきていた。Ishimuraの近くまで接近するKellion号だが、Ishimura側のドッキング用重力アンカーが正常動作しておらず、Kellion号はIshimuraへの進入の際に大きく破損してしまう。

なんとかIshimuraに足を踏み入れたアイザックたちは、Ishimuraの乗組員にコンタクトを取ろうとするが、約1000人の乗組員がいるはずのIshimuraからは返信が返ってこない。やむなくIshimura内部の探索を始めるアイザックたちだが、部屋の照明が突然落ち、謎の怪物の襲撃を受ける。怪物の襲撃によってチェン伍長とジョンストン伍長が命を落とし、アイザックもまた怪物に襲撃される。アイザックはなんとか怪物から逃れたものの、ハモンドやケンドラと分断されてしまう。幸い通信は可能であり、アイザックはハモンドとケンドラのサポートを受けながら、損傷したIshimuraの設備を修復しつつ、内部を探索することとなる。

Ishimuraの中には、人間の死体が変異した怪物「ネクロモーフ」が溢れかえっていた。

Ishimuraの中に残されたログを調べていく中で、アイザックたちは次第にそこで起こった事件について理解していく。アイザックたちを襲ったのは人間の死体が変異した「ネクロモーフ」という怪物であり、Ishimuraで暮らしていた乗組員のほとんどがネクロモーフに殺されてしまったようだ。まだ姿を確認できない恋人ニコルの身を案じるアイザック。彼らのリーダーであるハモンドはあくまで任務であるIshimuraの修復と調査を優先しようとする。対してケンドラはIshimuraからの脱出を強く主張する。両者はたびたび衝突するが、なんとかIshimuraの調査を進めていく。

Ishimuraでの状況調査が進むに連れ、アイザックたちが調べた限りではIshimuraには生存者はおらず、各種設備はその多くが破損していることがわかった。さらに内部には大量のネクロモーフが徘徊しており、状況は絶望的だった。ついにハモンドもIshimuraからの脱出を目標とすることを決定し、破損したKellion号を修復して脱出することを提案する。しかし、Kellion号が停泊しているドックに戻ったところでネクロモーフの群れが出現し、Kellion号は破壊されてしまう。

カルト宗教「ユニトロジー」の狂信者であるマーサー博士。

脱出手段を失った3人は、ほかの脱出手段を求めることにした。Ishimuraの艦長であるリチャード・マシウスのパーソナルコードを入手できれば、多くの情報が手に入るはずだ。マシウス艦長のIshimuraで行動記録やバイタルサインを調べると、彼はすでに死んでおり、その遺体は死体安置所にあるようだ。死体安置所に向かったアイザックを待っていたのは、ムササビのような姿をした怪物・インフェクターだった。インフェクターは、マシウス艦長の遺体をネクロモーフに変えてしまう。激闘の末にインフェクターとネクロモーフを倒したアイザックは、マシアス艦長のパーソナルコードを取得し、Ishimuraの情報記録にアクセスする。

情報記録によると、Ishimuraは発掘を行っていたイージス7から「マーカー」と呼ばれる物体を引き上げたらしい。どうやらこのマーカーが一連の事件を引き起こしたようだ。マシアス艦長はこのマーカーを信奉する宗教「ユニトロジー」を信奉しており、最初からマーカーを発掘することを目的としてイージス7を採掘していた。マーカーをIshimuraに引き上げたことで乗組員たちは妄想や幻覚といった精神症状に悩まされるようになる。そして、アイザック自身もニコルの幻覚を見るようになっていく。Ishimura内部を進んでいくと、アイザックはIshimuraの数少ない生き残りであるマーサー博士と出会う。マーサー博士はユニトロジーの狂信者で、人類がネクロモーフ化することこそが真の幸福であるという考えに支配されていた。マーサー博士はガラス越しに、アイザックにもこの状況を受け入れるように告げ、姿を消してしまう。

Ishimuraの数少ない生き残りであるカイン博士。アイザックに協力してくれるが、その言動はどこかおかしい。

ニコルの幻覚がますます強くなる中、ケンドラまでもが死んだ弟の姿を見たと言い始める。アイザックはなんとか外部に助けを求めるために、Ishimura内に格納されていた小惑星に救難信号送信用のビーコンを取り付け、宇宙空間へと放出する。その救難信号は、近辺を巡航していた軍艦USM Valorに届く。しかし、USM Valorは以前ハモンドがネクロモーフを閉じ込めて排出した脱出ポッドを収容しており、それを開けてしまう。結果、USM Valorはまたたく間にネクロモーフで溢れかえり崩壊。コントロールを失ってIshimuraに激突してしまう。

突っ込んできたUSM Valorからネクロモーフがなだれ込んでくる混乱の中、アイザックに通信が入る。通信の主はカイン博士と名乗り、自分の恋人であるアメリアから、この事件を収拾する方法を教わったという。彼が言うには、イージス7には全てのネクロモーフをコントロールしている存在「ハイヴ・マインド」がおり、その活動はマーカーによって抑制されていたらしい。従って、Ishimuraに収容されているマーカーをイージス7に戻すことでハイヴ・マインド、ひいては全てのネクロモーフの活動を停止させられるという。彼に協力することを承諾したアイザックは、シャトルの出港準備とマーカーの収容を急ぐが、その中でハモンドが巨大なネクロモーフ「ブルート」に殺されてしまう。アイザックは残ったケンドラ、カイン博士と協力しつつマーカーをシャトルに積み込む。そしてカイン博士の待つシャトル乗り場へと急ぐが、カイン博士は突然何者かに射殺されてしまう。

ついにアイザックはニコルと再会を果たす。

カイン博士を射殺したのはケンドラだった。実はケンドラはユニトロジーと対立している地球政府のスパイであり、最初からIshimuraに収容されていたマーカーを奪うために行動しており、マーカーをイージス7に戻そうとするカイン博士の行動は彼女にとって邪魔だったのだ。そもそも、200年前にオリジナルのマーカーである「ブラック・マーカー」は人類によって発見されており、それを複製したものがIshimuraに収容されていた「レッド・マーカー」だという。地球政府の調査によって、「ブラック・マーカー」は無限のエネルギーを供給できることがわかった。地球の天然資源をすでに使い果たしていた人類にとって、その事実はまさに福音と言っていいものだった。しかし、200年前の地球政府によって行われたレッド・マーカーの起動実験は失敗し、その結果生まれたのがハイヴ・マインドとネクロモーフだったのだ。事件を収拾するために地球政府はレッド・マーカーをイージス7の地中深く封印したが、マーカーを信奉するマーサー博士をはじめとするIshimuraのユニトロジー信者たちが再びマーカーをイージス7から引き上げたのだとケンドラは言う。マーカーがなければネクロモーフの氾濫は抑え込むことはできず、Ishimuraはいよいよ地獄と化してしまうだろう。

ケンドラの所属する地球政府の目的は、敵対している宗教組織であるユニトロジーからマーカーを奪い、管理下に置くことだった。地球政府は、マーカーの研究を再開し、正しく起動させることでそのエネルギーを制御し、地球の抱えているエネルギー枯渇問題を解決しようとしている。しかし、それはIshimuraに起こったような悲劇が再び起こる可能性をはらんだ危険な行為だった。ケンドラはアイザックを残し、マーカーを積んだシャトルでIshimuraを脱出してしまう。打つ手を失ってしまうアイザック。しかし、そこでアイザックにニコルからの通信が入る。ニコルはシャトルを遠隔操作してIshimuraに戻し、マーカーをイージス7に安置することでこの混乱を収束することができるという。アイザックはシャトルを発着場に戻すも、ケンドラは脱出ポッドで逃亡してしまう。ケンドラを追うのを諦め、アイザックはシャトルの中でニコルを待つ。やがて操縦席にニコルが現れ、2人はマーカーを積んだシャトルでイージス7を目指す。

ビデオレターの後半が明かされる。ニコルはアイザックがIshimuraに向かっている時にはすでに死んでいたのだった。

イージス7に到着したアイザックとニコルは、ネクロモーフの群れと戦いつつシャトルから下ろしたマーカーを運搬用カートに載せ、台座へと安置する。そうするとマーカーが起動し、そこから赤い光が立ち上る。マーカーのそばに現れたニコルは、「これでまた一つになれる」とアイザックに告げる。ニコルの言う「一つになる(make us whole)」とは、マーカーを信奉するユニトロジーの教義でもあった。直後、ニコルは姿を消し、マーカーの起動によって起こった重力異常によって、Ishimuraが牽引していたイージス7の破片4兆トンが落下し始める。避難するアイザックの前にケンドラが現れる。ケンドラは脱出せずにマーカーを取り戻しに来たのだ。ケンドラはアイザックに真実を告げると言い、ゲーム冒頭のニコルからのビデオレターの後半部分を明らかにする。冒頭でのニコルからのビデオレターにはケンドラが手を加えており、アイザックは後半部分があることを知らなかった。実は、ニコルはすでにIshimuraが助からないと判断し、毒薬によって自殺していた。そして、これまでのニコルからの通信や彼女の姿は、全てマーカーのもたらした幻覚だったのだ。

苦悩するアイザックをよそに、ケンドラはアイザックが乗ってきたシャトルにマーカーを積んで脱出しようとする。その後を追いかけるアイザック。発着場では、今まさにケンドラがシャトルで脱出しようとしていたところだった。しかし、シャトルに乗り込もうとしていた彼女を、巨大な触手が叩き潰す。ネクロモーフをコントロールしている巨大な生命体ハイヴ・マインドが出現したのだ。

最後の最後で襲いかかってくるニコルの幻影。

激しい戦いの末、アイザックはハイヴ・マインドを撃破する。しかし、巨大な岩塊がイージス7に落下するまでにはもう時間がない。アイザックはやむなく積み込み前のマーカーを置いてシャトルに乗り込み、辛くも宇宙へと脱出する。眼下では、4兆トンの岩塊がイージス7にゆっくりと落着していく光景が見えた。シャトルのシートに背を預け、深く息をつくアイザック。ニコルからのビデオレターを再生するが、最後まで見ることなく映像を切る。ややあって、誰もいないはずの隣のシートに視線をやると、ネクロモーフと化したニコルが襲いかかってくる幻影が目に飛び込んでくる。

『Dead Space』の登場人物・キャラクター

アイザック・クラーク(Isaac Clarke)

本作の主人公にして、Concordance Extraction社(C.E.C)所属のシステムエンジニア。年齢は43歳。その名前は古典的SF作家である「アイザック・アシモフ」と「アーサー・C・クラーク」から取られている。ゲーム中では常にマスク付きのスーツを着用しているため、その素顔はOPとEDだけでしか見られない。また、作中では叫び声やうめき声以外の台詞を発することは一切ない。数々の工具を使いこなす技能を持っているものの、アイザック自身はあくまで特殊な能力を持たない一般的な人間である。続編である「Dead Space 2」「Dead Space 3」でも主人公を務める。

本作の舞台である惑星採掘船「USG Ishimura」に、恋人・ニコルが勤務しており、本作のOPはアイザックが彼女の身を案じつつ、ニコルが送ってきたビデオレターを眺めているシーンから始まる。アイザックとその仲間である、女性技術士・ケンドラ、上級警備員・ハモンドらが足を踏み入れたIshimuraには彼女の姿はなく、大量の乗組員の死体と謎の怪物「ネクロモーフ」がいた。アイザックは他のメンバーと協力してネクロモーフと戦いつつ、彼女の姿を求めてIshimuraを探索することとなる。

最終的にアイザックは、ネクロモーフをコントロールしていた巨大生命体「ハイヴ・マインド」を撃破し、残されていた脱出シャトルでIshimuraからただ1人脱出することに成功する。しかし、同僚であるハモンドの死、ケンドラの裏切り、そしてゲーム終盤で明かされるニコルはすでに死んでいたという事実に加えて、Ishimuraでの苛烈な戦いとマーカーからの影響はその精神に大きなダメージを与えている。

ケンドラ・ダニエルズ(Kendra Daniels)

アイザックとともに惑星採掘船USG Ishimuraの調査に向かったメンバーの1人である女性技術士。ハモンドとしばしば衝突する。本編中では技術的なサポートを担っており、システムを修復してドアロックを解除したり、Ishimuraの各所の設備の状態を確認するなどの方法でアイザックを助けてくれる。Ishimuraで起こった事件の真相について、アイザックたちよりも深い情報を知っているような素振りを見せることがある。

ゲーム終盤で、彼女は実は地球政府からの密命を受けて行動していたことが明らかになる。彼女の目的は、Ishimuraが発見したエイリアンテクノロジーの産物「レッドマーカー」を回収することだった。しかし、終盤でレッドマーカーを持ち去ろうとしたケンドラは、本作のラスボスである巨大な生命体「ハイヴ・マインド」によって殺害される。

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