グランディアII(Grandia II)のネタバレ解説・考察まとめ

『グランディアII』とは、2000年セガよりドリームキャスト用ソフトとして発売されたRPGゲームである。開発はゲームアーツ。グランディアシリーズの第2作目にあたるが前作とは異なる世界が舞台となっている。冒険者リュードは、歌姫エレナの護衛任務の途中で彼女に闇の呪い「ヴァルマーの化身」が取り憑くのを目撃する。リュードは彼女の中に芽生えた悪の人格「ミレーニア」との三角関係を交えながら、光と闇の戦いとその真理に触れ、世界を本当の平和へと導いていく。

『グランディアII』の概要

『グランディアII』とは、2000年セガよりドリームキャスト用ソフトとして発売されたRPGゲームである。「グランディアシリーズ」の第二作目として作られたこの「グランディアII」は、初代「グランディア」の発売から約3年の時を経て、ゲームアーツ企画・開発により発売された。2000年8月3日にドリームキャスト版、2002年2月21日にPS2版が発売、2015年8月24日には原作発売15周年を記念してPCリマスター版が発売された。
全編にわたって3DCGが採用され表現重視の演出がなされており、ムービーでは頭身の高めな表現がなされている。バトルシステムや魔法、アイテムなど主なゲームシステムは初代「グランディア」のまま継承されているが、舞台や世界観は全く異なる世界を描いており、主人公の年齢も上がっている。前作は明るい冒険活劇だったのに対し、今作は「光の闇の戦い」を主軸に置き、善悪の価値観や是非を投げかけるようなストーリー展開となっている。またヒロインが2人登場し三角関係が展開されたり、ほのかな恋愛模様も描かれ、人間関係や心の機微の描写がより多くなったのも特徴の一つと言える。
また、今作ではヒロインの1人であるエレナが歌姫であることから、重要なシーンでは挿入歌が流れる。神秘的で異国の言葉に聞こえるよう歌詞はポルトガル語を採用しており、「A Deus」は神を讃える歌、「Canção do povo」は人々を讃える歌になっている。いずれも歌は川澄香織が歌っている。

『グランディアII』のあらすじ・ストーリー

旅立ち:主人公リュードと歌姫エレナの出会い

気絶したエレナを抱えガルニアの塔から脱出するリュード

ここはシュリーセン大陸北部、カーボの村。
金さえ払えばどんな危険な仕事も引き受ける「ジオハウンド(冒険者)」であるリュードは、相棒の鷹・スカイと共にとある依頼を受けこの村に来ていた。それは、この世界で広く信仰されている「グラナス教」の歌姫・エレナが悪を封じる儀式へ参加するため、村から離れた「ガルニアの塔」と呼ばれる場所まで護衛して連れていくことだった。
先に到着していた神官たちが待つガルニアの塔まで無事に送り届け、儀式が終わるまでの間外で待っていると、中から神官たちの叫び声が聞こえる。終わるまで中に入るなという言いつけを破りリュードが中へ入ると、神官たちの亡骸に囲まれた中心に黒い翼の生えたエレナの姿があった。「闇はいらない…」と呟くエレナが意識を失うと翼も消えるが、地鳴りと共に塔は崩壊を始める。間一髪でエレナを連れ帰ったリュード。何とか村まで戻ると、護衛任務を依頼したカーボの村の神父カリウスは「封印の儀式は失敗し、エレナにヴァルマーの翼が取り憑いてしまった」と告げた。
ヴァルマーとはこの世界で「闇」とされる悪の存在で、光を崇めるグラナス教に敵対する存在だった。大昔「神魔の戦い」と呼ばれる戦争において、光の神グラナスが闇の化身ヴァルマーと戦い、破れたヴァルマーのカケラが世界に散り、それぞれグラナスの力によって封じられていたのだという。このところカケラの力が活性化し、ヴァルマーが復活してしまう「闇の日」が近づき始めていることに危機感を覚えた神父は、再び封印をかけようと儀式を行おうとするが失敗し、逆にエレナに取り憑いてしまったということだった。
ヴァルマーのカケラに取り憑かれた者は心を食われ、食いつくすと他の者に取り憑き、徐々に力を蓄えやがて表に現れ人々に襲いかかるのだという。そうなる前にエレナを救いヴァルマーを再び封印するため、カリウス神父はグラナス教の総本山であるグラナス大神殿にいる法皇ゼラ・イノセンティウスの元へ彼女を送ることにした。カリウス神父から、彼女をゼラの元へ送るために再び護衛をして欲しいと依頼され、引き受けるか考え込むリュードの元に突然爆発音が響く。慌てて外へ出るとそこには黒い翼を生やした赤い髪の女性が立っていた。「ミレーニア」と名乗る彼女は、自分が闇の化身ヴァルマーのカケラの一つ「翼」であることを告げ、村の建物を破壊し始める。止めようと応戦するリュードだが、簡単にねじ伏せられてしまい、「意外と遊び甲斐がありそう」と軽口を叩かれ逃げられてしまった。一体何が起きているのか真相を確かめたくなったリュードは神父からの依頼を引き受け、この一連の事件の真実を自分の目で確かめようと、グラナス大神殿のあるセントハイム法国を目指すのだった。

仲間との出会い:ロアンとマレッグ

母の形見をモンスターから取り返すために同行して欲しいと旅の一座に頼むロアンだが、断られてしまったためこの後リュードへ依頼する

旅の途中、宿場町アギールでリュードたちは旅をしている少年ロアンと出会う。
ロアンから「魔物に母親の形見であるメダルを取られてしまったので一緒に取り返すのを手伝ってほしい」と頼まれるが、同時に2つの依頼は受けられないと断るリュード。しかしその魔物たちによって行く手がふさがれていたため、リュードは単身魔物たちの根城へ向かう。するとどこからともなく再びミレーニアが現れ「面白そうだから一緒についていく」と言いだす。渋々ミレーニアを連れていくと、形見を取り返す為に単身乗り込んできていたロアンとも合流し、3人で魔物を退治することになった。
夜明けと共にミレーニアは「私の時間は終わり。エレナによろしくね」と告げて光に包まれた。そこにはエレナの姿があった。ミレーニアは闇に取り憑かれたエレナのもう一つの姿なのだった。
行先が同じだというロアンも同行することになり、3人はアギールを後にした。
セントハイム法国へ向かうには、グラナクリフと呼ばれる底の見えない大地溝を越えなくてはならない。これはかつての「神魔の戦い」においてグラナスがヴァルマーにとどめを刺した時にできた大地溝で、世界各地に広がっている。このグラナクリフを越えるには「エールポート」と呼ばれる乗り物に乗らなくてはならないため、リュードたちはその発着地点である交易都市リリグへ向かった。
するとリュードたちは突然、巨大な獣人に襲われる。マレッグと名乗る獣人はリュードに向かって「お前からは我が村を襲った元凶と同じ匂いがする。その元凶とは魔人メルフィス」と告げた。応戦し、そのメルフィスと呼ばれる人物ではないという誤解は解けた。土地勘のないマレッグはリュードたちに同行させてくれないかと申し出る。メルフィスはリュードの実の兄であり、彼自身も兄のことを探しながらジオハウンドをしていたところもあったため、リュードはマレッグを仲間に加えリリグへと向かうのだった。

交易都市リリグ:ヴァルマーの舌との戦い

エールポートを管理するガダンだけが味覚を失わずにいた

リリグに到着するリュードたち。しかし街の様子がおかしい。街の人々はいつからか味を感じなくなってしまい、何を食べても砂を噛んでいるような感覚になってしまい、食べる気が起きないのだという。ところが街に住むお金持ちのガダンという男だけは味覚を感じることができ、贅の極みを尽くしているのだった。
エールポートを管理しているガダンは1万G払えば乗せてやるとリュードに告げる。お金の工面をして先を急ごうとするリュードに対し、エレナは「困っている街の人を放っておけない」とグラナス教会へ赴き神父の話を聞く。
神父曰く、ガダンも昔は人当たりがよかったのに、いつしか金もうけ主義になり食べ物に固執するようになり、その頃から街の人々にも異変が起き始めた。更にこの街はグラナスの祝福を受けた街で、グラナスの遺跡の上に立てられた街なのだという。その話を聞いてリュードはガルニアの塔のケースと同じである可能性を指摘すると、エレナは「遺跡の探索をしたい」とリュードに頼むのだった。
遺跡の最深部には巨大な魔物がリュードたちを迎え撃った。エレナはその魔物に捕食されかけたところ、ミレーニアに変身し事なきを得る。リュードたちが魔物を倒すと、ミレーニアはその魔物の正体は「ヴァルマーの舌」だと言い、自分自身に舌の力を吸収させた。すると魔物の姿はガダンに変えた。街で起きていた異変はガダンが「ヴァルマーの舌」に乗っ取られたことで起きたのである。ミレーニアが「ヴァルマーの舌」を吸収することでガダンを人間に戻すことはできたものの、彼は心を食い尽されてしまい、意識不明のまま目を覚ますことは無かった。
街の人々は味覚を取り戻し、エールポートを管理していたガダンもこん睡状態の為、結果的には先へ進むことが可能になった。しかしエールポートがグラナクリフを越える途中、空に浮かぶ赤い月、通称「ヴァルマーの月」が光り嵐を呼び起こした。暴風によってエールポートは吹き飛ばされ目的地からグラナクリフに沿ってはるか北の地へと流されてしまった。

ミルムの村:ヴァルマーの目に取り憑かれた少女

アイラに取り憑いたヴァルマーの目を引き剥がす瞬間、この言葉を最後にアイラは心を失った

はるか北の地へ不時着したリュードたち。ルミルの森の中を進んでいくとミルムの村に到着する。
村に到着するや、何か事件があったらしく、村長は誰かを待っているかのようにリュードたちに駆け寄った。話を聞くと、村の者が突然寝込んでしまい、目を覚まさない謎の呪いが起こっているのだという。最初の被害者が出てから村の者は皆、大きな目玉に睨まれるという同じ夢を見ており、徐々に寝込む者が増えてきて困っているのだった。事態を重く見た村長はセントハイム法国のグラナス大神殿へ使いを送り、グラナス神官の到着を待っているところなのだった。自分はグラナス大神殿からの使いではなく、通りすがりのグラナス神官だとエレナが説明すると、村長はそれでもせっかくなので泊まっていって欲しいと告げる。

村人から話を聞くと、村の奥に住むサンドラという女性と、その娘アイラが今回の呪いの犯人ではないかと疑っていた。生まれつき目の見えなかったアイラが、ある日突然目が見えるようになり、時を同じくして宿屋のおかみ・イリーナの息子ニコルがこん睡状態になって目覚めなくなったためサンドラ親子は疑われ嫌われているのだった。詳しい事情を聞くためサンドラ親子の元を尋ねると、サンドラはアイラの目が治るようにと毎日祈り、薬草を摘んで薬を作ったりしていただけなので、疑われるのは悲しい、と気落ちした様子で言った。

そこへ、グラナス大神殿から派遣された聖堂騎士団と、それを束ねる神官シレーネがやってくる。シレーネは事件の真相が解決するまでこの村を封鎖し、原因が分からない場合は村ごと浄化(皆殺し)すると言い放った。
村に閉じ込められてしまったリュードたちはどうすることもできず、ひとまず村に泊まることにした。宿屋に泊るとリュードは無数の目玉に睨まれる悪夢を見る。目を覚ますと村中に目玉の魔物が飛来しており、呪いの被害者が一気に増えてしまった。目玉の魔物が逃げ込んだ村の奥にある洞窟へ向かうと、最奥にはグラナスの封印が破られた痕跡があった。ここもヴァルマーの翼や舌と同じケースではないかと推察したリュードは、視力が回復したアイラがヴァルマーに取り憑かれたのではないかと仮説を立て一旦村に戻った。村ではシレーネが「浄化を急がねば。怪しい者がいないか村人を尋問する」と動き始めた。シレーネが村を浄化する前に真犯人をつきとめようと、リュードは再びサンドラとアイラの元を尋ねる。

サンドラの家の庭先にいたアイラを追いかけると、家の物置小屋に穴が開いており、洞窟の最奥にあるグラナスの封印の場所へ辿りついた。アイラが「みんな仲良くなって欲しい」と願うと光が溢れ、リュードたちはルミルの森の中に在る花園へと移動していた。
アイラは「今まで見えなかったものが見えるようになって悲しい。村の皆は心の中で嘘ばかりついていて苦しんでいるので、ここ夢の花園で妖精になってもらった」と言った。アイラの周りには無数の光が飛び、それはこん睡している村人たちの魂なのだった。アイラの額には第三の目が開き、ヴァルマーの目が取り憑いているのは確実だった。

アイラは突然「お母さんが危ない」と言いだし姿を消す。リュードたちもサンドラの元へかけつけると、シレーネたちがサンドラを追い詰めているところだった。アイラの額を見たサンドラは「化け物」と思ってしまい、それをアイラが読み取ってしまったためショックを受け再び姿を消した。シレーネはアイラを追い、残されたサンドラは自責の念に駆られ「もう救いようがないならアイラを殺して欲しい」とリュードたちに頼む。それに対しリュードは「アイラはお母さんや村の人が仲良くなって欲しいと願った結果こうなった。あんたはその願いを無視して諦めるのか?」と問いかけ、シレーネよりも先にアイラを見つけ出すために森の花園へ向かった。

エレナの姿から変身したミレーニアは、ルミルの森の花園から洞窟の最奥へと瞬間移動し、そこでアイラの心の中へ入れる扉を見つける。自分自身の心の中に逃げ込んだアイラを助け出すため、リュードたちは中へと入り、一番奥でヴァルマーの目と戦い勝利した。
気がつくとそこは花園があった場所だった。しかしもう花は一つも咲いておらず、荒野にアイラが横たわるだけだった。そこにサンドラが駆け付け「一瞬でもあなたを化け物と思ってしまってごめんなさい、愛しているわ」と告げる。アイラは、最期にお母さんを笑顔に出来たので悔いはないからヴァルマーの目を取ってほしいとミレーニアに頼み、心を失った。しかしサンドラは「アイラはいつか心を取り戻す。私はあきらめない」と希望を捨てずに生きることを誓う。
リュードたちは本来の目的であるグラナス大神殿へ向かう為、再びセントハイム法国を目指すのだった。

セントハイム法国:グラナサーベルを求めて

セントハイム法国に立つグラナス大神殿

目的地であるセントハイム法国に到着すると、エレナは法皇ゼラ=イノセンティウスに呼び出され、あっけなくリュードたちとはお別れとなった。リュードは依頼を終えたため、魔人メルフィスを追うマレッグと共に同行することを決め、ロアンはグラナス教のことを調べたいとのことで3人ともしばらくはセントハイム法国に滞在することにした。

翌日、リュードはゼラから呼び出されたため神殿へ赴く。するとゼラから「神の剣・グラナサーベルを探して欲しい」という依頼をされる。ゼラの話によると、ヴァルマーはカケラ同士で互いに食い合い、全てが一体となった時に「闇の日」という災厄が訪れ世界が滅んでしまうのだという。現段階でエレナから闇を取り除く具体的な方法はないのだが、ヴァルマーが完全体となる前にグラナサーベルを手に入れ、神の力が復活すれば可能性がある、とゼラは言う。リュードは「もうヴァルマーに振り回されて悲しむ人を見たくない」と依頼を引き受ける。エレナは万が一ヴァルマーの翼が暴走してしまった時に腕の立つリュードが側にいた方がいいという結論に至ったため、再びリュードと合流することになった。マレッグとロアンも共についていくことになった。

リュードたちは、グラナス教典にある「神の剣は闇の軍勢と共に眠る」「大地に潜み隠れ続ける闇の民」という節を思い出し、それを元に神の剣探しを始めようとする。するとロアンが「僕の故郷、サイラム王国に来てもらえれば何か分かるかもしれない」と詳しい事情を話すことなく告げるのだった。他に行くアテがないリュードたちはひとまずロアンの言う通りサイラム王国を目指すのだった。

サイラム王国:闇の民の末裔

城の水路を使って裏口へ回るリュードたち。この後ロアンがサイラム王国の王子であることを知らされる。

サイラム王国に到着すると城下町は建国記念祭の直前で盛り上がりを見せていた。
ロアンは詳しい事情を説明しないまま「実家に寄って来るので皆は宿に行っていて欲しい」とだけ言い残しその場を去る。神の剣の情報を得るため各国の人々が集まるバザーへ赴き情報収集をするリュードたちの元に再びロアンが現れ、城の裏口に案内してくれた。
そこで待ち構えていた城の兵士はロアンのことを「ロアン王子」と呼ぶ。そこで初めてロアンは自分がこのサイラム王国の王子であることを明かした。そしてサイラム王国はかつて神魔の戦いにおいてヴァルマー側についた「闇の民」と呼ばれる人々の末裔の国であること、国民に皆ヴァルマーを崇めていた記憶は残っていないが、王族は城の地下にある「闇の扉」と呼ばれる封魔の部屋を守り続けていたことをリュードたちに打ち明けた。
ところが父親である現国王が「建国記念祭で地下に眠る宝を皆に披露する」と公言していたため胸騒ぎを覚えロアンは急ぎ城に戻ったのだった。リュードたちが城内に極秘潜入したのとほぼ同時に地下から爆発音が響き、駆け付けると「闇の扉」は破壊され封印が解かれてしまっていた。マレッグは「破壊の痕跡から魔人メルフィスの匂いがする」と言う。闇の扉の奥には何があるのか、封印を解いたのはメルフィスなのか、確かめるためリュードたちは破壊された闇の扉の奥へと向かった。

闇の扉の奥にあったのは神魔の戦いに使用された戦闘用の「自動人形(オートマター)」の製造工場だった。最深部に到達すると、不穏な様子のオートマターが「侵入者排除」と言ってリュードたちに襲いかかった。オートマターには「ヴァルマーの爪」が取り憑いていたが、これは別のヴァルマーのカケラに取り憑かれた何者かが意図的に「爪」を使ってオートマターを操っていたとミレーニアは言った。それがメルフィスだと確信したマレッグは辺りを探索するがもう彼の気配はそこになかった。
自分たちが守り続けていた物が戦闘用の自動人形製造工場だと知ったロアンは自暴自棄になり、工場の中枢部を破壊した。すると工場は地鳴りと共に崩れ、リュードたちは間一髪で脱出した。
マレッグは、ヴァルマーの爪に取り憑かれていた自動人形も共に連れて脱出した。彼女は「ティオ」と名乗り、「命令を下さい」と無機質な声で言った。それに対しマレッグは「自由になったのだから好きなようにすればいい」と答えるが、自由の意味を理解できないティオはどうしていいか分からず困惑してしまう。「分からぬならば共に来い」という言葉にティオは従うのだった。
今回の一件を国王に問いただすべく、リュードたちは国王の元へ向かった。しかしそこにいたのは魔人メルフィスと、メルフィスの手にかけられていた国王だった。リュードとマレッグはメルフィスに挑もうとするが全く歯が立たずやられてしまう。メルフィスは「夢も希望も最初から無いということをお前に見せてやる、故郷の因縁の場所で」と告げて去っていった。
リュードたちはメルフィスの言った「故郷の因縁の場所」である剣士の島・剣士の村ガーランを目指すことになった。ロアンは新国王に就任し、自分自身が「闇の民」という伝承や言葉に振り回されていたことを反省し、「国民がそのような間違った伝承や言葉に振り回されぬようこの国を変える」と言ってサイラム王国に残ることを決めた。
ロアンが用意した船「50/50号」に乗ってリュードたちはガーランを目指した。

剣士の島・ガーラン:リュードの過去

仲が良かった頃のリュードとメルフィス。共に剣士を目指していた。

剣士の島にある村・ガーラン。ここはリュードの生まれ故郷だった。
久方ぶりに訪れたリュードだが、村人は彼のことを歓迎せず、育ての親である村長と幼馴染のガッタも「出て行け」と言った。
リュードは「メルフィスがここに来ているはずだ、奴を倒したらすぐに出て行く」と言ってあまり関わらないようにその場を去った。
過去に何があったかを知らないエレナは、話してくれないリュードに尋ねることもできず悶々としていると、スカイがこっそりと打ち明けてくれるのだった。

幼い頃に両親を亡くし村長に育てられていたリュードと兄メルフィスは、剣士の村・ガーランで剣の修業にいそしんでいた。特にメルフィスは筋が良く、剣士の村始まって以来の最強剣士と言われ皆から期待されていた。メルフィスは村長の娘リーナと婚約し、リュードもリーナを実の姉のように慕っていた。
ある日、大嵐が村を襲い、村の裏手にある御神体が祭られた山からは地鳴りが響き始めた。荒ぶる御神体を静めるためリーナが山へ向かうが、一向に戻ってくる気配がない。嵐も収まらず、メルフィスは村の若者を連れて御神体の元へと向かった。心配になったリュードが後を追いかけると、御神体のある洞窟の入り口には村の若者がばたばたと倒れ、雷鳴の中メルフィスがリーナの身体を串刺しにし高らかに笑う姿があったのだった。
そこで崖崩れがおき、リュードが意識を失う。再び目を覚ますと嵐は収まり、目の前には既にメルフィスの姿は無く、剣で大地に縫いとめられたリーナの亡骸があったのだった。それ以来メルフィスは「人殺し」「御神体を奪った男」と呼ばれるようになり、弟のリュードも居場所を失くしてしまった。それから村を出て、金次第でどんな危険なことも請け負う冒険者「ジオハウンド」として生きていくことにしたのだった。
宿屋に一泊し、翌朝御神体のあった場所へ向かうと、そこにはメルフィスが待ち構えていた。リュードたちは因縁の対決をし、メルフィスに勝利する。最期に正気を取り戻したメルフィスは、神の剣はグラナクリフに沿って東へ行ったところにある、と告げ、「最期に会えてよかった、愛しき弟よ」という言葉を残して目を閉じた。次の瞬間リュードは突然苦しみだし、左腕が禍々しい光に包まれた。メルフィスの中にいたヴァルマーの角はリュードに取り憑いたのである。
ヴァルマーの角に浸食されたリュードは、このままだと心を食われてしまう危険な状態になった。何とかリュードの心を助ける方法がないか、とエレナはミレーニアに呼びかけ祈る。するとミレーニアに変身し、角を吸収しようとする。しかし、ミレーニアもリュードの心を失いたくなかったため、エレナに呼びかけ二人で協力してリュードを助けることを提案する。エレナがリュードの心の中に入り込み、彼の心をつなぎ止め、その隙にミレーニアが角の力をリュードの中に封印することで彼の心を壊さずに角の力を抑えることに成功した。リュードは意識を取り戻し、メルフィスの遺言通り、グラナクリフに沿って東の地へと向かった。

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