ニル・アドミラリの天秤(ニルアド)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ニル・アドミラリの天秤』とは、女性向け恋愛アドベンチャーゲーム『ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚』原作のアニメである。大正25年の帝都で、人を死に至らしめる書物を巡る謎に、ヒロイン久世ツグミが翻弄されながらも立ち向かう姿を描く。

カラス

稀モノを使ったテロ集団で、関わった事件の現場に烏の羽根を残している。
稀モノを人為的に作り、闇オークションを通じて世の中に流出させている。帝都大学の百舌山教授が、カラスの稀モノ作りに寄与しているらしい。黒幕が四木沼喬であることは、7話で判明。滉は、四木沼の密偵としてフクロウに入り、隼人たちから信頼を得ていた。
鵜飼首相の政策に賛同していた議員四名の不審死には、稀モノやナハティガルの存在が見え隠れしている。一方で、ツグミの弟や隼人の妹のような、政治的発言力のないこどもも犠牲になっている。目的のある暗殺と、愉快犯のような無差別テロが混在していることから、カラスが一枚岩か否か、別の犯罪集団があるのかは不明。

カグツチ

危険な書物を焚書する学生グループ。本来の目的は稀モノの処分であるらしい。稀モノを判別できずに、疑惑のあるものを奪取して焼却しているため、実態は強盗に等しい。稀モノを見分けるために、ツグミの能力を欲しがっている。リーダーは鷺澤累。
カグツチとは、日本神話における火の神。カグツチ出産時に、母親のイザナミは死亡する。妻を殺された怒りで、イザナギはわが子のカグツチを斬殺した。

『ニル・アドミラリの天秤』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ツグミ「歩かなきゃいけないんだ」

初仕事で、町に巡回に出たツグミの心の声。隼人たちと肩を並べて歩くことができず、ツグミは何度も彼らから遅れてしまう。
ツグミは、淑女となるべく教育を受けてきた。機能的な仕事着も恥ずかしさが先立ち、同僚の男性と連れだって歩くことをためらう。
弟の悲劇をきっかけに開花した能力を役に立てるために、ツグミはそれまでの生活を捨て、フクロウに身を投じた。それなのに、仕事以前のことで、ツグミは早くもつまずいている。
ツグミの上司は女性であり、図書館の他部署では大勢の女性が働いている。この世界では、すでに、深窓の令嬢は時代遅れなものとなっている。旧弊な価値観を捨てることが、ツグミにとっての社会への第一歩であるということもにおわせた台詞でもある。

『ニル・アドミラリの天秤』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

演出

タイトルコール

OP曲のイントロに重ねて、「ニル・アドミラリの天秤」のタイトルコールがある。毎話担当者が違う。同時に、タイトルバックの天秤の傾きも変化している。
1話 久世ツグミ
2話 尾崎隼人
3話 鷺澤累
4話 鵜飼昌吾
5話 汀紫鶴
6話 星川翡翠
7話 鴻上滉
8話 久世ツグミ・ペリ
9~11話 男性ユニゾン
12話 メイン全員

天秤の傾き
1話 右
2話 天秤カットなし
3話 右
4~8話 左
9~10話 右
11話 左
12話 天秤カットなし

アバン

アバンでは、前回の概要が説明される。「これは、久世ツグミ、○○の物語」でナレーションが締めくくられるが、毎話○○に入る文言が変わる。
1話(ツグミによるモノローグ挿入のため通常ナレーションなし)
2話「出会い」
3話「選択」
4話「想い」
5話「信念」
6話「今生」
7話「離別」
8話「共感」
9話「とらわれ」
10話「決意」
11話「帰還」
12話

登場人物の名前

主人公ツグミに関わる人物は、鳥の名前がつけられている。何かにとらわれている、またとらえることの象徴として鳥籠が使われる。
アニメの登場人物には、通行人や居合わせた乗客などいわゆるモブのほぼすべてに、命名されている。ただし、与えられているのは、鳥とは無関係の名前である。

次回予告

登場人物からツグミに向けた手紙を読み上げるという形式。
1話 朱鷺宮栞
2話 猿子基史
3話 隠由鷹
4話 杙梛
5話 ペリ
6話 星川翡翠
7話 鴻上滉
8話 汀紫鶴
9話 鵜飼昌吾
10話 鷺澤累
11話 尾崎隼人

大正25年と史実

作品の舞台である大正25年は、視聴者の世界では昭和9年に当たる。地名をカタカナ表記することでも、作品は虚構であることが示されている。
以下、史実における世相との関連を挙げていく。

帝都震災と関東大震災

帝都震災が起こった日時については明確にされていない。
アニメでは、松坂屋呉服店がモデルと思われるウエノの建造物が見られる(5話)。
史実の関東大震災は、大正12年9月1日。このとき、上野広小路の松坂屋呉服店は損傷、再建されることはなかった。

エログロナンセンス

昭和4~11年ごろまで続いた文化の傾向。エログロの代表的な作家は、江戸川乱歩や夢野久作。
森恒犀鳥の作品は、江戸川乱歩の成人向け小説を思わせるものだった。汀紫鶴は、官能的な恋愛小説で人気を博している。ナハティガルの盛況も、時代の雰囲気の追い風があると考えられる。

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