1980年代後半に、作品の連載媒体としての雑誌が衰退してほとんど無くなってしまったため、現在では描き下ろしでアルバム(単行本)が出版されるようになっている。
日本のBDへのイメージは、1970~1990年代のもの
第二次世界大戦後のBDの流れを3つの世代にわけて分類すると、以下のようになる。
【1】子供向け作品が主流の世代 (1950~1980年代)
…『タンタンの冒険』『スマーフ』など
【2】ビジュアル面の優れた大人向けの作品の世代 (1970~1990年代)
…メビウス、エンキ・ビラル作品など
【3】BD多様化の世代 (1990年代~現在まで)
…作家性の強いオルタナ系、娯楽色の強い大手出版社作品など
※日本におけるBDのイメージは、【2】の圧倒的なビジュアルをもった作品群と言っても過言ではない。
左画像はモーニングで連載されていた「太陽高速」(バル作)。日本では不評であったが、フランスでは好評を博し、1996年アングレーム国際漫画祭で最優秀作品賞を受賞している。
80年代末から90年代後半にかけ、日本の週刊漫画誌「モーニング」は海外作家を積極的に起用した。海外作品が日本の漫画誌に載ることは以前からあったが、モーニングは海外作家にオリジナル作品を書かせた点が画期的であった。そこにはかなりの手間、苦労があったようだ。
メビウスなどの大物作家も参加したが、単行本化された作品は9冊。商業的な成功はひとつもなかったと言われている。その後、井上雄彦の『バガボンド』が始まった事が象徴するように、海外作家の作品は掲載されなくなってしまった。
しかし、「モーニング」での経験が、その後の作品の執筆に大いに役立ったと語る作家もいた。
【作品】L'INCAL(アンカル)
R級ライセンスを持つさえない私立探偵ジョン・ディフールは、ひょんなことから宇宙全体の命運を司ると言われる謎の生命体”アンカル”を手に入れる。
アンカルをめぐって、政府、ゲリラ組織、宇宙征服をたくらむ異星人……さまざまな人間たちの思惑が交錯し、ジョンは図らずも光と闇をめぐる大規模な宇宙抗争に巻き込まれていく。
やがて彼は、アンカルと仲間たちの助けを借りて、混沌とした宇宙の救世主として徐々に覚醒していくことになるのだが……?
【作家】メビウス
本名:ジャン・アンリ・ガストン・ジロー。1938年フランス生まれ。多くの日本の漫画家に影響を与えただけでなく、世界中のクリエイターから尊敬を集めたBD界の巨匠。
『アルザック』などの幻想的なSF作品を生み出し、世界的なビジュアルSFブームを巻き起こしながら、アメリカン・コミックスやSF映画にも多大な影響を与えた。
大友克洋氏や谷口ジロー氏、藤原カムイ氏、浦沢直樹氏、松本大洋氏など、日本の名だたる漫画家が影響を公言しているが、特にアニメ監督である宮崎駿氏へ与えた影響、および交流が有名である。
2012年逝去。
アレハンドロ・ホドロフスキー
1929年、チリ生まれの映画監督。1970年、のちに「カルト映画で最も重要な1本」と呼ばれる『エル・トポ』を発表し、1973年には『ホーリー・マウンテン』を発表、世界的名声を勝ち得る。
一方で、BD界随一の人気を誇る原作者としても有名で、メビウスと共に『猫の目』『アンカル』などの作品を発表。なかでも『アンカル』は一代センセーションを巻き起こし、『メタ・バロンの一族』をはじめとする複数のスピンオフ作品を生み出した。現在も精力的に作品を発表し続けている。
【作品】メタ・バロンの一族 (上・下巻)
宇宙一非道で冷酷な殺し屋メタ・バロン。過酷な通過儀礼(イニシエーション)により脈々とその名を受け継いできた一族の呪われた歴史がついに明かされる……!
カルト映画の巨匠ホドロフスキー原作! 世界中のクリエイターから尊敬を集める鬼才ヒメネスが、圧倒的重厚感を持った美麗なアートワークで綴る、想像を絶する壮大なスペース・サーガ、ここに開幕!
※メタ・バロンは「アンカル」に登場するキャラクター。ただし物語は「アンカル」とは独立したパラレルワールドとなっている。
【作家】フアン・ヒメネス
アルゼンチン生まれ。幼少期よりBDの魅力にとりつかれ、16歳の時に最初のBDを発表。精密機械工学と工業デザインを学んだ後、スペインやイタリアの雑誌で定期的に作品を発表し始める。
スペインの二つの主要なコミック誌で行われたアンケートにおいて、「80年代で最も重要なアーティスト」と評されたこともあり、1990年にはバルセロナの国際コミックス見本市でガウディ賞を受賞。作品はヨーロッパのみならず、アメリカでも出版され、国際的な人気を得ている。
BD以外でも、小説の表紙やレコード・ジャケット、ポスター、ビデオ・ゲームなどでイラストレーターとしても活躍しており、映画の絵コンテ制作なども手掛けている。