【作家】ニコラ・ド・クレシー
1966年、リヨン生まれ。フランス・ディズニー・スタジオ勤務を経て、BD作家になる。 代表作にアレクシオス・チョージャ原作の『フォリガット』(1991年)、『天空のビバンドム』(1994年)、『レオン・ラ・カム』(1995~1998年)、『サルヴァトール』(2005~2006年)、『氷河期』(2005年)などがある。 1992年『フォリガット』でリオン賞などを受賞、1998年には『レオン・ラ・カム』第2巻でアングレーム国際漫画祭の最優秀作品賞を受賞している。 シルヴァン・ショメが監督を務めたアニメーション作品『老婦人とハト』で、美術を担当したことでも知られている。
『500 DESSINS』より 日本の風景を描いたもの
【作品】3秒
1ページ9マスの正方形に順々とズームする画像が描かれていくという手法の作品で、この手法で最後まで貫徹されている。 読者は、この手法によりある視線をたどる。この視線は何度も鏡面に反射する。鏡だけではなく、眼球や金管楽器の表面などさまざまなものに当たっては反射することで、同じ事象がさまざまな視点からとらえられる。 同じ事象を別の視点から見ると、前の視点では死角にあって見えなかったものを見ることができる。 別の視点から見て知りえた情報を総合するために、くりかえしくりかえし読み、あっちこっちページをめくる。 すると起きている出来事やその関係性がわかってくる。
VIDEO
3 secondes - Bande annonce BD (Marc-Antoine Mathieu)
『3秒』の紹介動画
【作家】マルク=アントワーヌ・マチュー
1959年生まれ。アンジェの美術学校を卒業後、展覧会の設営を専門にするアトリエを立ち上げ、多くの魅力的な展覧会を制作。 BD作家としてのデビュー作は、1987年に出版された「Paris‐M^acon」で、その卓越したモノクローム表現で注目を浴びる。1990年には、「L’Origine」(後の「夢の囚われ人」シリーズ)を発表。デヴィッド・リンチやテリー・ギリアムの映画のような雰囲気が感じられるこの作品は、その年最大の話題作となり、新聞・雑誌がこぞって評価、1991年度のアングレーム一目惚れ賞を受賞した 。同シリーズは1994年にも同祭で最優秀シナリオ賞を受賞している。
【作品】ブラックサッド
人種差別がまだ当然のように行われていた50年代末のアメリカ。黒猫の探偵が、獣たちが群れ集う都会で様々な事件に立ち向かう。命を危険に晒し、彼は事件を解決するが、心のどこかにわだかまりが残る……。 登場人物は全て擬人化された動物だが、彼らの姿はあまりにも人間的。 フランス本国で2000年から刊行が始まったこの作品は、現在第4巻まで刊行され、その全てが日本語に翻訳されている。
【作家】フアンホ・ガルニド
※以前は「フアーノ」という表記だったが「フアンホ」に改められた。 1967年、スペインのグラナダ生まれ。学校で美術を専門的に学んだ後、1993年フランスへ移住。ウォルト・ディスニーのフランス製作所でアニメーターとしてキャリアをつむ。 デビュー作にして代表作『ブラックサッド』が大ヒットし、一躍有名に。原作を手がけるファン・ディアス・カナレスと共に、2004年アングレーム国際漫画祭で読者賞と最優秀作画賞、2006年アングレーム国際漫画祭で最優秀シリーズ賞などの賞を受賞している。
【作品】イビクス――ネヴローゾフの数奇な運命
アレクセイ・トルストイ原作。 ジプシーの女占い師に、自分の出世とひき換えに世界の破滅を宣告された会計士シメオン・ネヴゾーロフ。不吉なさだめ“イビクス”の徴しのもと、ネヴゾーロフは得体の知れない登場人物たちと出会いながら、ペトログラード、モスクワ、ハリコフ、オデッサ、イスタンブールへと漂浪してゆく。 混迷するロシア革命を背景に、しぶとく生き延びるネヴゾーロフの道行きを、悪夢のような幻想的筆致で描いた作品。
【作家】パスカル・ラバテ
1961年フランス・トゥール生まれ。高い画力に裏打ちされた多彩な画風やストーリーテリングには定評がある。これまでに多くのユニークなBDの原作や作画を手がけ、日本でも『モーニング』誌で活躍した。 『イビクス―ネヴゾーロフの数奇な運命』で、アングレーム国際マンガフェスティバルのAlph-Art 最優秀マンガ本賞を受賞。その他、批評家に絶賛された『小川 Les Petits Ruisseaux』も賞を獲得している(2007年、ACBD批評大賞受賞)。この作品は2010年に映画化され、自ら監督を務めるなどマルチタレントぶりを発揮している。