海外漫画「バンド・デシネ」の魅力を徹底解説!宮崎駿に影響を与えたメビウスなど人気作家についても紹介
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フランス語圏の漫画「バンド・デシネ」についてのまとめです。アメリカン・コミックス、日本の漫画と並んで世界三大コミック産業のひとつと呼ばれ、アート要素が強いのが特徴。ここではバンド・デシネの基本情報や、日本の漫画との違い、宮崎駿などに影響を与えたメビウスをはじめ、有名な作家や作品について紹介していきます。
【基礎知識】バンド・デシネとは?
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出典: buzzap.jp
左画像はメビウスのアート。
バンド・デシネ(Bande Dessinée)とは、フランス語圏のマンガのこと。
略して「BD」と表記することが多く、その際は「ベーデー」または「ベデ」と読む。
アートとしても価値が高い。
BDの特徴の一つに、美しいフルカラーの作品が挙げられる。技巧を凝らしてカラーリングされた美しい作品はアートとしても価値が高いとされていて、原画が高値で販売されたり、美術館に展示されることも多い。(もちろん、白黒の作品もある。)
フランスでは、プレゼント用の需要も多いある種の“豪華本”である。
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出典: imgur.com
画像はメビウスのアート
市場規模はヨーロッパ随一。ベルギーやスイスのフランス語圏で出版されるマンガも「バンド・デシネ」と呼ばれる。
近隣のイタリアやスペインの作家がフランスで作品を出版することも少なくない。今やアジアの作家がBDを出版することも。
フランスでは、アメコミや日本の漫画のことも全部ひっくるめて「BD」と呼んでいる。
つまり使い方は日本の「漫画」と同じである。
日本のマンガとの違い&特徴
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出典: www.euromanga.jp
画像は『ムチャチョ―ある少年の革命』(エマニュエル・ルパージュ作)より。
透明水彩で描かれた美しい絵が特徴のこの作品は、邦訳版も出版されており、第16回文化庁メディア芸術祭・マンガ部門優秀賞を受賞している。
日本のマンガと違い、左開きで、フキダシが横書きである。
つまりコマも「左から右」へと読んでいく事になる。また概して日本のマンガより版型が大きく、ページ数が少ない。
一コマの情報量が多く、コマごとの間の取り方が日本とは違う。
出典: www.euromanga.jp
フランスで人気がある漫画家の谷口ジローさんは、「日本は物語性を追求するが、BDはメッセージ性が強い。読むのも時間がかかる」という。藤原カムイさんは「コマの間を想像で埋める必要がある」と指摘。
画像はショーン・タン『アライバル』より。
この作品は、フランス最大のBDフェスティバルである『アングレーム国際漫画祭』で2008年の最優秀作品賞を受賞しているほか、世界各国で多数の賞を受賞している。台詞のない作品だが、邦訳版もある。
作家はほとんどアシスタントを使わず、一人で描いている。
たいていのBD作家は一人で作品を描いている。
制作のペースが緩やかで、時間をかけてじっくりと作られる。
シリーズ作品の場合は大体1年に1冊くらいのペースで刊行されるが、中には1つの作品を完成させるのに5年以上かける作家もいる。
ただしその分、自分の作品の著作権だけで生活している人は一部だけで、そうでない人は別の仕事を持ちながら…というのが実情のようだ。
作品が連載できるような雑誌はほとんど廃刊してしまった。