恋は雨上がりのように（恋雨）のネタバレ解説・考察まとめ

『恋は雨上がりのように』の概要

『恋は雨上がりのように』とは、眉月じゅんによる漫画作品。2018年1月にノイタミナ枠でアニメ化された。
制作は『甲鉄城のカバネリ』、『魔法使いの嫁』、『進撃の巨人』などのWIT STUDIO。監督は『ドラえもん のび太の恐竜2006』や『宇宙兄弟#0』を手がけた渡辺歩が担当した。

ファミレスでバイトする橘あきら（たちばなあきら）は、店長である近藤正己（こんどうまさみ）に熱いまなざしを向けていた。
あきらはケガが原因で部活をやめることとなり、気を落としていた。その時、偶然入ったファミレスで近藤と出会い、彼の優しさに触れて好きになったのだ。
クールで無愛想な17歳の女子高校生と、頼り甲斐がないファミレスの店長である45歳のおじさんの恋愛を描く。

「2015年度コミックナタリー大賞」2位、第63回「小学館漫画賞」（一般向け部門）を受賞した作品。2018年には小松奈々、大泉洋をキャストに迎えて実写映画化もされた。

『恋は雨上がりのように』のあらすじ・ストーリー

あきらの恋心

17歳の女子高生・橘あきら（たちばなあきら）は部活動をする生徒たちを尻目にバイト先のファミレス「ガーデン」に向かう。あきらはバイト先の店長である近藤正己（こんどうまさみ）に特別な視線を送っていた。
以前築城部に所属していたものの、アキレス腱のケガを負ったあきら。整骨院に来ていた帰り道、雨に降られてしまい、近くのファミレスで雨宿りをする。
パフェを食べ終えたあきらは窓の外を眺めて雨が止むのを待っていた。そこへ近藤がコーヒーをサービスとして持ってきて、「ただ雨がやむのを待っているだけじゃつまらないでしょ？」と言って、手品でミルクを右手の中から出して見せたのだ。
あきらはこの時から近藤に恋をしている。
しかし無表情なあきらのおもいは近藤に伝わらず、彼女の視線を感じていた近藤は自分が蔑魔れていると勘違いし、落ち込んでいた。

あきらはアキレス腱のケガがあるにも関わらず、客が忘れた携帯を走って届けた。無事に届けることができたが、店の前で座り込んでしまう。近藤は慌てて病院へあきらを連れて行く。
あきらはケガの具合よりも、近藤に触れられたことを気にしていた。
ついにあきらは近藤に思いを告げる。しかし、近藤はそれを告白だと受け止めてくれなかった。

後輩に連れられ陸上部へ顔を出したあきらは、部活をしていた頃のことを思い出して泣いてしまう。雨に濡れて歩くあきらは近藤の元へ行き、もう1度思いを告げた。
それを聞いた近藤は、あきらとデートの約束を交わす。

しかし、あきらはひょんな事から、厨房で働く加瀬亮介（かせりょうすけ）に近藤への思いを知られてしまう。加瀬は近藤への気持ちを秘密にしておく代わりに、デートを要求してきた。渋々加瀬と出掛けたあきらは、「君と店長はうまくいかない、絶対に」と告げられた。

距離を縮めていくあきらと近藤

ある日、「ガーデン」に近藤の息子である近藤勇斗（こんどうゆうと）が訪ねてくる。勇斗はハムスターをもらい、近藤に見せに来たのだ。しかし、近藤は休みであり、あきらは近藤の家まで行く勇斗に付き添うこととなった。近藤は不在だったため、家で待つことにしたあきらは、たくさんの本や書きかけの小説を目にし、店での彼とは違う一面を知るのだった。

あきらが陸上を辞めて以来、あきらとはるかの仲はどこかぎこちなかった。はるかは街であきらを見かけても、話しかけられず、あきらも陸上部員達からは隠れていた。そんなある日、はるかは延々とガチャを回すあきらを発見する。部を離れても友情に変わりはないことを確かめたいあきらだったが、話すタイミングを逃し、声をかけることができなかった。
その帰り道、雨に降られたあきらは図書館に立ち寄る。そこで偶然にも近藤と出会う。大学時代の仲間が書いた小説のことで頭がいっぱいだった近藤に、距離を縮めようと本の話題をふるあきら。しかし拒絶されるような言葉をかけられ、心が沈んでいく。

台風の日、近藤は風邪を引いて寝込んでしまう。落ち込んでいたあきらは彼の元に向かうが、どうしても「友達」から関係が進まない。彼に好きになってもらうにはどうしたらいいのか考え込む。

思い切ってはるかを夏祭りに誘ったあきらだったが、楽しく過ごしたのも束の間、ケンカ別れをしてしまった。その一方で近藤は、大学時代の友人と再会し、思い出話に花を咲かせていた。
「ガーデン」で顔を合わせた2人は、「友人としておすすめの本を教えてもらう」という名目で、古本市にやってきた。文学にのめり込み、周囲の人を傷つけてきた過去を振り返り、同じことを繰り返す自分を変えようと思うのだった。

恋の終わり

はるかと仲直りができないまま、あきらは自分だけが周囲から取り残されたように感じていた。
本社とガーデンを忙しく行き来するようになった近藤は、帰宅すると夜を徹して執筆活動に勤しんでいた。

近藤に恋心を抱き続けるあきらと、彼女のことを友人だと言い切る近藤。
元旦の日、家へ送ろうとする近藤にあきらは「帰りたくない」と告げる。しかし近藤は自分は明の恋人にはならないことを伝え、そして本当はまだ陸上を続けたいのではないかと尋ねた。
「書きたい」ことから目をそらしていた近藤は、「走りたい」という気持ちにふたをしてたあきらに、自分を重ねていたのだ。

近藤はあきらに「本当は走りたい」という本心に気付いて欲しかった。そしてそれが叶った。
近藤は「陸上に専念するように」と、あきらをクビにしたのだった。

一方、失恋したあきらだったが、「雨宿りしてただけだよ。もう大丈夫」と吹っ切れ、自分のやりたいことに突き進んでいくのだった。

『恋は雨上がりのように』の登場人物・キャラクター

主要人物

橘あきら（たちばな あきら）

CV：渡部紗弓
風見沢高校に通う17歳。鋭い目つきや、無愛想な表情のため、怒っていると勘違いされることがある。
陸上選手だったが、右足のアキレス腱のケガで辞めざるを得なくなった。ケガのために行った整骨院の帰り、雨に降られて近藤が務めるファミレス「ガーデン」に立ち寄った。そこで優しく声をかけてもらい、コーヒーのサービスを受ける。それ以降、近藤に好意を持つようになった。その後、ガーデンでバイトをするようになる。
学校で噂のイケメンを見てもあきらには理解できなかった。好きなタイプを聞かれると、近藤の特徴を挙げている。
クラスメイトの吉澤に好意を持たれているが、あきらは全く相手にしていない。

近藤正己（こんどう まさみ ）

CV：平田広明
ファミレス「ガーデン」の店長で45歳。バツイチで、息子の勇斗がいる。
いつも客に頭を下げており、普段でもヘラヘラとしている。その様子から従業員の久保からは「頼りない」と評されている。
従業員がミスをしても怒ることはなく、優しく注意している。従業員のユイが「臭い」と言っているのを聞いた時も、怒ることはなく、注意事項としてメモしていた。
パフェを食べ終えて雨が止むのを待つあきらに、コーヒーのサービスし、簡単な手品を見せた。その後、あきらが自分の店で働くようになるが、あきらのことを覚えているような様子もない。
あきらが自身のシャツの匂いを嗅いでいる現場を目撃したり、あきらから連絡先を聞かれたりしているが、あきらの好意には気づいてはいない。

ガーデンの従業員

加瀬亮介（かせ りょうすけ）

CV：前野智昭
「ガーデン」の厨房で働いている。
あきらと近藤の名前で書かれた相合傘の落書きを偶然見たことで、あきらが近藤を好きなことを知る。
そのことを口外しない代わりにデートを要求した。
デートの中で近藤のことをバカにしたような発言をし、あきらを怒らせた。
近藤からの電話で喜ぶあきらに「そんなに好きなんだ？君と店長は上手くいかない。絶対に」と言った挙句、不意打ちで頬にキスをし、あきらにすごい剣幕で睨まれていた。

西田ユイ（にしだ ゆい）

CV：福原遥
ガーデンで働く女子高生。あきらとは学校が違う。
明るくはっきりとした性格をしている。あきらから「好みのタイプに店長は入るか」と質問を受けた時は「えーヤダ店長なんて！だってなんか臭いんだもん！」と大きな声で答えた。その時、ちょうど近藤が現れ、怒られはしなかったものの、ユイは冷や汗をかいていた。