サンリオ男子(えすだん)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サンリオ男子』とは、サンリオのクロスメディア企画のアニメ作品である。2次元に偏見のない10代女性をターゲットにしており、イケメンぞろいのサンリオ男子を通じてサンリオのキャラクターを好きになってもらいたいという思いから企画が進んだ。同じ高校に通う5人の男子高校生の長谷川康太、水野祐、吉野俊介、西宮諒、源誠一郎の青春模様を描く。それぞれの悩みに向き合い、サンリオキャラクターを通じて友情を育んでいく。アニメ以外にも、漫画やゲームなど様々なメディアで展開されている。

『サンリオ男子』の概要

『サンリオ男子』とは、サンリオのクロスメディア企画のアニメ作品である。studioぴえろによって制作され、2018年1月放映開始となった。アニメは全12話で、コピーは「これは『俺』が『俺たち』になる物語」である。公式が推奨する略称は「えすだん」で、アニメ版のハッシュタグは「#SdanA」。

聖川高校2年の長谷川康太(はせがわこうた)は、自分の生活が色褪せているように感じていた。理解のある両親や仲のよい友人がいて、不満はない。しかし、目を引くようなと取り柄も打ちこむものもない自分は、キラキラした青春とはほど遠いと思っていたのだ。
ふとしたことがきっかけで、住む世界が違うと感じていた同級生・水野祐(みずのゆう)と吉野俊介(よしのしゅんすけ)が、サンリオのキャラクター好きを公言していることを知る。ポムポムプリンが好きだった康太は、子供の時の体験からプリンの存在すら知らないように振る舞うようになっていた。堂々と好きなものを好きと言う祐と俊介の姿は、康太が理想とするものだった。
康太と同様に好きな気持ちを抑えこんでいる3年の生徒会長・源誠一郎(みなもとげんいちろう)、1年の帰国子女・西宮諒(にしやまりょう)とも知り合い、彼らは自分の気持ちに正直になっていく。最終的に、親しくなった5人が学校の文化祭で演劇を発表するまでが描かれる。

アニメでは5人の友情がメインとなっており、恋愛要素は薄い。7話までメインキャラクターに絡む顔のないキャラクターを配置しており、制作サイドは「視聴者はそのキャラクターを自分に見立て、康太をより身近に感じてほしい」と発信していた。

このクロスメディア企画は2次元に偏見のない10代女性をターゲットにしており、イケメンぞろいのサンリオ男子を通じてサンリオのキャラクターを好きになってもらいたいという思いから企画が進んだ。アニメ以外にも、漫画やゲームなど様々なメディアで展開されており、キャラクターの基本設定を共有しつつも各メディアによって展開やテーマは異なる。

『サンリオ男子』のあらすじ・ストーリー

康太とサンリオ男子との出会い

平凡オブ平凡な高校2年生・長谷川康太(はせがわこうた)。家族や友人に恵まれていたものの、日常に物足りなさを感じており、キラキラした学園生活は自分には無理だと思い込んでいたのだった。
そんなある日、康太は繁華街で迷子になっていた少女を助け、そのお礼にポムポムプリンのシールをもらう。実は康太は小さい頃ポムポムプリンが大好きだったが、ばあちゃんに関する後悔をきっかけに「ポムポムプリンが大好きだ」と素直に言えなくなっていた。

その翌日、学校でマイメロディのキーホルダーを拾うが、その持ち主は隣のクラスのモテ男子・水野祐(みずのゆう)だと判明する。
祐は、康太に興味を持ち親しくなろうとする。康太は避けるが、言葉の端々からサンリオキャラクターの知識がにじみ出してしまう。親近感を覚えた祐は、無遠慮に距離を詰めてくるのだった。

そんなある日、ポムポムプリンのぬいぐるみを母親がリサイクル業者に出してしまう。ポムポムプリンが好きで、祖母がくれたぬいぐるみが好きだと口にできなかったせいで、また大切なものを失うのかと後悔しながら、康太は懸命にプリンを探すのだった。

祐や俊介の悩み

康太は、祐だけでなく、サッカー部のエースストライカーである吉野俊介(よしのしゅんすけ)とも休み時間を一緒に過ごすようになっていた。サッカー少年だった過去や、主夫をしていることなど、祐の新たな一面を知る一方で、康太は祐とはうわべだけの付き合いではないかと疑っていた。
いつも明るい祐には、誰にも見せない顔があった。家事のせいで行動が制限されるストレス、そして、妹の吉野由梨(よしのゆり)が反抗的なことで悩んでいたのだ。
風邪を引いた祐の見舞いに来た康太と俊介の目の前でも、由梨は兄に暴言を吐く。感情が抑えきれなくなった祐は、家を飛び出してしまった。

エースストライカーの俊介の胸には、いつもキティのお守りがある。「勝利の女神であるキティさんさえいれば、すべてうまくいく」と信じていた。
負け試合の翌日、俊介は先輩たちに責められ、キャプテンからも反省を求められる。自分が得点できなかったせいだと雪辱を誓う俊介だったが、レギュラーから外されてしまった。自暴自棄になった俊介は、部活動を無断欠席してしまう。心配した祐と康太が見つけたとき、俊介は大切なお守りを捨てようとしていた。

諒と源一郎の葛藤

女の子のような外見の西宮諒(にしみやりょう)は、自分の容姿にコンプレックスを持っていた。高校1年生なのに、女の子に間違われ、体つきも貧弱だ。姉たちは小さなこどものように扱う。ぬいぐるみと一緒に寝たくないし、昔好きだったリトルツインスターズにも興味はない。高校生らしく、男らしく振舞うように心がけていた。
ある日、図書室で祐たち上級生3人が、サンリオの話をしていた。なぜかむしゃくしゃした諒は、「どこからどう見ても立派な男子なのに、小さな女の子みたいなものが好きだなんて、しかも人目をはばからず話すなんて、変態だ。」と上級生に罵声を浴びせる。
上級生に胸倉をつかまれても、諒は撤回も謝罪もしない。一触即発の彼らに割って入ったのは、生徒会長の源誠一郎(みなもとせいいちろう)だった。
生徒会長は完璧だ、と諒は思っていた。諒は、誰にも言えなかった悩みに耳を傾けてくれた会長を信じて、祐たちに謝ろうとする。その時、諒は会長の生徒手帳を拾うのだが、そこにはサンリオピューロランドの年間パスポートが挟みこまれていた。理想的な男性と憧れていた会長の実像に、諒は幻滅する。会長はサンリオ好きな祐たちの同類だったのだ。

「会長は完璧でいなければならない」と、自分を律している誠一郎。心が疲れたときには、シナモロールのあたたかい手に癒されてきた。隠してはいないが、シナモロールが好きなことを公言する必要もなかった。
会長が祐たちに肩入れしていると誤解する諒は、話し合いを拒み続ける。悩む会長は、康太たちの協力を受け入れた矢先、過労で倒れてしまうのだった。

文化祭に向けて結束するサンリオ男子

好きなものを隠すことを辞めた康太。ポムポムプリンと一緒の生活に戻って、ひと月が過ぎた。まわりには自然に受け入れられている。康太の気がかりは、祐たちとの約束を優先させて、友人の町田大和(まちだやまと)をがっかりさせていることくらい。「好きなものを好き」と素直に認めてからの康太は、いきいきしていた。
トラブルが元で知り合った諒は、一緒に下校しても夕食を食べても、2年生の3人に対してぎこちない態度を取り続けている。特に、祐には風当たりが強かった。文化祭の準備もはじまって多忙を極めるなか、会長はサンリオピューロランドで親交を深めることを皆に提案する。
はじめてのピューロランドは、康太には何もかもが新鮮で楽しかった。ミラクルギフトパレードに魂を奪われた康太は、自分のやりたいことが見えてくる。
キラキラしたい康太は、あれこれ挑戦しては、意欲だけが空回りしてしまい落ちこむ。
「どうしてキラキラしたいと思ったの?」と祐に問われて、康太は自分のもどかしい思いを吐きだす。ミラクルギフトパレードの話をするとき、康太の目がわずかだけ光るのを、祐は逃さなかった。「じゃ、それやろうぜ。ミラクルギフトパレード」と祐は簡単に言うものの、思う以上に様々な問題が立ちふさがっていた。

折りしも夏休み、秋の文化祭参加を目指して、サンリオ男子たちは動き出す。
会長の親戚の別荘を借りて、合宿がはじまった。海に面したコテージで、康太たちのリゾート気分は高まる。祐は人一倍はしゃいで、大鍋でカレーを作って、誰よりも合宿を満喫しているようだ。サンリオ男子たちは、水遊びで気分転換をし、ミュージカルに備えて体力づくりに励み、トラブルもスパイスにして、結束を固めていく。
しかし、肝心の演目については何も決まらない。素人ばかりの寄せ集めでミュージカルを完成させることができるのか、康太の不安はふくらんでいくのだった。

夏休みが明け、文化祭に向けて康太たちの士気は高まる。その一方で、祐たちは康太と諒を心配していた。意気込む康太は、諒の思わしげな様子に気付かないほど、ミュージカルの準備で手一杯だ。諒は、ロンドンに転居することを、誰にも相談できずにいた。
遅れ気味の作業に追いこみをかけるために、合宿することになった。会長の家に向かう道すがら、「明日が誕生日だ」と、諒は康太たちに話す。
文化祭もあとわずか、康太たちのミュージカルの練習も熱が入る。準備も佳境のさ中、康太はミスを連発する。疲れがたまった康太は、ちょっとした言葉に動揺するほど心が弱っていた。
康太が風邪で欠席している間に、作業は思いもよらない形でカバーされていた。周囲の思いやりはすべて裏目に出て、康太の気力は奪われていく一方だ。祐や町田たちの言葉は、ささくれだった康太の心を逆撫でするだけだった。
文化祭の準備から逃げ、仲間を振り回した罪悪感に苛まれる康太は、サンリオピューロランドに向かっていた。閉園後の施設の前で康太に追いついた仲間たちは、また5人で一緒に過ごそうと呼びかける。「一緒」という言葉は、康太が忘れていた本当の願いや、仲間と見たミラクルギフトパレードを思い起こさせた。

そして、文化祭当日、康太の両親やプリンも見守るなか、ミュージカルの幕が上がった。康太たちの哀歓をこめたシナリオには、ともだちの魔法がかけられていた。

『サンリオ男子』の登場人物・キャラクター

サンリオ男子

長谷川康太(はせがわこうた)

CV:江口拓也(幼少期:齋藤綾)
生年月日:4月15日
血液型:A型
身長:171cm
体重:60kg
利き手:右利き
家族構成:両親
好きなキャラクター:ポムポムプリン

神奈川県立聖川高校2年3組 の帰宅部の男子高校生。平凡オブ平凡で、立場の弱い人に手を差し伸べる優しさと勇気はあっても、熱中するものは持っていなかった。隣のクラスの祐たちとの出会いで、無気力な日々が彩を帯びてくる。
学校にぬいぐるみを持っていきたがるほどポムポムプリンが好きな子どもだったが、苦い思い出とともに好きな気持ちを封印していた。
自宅は武蔵小杉周辺の戸建て。土屋たち友人からは「ハセ」と呼ばれる。辛い物が苦手で怖がり。

水野祐(みずのゆう)

CV:斉藤壮馬(幼少期:松田利冴)
生年月日:7月17日
血液型:A型
身長:175cm
体重:61kg
利き手:右利き
家族構成:両親・妹(由梨)
好きなキャラクター:マイメロディ

聖川高校2年4組の帰宅部の男子高校生。社交的でやんちゃな性格で、いつも女子に取り囲まれている。共働きの両親を助けて、幼いころから妹の面倒を見たり、家事をしていた。得意料理は生姜焼き。小学校時代はサッカーをしていた。じゃんけんが強くない。マイメロディを「メロちゃん」「お姫様」と呼び、好きなことをオープンにしている。
俊介は幼なじみで、武蔵小杉周辺の同じマンションの別棟に住んでいる。普段はコンタクトレンズを着用しているが、自宅では黒縁眼鏡をかけている。

吉野俊介(よしのしゅんすけ)

CV:大須賀純(幼少期:池田海咲)
生年月日:6月7日
血液型:AB型
身長:180cm
体重:70kg
利き手:右利き
家族構成:両親・猫(ひめ)
好きなキャラクター:ハローキティ

聖川高校2年でサッカー部のエースストライカー。ストイックな性格で、女子にもてる。チームプレイが苦手でサッカー部で問題になったが、夏休み明けにキャプテンに選ばれた。
子どものころ、初恋の女の子からキティのお守りを貰い、試合に勝ったことがある。それ以来、勝利の女神「キティさん」とあがめる。
幼なじみの祐からは「しゅしゅ」と呼ばれている。

西宮諒(にしみやりょう)

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