サンリオ男子(えすだん)のネタバレ解説・考察まとめ

『サンリオ男子』とは、サンリオのクロスメディア企画のアニメ作品である。2次元に偏見のない10代女性をターゲットにしており、イケメンぞろいのサンリオ男子を通じてサンリオのキャラクターを好きになってもらいたいという思いから企画が進んだ。同じ高校に通う5人の男子高校生の長谷川康太、水野祐、吉野俊介、西宮諒、源誠一郎の青春模様を描く。それぞれの悩みに向き合い、サンリオキャラクターを通じて友情を育んでいく。アニメ以外にも、漫画やゲームなど様々なメディアで展開されている。

西宮姉妹「うちのシュガー」

諒の姉たちが、末弟の呼称として使うのが、「うちのシュガー」である。
諒は、幼少時から家族に振り回されていたという被害者意識が強い。母親と姉たちは、大々的にバースデイパーティーを開いたり、諒のアルバイト先には客として現れる。諒には面倒な姉たちだが、周囲からは猫かわいがりにしか見えず、一人っ子の康太はうらやましがっている。
12話で、母親や姉たちは、「5月頃から楽しそうだった」諒の変化を観察していたことが判明する。渡英を拒否する諒に姉たちが味方するのも、末弟のそばにいたいという単純な望みである。シュガーやハニーといった呼び名は、諒へのいやがらせではなく、心の底からそう思っていたようだ。

松尾智(まつおとも)「他のメンバーにもパス回したら?」

生徒会の仕事を抱えこむ会長に、サッカー部キャプテンの松尾は「他のメンバーにもパス回したら?」と勧める。
松尾は、初登場の3話から一貫して、コミュニケーションを重要視している。サッカーを通してチームプレーが身に染みこみ、困ったときは周囲を信じて助けてもらうこともできる。弓道部で個人技を磨いている会長とは、対照的である。諒以外のサンリオ男子と関わりがある松尾は、バランスのとれた人物として描かれていた。
会長が生徒会の仕事を分担して役員に変貌を驚かれるのは、松尾の忠告から3カ月後、夏休み明けだった。好意のアドバイスよりも、信頼できる仲間を持つことが人を成長させることは、松尾の後を継いでキャプテンになった俊介も示している。

源誠一郎の思い出

父親は幼い息子の歩幅に合わせずピューロランドに入っていく。

会長は、父親が連れていってくれたサンリオピューロランドでシナモンに出会った。
源家の教育方針は厳格であり、幼少時から今に至るまで会長は従順である。父親がピューロランドに連れていった経緯も、文化祭で観劇後に号泣していた真意も語られず、エピソードをつなぐ背景を想像させる材料も少ない。
作品を通して、父子関係を端的に描いている。ものわかりがよすぎる康太の父親、開明的な諒の父親も、息子の成長に良くも悪くも影響を与えていた。

推しキャラになりきるサンリオ男子たち

キラキラしたいと色々試してみる康太だが、何もつかめず失敗が続く。膝を抱えて落ちこむ康太に、祐がマイメロディのクリアホルダーで顔を隠し、声音を変えて「メロちゃんよ」とはじめた。俊介も「キティさんよ」と声をかける。突然のごっこ遊びにあきれた諒が同意を求めた会長まで、「シナモンだよ」と加わった。しぶしぶ諒もキキとララを演じることになり、康太は吹き出した。
「プリン、俺にキラキラなんてなかったよ」と、バッグにつけたキーホルダーに、康太が話しかけたことが発端である。祐が機転をきかせたことで、康太が深刻になることを食い止められた。

町田大和「水野とつるんでから、いい感じに前向きになってたじゃん」

ミュージカルの練習を放棄した康太を見かけて話しかけ、いぶかしんだ町田の台詞が「水野とつるんでから、いい感じに前向きになってたじゃん」である。コミックリリーフだった町田が、ここではじめて真面目な表情を見せる。
10話の最後に、土屋とともに手助けを申し入れて断られたとき、町田は康太の異変に気付いていた。苦言を呈することで、一緒にいて楽しいだけが友達ではないと、町田は示した。

康太と祐の言い争いのシーン

祐と康太が、はじめて衝突する。
2話でも、祐が胸倉をつかむ場面はあったが、康太は無抵抗だった。ここでは、康太が感情を剥き出しにして、祐とつかみ合いになる。
12話後半で、「ずっと心に蓋をしてきた俺自身をみんなが解き放ってくれた」という祐のモノローグがある。社交上手で友達の多い祐が、対人関係全般にもストレスを抱えていたことがうかがわれる。この場面は、康太が仲間の大切さを再確認する行程であるが、主客転倒すれば、祐がかけがえのない友人をつなぎ止めるために必死なことがわかる。

源誠一郎「やはり、みんな揃ったハッピーエンドが望ましい」

台本にない場面に驚く康太をのぞきこむ仲間たち。左から俊介、諒、誠一郎、祐。

ミュージカルの終わりに、コーラル(康太)がよみがえることをセイ(会長)が願う台詞が「やはり、みんな揃ったハッピーエンドが望ましい」である。
自作について、「客の心にいつまでも残るのは、ほろ苦いビターエンド」と祐はうそぶき、明るい祐らしくない作風と評されていた。
文化祭当日、クライマックスで、祐たちは台本にない台詞を口にし、康太を驚かせる。9話と11話で祐は芝居の方向性を決めるのは脚本担当の自分だと、仲間を脅していた。俊介の「俺たちを振り回した(康太への)罰だ」というのが総意でも、おそらくは祐主導でどんでん返しを図ったと思われる。
コミカルな天使の登場に観客は沸き、康太演じるコーラルは生き返る。客席には家族や康太のプリンもいて、まさしくサンリオ男子と関係の深い「みんな」のハッピーエンドとなった。

『サンリオ男子』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

サンリオ好きなら楽しめるクレジットの秘密

7話ではサンリオピューロランドのキャラクターも登場。声優はクレジットされていない。

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