天空侵犯(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『天空侵犯』とは、マンガアプリ『マンガボックス』掲載された、原作・三浦追儺、作画・大羽隆廣によって執筆されたサスペンスアクション漫画である。
突如謎の世界に飛ばされた主人公・本城遊理が、人間を襲う謎の存在・仮面と戦いながら、脱出を目指す。
敵となる仮面のデザインやデジタル的な要素を加えた独特な世界観や設定が人気を博し、2019年7月には続編の『天空侵犯arrive』が連載、2021年2月1にはNetflixにてWebアニメとして全12話で放送された。

『天空侵犯』の概要

『天空侵犯』とは、マンガアプリ『マンガボックス』にて2014年1号から2019年18号まで掲載された、原作・三浦追儺、作画・大羽隆廣によって執筆された漫画である。
2019年7月から、2121年4月にかけて続編である『天空侵犯arrive』が連載。

物語は高層ビルが立ち並び、地上に降りれなくなった世界に主人公・本城遊理がやってきたところから始まる。
その世界には仮面を被った謎の存在・天使が跋扈し、領域にやってきた人間を殺戮していた。
仮面たちから逃れ続ける一方、謎の力を持った神に近づいたもの、領域の管理者を名乗る存在が入り乱れ、領域での殺し合いは激化していく。
そんな殺し合い生き延びながら、遊理は領域で出会った少女・二瀬 真由子、神に近づいたものの一人・新崎 九遠、自我を取り戻した仮面・スナイパー仮面との共闘を組み、領域の脱出をめざすことになる。

仮面や人間の双方から襲われるために殺し合いを続けなければならないというサスペンス要素や、様々な戦闘スタイルをとる仮面との争い、神のコードや領域の正体といったミステリー要素など、様々な側面を持ち合わせながら、多くの伏線を張り巡らせた重厚なストーリーが展開されている。

2021年2月15日からは、Netflixにてアニメも放送され、監督は『がんばれ!おでんくん』のたかたまさひろ、シリーズ構成は『らき☆すた』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』等の脚本を務めた待田堂子が担当した。

『天空侵犯』のあらすじ・ストーリー

一巻 仮面と殺人

突如として謎の高層ビルの屋上に飛ばされた本城 遊理(ほんじょう ゆり)。自分と同じ世界に飛ばされた兄と連絡を取り、合流の約束をするが、謎の仮面の襲撃にあう。
仮面から逃げ切る間に、この世界に来ていた警察官二名から救助されるが、極限状態に陥りおかしくなった片方の警察官が仲間を殺害し、遊理に性的脅迫を迫る。
そのさなか、新たな仮面であるスナイパー仮面からの襲撃を受け、警察官が殺害されるも、携帯していた銃を奪い、殺害された死体へ引火することで、発生した煙に紛れその場を離脱することに成功する。
難を逃れた遊理であったが、人間・仮面の両方から襲われ、自分も銃という戦う手段を身に着けたことで、この謎の世界を生き抜き、兄と合流するまで決して死なないことを決意する。
領域を探査する中、野村・西浦・中崎の三名の学生と接触し、かれらと一時行動を共にするも、西浦が仮面を発見し、仮面の裏にある情報コードを見たことで、自分を襲撃した存在である仮面となってしまい、仲間であるはずの野村を殺害してしまう。

二巻 生き残る決意

人間を飛び降り自殺させようとする仮面の行動を利用し、西浦を追い詰めたが中崎を巻き込んで双方死亡してしまう。
三人の死に動揺する中、メイド仮面からの襲撃を受け、追いつめられる。しかし、自殺と見せかけて下の階への移動を行い、のぞき込んできたところを銃撃し反撃する。それにより、仮面の下半分が破損し、一時的にメイド仮面が自我を取り戻すがコマンドの命令によって自殺してしまう。
その際、メイド仮面から自分の頭の中がコマンドに支配され、それらを実行してしまうことになっていることを明かされ、仮面の裏は見るなと警告を受ける。
その後二瀬 真由子(にせ まゆこ)の殺害現場を目撃し、この世界から脱出する手立てであると考えられているヘリコプターを奪いに来たと勘違いされ、戦いに発展しそうになるも、殺し合いを拒否。ヘリコプターを譲ろうとしたことで見逃される。
その直後、スナイパー仮面からの襲撃を受け、二瀬をかばったことで一時的に共闘を開始。二瀬のグレネードを使用し、逃亡することに成功する。
その間に、飛び立とうとしているヘリコプターを発見し、牽制として発砲するが、これまでの仮面とは異なる怒りの仮面による反撃にあい、ヘリコプターを逃してしまう。
しかし、その行動からヘリコプターがこの世界の弱点であることを理解し、兄との再会に加え、この世界で仲間を集め、ヘリコプターを奪うことで領域からの脱出を決意する。
一方でスナイパー仮面も生存しており、仮面にヒビが入ったことで、かつての記憶の一部を取り戻すことに成功する。

三巻 領域の殺人

二瀬から携帯を借りることで、兄と電話することに成功。その際、極限状態であるこの世界で殺人を働いた二瀬を信用せず、殺害するよう勧められるも拒否する。しかしその忠告は「人を信じる」という遊理の覚悟を確認するためであったと分かり憤慨するも、兄との交流を喜ぶ。
その後、仮面の一行に襲われ窮地に陥るが、再び遊理が二瀬を助けたことで、二瀬からの信頼を得、同行することになる。
一方遊理の兄である本城理火(ほんじょう りか)も、強力な仮面である野球仮面と対峙し、同行していた仲間である武田を殺害されるが、仮面の攻撃が元の人格に攻撃方法が影響されていることを利用し、仲間の沖原とともに撃退。自我を一時的に取り戻した野球仮面から、この世界に神と呼ばれる存在がいることを知る。
そのころ、自我を取り戻しつつあるスナイパー仮面が、遊理が落としていった生徒手帳の中にあった理火の写真を見たことで、自分の目的が理火ともう一度戦うことがであったことを思い出す。しかしコマンドには逆らえず、人を殺害していた矢先、新崎九遠(しんざき くおん)と接触するも、コマンドから新崎が「神に近いものであるため、殺害の必要なし」との命令を下され困惑する。
さらにこの領域が、神を作り出すための場所で、仮面をかぶったものは天使となり、人間を神に近づけさせねばならないというコマンドの目的を知る。

四巻 天使と領域

新崎を殺害することができず、困惑していたスナイパー仮面であったが、新崎を追いかけまわしていた楯持ちの人間をコマンドの命令に従い殺害する。
その様子を見ていた新崎からなつかれてしまい、この領域でいまだお人よしな人間である遊理のもとへ連れていくことを考え、一時行動を共にする。
一方遊理と二瀬はコックさん仮面と戦闘になり、かぶった仮面が不良品であったことから自我が残っていたが、もともと首をきりたいという欲望を持っていたため分かりあうことはできず、殺害する。
その後、この世界から脱出する仲間を募集する掲示版をみつけ、掲示板をはった人物たちと接触するも、彼らの目的がこの世界のどこかにある神のコードと呼ばれる物を見つけ出し、掲示板を見てやってきた人物を神にさせることで、この領域を終わらせ自分たちを解放させることであったことが判明。実験として仮面のコードを見せられそうになってしまう。
しかし、その途中に新たな仮面であるボクシング仮面が乱入し、あっという間に全滅させられてしまう。
遊里と二瀬で反撃するも次第に追い込まれてしまい、遊理を守るための最後の手段として、二瀬がコックさん仮面を倒した際に奪っていた不良品の仮面を被ってしまう。

五巻 「神に近づいたもの」

不良品の仮面をかぶったことで、仮面の強力な身体能力を手にしたうえで、自我を保つことに成功し、コンビネーションでボクシング仮面を殺害する。
その様子を見ていた田辺幸男(たなべ さちお)と接触し、アインと呼ばれる天使を操る「神に近づいたもの」を自称する青原和真(あおはら かずま)を倒すことに協力するよう頼まれ、一旦同行することを承諾する。
青原和真のもとにたどり着くも、冷静さを失った田辺に勝手に味方扱いされたことで、強引に青原と戦闘状態になってしまう。互角の戦いを繰り広げる中、彼が隠していた二人目の弓使いの仮面であるツヴァイの不意打ちを受けるも、理火の伏兵がいる可能性があるという忠告を思い出し、反撃に成功、有利な状態に持っていくことに成功する。
そんな中、突如として飛んできた何かによってビルが完全に倒壊する。その光景を目撃した青原が、遊理たちが行ったと勘違いしたことを逆手に取り、遊理がやったことと嘘をつくことでその場を乗り切った。
その何かは、ひそかに遊理たちの後を付けていた新崎が、遊理たちの戦闘をやめさせるためにレールガンであり、それを使用することで威嚇射撃を行っていた。
さらに理火も、人間に危害を加えず他の仮面を倒している僧侶仮面と遭遇し、その仮面の主を名乗る「神に近づいたもの」である吉田陸矢(よしだ りくや)と電話し、会うことを提案される。

六巻 仮面の暴走

僧侶仮面に助けられた理火とその仲間たちは、人間を守るために自分が操る仮面を使っている吉田を信用し、吉田と合流することを約束する。
また、遊理たち一行は、改心した青原にこの世界にやってきた人間を治療することを約束させる。さらに青原から、自分がクチナシの仮面をかぶったことで「神に近づいたもの」になったこと、その効果で天使を操ることができるようになったことなど、「神に近づいたもの」の情報を知る。
青原と別れたのち、さらなる仮面との戦闘になるも、突如として二瀬が不調になったことで窮地に陥り、スナイパー仮面の手助けにより、難を逃れる。
しかし、その間にも二瀬の体調が悪化し、ついに二瀬の自我を奪われ、暴走してしまう。
一方スナイパー仮面も、自分が仮面になる前から理火と知り合いであったこと、自分がアノカタと呼ばれている存在に従っている、自我を持った女性警察官仮面と、水泳防止の仮面により、仮面をかぶらせられたことを思い出す。

七巻 新たな「神に近づいたもの」

二瀬の状態に困惑する遊理。そこに怒りの仮面を身に着けた仮面である、ディーラー仮面が現れる。ほかの仮面とは異なり、すぐに人を襲わずコミュニケーションが取れる彼女から、現在の二瀬の状態が、ハイパネーションと呼ばれる状態であり、生態活動をだんだん停止させ、徐々に死んでしまうことを知らされ、彼女を救うための方法を問う。
それに対し、主人公の今までの功績が認められたことで、「神に近づいたもの」となり、仮面を操る能力を使うことで二瀬を助けられること、「神に近づいたもの」となるために必要なクチナシの仮面の場所を教えられる。
一方スナイパー仮面と新崎は、昏睡状態となった二瀬を発見し、新崎が仮面のプログラムに干渉したことで、二瀬の意識を保ったままハイパーネーションを解除することに成功する。
遊理もクチナシの仮面を取得し「神に近づいたもの」となったものの、新崎から二瀬の無事を知らされ、安堵する。
そのころ理火一行も、女性警察官仮面の部下の襲撃を受けるも、吉田の仮面の支援により撃退する。

八巻 目覚める力

理火一行、アノカタの部下である水泳帽子仮面に襲われ、吉田が操る仮面が殺害されてしまい、どうにか吉田とは合流するが、代わりに理火が誘拐されてしまう。
吉田から連絡を受け、理火が誘拐されたことを知り暴走しそうになる遊理であったが、二瀬から落ち着くように言われたことで、正気に戻る。
さらにアノカタの配下の仮面である、グレネードランチャー仮面と短刀仮面の襲撃を受けるが、スナイパー仮面の援助と、遊理の「神に近づいたもの」の能力である、身体能力強化を利用した二丁拳銃の同時発射という離れ業により殺害する。
さらに新崎と話し合ったことで、遊理と新崎の目的がこの領域を終わらせ、それぞれの大切な人を助けることであることを確認し、行動を共にする。

九巻 動きだした悪意

誘拐された理火は、アノカタと呼ばれていた存在である黒幕・相川守(あいかわ まもる)と接触し、強いものが生き、弱いものが淘汰されることを理想とする、優生劣廃という考え方を聞かされる。彼の思想と傲慢な人柄に対し嫌悪感を抱くも、人質の立場を生かし彼の行動を探るため同行する。
一時別行動をとっていたスナイパー仮面は、相川配下の仮面であるホワイトフェザー仮面と戦闘。
自分と互角の射撃能力と、地の利を生かした戦法で追いつめられるも、相川配下の仮面に襲われたことで逃走中だった青原とアイン、田辺と新たに仲間に加わっていた卯月の救助を受け撃退するが、ホワイトフェザー仮面には逃げられてしまった。

十巻 戦いの幕開け

「神に近づいたもの」になったことで自信をつけた遊理。
単独で新たな領域への参加者を救いに行くも間に合うことができず、その場にいた四組の仮面と戦闘し、全滅させる。
しかし、体力は女子高校生のまま変わっていなかったためスタミナ切れになってしまい、動けなくなったところを相川配下の学徒仮面の襲撃を受け、苦戦する。
そこに駆け付けた二瀬とともに、学徒仮面を撃退、相川の真の目的が優れた者だけが生き残るような世界を作ること、そのために現実世界を、この世界と同じように作り変えることであることを知り、自分の慢心を戒め、相川を殺すことを決意する。

十一巻 最強の仮面

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