キャンディ♥キャンディ(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「キャンディ♥キャンディ」は原作・水木杏子、作画・いがらしゆみこによる日本の少女漫画。講談社「なかよし」にて連載され、単行本は全9巻刊行された。単行本の累計発行部数は1200万部。1977年に第1回講談社漫画賞少女部門賞を受賞している。
孤児だったキャンディが明るく前向きに、出自への偏見に負けず周囲の人々との関わりで成長する物語。

『キャンディ♥キャンディ』の概要

「キャンディ♥キャンディ」は原作・水木杏子、作画・いがらしゆみこによる日本の少女漫画。講談社「なかよし」にて1975年4月号から1979年3月号にかけて連載された。
単行本は全9巻。
1977年、第1回講談社漫画賞少女漫画部門賞を受賞。単行本の累計発行部数は1200万部。単行本の7巻は、日本の漫画単行本初である初版を100万部発行した。
愛蔵版・新装版・文庫版コミックスも発行されている。
東映動画制作でテレビアニメ化された。1976年10月から1979年2月にかけて全115話をテレビ朝日系で放映された。
1978年に実施された毎日新聞社による全国学校読書調査の人気漫画の部で、小学生1位・中学生で2位・高校生で5位にランキングした。

孤児でありながらその偏見に負けず、自らの道を明るく前向きに切り開いていくキャンディの愛と成長の物語。

『キャンディ♥キャンディ』のあらすじ・ストーリー

ポニーの家からアードレー家へ~アンソニーの死

アメリカ、ミシガン湖の近くにある孤児院「ポニーの家」で明るく元気に暮らすキャンディ。
拾われた時に余りにも肌白かったため、孤児院の院長であるポニー先生にキャンディス・ホワイトと名付けられた。大人しくて優しくて少し気の弱いアニーとは、同じ年の親友である。

6歳の時、アニーが富豪の養女になる話が来た。アニーはキャンディと離れるのが嫌で、養女になることを拒むが、キャンディが諭してアニーは引き取られることになった。しばらくの間二人は文通をしていたが、新しい友人に自分の出自を知られることを恐れたアニーから、もう連絡しないという手紙が届いた。
その手紙にショックを受けたキャンディが、孤児院の近くのポニーの丘の上で泣いていると、王子様のような綺麗な男の子に声をかけられた。少年はキャンディに「おチビちゃん、笑った顔の方がかわいいよ」と言って去っていった。キャンディはその少年に「丘の上の王子さま」と名づけ、少年が落としていった銀のバッチを拾いお守りにすることにした。

12歳になったキャンディは、大富豪の令嬢の話し相手として雇われる。
大富豪ラガン家へ行くと、そこにはキャンディを全く歓迎していない、ニールとイライザという兄妹がいた。彼らはわがままに育てられた、自分勝手で意地悪な兄妹だった。家庭教師を雇っても長く続かず、それならば同じ年の友達を用意し、一緒に学ばせようということだった。

ニールとイライザは、キャンディを屋敷から追い出そうと、ひどいいじめを始める。ある日、キャンディはいじめに耐えられず、一人バラ園で泣いていた。そこで、6年前に出会った「丘の上の王子さま」にそっくりな男の子に出会う。その時と同じ言葉をかけられ、励まされるが、彼はすぐにいなくなってしまった。

バラ園の門には、キャンディが拾った銀のバッジと同じ紋章があった。その湖で、キャンディはボートで昼寝をしていた、アーチーボルトと出会った。彼が乗ったボートが流されるというアクシデントが起こるが、キャンディが見事な投げ縄の腕をみせて、ボートは流されず無事に岸に着いた。これをきっかけにキャンディとアーチーは仲良くなった。

キャンディは、ラガン家兄妹の買い物のお付で行った先で、置き去りにされるといういじめを受けた。一人歩いて帰ろうとしているキャンディを、助けてくれたのはアーチーボルトの兄・アリステアだった。発明好きなステアは、自作の自動車でキャンディをラガン家まで送ってくれたのだが、途中でタイヤが湖に落ちるというアクシデントが起こった。しかし、それをきっかけに、キャンディとステアは親しくなった。

ある日、キャンディはイライザの命令で、アードレー一族のパーティーに行くことになった。アードレー家の別荘に着くと、そこにはステアとアーチー、そして丘の上の王子さまによく似た少年がいた。少年の名はアンソニーといった。パーティで3人に囲まれて楽しく過ごしたキャンディは、使用人にあるまじき振る舞いとして、アードレー家の実力者であるエルロイ大おばさまに目をつけられてしまった。

ラガン家でのお茶会の日、会場に6歳の頃別れたアニーの姿があった。自分の過去を知られたくないアニーは、キャンディの姿を見て驚き、顔を青くして目をそらした為二人は関わることがなかった。
大人しいアニーをニールとイライザがいじめ、それをキャンディのせいにしようとしていた。キャンディはアニーを守るため、ニールに飛びかかった。事情を知らないアンソニーが、止めに入り、キャンディへ注意を促した。
落ち込んだキャンディは、川を下っていけばポニーの家に着けるかも知れないと思いボートに乗り込んだ。そのまま眠ってしまったキャンディは、川に流され滝に落ちてしまった。

気を失ったキャンディが目覚めると、サングラスをかけて髭を生やした、アルバードという男性がいた。見た目が怖いと感じたその男性は、ペットのスカンク・プッペと一緒に自由に放浪の旅をする、優しい男性だった。辛い時には、瓶の中に手紙を入れて川に流せば、アルバートの住む家に流れ着くと教えられた。「いつでも連絡するように」といって、キャンディを励ましてくれ、その言葉を胸にラガン家に戻ることにした。

戻ってみると、騒ぎを起こしたことで、キャンディはラガン家をクビになっていた。次の仕事が決まるまでは、ラガン家にいられることになった。
夜、アルバートに仕事をクビになったと連絡をするため、川に行ったキャンディはそこでアンソニーに出会った。アンソニーは、乗ってきた馬にキャンディを乗せ、2人は乗馬を楽しんだ。しかし、その現場をアンソニーに想いを寄せているイライザに見られていた。イライザは、キャンディに泥棒の濡れ衣を着せ、過酷なメキシコへと追いやった。

メキシコに旅立ったキャンディは、野営の最中に無理やり見知らぬ男に連れ出され、車に乗せられてしまった。メキシコへ行くのも嫌だが、攫われて売られるのも嫌だと暴れるが「悪いようにはしません」と言われ、大人しく従った。

キャンディをラガン家から救い出そうと、アンソニー、アーチー、ステアは行動を起こした。アードレー一族の総長である、ウィリアム大おじ様に、キャンディを養女にして欲しいと嘆願したが上手くいかなかった。三人は、キャンディを救えなかったことを、悔やんでいた。
ある日、アードレー家の別荘(レイクウッド)に、ウィリアム大おじ様の車が到着した。その車には、ドレスを着たキャンディが乗っており、大おじ様の片腕であるジョルジュに連れられて現れた。キャンディは、大おじ様の養女になったとジョルジュから聞かされた。

ある日アンソニーは、キャンディがアードレー家の紋章のバッジをつけているのを発見した。
それが、アードレー家の男子が持つバッジであると教えた。それを落とした少年のことを嬉しそうに語るキャンディに、アンソニーは自分と少年が似ているからキャンディが好意を向けるのかと聞いた。すると、キャンディは「アンソニーだから好きなの」と告白した。それ以降も、優しいアンソニーにキャンディの思いは募っていく。おしゃべりの中で、アンソニーの母の思い出を聞いていると、キャンディの頬にアンソニーは優しくキスをした。

キャンディが、アードレー家の養女になったと親族一同にお披露目をする日、きつね狩りをすることになった。アンソニーにエスコートされ、キャンディは育ったポニーの家のことを話していた。アンソニーは、キャンディの育った場所を見てみたいと、いつかポニーの家に行く約束を交わした。そこに大きなきつねが現れ追いかけたアンソニーは、馬の足がきつね用の罠にかかり馬から放り出されてしまった。頭を強く打ったアンソニーは、そのまま帰らぬ人となった。

アンソニーを思いアンソニーのバラ園で泣いていると、そこにアルバートが現れた。アルバートは「アンソニーが亡くなった事を悲しむのではなく、アンソニーと巡り合えたことを喜べ」とキャンディを励ました。落ち込むキャンディは、アンソニーそっくりの王子様を探したいと、一人黙ってアードレー家を出てポニーの家に戻った。

ポニーの家で穏やかに過ごしていたある日、アードレー家の車がポニーの家にやってきた。それは、ウィリアム大おじ様の命を受けたジョルジュで、キャンディをイギリスロンドンの寄宿学校に入れるためだった。アーチーやステアも先に行っていると言われ、キャンディはロンドンの寄宿学校に行くことになった。

ロンドン~王立聖ポール学院

ロンドンへ向かう船上で、後ろ姿がアンソニーにそっくりな少年と出会った。キャンディが声をかけると、少年はそばかす顔のキャンディをからかい去っていった。優しいアンソニーとは全く違う少年を、一瞬でもアンソニーと似ていると思ったことを後悔した。

キャンディが入学した王立聖ポール学院は、良家の子女ばかりが通い、校則が非常に厳しい学校だった。
同じ学校に通うイライザから、早速出自をばらされて、キャンディは周囲から蔑まれいじめられるようになった。いじめられていた時、船でキャンディをからかった少年が助けてくれた。少年の名は、テリュース・G・グランチェスター(通称:テリィ)といい、イギリスの貴族だった。

テリィは貴族の父に反発し、学院では粗野で不真面目な態度をとっていた。キャンディがポニーの丘によく似ているとして、好んで過ごしている丘(偽ポニーの丘)で、タバコを吸い授業をサボっているテリィ。キャンディはテリィに対し口やかましく注意し、関わりを持っていく。

ある晩、キャンディが木を伝ってアーチーとステアの部屋に行こうとすると、間違ってテリィの部屋のベランダに入ってしまった。部屋には顔をペンで汚された人気女優エレノア・ベーカーの写真があり、そこには「我が息子テリュースへ」と書かれていた。テリィとエレノア・ベーカーの秘密を知ってしまったキャンディは、冷たい目をして写真を破るテリィに絶対誰にも言わないと誓い部屋を出た。

アーチーとステアの部屋でアンソニーの写真を貰い、自室でアンソニーを思っていると、部屋の外から馬のヒヅメの音がしてキャンディは部屋を飛び出した。
テリィは、実母のことや対面を気にする父、冷たい継母などの事情から衝動的に馬を疾走させていた。テリィの姿を見て、アンソニーが馬に乗っていると混乱したキャンディは「馬に乗らないで」と叫びながら部屋を出た。ベランダの階段から転げ落ちて、気を失ったキャンディを抱えたテリィは、医務室へと運んだ。泣きながら「アンソニー」とつぶやくキャンディの頬を、テリィは優しく拭った。

5月になり、5月祭(メイ・フェスティバル)が開催された。キャンディは少し気が弱いけれど、優しくて穏やかなパトリシア・オブライエン(通称:パティ)と仲良くなっていた。彼女が自室で亀を飼うという校則違反を庇って院長に暴言を吐いたキャンディは、反省室に入れられた上に5月祭の参加を禁止にされてしまった。

しかし、窓から抜け出すことに成功した。ウィリアム大おじ様にプレゼントされた、ロミオとジュリエットの衣装で変装し、パーティーを楽しむことができた。
ロミオの姿から、ジュリエットの変装に変えようと、茂みで着替えているところをテリィに見つかってしまった。着替えを見てたのかと憤慨するキャンディに、テリィはダンスを申し込んだ。二人で楽しく踊っていたが、キャンディがこれはアンソニーと初めて踊った思い出の曲だと打ち明けると、テリィの表情が一変した。

急に立ち止まり、キャンディを抱きしめ唇を重ねたテリィ。キャンディはテリィの頬を平手打ちし、泣きながら「アンソニーならこんな…こんな」とテリィを批判した。
嫌がるキャンディを、無理やり馬に乗せた。アンソニーとの思い出が蘇り泣き叫ぶキャンディを、しっかりと腕に抱えながら疾走する。テリィは「死んだやつはかえってきやしない、忘れろ」と言い、キャンディに周りを見るようにと促した。キャンディが周りを見てみると、草木の生き生きとした様子が感じられ、アンソニーの面影が薄れ、次第にテリィの存在が大きくなっていった。

5月祭も終わり、アーチーに想いを寄せるアニーは、アメリカからロンドンまで追いかけてきた。
アーチーの心がキャンディにあるのではと恐れ、アニーはキャンディに対して心を閉ざしていた。アーチーが、キャンディに気持ちを伝えようとした現場を目撃したアニーは、その場から駆け出しキャンディはその後を追った。興奮したアニーがキャンディに孤児院にいた頃のことを言い募ると、近くにいたイライザがそれを聞いてしまい、アニーが孤児院出身であると知られてしまった。アニーはそのまま行方がわからなくなってしまった。

雨の中、アニーを探し回るキャンディたち。岩場の間で泣いているアニーを見つけたキャンディは、アーチーに助けを求めた。アニーの深い思いを知ったアーチーは、キャンディへの思いを封印し、アニーの思いに応えることにした。アニーはアーチーの言葉に励まされ、昔の素直なアニーに戻った。それ以降キャンディとアニーは昔の友情を取り戻し、パティも加わって3人は固い友情で結ばれるようになった。

夏休みが終わり、学院生活が始まった。ある日、テリィからの呼び出しの手紙を受け取ったキャンディは、呼び出された夜遅い時間に馬小屋へ行った。するとそこには、同じようにキャンディからの手紙に呼び出されたテリィがいた。
2人が会った瞬間、シスターやイライザたちが現場に踏み込んだ。深夜に密会をしていたとして、キャンディは退学、テリィには謹慎処分が言い渡された。この一連の手紙騒動は、テリィとキャンディの仲に嫉妬した、イライザが仕組んだ巧妙な罠だった。2人は罠だと主張するのだが聞き入れてもらえず、キャンディは学生牢に閉じ込められた。

テリィはキャンディを助けるため、自分が退学になるといい学院を去った。ほどなくして学生牢からでたキャンディは、テリィの部屋を訪れそこで自分宛の手紙を発見し、テリィが学院を出てアメリカに渡ることを知った。

アメリカ~看護師への道

テリィが残した手紙には、やりたいことがあると書かれていた。
キャンディもまた自身の道を進もうと、退学届を提出し、学園を去った。大変なこともあったが、苦心の末なんとかアメリカにたどり着いた。キャンディはポニーの家に向かう道中、テリィが訪ねてきていると聞いて急いで戻ったものの、一足遅くテリィは帰った後だった。

キャンディは、ポニー先生に看護婦になりたいと相談し、メリージェーン看護学校という働きながら学べる学校を紹介された。
春になり学校に入学すると、厳しいメリージェーン校長に叱られながら、キャンディは日々看護婦の勉強に励んだ。ある日、ヨーロッパで戦争が起こったという情報が病院に入ってきた。病院内がざわつく中、シカゴにある大病院で専門知識を学ぶという名目で、5人の看護生が研修員に選出された。キャンディもそのメンバーに入っていた。

シカゴにある大病院へ着くと、そこにはキャンディから知らせを受けたアーチーやステア、アニーという懐かしい面々が迎えに来ていた。アードレー家でも戦争の情報を受け、戦場に近いロンドンよりもアメリカの方が安全であると、シカゴの本宅に呼び戻していたのだ。

アーチーたちの誘いを受けアードレー家の本宅へ行くと、テリィが劇団の人気俳優になっており、その劇団がシカゴで慈善公演をするという話を聞いた。アーチーたちは、エルロイ大おば様に頼み、キャンディのためにチケットを融通してもらった。しかし、公演の日は、キャンディの夜勤の日であった。誰にも代わってもらえず夜勤をするキャンディだったが、どうしてもテリィに会いたいという気持ちを抑えきれず、病院を抜け出してしまった。

公演に何とか間に合ったキャンディだったが、エルロイ大おば様から「キャンディにはチケットを譲れない」と言われた。
客席で観ることは叶わず、結局物陰から少しだけ観ることができた。テリィに一目会いたいと会場の前で待っていると、人気女優スザナと共にテリィが現れた。しかし、あまりの人気ぶりに、キャンディは近づくことができない。
人波にのまれながら、渾身の力を振り絞り、テリィの名を呼んだ。テリィはその声に気づき振り向くのだが、ファンの数が多すぎて、キャンディの姿を確認することができない。テリィに気づいてもらえなかったキャンディは、絶望でその場からしばらく動くことができなかった。

公演後の慈善パーティで、テリィはアーチーたちから、先ほど聞いた声はキャンディのものだったと教えてもらう。
テリィはキャンディに会うために、聖ヨアンナ病院へ向かった。一方のキャンディは、テリィに会うため、テリィの滞在先のホテルを訪ねていた。すれ違いとなり、結局2人は会うことはできなかったが、テリィは病院の警備にメモを残した。

そこには、テリィが今日の12時に、列車でシカゴへ行くことが記載されていた。テリィは駅で、出発ギリギリまでキャンディを待っていたが、姿を見せない。列車に乗っても、デッキに残り、キャンディに思いを馳せていた。すると、遠くから懸命に走ってくるキャンディの姿を見つけた。

テリィは、デッキから身を乗り出し「キャンディ!」と叫んだ。キャンディも、テリィの姿を見つけ「テリィ!」と叫んだ。ほんの一瞬の逢瀬だったが、ようやく2人は会うことができた。

アルバートの入院・テリィとの別れ

ある日、病院にアルバートによく似た人が運び込まれた。
顔色も悪く、髪色は違うものの連れているのはアルバートのペットのプッペだった。キャンディは、この男性がアルバートであると確信した。しかし、この男性は頭を強く打っており、記憶を失っていた。身元不明の男性を病院は歓迎せず、まともな治療をしようとしない。キャンディはアルバートを引き取り、同居しつつ看護することにした。

列車からお互いを確認した後、キャンディとテリィは文通でお互いの近況を報告し合っていた。テリィはキャンディをブロードウェイに招待し、二度と返さないつもりで準備を始めていた。そんなテリィへの思いを募らせる女優スザナは、テリィに告白するが振られる。だが、スザナはテリィを諦めることができなかった。

新しい演目『ロミオとジュリエット』の稽古中、テリィの上の照明が落ちてきた。それに気づいたスザナは、渾身の力でテリィを突き飛ばし、自分が右足を切断するほどの大怪我を負ってしまった。
キャンディをニューヨークに招待したテリィだったが、自分のために大怪我を負い女優生命が絶たれてしまったスザナを思うと、どうしても気持ちが落ち着かない。やっとの再会に喜ぶキャンディだが、テリィが時折見せる暗い表情が気にかかる。

テリィからの招待状を持ち、劇場に行ったキャンディは、スザナが身を呈してテリィを助けたという事情を知った。
怪我を理由に、スザナがテリィに結婚を迫っているという噂を聞いたキャンディは、入院中のスザナに会いにいくことにした。キャンディがスザナの病室へ行くと、そこにスザナの姿はなく、書置きだけが残されていた。書置きを読んだキャンディは、スザナが自ら命を絶つつもりだと知り、スザナを探した。スザナが屋上から飛び降りる寸前彼女を助けたキャンディは、スザナのテリィへの深い愛情を知り身を引くことを決意した。

テリィも、自分のために怪我をしたスザナを、どうしても見捨てることができない。テリィはシカゴへ帰るというキャンディを、後ろから抱きしめた。このまま離したくないと思いながらも「しあわせになれ」と言って、キャンディから手を離した。

身を引き裂かれるような思いを抱えながら、キャンディはシカゴへと帰った。

ステアの死・ニールとの婚約

テリィと別れ傷心のキャンディは、シカゴに帰る列車の中で、高熱を出し倒れた。
アードレー家へ運び込まれ、キャンディが目覚めると、そこにはひどく憔悴した様子のアーチー達がいた。キャンディが事情を聞くと、ステアが志願兵として戦場へ赴いていたことを知った。戦地に赴いたステアは、パイロットとして従軍していた。だが、ドイツ軍機に撃たれたステアは、命を落とした。ステアの死はすぐに、アードレー家に伝えられた。

ステアのことで気が立っている、エルロイ大おば様に屋敷を追い出され、キャンディはアルバートと住むアパートに戻った。アルバートは、キャンディが熱だけでなく、何かで弱っていることに気づいた。テリィとの別れや辛い気持ちをアルバートに打ち明け、キャンディは少しだけ気持ちが落ち着き安心することができた。

ある日、チンピラに絡まれているところをキャンディに助けられたニールは、キャンディに思いを寄せるようになった。
キャンディの後を付け、キャンディがアルバートと一緒に暮らしていることを知った。これをネタに、キャンディとデートをしようと、病院まで押しかけてきた。しかし、キャンディから手酷く振られると、シカゴ中の病院にキャンディが勤められないように圧力をかけた。キャンディは聖ヨアンナ病院を辞めることになり、ハッピー診療所を手伝い始めた。

ある日キャンディが家の掃除中に、テリィが失踪したという新聞記事を見つけた。テリィはキャンディと別れたことで苦しみ、演技に集中できなくなり、所属していた劇団を辞めていたのだ。

キャンディとアルバートが住む、アパートの住人から「アルバートが、うさん臭い黒服の人物と会っているのを見た」と言われる。アルバートの素性を怪しまれて、退去を命じられた。
アルバートの勤め先に行ってみるが、そこにはアルバートの姿はなく、アルバートが口にしていた職業も嘘だと判明した。だがアルバートのことを信じているキャンディは、大家にアルバートはそんな人ではないと言いながらもアパートを出ることを承諾した。
アルバートは、大家がキャンディに退去を迫っているところを目撃した。これ以上キャンディに、迷惑はかけられないと置き手紙を残して、アパートから姿を消してしまった。

アルバートの置き手紙から、記憶が戻っていたと知ったキャンディ。
必死に行方を探すのだが、全く見つからない。そんな時に、アルバートから小包が届いた。キャンディは、小包に書かれた住所を頼りにアルバートに会いにいった。その街には、アルバートではなく、やつれ精彩を欠いたテリィの姿があった。
場末の芝居小屋で、投げやりな芝居をするテリィを、客席から悲しげに見つめるキャンディ。キャンディもスザナも幸せにできず、自分の不甲斐なさを痛感したテリィは、もう一度一から役者の道をやり直す決意をした。

キャンディに振られても、諦められないニールは、ウィリアム大おじ様の命令としてキャンディと婚約をした。この命令に納得できないキャンディは、ウィリアム大おじ様の片腕と呼ばれるジョルジュに「自分は品物じゃない。誰も人間として見てくれない」と訴える。そんなキャンディを見かねて、ジョルジュはウィリアム大おじ様の居場所をキャンディに教えた。

ジョルジュに教えられた、レイクウッドの別荘へ向かった。サンルームの椅子に座る男性に、これまでのお礼と、ニールとの婚約破棄を訴えた。椅子から立ち上がり、振り向いたのはウィリアム・アルバート・アードレー。少し前まで、一緒に住んでいたアルバートだった。

アルバートは、キャンディに今まで素性を隠していたことを詫び、一族の束縛を嫌い放浪の旅をしていたと語った。アルバートは「ニールとの婚約は、何とかするから心配するな」と請け負った。その後、2人はこれまでの思い出を語り合った。亡くなったアンソニーは、実はアルバートの甥にあたることが伝えられた。また、キャンディはアンソニーの母で、アルバートの姉のローズマリーに似ているとアルバートは語った。

婚約式当日、親族一同が集まる中、キャンディはニールとの婚約を拒否。さらに、一族の総長として初めて公の場に現れたアルバートからも、婚約は認めないと宣言され、ニールとキャンディの婚約は白紙に戻った。
キャンディは、今後のことをアルバートに話に行った。ポニーの家に帰り、近所の病院で働きたいというキャンディの意思を尊重し、アルバートは許可を出した。

ポニーの家に戻ると、そこにはアーチーやアニー、パティの姿があった。キャンディよりひと足早く付いて、キャンディを驚かそうというアルバートの計画だった。その場にいなかったアルバートを探すといい、キャンディはポニーの丘に登った。

一緒に登ろうと言ったにも関わらず、果たせなかったアンソニーとの約束。学院を退学したテリィが、1人この丘に佇んでいたこと。たくさんの思い出が蘇り、涙を流すキャンディに「おチビちゃん…わらった顔のほうがかわいいよ…」という声が背後から聞こえてきた。キャンディが振り返ると、そこには大人になった丘の上の王子さま・アルバートの姿があった。これまで、キャンディが心の支えにしてきたのは、少年時代のアルバートだった。

『キャンディ♥キャンディ』の登場人物・キャラクター

キャンディス・ホワイト・アードレー

CV:松島みのり

愛称・キャンディ
アメリカミシガン湖の近くの孤児院「ポニーの家」で育った明るく天真爛漫な女の子。ポニーの家に拾われた時に余りにも色白だったため、「ホワイト」と名付けられた。
一時間違いでポニーの家に拾われたアニーとは大の仲良し。大人しいアニーがいじめられるとお転婆なキャンディが助けに行く。
親友のアニーが裕福な家庭に貰われ、その後、出自を知られたくないアニーから「もう連絡しない」という手紙を受け取り、ショックで泣いているところに民族衣装を着た金髪の美しい少年に出会った。キャンディは彼を「丘の上の王子さま」と名づけ、心の支えにする。
12歳の時、イライザ・ラガンの話し相手として引き取られた。意地悪なニールとイライザ兄妹から執拗ないじめを受けるが、明るく前向きに日々を過ごす。12歳の時に、ウィリアム・アードレーの気まぐれで養女となった。
6歳の頃に出会った初恋の人「丘の上の王子さま」そっくりの少年アンソニーと出会い、惹かれあう。しかし、アンソニーは落馬事故で亡くなってしまう。
その後、ロンドンの寄宿学校に入学。ロンドンに向かう船上で出会ったテリュース・G・グランチェスターと相思相愛になったのだが、イライザの罠にはまり、テリィは学院を退学。キャンディも後を追うように学院を出た。
テリィは俳優への道を進み、キャンディは看護婦への道を歩むことになった。
キャンディがシカゴの病院勤務の時にテリィの劇団が慈善公演にやってきて再会を果たした。その後文通を通して互いの気持ちを確かめ合っていたが、テリィがキャンディをニューヨークに招待した時に、テリィを思う女優・スザナがテリィを庇って怪我をしたことを知った。自分のせいで怪我をしたスザナを見捨てられず苦しむテリィを見て、キャンディは身を引く決意をした。
その後、ニールから愛を告げられ婚約させられそうになったが、ウィリアム大おじさまに直談判し、無事婚約解消。
その後ポニーの家に帰る。

くるくるとウェーブのかかった明るい金色の髪と大きな緑色の瞳、鼻ぺちゃ、そばかすがチャームポイント。運動神経がよく、木登り、投げ縄が得意。

アンソニー・ブラウン

CV:井上和彦(テレビ版)、堀川亮(1992年映画版)

アードレー一族でブラウン家の長男。キャンディの初恋の人「丘の上の王子さま」にそっくりの容姿をしている少年。バラの品種改良が趣味で、レイクウッドの屋敷にバラの門を作った。大人しくて優しい性格。幼い頃に母を亡くし、父は船乗りで長期間家を空けることがあるため親族に養育された。
キャンディがラガン家に来て、イライザたちのいじめに耐えかね泣いていることをに出くわし、声を掛けたことがきっかけでキャンディと親しくなった。どんなに辛い仕打ちを受けても明るく前向きに一生懸命に頑張るキャンディに次第に惹かれていく。キャンディも優しいアンソニーに心惹かれていく。キャンディの初恋の王子様に自分が似ていると知り、見知らぬ王子様に軽く嫉妬する場面が見られる。
キャンディに対するあまりにひどいラガン家の仕打ちを見て、彼女を救おうとウィリアム大おじ様にキャンディを養女にしてくれるように嘆願書を出した。
願いが叶い、キャンディがアードレー家の養女になり、そのお披露目のきつね狩りにて落馬し命を落としてしまった。

テリュース・G・グランチェスター

CV:富山敬

愛称・テリィ
父はイギリスの名門貴族。母はアメリカブロードウェイの人気女優・エレノア・ベーカー。幼い頃に母から引き離されて、厳格な父に育てられた。両親に愛されていないと思って育っているため、暗い影を持っている。キャンディが転校してきた聖ポール学院には以前から通っていたが、父への反抗から学院では不良のように振るまい、授業もまともに受けず、サボってばかりいる。学院を抜け出すこともよくあり、酒に酔ったチンピラと乱闘騒ぎを起こし、たまたま現場にいたアルバートに助けられたことがある。
初めてキャンディと出会った船上で、キャンディのそばかすについてからかっていたため、キャンディからは「失礼で嫌な奴」という印象を持たれていた。
キャンディがニールにいじめられているところを救ったことから、キャンディはテリィへの印象を変える。
日々の生活の中で、キャンディと関わるうちに互いに惹かれあうようになっていった。しかし、テリィに思いを寄せるイライザに対し、侮辱めいた振り方をしたためイライザの怒りを買ってしまった。イライザが書いた偽の手紙で呼び出され、キャンディと会ったところをシスターに踏み込まれ、言い分を聞いてもらうこともできずに処分されてしまった。
退学処分に決まったキャンディを救う為、テリィがキャンディの身代わりに学院を退学し、俳優になるためにアメリカに渡った。
ストラスフォード劇団に入団し、若手のホープとして活躍していた。慈善公演で訪れたシカゴでキャンディと再会を果たし、以降は文通で近況を報告するようになった。大きな役がとれたらキャンディをニューヨークに呼び、そのまま帰さないつもりで準備をしていたのだが、新しい演目の稽古中に同じ劇団の女優・スザナがテリィを庇い大怪我をしたことにより、スザナを見捨てられなくなってしまった。
テリィを思い、自殺までしようとしたスザナをどうしても見捨てられず、キャンディとの別れを決意、スザナを支えることを選んだ。

その後、キャンディとの別れで苦しみ演技に集中できなくなり、劇団を退団。旅に出るが、酒浸り自堕落な日々を送るようになった。それでも芝居は辞められず、場末の芝居小屋でいい加減な芝居を続けていた。
ある日、舞台上から泣きながら客席にいるキャンディを見つけ、情けない自分の姿を悔いる。余りにも不甲斐ない自分を叱るために現れたキャンディの幻(実際に客席にいたのだが、テリィは幻と思い込んでいる)に励まされ、自分の芝居を取り戻したテリィ。このことをきっかけに、もう一度役者として一からやり直そうと劇団に戻ることにした。
後に雑誌にて俳優として復帰したと明かされた。

アルバート

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