モンスターVSエイリアン(アニメ映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「モンスターVSエイリアン(Monsters vs. Aliens)」とは、謎の隕石に直撃され突然巨大化した人間のヒロインが、ゼラチン質モンスター、半猿半魚生物、遺伝子組み換え実験で半分ゴキブリとなった天才科学者等と共に、地球を襲ってきたエイリアンとバトルを繰り広げる、50年代モンスター映画へのオマージュとヒットSF映画のパロディ満載の痛快アニメーション映画。09年・ドリームワークス製作。

『モンスターVSエイリアン』の概要

ドリームワークス製作で、2009年3月に公開され、全米オープニング興行収入第1位に輝いたアニメーション映画。日本では同年7月に公開された。
題名通り、モンスター達が地球を襲ってきたエイリアンに立ち向かうストーリーだが、巨大女や半魚人などが登場する50年代モンスター映画やヒットSF映画へのオマージュやパロディがふんだんに盛り込まれていて、かなりマニアックな出来栄えとなっている。
元ネタを知らない子供にだって充分に楽しめる作品だが、それらに接したことのある大人の映画ファンならニンマリすること請け合い。
原案・監督は、「シャーク・テイル」のロブ・レターマンと「シュレック2」「マダガスカル3」のコンラッド・ヴァーノン。声の出演は、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」でアカデミー主演女優賞をとったリース・ウィザースプーン、「グリーン・ホーネット」「ネイバーズ」のセス・ローゲン、アメリカの医療テレビドラマ「Dr.HOUSE」で知られるヒュー・ローリー、「スーパー!」「ゾンビスクール!」のレイン・ウィルソン、「24 TWENTY FOUR」シリーズのキーファー・サザーランド、「ミュータント・タートルズ」のウィル・アーネット、「アントマン」のポール・ラッド他、多彩な顔ぶれが揃っている。
本作は、ドリームワークス・アニメーション初の3D作品で、立体効果を意識した演出が随所でなされている。
また、日本では公開されていないが、後に「モンスターVSエイリアン」の短編やテレビシリーズが制作されたらしい。

『モンスターVSエイリアン』のあらすじ・ストーリー

テレビ・キャスターのデレクとの結婚式の当日、教会の外で一人でいたスーザンは、空から突如降ってきた隕石に直撃された。
だが、大した怪我もなかったので花嫁姿に身を包み式を始めた途端、彼女の目や腕が緑色に光り、やがて体がグングン巨大化していった。
自分の体の変化に戸惑うスーザンだが、参列者達は驚き慌てて教会から次々と逃げだした。愛するデレクもただ狼狽えるばかりだった。
スーザンの髪の色が変色し、なおも巨大化が続き、とうとう教会の屋根を突き破ってしまった。
外にはなぜか軍隊が待ち構えていて、スーザンを取り囲んだ。そして、大きな注射器が彼女の尻を目がけて打ち込まれ、意識がもうろうとし倒れ込んでしまった。
すかさず、幾つものロープが彼女の体を押さえつけるように放たれた。
そして、スーザンは、デレクの名を呼びながら意識を失っていった。

どこか判らない殺風景な小さな部屋でスーザンは目を覚ました。
なぜかジャンプスーツを着ていた。何がどうなっているのか訳が分からず不安いっぱいのスーザン。
部屋が突然下降し、片側の壁が上がると、中央に簡素なスチールデスクがあるだけの殺風景な広い空間が現れた。
どこからか話し声が聞こえ、声の主をたどろうと周囲を見回したが誰も見つけることはできなかった。
その時、デスクの上にフードらしきものがスプーンと共に上から落とされた。
気になったスーザンがデスクに近づいたとき、何かが動く気配がした。
そして、フードの影から小さなゴキブリの頭が現れ、彼女に「ハロー」と声をかけてきた。
驚いたスーザンはスプーンを手に取り、ゴキブリ頭の生き物を叩こうとした。その生き物はスプーンから逃げまどったが、最後にはデスクに叩きつけられてしまった。
しかし、その生き物はちっとも怯む様子がなく、平然と彼女に話しかけようとした。
逆にスーザンの方がびくついてしまい後ずさりした時、何かを踏んづけた。
靴の底には青いゼリー状の物体がへばり着いていた。ゼリーを取ろうとしたら、そのゼリーが彼女に「元気~!」と挨拶した。
驚きの続きで、放心状態さながらのスーザンの目の前に、今度は半猿半魚の生き物が現れた。
信じられない生き物達を次々と目にし、自分は薬のせいで幻覚を見ているんだと思い込もうとしたスーザンだったが、最後に、彼女より巨大な虫が現れると、パニックに陥ってしまい、「ここから出して」と思いっきり壁を叩き絶叫した。

すると急に壁が上がり、奥からジェットパックを着用し宙を飛びながらアメリカ軍の制服を着た中年男がスーザンの前に現れた。
男はW.R.モンガー将軍と名乗り、状況を説明してやるから付いて来いと言った。
そして、ここは極秘にモンスターを収容する施設で、君も今ではモンスターだから、この場所で暮らすことになると告げた。
モンスター・ネームをジャイノミカと名付けられ、モンスター達と暮らすハメになって気が沈むスーザンだった。

その頃、宇宙の彼方に浮かぶ巨大宇宙船の中でエイリアンのギャラクサーは、探し求めていたクアントニウム隕石が地球に落下したことを知り、それを奪い取るためにロボット探査機を地球に送り込んだ。
ギャラクサーは、自分が宇宙最強の存在となるために、宇宙最強の力を秘めているクアントニウムを是が非でも手に入れたいと探索を続けていたのだ。

ロボット探査機はサンフランシスコに着陸した。大きな目玉のようなものが頭にある巨大こけしのようなロボットの出現に騒然となったが、アメリカ大統領ハザウェイは現地に赴き、自ら平和的解決を試みようとした。
だが、ロボットとの交渉がうまくいきかけたと思った矢先、ロボットの両側から太い腕が飛び出し大統領に襲いかかってきた。
慌てた大統領は、軍に攻撃命令を下したが、全く太刀打ちできる相手ではなかった。
ただちに政府幹部が招集され作戦会議が開かれた。そこにW.R.モーガン将軍が現れ、エイリアンの巨大ロボットを倒すには、自分が極秘に監禁してきたモンスター達を使うかし方法はないと提案し、大統領は、その提案を迷うことなくすんなりと受け入れた。

ゼラチン質で一つ目のボブ、半猿半魚のミッシング・リンク、ゴキブリ人間の天才科学者・コックローチ博士、それに巨大虫ムシザウルスとすっかり親しくなったジャイノミカことスーザン。
コックローチ博士は、元の大きさに戻りたいと願う彼女のために色々と実験を繰り返していた。
そんな時、W.R.モンガー将軍がモンスター達に、宇宙から飛来した巨大ロボットを倒してくれたら自由の身にしてやると告げた。
長い間、外部との接触がなかったモンスター達は、これでやっと外に出られると大喜びで飛行機に乗り込み、巨大ロボットの元に向かった。

現場に到着すると、ロボットのあまりの巨大さにスーザンは慄いてしまい、コックローチ博士の助言に従い町の方へ逃げ、残ったモンスター達でロボットに立ち向かうことにした。
だが、巨大ロボットの狙いはどうもスーザンのようで、彼女の後を追って町に入り込んできた。
スーザンが、オープンカーをローラースケート代わりに足にはめて滑りながらゴールデン・ゲート・ブリッジを渡ろうとした時、巨大な彼女の姿に驚いたトラックが横転してしまった。運転手を助けようとしているところに巨大ロボットが迫ってきた。
巨大ロボットの攻撃に狼狽えるスーザンだったが、ムシザウルスが巨大ロボットの目に糸状の物質を吐きかけ対抗した。
スーザンが巨大ロボットの手に体を掴まれ潰されようとした時、なぜか強い力でそれを跳ね返すことができた。体が巨大になっただけでなく、超人的な力も彼女に宿っていたのだ。
それは、彼女自身はまだ知らぬことだが、直撃された隕石に含まれる宇宙最強の力を持つクアントニウムを体内に取り込んでいたせいだった。
そして、モンスター達のチームプレーで橋の上に残った車を無事に逃がし、巨大ロボットは運よく倒れてきた橋柱によって真っ二つに破壊された。

クアントニウム奪還に失敗したギャラクサーは、それでは自分で奪いに行くと地球に向かうことにした。

役目を果たし、約束通り晴れて自由の身となったスーザンはモンスター達と共に実家に戻ってきた。
両親は温かく迎えてくれたが、愛するデレクはそこには居なかった。スーザンは、モンスター達の相手を両親に託し、デレクが出演しているテレビ局に向かった。
久しぶりにデレクと会えて喜ぶスーザンだったが、「私と一緒に体が元に戻る方法を探しましょう」と言っても、彼は「僕には全く関係ないことだ、もう二人の関係は終わったんだ」と冷たい返事が返ってきた。
デレクの本性を知り、ひどく落ち込んでとぼとぼと家路に向かったスーザンは、途中のガソリンスタンドの屋根にへたり込み涙を流した。
気が付くとそばにモンスター達がいた。彼らも、両親の家ではあまり歓迎されず、恐れられてしまって気落ちしていたのだ。
最初は、互いにめそめそと慰めあっていたが、やがてスーザンは吹っ切れたように、こんなことで泣いていられない、今の私は何でもできるんだわ、巨大ロボットだって倒せたんだものと気力を奮い立たせた。
モンスター達も彼女につられて、自分の特別な力に自信を持たなくてはと気持ちを切り替えようとした。
その時、空からスーザンに光線が放たれ、彼女は吸い上げられるように光線の中を舞い上がっていった。それは、彼女を捕えようとギャラクサーが宇宙船から放った光線だった。
宇宙船に吸い込まれる寸前、ムシザウルスが触手を伸ばして彼女の足を捕え、阻止しようとしたが、宇宙船から強力ビームがムシザウルス目がけて放射され、あえなく倒されてしまい、スーザンは宇宙船の中に消えた。

捕えられたスーザンの前にギャラクサーが現れ、彼女がクアントニウムを体内に取り込んだことや、クローン製造マシンで自分の分身による軍隊を作り、自分の帝国を地球に作ろうしていることを話した。
目的を果たすためにはクアントニウムが必要であり、それを彼女の体内から取り出すために捕えたのだった。
スーザンはパワー吸引マシーンに閉じ込められ、クアントニウムを吸い取られて、もとの大きさに戻ってしまった。
そして、クローン製造マシーンが作動し、ギャラクサーの分身が続々と誕生し、軍隊が出来上がるとギャラクサーは地球全土に向けて、これから地球を我が物にすると宣言した。

ギャラクサーのビーム兵器によって倒されたムシザウルスは、繭のようなものに包まれた状態で身動き一つせず横たわっていた。
ムシザウルスが死んだと思ったミッシング・リンクは、こいつの死を無駄にはしないと言い放ち、コックローチ博士やボブと共に、W.R.モンガー将軍の協力を得てスーザン救出のために宇宙船に向かった。

なんとか宇宙船に乗り込んだコックローチ博士達は、クローン兵士に変装し、焼却炉に連れて行かれるスーザンを見つけ、無事に救出することが出来た。
そして、地球をギャラクサーの侵略から救うには宇宙船を爆破するしかないと考えたコックローチ博士は、船のエネルギーコアの在り処を探した。
だが、モンスター達の正体がばれてしまい、クローン兵士達とバトルを繰り広げるが、力を合わせて何とか切り抜け、エネルギーコアに辿り着いた。
コックローチ博士は天才的頭脳を駆使してエネルギーコアのセキュリティコードを破り、後6分で宇宙船が爆破するようにセットした。
もうこれで地球侵略はダメだと諦めたギャラクサーは、クアントニウムをブリッジに移動させ、脱出用カプセルで船から脱出しようとした。
スーザンやコックローチ博士達も、クローン兵たちに交じって脱出のために出口に向かったが、目の前で扉がどんどん閉っていった。
これじゃ間に合わないと、ミッシング・リンクがクーロン兵のバイクに似た乗り物を奪い、みんなを乗せて出口に突進した。
だが、寸でのところバイクが転んでしまい、スーザンは脱出できたが、コックローチ博士達は扉の内側に閉じ込められてしまった。
このままでは、モンスター達が爆破によって死んでしまう。スーザンはギャラクサーのいるブリッジに向かった。
ロボット探査機の攻撃を掻い潜りながら辛くもブリッジに辿り着いたスーザンは、ギャラクサーに出口の扉を開けて私の友達を出しなさいと迫った。
しかし、自爆スイッチが入った以上は誰にも扉を開けることはできないと弁解がましく喚くギャラクサー。
スーザンは意を決し、頭上にある彼女から吸い上げたクアントニウムが詰まった丸い容器にギャラクサーから奪い取った銃を向けて撃った。
クアントニウムを体に浴びたスーザンは再び巨大化し、コックローチ博士達の救出に向かった。
最後の別れを惜しんでいたコックローチ博士達は、彼女に助けられて脱出できたが、宇宙船から落下してしまった。
本来なら、W.R.モンガー将軍の軍用機が来るはずだったが、代わりに、死んだと思っていたムシザウルスが脱皮後の羽根を付けた姿で現れ、スーザン達を背中で受け止めた。
直後に宇宙船は大爆破し、ギャラクサーは死亡した。

町に戻ると、スーザンの両親だけでなく住人達が、地球の危機を救った彼らを温かく歓迎してくれた。
デレクが、以前のように親しげにスーザンの前に現れたが、彼に幻滅していた彼女は彼を摘み上げ、指で弾き飛ばした。
そして、W.R.モンガー将軍からフランスでの新たな任務を受け、スーザンやモンスター達は意気揚々とムシザウルスに乗って飛んで行った。

『モンスターVSエイリアン』の登場人物・キャラクター

スーザン・マーフィー/ジャイノミカ(声:リース・ウィザースプーン、日本語吹替:ベッキー)

ごく平凡な女性だったが、結婚式当日に隕石に衝突して巨大化し、軍の秘密基地に収容されてしまう。自分がモンスターだとは認めることが出来ず、最初は普通サイズに戻って婚約者のデレクとの幸せな生活を送りたいと願っていた。
自由の身になる条件として襲来したエイリアンの巨大ロボットと戦い、超人的な力を発揮して倒したが、やっと再会できたデレクに冷たく突き放され落ち込んでしまう。でも、コックローチ博士やモンスター仲間の慰めや気遣いもあって、巨大化した自分を受け入れようと前向きに気持ちを切り替える。

ボブ(声:セス・ローゲン、日本語吹替:日村勇紀<バナナマン>)

食品工場で行われた“遺伝子組み換えトマトとバーベキュー味デザートドレッシングを掛け合わせる”実験で、偶然生まれたゼラチン質の一つ目のモンスター。
体が半透明で柔らかく伸縮自在で、どんなことしても破壊できない。脳みそがないので賢くはないが、楽観的でとても調子に乗りやすい。
食欲旺盛で何でも体に取り込み消化してしまうが、スーザンのママをついつい取り込んだときは、さすがに彼女からにたしなめられる。

コックローチ博士(声:ヒュー・ローリー、日本語吹替:内田直哉)

世界一の頭脳と言われる天才科学者だったが、“人間の遺伝子にゴキブリの強い生命力を組み込む”実験中に装置がトラブルを起こし、頭がゴキブリで首から下が人間になってしまったモンスター。
とても紳士的だが、ゴキブリ体質ゆえか、生ごみが大好物。優秀な頭脳だけにゴミからコンピューターなどを作ってしまえる。エイリアンの宇宙船内では、エネルギーコアのセキュリティコードをあっさり読み解くなど、頭脳派ならではの活躍を見せる。

ミッシング・リンク(声:ウィル・アーネット、日本語吹替:乃村健次)

2万年氷漬けされていたが、科学者によって解凍された半猿半魚のモンスター。研究所から逃げ出してマイアミで観光客を驚かせているところを軍に捕獲された。
泳ぎが得意で、日夜、体を鍛えていて怪力自慢だが、寒さがウィークポイント。
少々見栄っ張りだが、口をきかないムシザウルスと心を通わせることができ、親代わり的に接するなど心優しい一面もある。

ムシザウルス

もとは小さな虫だったが放射能を浴びて体長100メートルに巨大化したモンスター。東京で暴れているところを捕獲された。
話すことは出来ず、鳴き声を上げるだけだが、ミッシング・リンクだけは鳴き声からムシザウルスの気持ちを汲み取ることができるようだ。
口から糸を噴射したり、鼻孔から触手のようなものを出して物を掴むことが出来る。
エイリアンのビームを浴び、一度は倒されたに見えたが、後に甦り、羽根が生えて空を飛べるようになる。

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