モンスターVSエイリアン(アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
「モンスターVSエイリアン(Monsters vs. Aliens)」とは、謎の隕石に直撃され突然巨大化した人間のヒロインが、ゼラチン質モンスター、半猿半魚生物、遺伝子組み換え実験で半分ゴキブリとなった天才科学者等と共に、地球を襲ってきたエイリアンとバトルを繰り広げる、50年代モンスター映画へのオマージュとヒットSF映画のパロディ満載の痛快アニメーション映画。09年・ドリームワークス製作。
ミッシング・リンクの元ネタが「大アマゾンの半魚人」。
アマゾン川で水掻きの付いた手形の化石が見つかり、現地に赴いた調査隊が半魚人に遭遇するSFホラー映画。青赤のアナグリフ方式の3D映画として作られたが日本では普通版で公開された。
半魚人のモンスター・スーツが人気を呼んでアメリカではヒットし、続編「半魚人の逆襲」が同じ年に作られ、日本では短縮版で公開された。シリーズ3作目「THE CREATURE WALKS AMONG US」は日本未公開。
『モスラ』(61年)
ムシザウルスの元ネタの「モスラ」。
「モスラ」では、南太平洋にあるインファント島の守護神の巨大蛾だったが、「モンスターVSエイリアン」では放射能を浴びて巨大化しており、東京で暴れるなど、ゴジラなどの設定も加味している。
『モンスターVSエイリアン』の見どころ
ドリームワークス・アニメーションのCEOだったジェフリー・カッツェンバーグは、「ディズニーは子供と、大人の中にある子供心に向けて映画を作るが、ドリームワークスは大人と、子供の中にある大人心に向けて映画を作る」と語っているが、この「モンスターVSエイリアン」も、その意向通り、子供が楽しめるのはもちろんだが、むしろ大人を対象にした映画作りに徹しているような印象がある。
50年代のカルトなモンスター達が主人公ってことで、一昔前のB級SF&ホラーに親しんだ映画ファンをニンマリとさせるし、SF系のヒット映画のパロディがたっぷりと詰め込まれていて、子供に分かるんだろうかと思ってしまうくらいだ。
ハザウェイ大統領が、エイリアンの巨大探査ロボットと接触を試みようとする場面では、「スタートレック/宇宙大作戦」のスポックもどきのバルカン式挨拶をするし、「未知との遭遇」でエイリアンとの出会いの時に奏でたメロディーをキーボードで弾くし、「E.T.」チックに指先同士を触れあわせようとまでする。ついでに大統領は、調子に乗って「ビバリーヒルズ・コップ」のテーマ曲も演奏してしまう。
映画オープニングのDREAMWORKS ANITION SKGの少年が三日月に釣竿を垂らしているロゴタイトルじゃ、突如クラシックな形のUFO(空飛ぶ円盤)が少年の頭上に現れ、彼を吸い上げてしまうが、円盤の形が、レイ・ハリーハウゼンが特撮を担当した「世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す」(56)に似ている。ティム・バートンの「マーズ・アタック!」(96)にも似たような円盤が登場した。
他にも、アメリカ人なら分かる映画ネタを含め、様々なパロディが散りばめられているようだ。
とにかく、そんな50年代のモンスター映画へのオマージュやヒット映画のパロディが、この作品の見どころというか楽しみどころと言える。
ところで、「モンスターVSエイリアン」の監督の1人、ロブ・レターマンが「ポケット・モンスター」の実写映画版の監督になることが2016年12月に発表されたそうで、任天堂が2016年にニンテンドー3DSシリーズ向けにリリースしたゲーム「名探偵ピカチュウ~新コンビ誕生」をベースにした物語になるらしい。詳細はまだ不明だが、ひょっとしたら、レターマン監督だけに今度は様々なヒット・ゲームのパロディが登場するかもしれない。
『モンスターVSエイリアン』の名シーン・名場面
ゴールデン・ゲート・ブリッジでのモンスターとエイリアン巨大ロボットのバトル
地球に襲来したエイリアンの巨大ロボットとモンスター達のゴールデンブリッジでのバトルが、アニメならでは手法でスピーディーかつダイナミックに描かれ、スケール感たっぷりの名アクション・シーンとなっている。
スーザン、ムシザウルス、コックローチ博士、ボブそれぞれの特質や戦闘能力も上手く描きこまれ、アクションに弾みをつけてるところも見逃せない。
最後に、巨大ロボットが折れた橋柱に真っ二つに破壊されるところも痛快だ。
宇宙船内でのモンスターとエイリアン軍団とのバトル
エイリアンにさらわれたスーザンを取り戻すために宇宙船に侵入したコックローチ博士やボブ達と、エイリアンのクローン軍団とのバトルは、軍団との遭遇からスーザンと共に脱出するまでが、ユーモアとアクションを巧みにミックスしてハイテンポで描かれ、ワクワク感いっぱいだ。
一度は普通の大きさに戻ったスーザンが、仲間のために再び巨大女となる心意気にもグッとくるし、爆発寸前の宇宙船から真っ逆さまに落ちたところを、W.R.モンガー将軍を乗せた羽根が生えたムシザウルスがナイス・タイミングでキャッチするところは、思わず拍手したくなってくる。
『モンスターVSエイリアン』の名言・名セリフ
「自分を過小評価しない。もう二度とね」
巨大ロボットを倒した後、デレクに会ったが冷たく突き放されて落ち込んだスーザンが、同じように人間たちに恐れられて気を落としていたコックローチ博士達と慰め合うなかで「モンスターになってしまったけど、今の私は何でもできるんだわ、巨大ロボットだって倒せたんだもの。」と気をとり直して発する言葉。
普通の人間にはない能力を自分達モンスターは持っているんだと気付き、ミッシング・リンクやボブ達も明るさを取り戻し、自信をみなぎらせる名セリフだ。
「私の名はジャイノミカよ」
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目次 - Contents
- 『モンスターVSエイリアン』の概要
- 『モンスターVSエイリアン』のあらすじ・ストーリー
- 『モンスターVSエイリアン』の登場人物・キャラクター
- スーザン・マーフィー/ジャイノミカ(声:リース・ウィザースプーン、日本語吹替:ベッキー)
- ボブ(声:セス・ローゲン、日本語吹替:日村勇紀<バナナマン>)
- コックローチ博士(声:ヒュー・ローリー、日本語吹替:内田直哉)
- ミッシング・リンク(声:ウィル・アーネット、日本語吹替:乃村健次)
- ムシザウルス
- W.R.モンガー将軍(声:キーファー・サザーランド、日本語吹替:山路和弘)
- ギャラクサー(声:レイン・ウィルソン、日本語吹替:青山穣)
- デレク・ディートル(声:ポール・ラッド、日本語吹替:小川輝晃)
- ハザウェイ大統領(声:スティーブン・コルバート、日本語吹替:森川智之)
- 『モンスターVSエイリアン』に登場するモンスター達の元ネタ映画
- 『妖怪巨大女(ATTACK OF THE 50 FT. WOMAN)』(58年)
- 『マックィーンの絶対の危機(BLOB)』(58年)
- 『蠅男の恐怖(The Fly)』(58年)
- 『大アマゾンの半魚人』(54年)
- 『モスラ』(61年)
- 『モンスターVSエイリアン』の見どころ
- 『モンスターVSエイリアン』の名シーン・名場面
- ゴールデン・ゲート・ブリッジでのモンスターとエイリアン巨大ロボットのバトル
- 宇宙船内でのモンスターとエイリアン軍団とのバトル
- 『モンスターVSエイリアン』の名言・名セリフ
- 「自分を過小評価しない。もう二度とね」
- 「私の名はジャイノミカよ」
- 『モンスターVSエイリアン』の関連動画
- 「モンスターVSエイリアン」予告編(吹替日本語版)