うそカノ(Uso Kano)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『うそカノ』とは、林みかせによる少女漫画作品。2013年2月号より白泉社「LaLa」に連載中。
片想い中の入谷くんが「彼女のふりをしてくれる人=うそカノ」を探していると知り、すばるが思わず立候補する。いつかはホントの彼女になりたいと願うすばるの恋の行方を描く。

『うそカノ』の概要

『うそカノ』とは林みかせによる日本の少女漫画作品。
2013年2月号より白泉社発行の月刊「LaLa」に連載中。単行本は9巻まで刊行中。当初は3話で終わる予定だったが、好評だったため連載になった。
片思いの入谷くんが「彼女のふりをしてくれる人=うそカノ」を探していると知り、すばるは思わず立候補する。うそカノでもいいから入谷に自分を見てもらいたかったすばると、誰でもいいからうそカノを探していた入谷。2人の温度差はあったけれど、付き合っていくうちに入谷にも心境の変化が訪れる。
高校生の嘘から始まる恋愛と成長物語。
クールで無愛想な入谷がすばるにだけ見せる表情や天然な言動、すばるの入谷への純粋で真っ直ぐな気持ちにキュンキュンしすぎると大ブレイクした。

『うそカノ』のあらすじ・ストーリー

うそカノの失恋

神宮寺すばる(じんぐうじすばる)は前から好きだった入谷匡史(いりやただふみ)が、彼女のフリをしてくれる人を探しているのを知って立候補した。
人を好きになれない欠陥人間とクラスメイトから言われた入谷は、彼女を必要としすばるが「うそカノ」になった。
そして付き合っているように見せかけるためシャーペンを交換した。

入谷のことが好きなすばるは、一緒に過ごすうちにより彼への思いを深めていった。
すばるは妹に心配されたが、本当の彼女になれる可能性があるかもと諦めずにいた。
入谷は一生懸命なすばるに、少しずつ好意を持ち始めていた。

ある日すばるは、幼馴染の和久井朔哉(わくいさくや)が怪我をしたため、保健室に付き添った。
その時養護教諭の槇村里香(まきむらりか)が入谷に、自分のことをまだ好きかと心配したが、すばると仲良くしている姿を見て安心したと話しているのを聞いてしまった。
入谷が「うそカノ」を必要とした本当の理由は、結婚する槇村を安心させるためだった。

槇村と幼馴染の入谷はずっと彼女が好きだった。それを知ったすばるは「うそカノ」を続けることが苦しくなった。
そこで入谷に「槇村を安心させることもできたし、自分も好きな人ができた」と嘘をつき「うそカノ」を解消したいと申し出た。
入谷は何か言いかけるが、すばるの申し出を了承した。

一方的に別れを告げられた入谷は、苛立って交換していたシャーペンをカチカチといじっていた。芯が全部出てしまったので戻そうとすると、中から「入谷くんと恋がしたい」という紙が出てきた。
入谷はその紙をすばるに突きつけ、いつから自分のことがすきだったのか問い詰めた。すばるはずっと前から入谷が好きだったことを打ち明けた。
入谷はすばるが和久井に借りていた制服のネクタイを外し、自分のネクタイと交換した。
以前は校則違反だからとネクタイ交換を嫌がっていた入谷だったので、すばるが不思議に思って尋ねると「もう『うそカノ』は終わり」と入谷は答えた。

入谷の独占欲

本当の彼女になれたすばるは嬉しくて、クラスメイトにも彼氏ができたと話した。
クラスメイトに頼まれて入谷に声をかけると、「迷惑だからやめて」と言われてしまった。
「うそカノ」を姉に頼んだ入谷を嫌っている妹のトモは、いつも側にいた幼馴染の和久井の方が姉には合っていると思っていた。

入谷は体育祭のコスプレで和久井のジャージを着ていたすばるに、自分のジャージを渡すなど独占欲を見せるようになった。
和久井は100メートル走で、入谷を挑発しすばるをかけて勝負した。
すばるは借り物競争で「彼氏彼女、または好きな人」を引いてしまった。入谷は騒がれるのを嫌うため、すばるはその場で立ち止まってしまった。
助けに行こうと和久井が立ち上がると、入谷が「神宮寺さんの彼氏は俺」と言ってすばるの腕を掴みゴールした。

トモは入谷とすばるを別れさせたくて、和久井を巻き込んで邪魔をした。
腹を立てた入谷が「姉の彼氏なら誰でも妨害するのか」と言うと、「姉を『うそカノ』にした」と言われてしまった。
それを聞いて入谷は、すばるを「うそカノ」にしたことを反省するのだった。

和久井のうそカノ

すばるは和久井から「うそカノ」を頼まれた。
最近和久井は、栗山楓(くりやまかえで)という1つ下の女の子から告白をされ断ったが、しつこく付きまとわれていた。
トモと楓は中学からの知り合いだったが、楓が和久井を紹介するようにトモに頼んでからは犬猿の仲になっていた。

トモと和久井が神宮寺家に入って行くのを見て、2人が付き合っていると勘違いした楓は、中傷メールを送りつけてくるようになった。
困った和久井は本当に付き合っているのはすばるだと嘘をついてしまい、証拠が見たい楓にすばるを会わせる約束をしてしまったのだった。
すばるは最初は断ったが、トモが嫌がらせを受けていることを知って「うそカノ」を引き受けることにした。

入谷の了承を得て「うそカノ」として楓に会うが、ぎこちないすばるは信用してもらえず、キスをしたら信じると言われてしまった。
和久井がすばるの頭を引き寄せると入谷が現れ、自分が和久井の彼氏だと楓に言った。和久井に入谷を取られると勘違いしたすばるは入谷に抱きつき、その場は大混乱になってしまった。
その様子を見ていた楓は、「誰でもいいのなら自分と付き合え」と言うが和久井は断った。

文化祭を翌日に控えて学校は慌ただしかった。
すばるは以前にキスが未遂に終わったことを意識して、リップを塗って準備をしていた。
しかし入谷にはその思いは伝わらず、すばるはショックと恥ずかしさで帰ってしまった。
空回りしていたことを反省したすばるは、翌日入谷に「今回が初めての恋で、どうしたらいいのか分からない」と正直に話した。
すばるの気持ちが分かった入谷と仲直りができ、文化祭を楽しく過ごすことができた。

槇村先生の結婚

文化祭が終わり試験勉強も楽しく過ごしていた。
そんなある日入谷がキスをしようとすると、すばるが転んでしまいそのはずみで入谷の口に当たって切ってしまった。
ファーストキスが失敗しすばるがギクシャクするので、入谷は暫く距離をおこうとした。

すばるは入谷と向き合うために、横断歩道の白線だけを踏めたら入江に会えるなどと願掛けを始めた。
その様子を見た入谷がそれに何の意味があるのか尋ねると、すばるは勇気のスイッチだと答えた。入谷は驚きすばるの健気な行動に自分も向き合うことを決めた。

2人が距離を縮めていくことにトモは不満を募らせていった。
そして入谷が潔癖症で他人の作った物を食べるのが苦手と知ると、無理に夕食に誘い困らせたり、両親にすばるが入谷の「うそカノ」だったことをばらしたりした。
トモはすばるの悲しそうな顔を見て罪悪感を持つが、どうしても入谷が気に入らず和久井にすばるへ告白するよう頼んだ。
しかし和久井は、すばるのことを想っていたのだがそれを断った。
入谷は誠実な態度から、すばるの父に認められた。

槇村先生の結婚式が近づいてきたが、入谷は「結婚式に参加しない」と言っていた。
どうしても幼馴染の入谷に参加してもらいたい槇村は、すばるに一緒に式に出て欲しいと頼んだ。
すばるは誘うが入谷は結婚式に参加しないと、頑なな態度を崩さなかった。

元気がなくなったすばるの様子が気になり、入谷は写真部の合宿先まですばるに会いに行った。
元気がなかった理由を聞かれたすばるは、結婚式に参加して笑顔で入谷が先生を祝福している姿が見たいと正直に答えた。
その後結婚式に2人で参加して心から祝福することができ、すばると入谷の仲は深まった。

それぞれの気持ち

すばる姉妹と和久井が所属する写真部に、トモと同じ特進科の時田律(ときたりつ)が入部した。時田はトモに想いを寄せていて、合宿の時にトモにキスをして想いを伝えた。
時田の行動を見ていた和久井は、自分も変わらなければと思い始めていた。

すばると和久井の普通科で、スポーツ対抗クラスマッチが行われた。和久井はバスケットで決勝まで進むが、男子とぶつかりかけたすばるを庇い手首を負傷した。
怪我を隠し無理をする和久井に気付いたすばるは、彼を保健室に連れて行き手当てをした。和久井は自分の怪我に気付いてくれたすばるに気持ちを誤魔化すことは止め、本気で好きだと告白した。
すばるは入谷が好きだからと断るが、「もう少し考えてくれ」と言われてしまった。
和久井の告白を聞いていた入谷は、「すばるは渡さない」と言うが和久井は諦めなかった。

槇村先生が入谷兄弟と神宮寺姉妹を旅行に誘った。和久井もその旅行について行くと宣言した。
トモにキスをしてから拒絶されている時田も諦めず、旅行に参加することにした。

旅行先でトモは、すばると和久井の距離を縮めようと画策した。時田はトモの役に立とうとすばると和久井を小屋に閉じ込めた。
時田は自分のしたことに怒り、上手い方法を考えていると言うトモに、和久井は既に告白していると話した。
それを聞いたトモの顔色が変わったのを見た時田は、トモが好きなのは和久井なのではないかと問い詰めた。
トモは「大切な2人だから付き合ってほしい」と答え、「それは和久井が好きだと言っているのと同じだ」と言う時田の話を打ち切った。
入谷と和久井は偶然その話を聞いてしまった。

旅行2日目のアスレチックでトモは、和久井が入谷と勝負をかけてすばるを取り戻そうとするのを見て、ショックを受けてしまった。
自分の気持ちに戸惑うトモは、体調が悪いと先に別荘に帰った。
別荘に帰りトモがいないことを心配したすばると時田は、雨の中ずぶ濡れになってトモを探した。雨宿りしていたトモは、駆け付けたすばるの優しさに避けてしまっていた自分を反省した。

別荘でトモは和久井に「すばると上手くいくよう協力する」と言ったが、自分で何とかすると線を引かれてしまった。
嫌われても傷つけても2人を付き合わせたいと泣きながら話すトモに、時田は「自分は嫌わない」とトモの話を聞き続け励ました。

トモへの気持ちが大きくなっていく時田は、和久井と話をしようと彼を呼び出した。
すばるとの進展を尋ねると、自分を意識して笑顔が減ってしまったと和久井は答えた。
自分が入谷より劣っていないと思う和久井だったが、すばるには違うと落ち込んでいた。
時田は「和久井のことを見ていて、良いところをたくさん知っている子がいる」と話すが、「一方通行の報われない想いは沢山ある」と和久井は言った。
時田の諦めるのかとの問いに、和久井には正解が何か分からなかった。
好きな子は自分で幸せにしたいと思う時田は、もう一度トモに告白するが返事はそっけないものだった。

クリスマス

冬休みは25日の終業式が終わってから父のいるパリに行くと言う入谷に、クリスマスプレゼントを買おうとすばるはバイトを始めた。
着ぐるみを着てケーキを売っていると、偶然通りかかった入谷に中を覗かれそうになった。
すばるは24日の夜に5分だけ会いたいと入谷に言うが、5分と呟く様子にそれさえも邪魔になるのかと考え約束ができなかった。

寒い中着ぐるみを着て生足を出しているすばるの足に、酔っ払いが抱きついてきた。そこに入谷が現れ酔っ払いを撃退した。実は着ぐるみの中がすばるだと知っていた入谷は、バイトの間ずっとすばるを見守っていたのだった。
バイト後待ち合わせの喫茶店に来たすばるに、入谷は5分だけ会いたいと言ったことや、それすらやめてバイトをして何を考えているのかと愚痴をぶちまけた。
入谷が一番欲しいプレゼントを用意すると自信満々なすばるに、一番欲しいものをくれるなら家に来るよう入谷は頼んだ。

パリに出発するまであと2時間というところで、やっと2人きりになれた。
すばるはクリスマスプレゼントに電子辞書を渡した。
本当は電子辞書を持っていたのだが、すばるが自分のことを考えてプレゼントを選んでくれたことが入谷は嬉しかった。
入谷はひよこのカメラケースを渡し、値段が電子辞書の10分の1だからこれから10年はプレゼントは要らないと言った。
これからも一緒にいられるような気がしてすばるは嬉しかった。
入谷を見送りにホームまで行くと、別れ際電車に乗り込む際に入谷がすばるにキスをした。

留学生

学校に行くと金髪の美少女ジェシカと、長い前髪にフードをかぶったマイケルがいた。2人は入谷の家にホームステイしている留学生だった。
マイケルは自分が好きな漫画のキャラクターに似ていると、すばるを「チカタ」と呼んで気に入ったようだった。

すばるは入谷の家に遊びに行き、マイケルと3人でカレーを作った。片付けの最中にマイケルに水をかけられた入谷が服を着替えようとすると、そこにはシャワーを浴びて髪を乾かすジェシカがいた。
その時たまたま転んでしまい、ジェシカに覆いかぶさったところをすばるに見られ動揺する入谷だった。しかしすばるは、誤解されることはしないようにとジェシカを諭した。
すばるはジェシカがマイケルを好きなことに気が付いていた。

入谷の気持ち

北海道への修学旅行で入谷にもっと好きになってもらいたいすばるは、ジェシカに色気が足りないとアドバイスされた。
胸元を開けたりアイスを色っぽく食べたりしたが、全く入谷には通じなかった。
入谷にまだきちんと「好き」と言ってもらえていないすばるは自分から好きだと伝え、ちゃんと言葉で自分のことをどう思っているのか伝えて欲しいと頼んだ。
入谷は少し考えた後、「時間をくれ」と言って何も言わなかった。

すぐ返事をもらえず不安になっていたすばるの元に入谷が来て、強引に連れ出した。
そして「神宮寺さんのことが好きだ」と言ってくれたが、入谷はすでに自分の気持ちは伝わっていると思っていたので、何をどうやって返事をしたらいいのか考えていたのだった。
「いつもかわいいと言っている」と言う入谷に、かわいいと好きは違うと言い返すすばるだった。
気持ちを確かめ合い、本物の彼女になったと喜ぶすばるに入谷はキスをした。

前を向いて

マイケルとジェシカの留学期間も終わりに近づき、思い出作りに浅草へ行った。その時マイケルが夫婦円満の招き猫をジェシカに送り、2人は両想いだったと分かった。
また会うことを約束して2人は帰って行った。

入谷の誕生日、以前山に登る途中ですばるが足を痛め中止になったデートをやり直すことにした。
夕焼けが綺麗な山頂で、すばるが焼いたクッキーとお茶を出し誕生日を祝った。
入谷は1年の記念としてネックレスを贈った。

時田は元気のないトモに、本音を言えるのは自分にだけだとトモの本心を聞き出そうとした。
トモはまだ、大好きな姉と和久井を付き合わせたがっていた。
時田は誰でも大切なものを手放すのは怖いとトモを諭した。
時田に気持ちを吐き出したことで、気持ちが切り替わったトモは前に進もうと思った。

トモに誘われ、5人でお花見に行くことにした。
和久井は買い物からなかなか戻ってこないすばるを待つ間、入谷にすばるのどこが好きか尋ねた。入谷は「かわいいとこ」と即答した。
和久井がすばるの荷物を持とうとすると、入谷が対抗して自分が持つと言った。そんな様子を見た和久井は、写真を撮りに行くと2人を残してその場を去った。
皆それぞれの想いを持っているが、花見を一緒にしたことで気持ちを切り替え、前進できる気がしていた。

『うそカノ』の登場人物・キャラクター

神宮寺 すばる(じんぐうじ すばる)

3esugi-07
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