探偵物語(Tantei Monogatari)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「探偵物語」は、ハードボイルド作家・小鷹信光の原案をもとに、1979年9月から1980年4月にかけて日本テレビ系列で全27話が放送されたTVドラマ。私立探偵の工藤俊作(松田優作)が、様々な依頼を引き受け、刑事たちに邪魔者扱いされながらも街の仲間たちと事件の解決に乗り出す。主演の松田優作は、それまでのハードボイルドなヒーロー像から一変、コミカルな演技と独特のスタイルで、彼の伝説的な作品となった。

ナンシーの同居人で売れない女優(歌手)の卵。
ナンシーと同じく工藤探偵事務所を自分の部屋同然に思っているようで、工藤にご馳走になることもしばしば。
工藤探偵事務所で電話番もするし、たまにアルバイトで調査の手伝いをしたりもする。
工藤と顔を会わせるとナンシーと一緒にいつもキスをしてもらう。

相木 マサ子(演:倍賞美津子)

自身の弁護士事務所「相木法律事務所」で活躍する敏腕の女弁護士。
ボインちゃんで才色兼備、活動的だが金にうるさい。工藤からは”マサ子ちゃん”と呼ばれる。
単独でドヤ街の犯行現場に赴いたり、犯罪者と知りながら直接行動を共にするなど大胆な面も持つ。
登場回では、駅のホームから突き落とされそうになるところを工藤が助けるのだが、背後から胸に手を回したので工藤を痴漢と間違える。
第3話、7話、13話、14話に登場。

『探偵物語』の名シーン・名場面&見どころ

オープニングシーン

黒い上着に赤シャツ白ネクタイという出立で鏡の前に立つ工藤俊作。
もっさりした髪を2、3度ブラッシングした後、手に唾を付けて髪を撫でつけると、トレードマークの黒いハットをきりりと被る。
さらにタバコを1本口に加え、お決まりの火力全開ライターで点火。
そして振り向くと同時に画面がズームバックすると、ビシッと決めたスーツ姿かと思いきやなんとズボン履き忘れ状態なのである。
シリアスな顔をしてもどこか抜けててコミカルなこのオープニングシーンは、番組のファンなら一度は真似をしたかもしれない。

第1話「聖女が街にやって来た」

ある日の早朝、工藤探偵事務所に依頼人のシスター(演:緑魔子)がハンドバックを持って突然現れた。
依頼の内容は結城夏子(演:熊谷美由紀)という生徒がある女性からこのハンドバックを盗んだが、表沙汰になると困るのでそれをその女性に黙って返してくれというもの。女性のマンションを訪ねてみるとその場で彼女は殺害され、工藤はその犯人から暴行を受けるが、警察に殺人犯として手配される羽目になる。工藤はシスターと一緒に結城夏子に会い、事件の謎を探っていくというストーリー。
松田優作と熊谷美由紀が初共演で、やがて二人の結婚に至るきっかけになった記念すべき第1話となった。

第5話「夜汽車で来たあいつ」

福井の片田舎から妹(演:原田美枝子)を捜すために夜汽車に乗って東京にやってきた田村一郎(演:水谷豊)。
探す当てのない一郎は、たまたまコインランドリーで出会った工藤に妹の行方の調査を依頼することから始まるストーリー。
松田優作と水谷豊が一緒に歌う、井上陽水の「心もよう」は必見。
二人はこの競演をきっかけにプライベートでも「優作」「豊」と名前で呼び合う大親友となったそうだ。

第27話(最終回)「ダウンタウン・ブルース」

工藤の顔見知りのウエイトレスが田舎へ帰って結婚するという。だがその結婚相手の若者が殺し屋に狙われ、工藤はその若者をかくまおうと街の仲間たちに協力を依頼するのだが、殺し屋はその仲間たちと若者を殺害してしまう。怒りに燃える工藤は、殺し屋とその背後を洗い出し、次々と復讐を果たしていくというストーリー。
この最終回にはストーリーとは関係のないシーンで伏線がある。それは冒頭のシーンで、スーパーで買い物をした工藤がレジの男に計算が違うと文句をつけていると、店長が出てきてこっ酷くこのレジの男を叱る。このレジの男は妙に陰気で不気味な感じでスーパーを出る工藤の後ろ姿を睨む。そして、工藤が復讐を果たしたあとの最後のシーン。工藤は馴染みのプール・バーでひとり寡黙にビリヤードに興じている。そして店を出たところで、カウンターにいた客の男が後方から「おい!」と呼び、振り返る工藤にそのまま体当たりで胸にナイフを突き刺す。この男こそ冒頭のレジの男だったのである。ちなみにその場面からBGMはダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「身も心も」が流れ、工藤が傘をさして延々と街を歩くシーンで終わるのだが彼の生死は定かではない。

『探偵物語』のエピソード・逸話

第3話は第1話になるはずだった

倍賞美津子演じる弁護士・相木マサ子の登場回でもある、第3話「危険を買う男」。テープレコーダーや盗聴器を使い、工藤俊作という探偵の行動を細かく紹介している内容にもなっている。また、警視庁東署内のシーンで服部と松本の上司の警部役として、名優・長門勇がこの第3話のみ出演しているのだが、署内の初登場シーンのような雰囲気が見える。
実はこの第3話は、番組制作の一番最初に撮影された話で、当初は第1話として放送予定であったそうである。そもそも局としては、同時間枠の前番組にあたる『大都会』シリーズで確立されたハードアクション路線を踏襲するという要求を制作側に出していた。実際、この第3話ではヘリやトラックを使った派手なカーチェイスシーンが挿入されており、同シーンにて工藤が「おいおい、まるで『大都会 PARTIII』じゃないか!」と前番組の余韻を皮肉るようなアドリブも入っていた。ところが結果的には『大都会』とは全く異なるコミカル・アクション路線が前面に押し出され、松田優作のコミカルな演技志向を優先。後に撮影された第1話が「こちらの方が今の時代に合う」というプロデューサー全員の一致した意見で放送順が変えられたという。

工藤の愛車はベスパではなくハーレーになる可能性もあった

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