FALL/フォール

FALL/フォール

『FALL/フォール』とは、2023年に公開されたサバイバルスリラー映画。監督はスコット・マン。出演はグレイス・フルトン、バージニア・ガードナー、メイソン・グッディング、ジェフリー・ディーン・モーガンなど。落下事故で夫を亡くしたベッキーを元気づけようと、親友ハンターはクライミング計画を立て、現在は使用されていない超高層テレビ塔に登ることに。2人は頂上へ到達したが、老朽化した梯子が突然崩れ落ち、鉄塔の先端に取り残されてしまう。地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された2人がどうなるのか、目が離せない作品である。

ahchan20228のレビュー・評価・感想

FALL/フォール
7

高所恐怖症の人は閲覧注意!上空600mに取り残された絶望の数日間

アクション映画に定評のあるスコット・マン監督が描く、上空600mのワンシュチュエーションスリラー。
過去のトラウマを乗り越えるため、老朽化したテレビ塔に登ることにした女性クライマー2人は、あろうことか塔のてっぺんに取り残されてしまう。スマホは圏外、誰にも声も姿も届かない、落ちたら間違いなく即死。まさに絶望的な状況の中、彼女たちは決死の脱出を試みる。

脱出系のスリラーはたいてい絶望的な気持ちにさせられるものだが、本作はとにかく「高さ」の描写がリアルである。ギシギシと頼りなく軋むハシゴ、釘のゆるむ音、突発的に吹く強風、足を踏み外したときの一瞬の浮遊感。落ちたらどうなるのかが想像できてしまうだけに、ずっと内臓がザワザワして落ち着かない気持ちにさせられる。実際の山頂に「塔」のセットを一部建設して撮影したため、俳優たちの恐怖におののく表情はかなりリアルに近い緊迫感があったようである。

たった2畳ほどしかない鉄塔のてっぺんで、登場人物も2人だけ。それでも1時間半もの上映時間を持たせることができるのは、脚本と演出の手腕あってこそ。次から次へと巻き起こるハプニングや、隠されていた過去の真実、そして度重なる脱出へのチャレンジと、視聴者をまったく飽きさせない。伏線もしっかりと張り巡らされており、最後までハラハラ、ドキドキしながら楽しむことができた。

何をレビューしてもネタバレになってしまう本作、百聞は一見に如かず。このスリル、ぜひご自身の目で確かめてみるのをおすすめする。