高所恐怖症の人は閲覧注意!上空600mに取り残された絶望の数日間
アクション映画に定評のあるスコット・マン監督が描く、上空600mのワンシュチュエーションスリラー。
過去のトラウマを乗り越えるため、老朽化したテレビ塔に登ることにした女性クライマー2人は、あろうことか塔のてっぺんに取り残されてしまう。スマホは圏外、誰にも声も姿も届かない、落ちたら間違いなく即死。まさに絶望的な状況の中、彼女たちは決死の脱出を試みる。
脱出系のスリラーはたいてい絶望的な気持ちにさせられるものだが、本作はとにかく「高さ」の描写がリアルである。ギシギシと頼りなく軋むハシゴ、釘のゆるむ音、突発的に吹く強風、足を踏み外したときの一瞬の浮遊感。落ちたらどうなるのかが想像できてしまうだけに、ずっと内臓がザワザワして落ち着かない気持ちにさせられる。実際の山頂に「塔」のセットを一部建設して撮影したため、俳優たちの恐怖におののく表情はかなりリアルに近い緊迫感があったようである。
たった2畳ほどしかない鉄塔のてっぺんで、登場人物も2人だけ。それでも1時間半もの上映時間を持たせることができるのは、脚本と演出の手腕あってこそ。次から次へと巻き起こるハプニングや、隠されていた過去の真実、そして度重なる脱出へのチャレンジと、視聴者をまったく飽きさせない。伏線もしっかりと張り巡らされており、最後までハラハラ、ドキドキしながら楽しむことができた。
何をレビューしてもネタバレになってしまう本作、百聞は一見に如かず。このスリル、ぜひご自身の目で確かめてみるのをおすすめする。