スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(Spider-Man: No Way Home)とは、アメリカで人気のマーベルコミック『スパイダーマン』をベースとした、2021年公開のスーパーヒーロー映画である。
本作のスパイダーマン映画は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)製作作品としては3作品目となる。
前作『スパーダーマン:ファー・フロム・ホーム』で倒した敵・ミステリオにより、正体をばらされ世間を騒がせることとなったピーター(スパイダーマン)。周りの人間を混乱に巻き込んでしまい追い詰められたピーターは、何とかこの事態を解決するため友人のドクター・ストレンジに助けを求める。ストレンジは人々からスパイダーマンの正体に関する記憶を消し去るという禁断の魔術を使うが、その魔術の失敗によって多次元宇宙の扉が開いてしまい、ニューヨークの街に様々なヴィランが押し寄せて、街の人々に危機が迫る。
シリーズの集大成とも言える壮大な物語が描かれる本作は、日本のみならず世界中で大ヒットを記録した。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Homeのレビュー・評価・感想

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
9

マーベル・シネマティック・ユニバースで最もエモーショナルかつスリリングな作品

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のスパイダーマンシリーズにおける最も野心的でエモーショナルな作品です。トム・ホランド演じるピーター・パーカーは、ミステリオによって正体が暴かれ、世間からのプレッシャーとヒーローとしての責任に苦しみます。彼は、ドクター・ストレンジに助けを求め、過去の敵や異なる次元からのキャラクターが現れることで、マルチバースの混乱に巻き込まれます。

映画の最大の魅力は、過去のスパイダーマン映画からのヴィランたちの再登場です。アルフレッド・モリーナのドクター・オクトパス、ウィレム・デフォーのグリーン・ゴブリンなど、往年のファンにとっては感動的な瞬間が詰まっています。また、トビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールド演じるスパイダーマンが登場するシーンは、期待を裏切らないサプライズとなっています。

アクションシーンは迫力満点で、特に最終決戦は圧巻です。また、ピーターの成長と自己犠牲の物語は深い感動を呼び起こします。親友ネッドや恋人MJとの関係も丁寧に描かれ、彼の人間的な側面が強調されています。

総じて、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は、アクション、ドラマ、ノスタルジアが見事に融合した一作です。MCUファンだけでなく、すべてのスパイダーマンファンにとって見逃せない映画となっています。シリーズの新たなクライマックスとして、記憶に残る作品です。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
7

全スパイダーマンファン感涙の集大成映画

米国では2021年、日本国内では2022年に公開されたMCUの世界観で描かれるスパイダーマンシリーズの3作目。
前作「ファー・フロム・ホーム」で全世界に正体がバレたピーター・パーカーが、ドクターストレンジに頼んで人々の記憶改善を図るも失敗し、その影響で並行世界からスパイダーマンに因縁を持つ者達を呼び寄せる事になってしまうのです。
本作はトム・ホランド版スパイダーマンの完結編であると共に、2022年以降に制作されたスパイダーマンシリーズの集大成も兼ねていて、並行世界=マルチバースを軸に歴代スパイダーマン映画に登場したヴィラン達がオリジナルキャストで再登場し、話題になりました。
映画公開までトビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィルドが演じる歴代スパイダーマンの参戦も伏せられたことで更に衝撃度を増し、歴代映画シリーズへのリスペクトに溢れた内容でスパイダーマンファン感涙の作品となりました。
本作を堪能するにはこれまでのスパイダーマン映画を全てチェックする必要があるので多少大変ですが、MCU自体世界観が連続しているので、マルチバース設定を用いたことで更に豪華になった印象でした。
また言い方こそ悪いものの、これまでのシリーズと比べて成長の機会があまりない印象だったトム版ピーターの成長ものとしても、役割を果たしていたともいえる作品だと感じました。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
10

思わぬ展開にビックリ

マーベル作品の一つに『スパイダーマン』と言う作品があります。アメコミヒーローである蜘蛛をモチーフとした『スパイダーマン』は実写映画で多くのシリーズを出しており、2002年トビー・マグワイア演じる『スパイダーマン』シリーズ、2012年アンドリュー・ガーフィールド演じる『アメイジング:スパイダーマン』シリーズ、そしてマーベル・スタジオが送るアベンジャーズに登場するトム・ホランド演じるスパイダーマンのシリーズとなっております。それぞれのシリーズの登場人物は共通しておりますが俳優は別々になっており、各俳優の演技の違いを見るのも面白いかもしれません。

さて、今回おススメしたいのは『アベンジャーズ』に登場したスパイダーマンの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』という映画になります。この映画は『アベンジャーズ』に登場するスパイダーマンにスポットを当てた映画となっており、三作品目の映画です。
1作目はスパイダーマンがどうしてアベンジャーズに加入したかを描き、2作目は敵によって秘密にしていたスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであると世界中に暴かれてしまう。

この3作目は正体がバレて周囲から理不尽な仕打ちを受け、それを何とかしようとアベンジャーズにいた魔術師Dr.ストレンジに、魔術で民衆の記憶を操作してスパイダーマンがピーターであることを忘れるようにお願いします。
しかし、魔術は失敗。代わりに平行世界からスパイダーマンを知っているヴィラン(敵)達、ドクターオクトパス、グリーンゴブリン、リザード、エレクトロ、サンドマンが彼の元にやってきて襲ってきます。何とか脅威を取り払うことができたピーターは元の世界に戻そうとしますが、ヴィラン達の現状を聞いてこのまま戻せば彼らが死んでしまうことを知ってしまい、それを何とかしようと彼らがヴィランとなった要因を治療して元の世界に送り返そうとします。
しかし、グリーンゴブリンの策略によってそれも失敗。何とかなると思っていたヴィラン達も手を差し伸べてきたピーターの手を振り払い、それぞれまた暴れ始めてしまいました。
そして、唯一の家族である叔母を殺されてしまいます。途方に暮れたピーターは行方をくらまし、友人のMJ、ネッドはDr.ストレンジの魔道具を使って空間と空間を繋げるゲートを使ってピーターを探そうとします。
しかし、ゲートから現れたのはトビー・マグワイア演じるスパイダーマンのピーター(通称ピーター2)と、2012年に公開された『アメイジング:スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールド演じるピーター(通称:ピーター3)なのでした。
MJとネッドはそんな別世界から来たピーター2人を連れて自分たちの友達であるピーターを探し出し、説得、そして三人のピーターで協力してヴィラン達を治療して元の世界に戻すために戦うことになりました。

同一タイトルとは言え、別の作品からの共演。しかも、当時の俳優をそのままの起用しており、過去作を知っている人からすれば歓喜物でしょう。もともとマーベル作品の世界観は宇宙規模の脅威に対して戦うヒーローを描いているので、何でもアリ。平行世界を題材した世界観ならではの俳優起用だったと思います。
それ以外にも意外な登場人物などもおり、この映画を見た人は熱狂するでしょう。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
8

スパイダーマン好きが作ったスパイダーマン好きに贈る映画

あらすじ
前作、ファーフロムホームで、敵のミステリオにスパイダーマンの正体を暴露されたピーターパーカーは、
ドクター・ストレンジに魔術で解決してもらうようにお願いをしにいく。
渋々話を受け入れたドクター・ストレンジだったが、ピーターのせいで魔術が失敗し、マルチバースを生み出してしまう。

その結果、宇宙のどこかにある今の世界と似た別の世界から、スパイダーマンの記憶があるファンの我々が見たことのある敵が続々とこの世界に現れるのであった…

このあとどうなるのか
初代スパイダーマン映画に出ていた敵のグリーンゴブリン、ドクターオクトパス、サンドマン。
2代目スパイダーマン映画に出ていた敵のリザード、エレクトロ。
数々の名シーンを生んだ敵と3代目スパイダーマンとドクター・ストレンジはどう挑むのか。どういう結末を生むのか。

また、初代、2代目にはなかった、アイアンマンスーツを彷彿とさせるスパイダースーツでの戦闘シーンや、
ドクター・ストレンジが織りなす魔術のCG再現のクオリティも十分楽しめます。

初代、2代目の敵が出てきたということは…
MJとの関係も必見です。
色んなキャラが出てくるお祭り騒ぎな映画となっております。ぜひおすすめです。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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今までのスパイダーマン集合

本作「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」では、歴代のヴィランやスパイダーマンが集合する作品となっております。そして、MCUスパイダーマンの一区切りとなる作品となっており、物語が大きく動きます。MCU作品はすべての作品を観ていた方がより楽しめますが、本作だけでも歴代のスパイダーマンを知っているのでしたらすごく楽しめると思います。初心者でもわかりやすい内容となっており、難しい描写やわかりづらい表現などは無いのでとても入りやすく、だれでも楽しめます。アメコミのヒーローが好きでしたらすぐにはまれます。何を観たらいいかわからない人や暇をつぶしたい人などはこれを観て、いろいろな作品を制していけると思います。
私の観た方がいいと思う個所は、スパイダーマンとしての人生、ピーターパーカーとしての人生に悩んでいる箇所、ヒーローとしてだけでなく一人の人間として人生をどのように歩んでいくかの葛藤を観ることができますので、自分自身に悩みがある方や人生について考えている方は、心に刺さって見つめなおすことができるかもしれません。そのようなことを考えれるほどよくできている作品だと思います。ヴィランと戦うだけでなく、人生観も考えさせられる作品だと思います。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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スパイダーマンの集大成と新たな始まり

MCU始まって3作品目のスパイダーマンシリーズの最終章。期待値はまさに『アベンジャーズ・エンドゲーム』並みだったのではないだろうか。この作品は、そのような期待に大きく、いやそれ以上に応えた作品ではないだろうか。2作品目の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のラストシーンではなんとスパイダーマンの正体が全世界に知れ渡ってしまうといった衝撃的展開で幕を閉じ、ファンの度肝を抜いた。
その展開から始まる本作では、主人公ピーター・パーカーがドクター・ストレンジに頼み、自身が”スパイダーマン”であるという記憶を忘れさせようとする。その結果、その試みは失敗し、別のユニバースから歴代のスパイダーマンのヴィランたちが登場する―。
この展開には震えた方も多くいたのではないだろうか。特に最初のドック・オクの登場シーン。あれほどファンを唸らせる展開はまさに歴代の『スパイダーマン』が紡いできた努力の結晶なのではないだろうか。先代のスパイダーマンが戦闘を行った相手と時を、いやユニバースを超え戦う展開には忙しない感情が突発的に湧き上がってきた。
その後、宿敵・グリーン・ゴブリンや『アメイジング・スパイダーマン』で登場したエレクトロ、サンドマンやリザードなど、多数のヴィランたちが登場した。彼らがヴィランになった経緯を知ったピーターは、彼らを人間だった状態に戻すため、試行錯誤をするが、グリーン・ゴブリンに裏切られ、メイおばさんが死亡してしまうという驚愕な展開が待ち受けていた。心打ちひしがれていたピーターの前に現れたのは、先代のスパイダーマン、つまりトビー・マグワイア・スパイダーマンと『アメイジングスパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールド・スパイダーマンだった。
このピーターたちが集まるシーンはまさに少年心をくすぐるような展開ではないだろうか。特に先代の2人のピーターが技を掛け合うシーンは鳥肌モノ。この3人が協力してヴィランに立ち向かう描写は何度見ても飽くことのないシーンではないだろうか。
本作は現スパイダーマンのトム・ホランドのみならず、歴代のスパイダーマンとそのヴィランにもフォーカスをしっかりと当てていた印象を受けた。特に、かつてヒロインの手を取ることができずに失ってしまったアンドリュー・スパイダーマンが現ヒロインを救う展開には思わず涙が出た。
大いなる力には大いなる責任が伴う―、世界を救うため近しい人たちを含め全世界から「スパイダーマン=ピーター・パーカー」という記憶を消す選択をしたピーターは、この先どのように生きていくのだろうか。原作に近い水色の入ったスーツを纏い、飛び出していく姿はまさに”新たな始まり”を感じさせた。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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スパイダーマンの集大成の映画!

この映画は感動と悲しみという二つの言葉がよくあてはまる映画でした。特に感動した場面は、アンドリュー版ピーターがトムホ版ピーターの彼女、MJを助けたシーンです。アンドリュー版ピーターは、映画「アメイジングスパイダーマン2」にて、彼の最愛の彼女、グウェンが高いところから落とされるところをあと一歩のところで救えませんでした。そのアンドリュー版ピーターが今作でMJが高いところから落ちるのを救いました。彼はMJを助けた後、涙ぐんでいました。きっとグウェンとMJが重なって感極まってしまったのでしょう。ここは涙なしには見られませんでした。
悲しみの場面は、メイおばさんが命を落としてしまうシーンです。自分の不注意でほかのユニバースからきた敵を呼び寄せてしまったトムホ版ピーター。それがきっかけでトムホ版ピーター最愛のメイおばさんが被害に遭ってしまいました。最終的にメイおばさんを殺した敵を殺そうとするのですが、トビー版ピーターに止められてしまいます。トビー版ピーターは、映画「スパイダーマン」で復讐はさらなる悲劇を生むことを理解していたのです。まさに「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉そのものだと思います。
さらに、トムホ版ピーターはほかのユニバースから続々来る敵を見て、みんなの記憶から自分を消してほしいとストレンジに頼みました。それはすなわち彼の彼女のMJや親友のネッドの記憶からも消えてしまうということを意味します。自分を犠牲にして人を助けるというヒーローの宿命が残酷すぎる結末を生んでしまったのです。映画「アベンジャーズ:エンドゲーム」を超える作品はもう出ないだろうと思っていた私ですが、この映画はそれと同等、もしくはそれ以上の感動を私に与えました。きっと見る人すべてを感動と悲しみで包み込む映画でしょう。ぜひ見てみてください!

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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蜘蛛の糸で繋がる歴史!スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームに込められたシリーズへの敬意

2021年12月15日の各国の最速公開から遅れること約3週間を経て、ようやく日本でも公開された本作は『スパイダーマン:ホームカミング(2017年)』、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019)』に続く3作目となる作品ですが、その本質は2002~2007年に展開したサム・ライミ監督が手掛けた映画『スパイダーマン』3作の続編、そして2012~2014年に展開されたマーク・ウェブ監督が手掛けた『アメイジング・スパイダーマン』2作の続編とも言えるものでした。

前述した2シリーズは様々な事情からその続編が作られる可能性は限りなくゼロであり、『マーベル・シネマティック・ユニバース』(以下、『MCU』)にて新生したスパイダーマンの活躍に多くの人が期待を寄せていましたが、ここに来てなんと最新作の過去の2シリーズの世界から現れたヴィランが登場!まさかのオリジナルキャストと共に復活した懐かしのヴィラン達にファンは騒然となりました。

映画の内容は他世界より呼び寄せてしまったヴィラン達を本作の主役スパイダーマンであるピーター・パーカー(トム・ホランド)が、元の世界に戻す前に更生させようとするのですが、それぞれが複雑なバックボーンや個性を持つヴィラン達が互いに及ぼす影響ややり取りは旧作ファンを喜ばせ、時に唸らせてくれました。まるで彼らの前に拓かれた新たな可能性の道にファンならば誰もが上映中に心躍ったのではないでしょうか。

そして映画の後半、予想を遥かに超えた素晴らしい展開が視聴者を待ち受けます。彼らヴィランが居た世界より来たるそれぞれの世界のスパイダーマン達……並び立つ3人のピーター・パーカーの奇跡のような映像は本作に至るまでのスパイダーマンシリーズを追い掛け続けてきた人たちには言葉に出来ないほどの感動があったのではないでしょうか。

彼らがそれぞれの世界で救えなかったヴィラン、恋人との悲しい過去、今も抱く過ちへの念……再びそう言ったものに対峙する機会が与えられた本作はまさにサム・ライミ版の『4』であり、マーク・ウェブ版の『3』であったとも言えます。これまで映画史におけるスパイダーマンの歴史を築き上げて来た2作への敬意を払い、その力を借りつつ、今のスパイダーマンを未来に繋げていくその美しい繋がりは、さながら芸術的に編み上げられた蜘蛛の糸のようでもあったのです。

本作は『MCU』として27作目にあたる作品ですが、もしこれから視聴するのであれば是非映画の歴史に名を刻んだ2つのスパイダーマンシリーズを視聴した上で臨まれる事を強くオススメします。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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3人の青春がせつない

観れば周囲の評価が高いのも頷けます。そして絶対的に言えることは見る前には必ずサム・ライミ版以降の各スパイダーマンシリーズは観ておくに限るということ。それがあるとないとでこの映画のピークポイントのいくつかが報われないことになります。
MCU版スパイダーマン前2作はファミリーで親しやすい映画=重くなりすぎないところが好きでした。今作は重くもなりますがそれが絶望的すぎず、ファミリーでもその重さを含めて楽しめる良バランスの映画でした。
ヒーローの苦悩といえばサム・ライミ版、アメージング版がありますが、今作では彼らに対する救済がしっかり用意されていて、その仕掛けもなかなか涙腺を刺激してくれるものとなっています。多くの方の評価はここだろうと思います。
マルチバースの世界観の中で運命づけられた自分の「物語」と戦うことになるのが本作のテーマですが、それでもその分岐点の中で、トムが演じるスパイダーマンもまた、大切な存在を失うことになります。そこがより大きく逃れがたい宿命としてのしかかりつつ、「おおいなる力を持つ者は~」という名セリフとともにスパイディーをホンモノに成長させます。
物語の形式としては美しいのですが、そこはちょっと、と思う面もあります。形式美をとったことでなにが「運命」でなにが「自助努力」なのかがもやっとした瞬間ではありました。
ただ、ストーリーを支えている仲間3人の描写が素敵すぎます。ホムカミからずっと3人のハイスクール時代をわきあいあいと見てきたところから、大学進学によって青春の区切りを迎えるドラマ。スパイダーマンというメインディッシュに添えられたサイドドラマだからこそ、嫌味を感じず自然と感情移入できた面があり、その最後はなかなかにせつない味わいを残してくれます。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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夢膨らむマルチバースの世界!「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の魅力

公開以前、予告編が公開された時点で、出てくるキャラクターなどへの期待からかなりの話題を呼んでいた「公開以前、予告編が公開された時点で、出てくるキャラクターなどへの期待からかなりの話題を呼んでいた「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」。
それもそのはず以前までの2シリーズ、サム・ライミが監督が務めた初代のトビー・マグワイア、「アメージング・スパイダーマン」シリーズでスパイダーマンを演じたアンドリュー・ガーフィールドの出演が噂されたからである。前々からあったそういった噂を訊いた多くの人がおそらく初めに思うのは「そんなことってできるの?」という疑問だと思う。
だって、ひとつの映画にスパイダーマンが何人も出てきたら話はめちゃくちゃになってしまうし、観客は盛り上がるだろうけれど、ストーリーが破綻してしまうに違いない。そんな中、ちょっとばかり大袈裟に聞こえるかもしれないが映画史上初めて、そんな同じ役のキャストをカメオ出演ではなくその役として、再集合させかつストーリーを面白くした映画だと思う。
映画全編を観ると単調に思える部分もいくらかあるし、反対にラストは急すぎて少しうまく飲み込めない気もするのだけれど、でもそういった部分を引いてもしっかりとかなりのお釣りがくるぐらい「マルチバース」というキーワードをうまく使ってスパイダーマンを3人登場させてしまった魅力はすごい。
その魅力を楽しむためだけでも一見の価値ありの作品だ。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム / Spider-Man: No Way Home
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スパイディ好きな人にはぜひ見て欲しい!

昔からスパイダーマンが大好きでどのシリーズも何回も見て来ました。今回はトム・ホランド版3作品目になるわけですが、過去作含めまさに集大成といった内容で控えめに言って本当に最高でした。ピーター・パーカーといえば過去作でもそうですが悲劇のヒーローで何度も悲しい辛い経験をしています。そのたびに乗り越えて強くなっていくわけですが、今回も本当に辛くて切なくて何度も涙を流しました。ピーターは本当にイイヤツなんですよね。毎回感情移入しすぎてしまいます。

そして、予告等で別のユニバースから来てしまった別作品のヴィラン達が登場するのは知っていましたが、まさか!あの人たちも登場してくるとは……興奮で思わず「えっ?!」と声に出してしまったほどです。これには本当にビックリしました。それぞれ辛い思いをしていたり悩み苦しんでいたり……正体を隠している彼らにとって心の底から分かち会える仲間なんだろうな、と胸が熱くなりました。
「大いなる力には大いなる責任がともなう」。親愛なる隣人スパイダーボーイから立派なスパイダーマンへと成長していくピーター・パーカーをぜひいろいろな人に見てもらいたいです。最後も切なすぎるけどピーターの覚悟が表れていて、良い終わり方だったと思います。