北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwest

北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwest

『北北西に曇と往け』とは、入江亜季によるアイスランドを舞台にした探偵活劇の漫画である。17歳の少年で主人公「御山 慧(みやま けい)」は両親を亡くし、祖父の「ジャック」がいるアイスランドで探偵稼業をしている。慧は機械とコミュニケーションが取れる不思議な能力を持っており、その能力を活かして人探しや物を探すという仕事をしている。2016年に『ハルタ』にて連載開始し、2021年からは『青騎士』へ移籍となった。2021年7月より単行本と比べ画面のサイズが大きくなっているワイド版が刊行されている。

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北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwestのレビュー・評価・感想

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北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwest
10

特殊な能力を持つ青年と魅力的な国アイスランド

アイスランドを舞台にした、探偵稼業をしている日本人の青年の物語。
しかし、ただの青年ではない。彼は機械と会話が出来るのだ。作中では彼の愛車とのやり取りや、ターゲットの携帯等から情報を探す姿が描かれている。
だが漫画のコマに直接文字で記されている事は無く、会話の内容は青年を通じて読者に伝えられる。なので彼らの言葉を正確に知る事は出来ないが、彼と愛車のまるで兄弟のようなやり取りを見ていて、どのような会話がされているのかは想像に難くない。
そして面白い事に、能力の内容は違えどもどうやら彼だけではなく彼の祖父や実の弟にも備わっているようで、それが物語や事件に絡んでくるのだからミステリアスで大変興味深い。

登場人物の魅力はさることながら、アイスランドという国自体にも魅力が詰まっている。特に主人公の親友がアイスランドへ旅行をしに来た話は、青年がアイスランドの名所や生態等を紹介するのだが、親友と共に読者もアイスランド観光へ赴いている気にさせてくれる。北欧の暮らしや生活様式、生き方が丁寧に描かれており、日本とはまた違うたくましさを感じるのだ。

物語が進むにつれ、事件の話だけではなくヒロインである現地の女の子も登場しており、青年との恋の行方も見どころの1つである。

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9

ダイナミックで透明な世界に惹かれて

もしあなたが、ダイナミックな景色や透明感あふれる世界、ほんのりファンタジックなキャラクターに魅力を感じるというなら、是非ともお勧めしたいのがこの作品。魔法使いの少女の成長を描いた「乱と灰色の世界」の作者、入江亜季さんの漫画です。アイスランド島を舞台に、17歳の主人公・御山慧はクルマと話せるという不思議な能力を最大限に生かしつつ、愛車のジムニーを走らせ、営んでいるのはなんと探偵業!10代の少年が繰り広げるハードボイルドなストーリーは、慧をアイスランドへと導いた祖父のジャックや、寄り添う美しくも可愛らしい女性たちとのかかわりの中で、慧の弟・三知高の謎めいた行動と失踪をからめつつ展開されていきます。アイスランドの自然の光景と住まう人々の暮らしや文化を感じることができるのは、空から俯瞰した世界があまりにも雄大で美しく描かれているからだと感じます。厳然と存在する自然と対峙しながら繰り広げられる人々の穏やかな日々と、その世界との不協和音を奏でるような弟の不穏なストーリーというのが、絶妙なバランスで構成されている作品です。一読して後悔なし。自信をもってお勧めします。

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マンガの中でアイスランドを旅する

『乱と灰色の世界』などの代表作をもつ入江亜季先生による、探偵業を営む主人公・御山慧(みやまけい)がアイスランドを舞台に様々な依頼を解決していく作品。
この作品のオススメポイントは、なんといっても入江先生の独特な世界観・自分物設定と、繊細で細やかな絵柄で表現されるアイスランドの風景描写。

主人公の御山慧(日本人17歳)は「美女とアルコールが苦手」、「肉が好き」、そして「機械と話すことができる」という不思議な力を持っている。
また、不思議な力で人を殺めた疑いがあり警察に追われている慧の弟・御山三知嵩(みやまみちたか)や、第六感のような力があり独特な雰囲気をまとうアイスランドの住人リリヤなど。独特な人物たちが様々な思い・思惑を抱えており、読み進めるほど一人一人に愛着や人間としての底知れぬ恐怖を抱いてしまう。

また、類を見ないアイスランドを舞台にしている作品だが、広大な自然が繊細なタッチで描かれているためついついアイスランドへ旅行に行った気分になってしまう。
そんな広大な自然の中で、営まれるアイスランドの生活・文化を垣間見ることもでき、読めば読むほどアイスランドに行きたくなること間違いない。

もちろんストーリーも作り込まれている。慧が探偵として解決していく「依頼」は、一見、一つ一つが独立しているようにみえるが、実はすべてがつながっており、読み進めるほどに入江先生の圧倒的な世界観にのめり込んでしまう作品だ。

北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwest
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アイスランド行きたいとしか思えない

「北北西に曇と往け」は、入江亜季さんの漫画作品です。
私は第一巻の表紙に惹かれて衝動買いしてしまいました。
繊細な絵で、登場人物が透き通った美人であるのと同時に背景の自然まで丁寧に描き込まれていて、
アイスランドが舞台なのですが、アイスランドの自然の情報が絵を通してブワーっと脳に行き渡りました。
シリアスな雰囲気のある場面もありますが、ジャンルとしては全体的には完全なる癒しです。
不思議な能力を持つ家系の主人公の能力は物の声が聞けること。
愛車のジムニーと言い合いをしながら広大なアイスランドの道をドライブする場面は本当に癒されます。
アイスランドに行きたいと思わせてくれますし、なんだったらジムニーに乗りたいとまで思わせてくれます。
日本と違ったアイスランドの緩さ、そして生きることの大変さ、全部ひっくるめても憧れを感じ魅力的に思えてしまうのがこの作品なのです。
この作品は、日本から離れ、アイスランドで生活しだした主人公の日常としてストーリーが展開していくと同時に、アイスランドの知識も学べます。
そして、そのアイスランドの生活を知ることで自分の生活についても考えさせられます。
そして作品の中の世界がとても理想的に見えてしまうようになるのです。
内容の深さを語りましたが、それ以外でも登場人物がイケメンと美女ばっかりです。眼福です。
なので結論とってもおすすめと言わせてもらいます。

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極寒の地・アイスランドにて織りなされる物語

繊細かつ柔軟なタッチで独特な世界観を描く入江亜紀先生・作の「北北西に曇と往け」は、日本から遠く離れた島国・アイスランドを舞台として展開される不思議な魅力をもつ作品です。
主人公である御山 慧(みやま けい)は叔父の元で暮らしながら探偵として仕事を営み、人探しから物探しまで様々なことが彼の元へと舞い込みそれを解決していく…のですが、その解決方法が一味違います。もちろん従来の探偵のようにターゲットの張り込みをしたり身の回りのことを調べたりもするのですが、なんと慧は「物の声を聴くことができる」ためターゲットの持ち物に触れればある程度の情報を手に入れることができるんです。誰かが乗っていた車(もちろん自分の車も)や携帯、家の配線コードなどといった主に電気を通すものから聞こえるようなのですが、所有者が身近にそれを置けば置くほど情報が物へと記憶されていくので主人公はどんな情報でも読み取れてしまいます。ですが慧はそのことを家族にも同居する祖父にも話したとこがなく日本にいる親友にだけその秘密を打ち明けているのですが、どうやら慧の叔父も不思議な能力を持っているようでどうやらそれは彼らの血筋に関係しているようで…。
今のところは多く語られていない謎めいた部分であるためなんとも魅力的で引き込まれます。慧の探偵のお仕事や日常を軸にして物語は進むのですが、他にもアイスランドの広大な自然をピックアップした話や観光名所や特産品などのネタが随所に仕込まれ、プレートの話や間欠泉など地理に関する話が詳しく盛り込まれるためまるでツアーガイドさんの話を聞きながら観光しているような気分にさせてくれます。アイスランドは自然が多い為小さなコマの中でも背景にその自然が事細かにかかれていたり、かと思えば見開きで広大な大地が描かれたりととにかく「自然」に対する書き込みがえげつなく圧倒されるので一見の価値があります。異国の地で織りなされる物語に触れてみてはいかがですか?

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アイスランド。冒険。少年。探偵。ホットドッグ。

ハルタコミックスで連載中の『北北西に曇と往け』。
ある日、本屋に冷やかしに行くと、この漫画のポスターが柱に貼られていた。
「17歳、北欧、ハードボイルド」とでかでかと記されているそのポスターは、どっこい、アイスランドの澄み切った青空と、溶岩から作られているその島の灰色がかった厳しい野、雪の覆った山々という峻烈に美しい背景に、見るからにタダモノじゃない少年が堂々と風に吹かれて立っているという実に爽快なものだった。
パッと見ただけで「あぁ、この少年はこの厳しい世界の中で堂々と生きていけるのだ」と思ってしまう。作者入江亜季さんの巧みさでありましょう。
(ちなみにそのポスターの中には少年の愛車、スズキの古いジムニーがある。この厳しい世界に映えて、とてもカックイイ)。

「なんだなんだこのポスターは。冒険のにおいがするじゃないか!」

私はとにもかくにも読んでみねば!と鼻息荒く第1巻を手にレジへ向かったのでありました。

主人公は御山慧。17歳。アイスランドにある叔父の家に世話になっている。
彼は探偵稼業で日銭を稼いでいる。
まず第一にこの主人公のキャラクターが良い。
私はこの作品を読んで、女性がジャニーズの男の子のトリコになる気持ちが理解できた。
実にカッコカワイイ。
三度の飯より肉が好きで、家族や仲間を大切にし、頭の回転、運動神経は良く、酒は一滴も飲めずに女はニガテときたもんだ。
さらに体はアイスランドの血が混ざっているから瞳は青色、骨格はでかく足はすらりと長い。
ずるい。格好いい。かわいい。
こりゃあ女の人はたまらんだろう。と思いながら、男である私も「慧ちゃんかっこいい……」と物語に耽るのである。

さらに、なんと彼は車と話ができる。
急にファンタジーじみた話になってきたが、彼の一族は、どうやらなにかしらこのようなふしぎな力を持っているようで、叔父のジャックも鳥と話すことができるのである。
この能力が、物語を動かしていく。
彼には弟、三知嵩がいる。
もちろんその血筋の者である三知嵩にも能力が。
物語のカギになるのは、禍々しい彼の能力だ。
表向きはかわいらしい顔、性質の彼だが、その本質は……。

アイスランドの厳しく美しい自然。
実に旨そうなホットドッグ、ラム肉、コーヒーなどの飯。
主人公、慧の親友、清をはじめとした、天敵にしてヒロインの美少女リリヤ、その叔母であり、慧の叔父の恋人であるカトラなど、魅力あふれるキャラクターたち。
おすすめです。

北北西に曇と往け / Go with the clouds, North by Northwest
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美しい背景描写と魅力的なキャラクター

なんといっても作者である入江亜季先生のその背景描写力に注目していただきたいです!アイスランドが舞台であるということと、少し変わった能力を持つキャラクターが出てくる点が特徴的です。その特殊な設定を、アイスランドの雄大な自然と登場人物の生活感のある描写で読者をぐいぐい引っ張っていきます。主人公の慧は、アイスランド人の祖父であるジャックとともに生活していますが、その日々の生活の中に、自然に対する畏敬と感謝の念を表している描写も魅力的です。まだ17歳ながら、探偵の仕事をしながらサングラスをかけて車を運転する慧は、日本では見られないような圧倒的かっこよさです。しかし、日本在住の友人との再会や、探偵業の収入が得られず好物の肉が食べられずにうなだれる姿は、思春期の年相応の反応でほほえましくも感じられます。また、この話の注目人物がひょんなことから知り合うこととなった美少女・リリヤと慧の弟・三知嵩です。三知嵩と別々に暮らす慧ですが、離れていても彼を大事に思う様子が垣間見られます。しかし、三知嵩の再会を見ていたリリヤから思いもよらぬ言葉が…。慧と離れていた間、三知嵩にいったい何があったのか?そして、三知嵩が持つ特殊能力とは?単なる特殊設定漫画ではなく、ミステリー要素もたっぷり詰まっています。次巻が待ちきれなくなるおすすめの漫画です。

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今まで体感した事の無い異国の風が吹き抜けて行く

本当に今までに無いジャンルの作品です。少し日本人には馴染みが薄いアイスランドが舞台なのですが、自然溢れるこの国に行ってみたくなる描き方をしています。また、アクションやスピリチュアル、サスペンス、恋愛、様々な物が織り込まれ、読者を飽きさせず不思議な世界に誘ってくれます。
まず絵が風景画の様に描かれとても美しいです。登場人物達も美形揃いです。
主人公はヨーロッパとのハーフの日本人青年で幼い頃から車の声を聞く事が出来ます。まずこの設定も変わっています。彼は異国で探偵業なんでも屋の様な仕事をしています。アイスランドでひょんなことから出会った謎の美女は人の声から、その人格や過去を知ることが出来る能力の持ち主です。
青年には日本でおじ夫婦に預けた弟がいます。しかし、ある日おじ夫婦が亡くなり、弟も行方不明になっている事を知ります。彼はアイスランドに兄を追ってやって来ていました。
この弟が非常にくせ者で、素直で愛らしいのですが、一人になると、物を傷つけたり、異常な生癖を見せます。アイスランド人の美女は主人公に弟の声はおかしい、と警告します。
美しい火山帯、羊の群れに温泉、食事等、雄大な自然の中、彼らは一体どんな運命をたどって行くのか、アイスランドの歴史や文化を学びながら、ストーリーにハラハラしながらも旅行をしている気分になれる、そんな不思議な作品です。

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