アイスランド。冒険。少年。探偵。ホットドッグ。
ハルタコミックスで連載中の『北北西に曇と往け』。
ある日、本屋に冷やかしに行くと、この漫画のポスターが柱に貼られていた。
「17歳、北欧、ハードボイルド」とでかでかと記されているそのポスターは、どっこい、アイスランドの澄み切った青空と、溶岩から作られているその島の灰色がかった厳しい野、雪の覆った山々という峻烈に美しい背景に、見るからにタダモノじゃない少年が堂々と風に吹かれて立っているという実に爽快なものだった。
パッと見ただけで「あぁ、この少年はこの厳しい世界の中で堂々と生きていけるのだ」と思ってしまう。作者入江亜季さんの巧みさでありましょう。
(ちなみにそのポスターの中には少年の愛車、スズキの古いジムニーがある。この厳しい世界に映えて、とてもカックイイ)。
「なんだなんだこのポスターは。冒険のにおいがするじゃないか!」
私はとにもかくにも読んでみねば!と鼻息荒く第1巻を手にレジへ向かったのでありました。
主人公は御山慧。17歳。アイスランドにある叔父の家に世話になっている。
彼は探偵稼業で日銭を稼いでいる。
まず第一にこの主人公のキャラクターが良い。
私はこの作品を読んで、女性がジャニーズの男の子のトリコになる気持ちが理解できた。
実にカッコカワイイ。
三度の飯より肉が好きで、家族や仲間を大切にし、頭の回転、運動神経は良く、酒は一滴も飲めずに女はニガテときたもんだ。
さらに体はアイスランドの血が混ざっているから瞳は青色、骨格はでかく足はすらりと長い。
ずるい。格好いい。かわいい。
こりゃあ女の人はたまらんだろう。と思いながら、男である私も「慧ちゃんかっこいい……」と物語に耽るのである。
さらに、なんと彼は車と話ができる。
急にファンタジーじみた話になってきたが、彼の一族は、どうやらなにかしらこのようなふしぎな力を持っているようで、叔父のジャックも鳥と話すことができるのである。
この能力が、物語を動かしていく。
彼には弟、三知嵩がいる。
もちろんその血筋の者である三知嵩にも能力が。
物語のカギになるのは、禍々しい彼の能力だ。
表向きはかわいらしい顔、性質の彼だが、その本質は……。
アイスランドの厳しく美しい自然。
実に旨そうなホットドッグ、ラム肉、コーヒーなどの飯。
主人公、慧の親友、清をはじめとした、天敵にしてヒロインの美少女リリヤ、その叔母であり、慧の叔父の恋人であるカトラなど、魅力あふれるキャラクターたち。
おすすめです。