美しい背景描写と魅力的なキャラクター
なんといっても作者である入江亜季先生のその背景描写力に注目していただきたいです!アイスランドが舞台であるということと、少し変わった能力を持つキャラクターが出てくる点が特徴的です。その特殊な設定を、アイスランドの雄大な自然と登場人物の生活感のある描写で読者をぐいぐい引っ張っていきます。主人公の慧は、アイスランド人の祖父であるジャックとともに生活していますが、その日々の生活の中に、自然に対する畏敬と感謝の念を表している描写も魅力的です。まだ17歳ながら、探偵の仕事をしながらサングラスをかけて車を運転する慧は、日本では見られないような圧倒的かっこよさです。しかし、日本在住の友人との再会や、探偵業の収入が得られず好物の肉が食べられずにうなだれる姿は、思春期の年相応の反応でほほえましくも感じられます。また、この話の注目人物がひょんなことから知り合うこととなった美少女・リリヤと慧の弟・三知嵩です。三知嵩と別々に暮らす慧ですが、離れていても彼を大事に思う様子が垣間見られます。しかし、三知嵩の再会を見ていたリリヤから思いもよらぬ言葉が…。慧と離れていた間、三知嵩にいったい何があったのか?そして、三知嵩が持つ特殊能力とは?単なる特殊設定漫画ではなく、ミステリー要素もたっぷり詰まっています。次巻が待ちきれなくなるおすすめの漫画です。