マンガの中でアイスランドを旅する
『乱と灰色の世界』などの代表作をもつ入江亜季先生による、探偵業を営む主人公・御山慧(みやまけい)がアイスランドを舞台に様々な依頼を解決していく作品。
この作品のオススメポイントは、なんといっても入江先生の独特な世界観・自分物設定と、繊細で細やかな絵柄で表現されるアイスランドの風景描写。
主人公の御山慧(日本人17歳)は「美女とアルコールが苦手」、「肉が好き」、そして「機械と話すことができる」という不思議な力を持っている。
また、不思議な力で人を殺めた疑いがあり警察に追われている慧の弟・御山三知嵩(みやまみちたか)や、第六感のような力があり独特な雰囲気をまとうアイスランドの住人リリヤなど。独特な人物たちが様々な思い・思惑を抱えており、読み進めるほど一人一人に愛着や人間としての底知れぬ恐怖を抱いてしまう。
また、類を見ないアイスランドを舞台にしている作品だが、広大な自然が繊細なタッチで描かれているためついついアイスランドへ旅行に行った気分になってしまう。
そんな広大な自然の中で、営まれるアイスランドの生活・文化を垣間見ることもでき、読めば読むほどアイスランドに行きたくなること間違いない。
もちろんストーリーも作り込まれている。慧が探偵として解決していく「依頼」は、一見、一つ一つが独立しているようにみえるが、実はすべてがつながっており、読み進めるほどに入江先生の圧倒的な世界観にのめり込んでしまう作品だ。