King Crimson(キング・クリムゾン)の徹底解説まとめ

英国のプログレッシブ・ロックバンドグループ。5大プログレッシブ・ロックバンドの一つでもあるが、実験音楽としてジャンル分けされる事もある。伝説的ロックグループでもあり、1968年に結成以来、後世のミュージックシーンに多大な影響を与えている。メンバー構成が目まぐるしく変化するが、グループ創設の一人であるロバート・フリップだけがただ一人、オリジナルメンバーとして残っている。

1. Larks' Tongues in Aspic, Part One (Instrumental)
2. Book of Saturday
3. Exiles
4. Easy Money
5. The Talking Drum (Instrumental)
6. Larks' Tongues in Aspic, Part Two (Instrumental)

1973年発表の5thアルバム。全英チャート20位記録。
1971年の第一次グループ解散の後、フリップはプロジェクトを模索している最中にビル・ブルーフォードと出会い、その演奏に感銘を受ける。フリップのオファーを受けてYesを脱退したブルーフォードを加え、このアルバムから始まる第2期King Crimsonの目指した音楽は、ソリッドでハードな、ロックミュージックが本来持つダイナミックなアンサンブルを目指したものとなっていく。このアルバムは、そのミニマルでテクニカルな、ギターとドラムスのインプロビゼーションがメインであると言える。
当時、黒魔術に傾倒していたフリップが、白魔術師ウォルミ・エルマルクからの影響を得て、それを音楽的に表現したものだとも言われている。

Red

1. Red (Instrumental)
2. Fallen Angel
3. One More Red Nightmare
4. Providence (Instrumental improv)
5. Starless

1974年発表の、グループ7枚目のアルバム。
‘60年代後半から興隆を見せたプログレッシブ・ロックに陰りが見え始めたこの年、多くのプログレッシブ・ロックグループにも転機が訪れる。King Crimsonも然り。
アルバムは、フリップ、ブルーフォード、ウェットンの、第二次クリムゾンの主力メンバーを軸に、1971年にフリップが考えたプロジェクトの集大成と言える。
ハードロックなメロディラインが奏でる緊張感と、それを彩どる管楽器の演奏が色を添える、まるでプログレッシブ・ロックの有終の美を飾るかのような、深みのある音楽に仕上がっている。

Disciprin

出典: img13.nnm.me

1. Elephant Talk
2. Frame by Frame
3. Matte Kudasai (待ってください, Please Wait)
4. Indiscipline
5. Thela Hun Ginjeet
6. The Sheltering Sky (Instrumental)
7. Discipline (instrumental)

1981年発表の8thアルバム。
当初、フリップの新企画バンド”Discipline”名義で制作されたアルバムだが、後にバンド自体がKing Crimsonとしての活動に変わったため、このアルバムも同様にKing Crimson名義となった。
第2次King Crimsonのメンバーだったビル・ブルーフォードに加えて、新たな主力メンバーに、エイドリアン・ブリューとトニー・レビンを迎えて作られた作品。アルバムタイトル”Discipline”(=旋律)からもわかる通り、非常にリズミカルで軽快な音楽に仕上がっているこのアルバムは、80年代に興隆するポップミュージックにも通じる処がある。その為、評論家や旧来のファンから「King CrimsonがTalking Heads化した。」との批判の声も受けた。しかし、各メンバーの非常にテクニカルでスキルフル演奏は健在で、クォリティの高い作品に仕上がっている。

Thrak

1. VROOOM (instrumental)
2. Coda: Marine 475
3.Dinosaur
4.Walking on Air
5.B'Boom (instrumental)
6.THRAK (instrumental)
7.Inner Garden I
8.People
9.Radio I (instrumental)
10.One Time
11.Radio II (instrumental)
12.Inner Garden II
13.Sex Sleep Eat Drink Dream
14.VROOOM VROOOM (instrumental)
15.VROOOM VROOOM: Coda (instrumental)

King Crimsonが作ったスタジオアルバムの通算11作品目。1995年発表。
1984年に第3期の活動を終えてから、フリップはKing Crimsonの再開を匂わせる事はほとんどなく、ギタリスト養成学校「ギター・クラフト」などで忙しく過ごしていた。
切っ掛けとなったのは1991年。フリップが、イギリスの女優で歌手でもある妻・トーヤ・ウィルコックスと、ベーシストのトレイ・ガンとSunday All Over The Worldを結成し、アルバム「Kneeling At The Shirine」を発表する。この時だけの、一時的な活動ではあったが、8thアルバム「Discipline」で見せたニューウェーブ色を更に突き詰めた感のあるこのアルバムは、その後のKing Crimsonの方向性に何らかのアイディアをもたらしたのではないかと思われる。
そのトレイ・ガンを引き続き登用する形で、旧メンバーのブリュー(ギター)、ブルーフォード(ドラムス)、レヴィン(ベース)を招集。新たなメンバーとして、ドラムのパット・マステロットを加えた6人メンバーで、King Crimsonの活動を再開する事になる。
このアルバムは、その新生King Crimsonの第1作目。
ギター、ベース、ドラムスをそれぞれ2つのグループに分け、”ダブル・トリオ”と銘打ったグループ形態での活動で注目を浴びたが、音楽的には、第2期のメカニカルでヘビーなアンサンブルに近いものに仕上がっている。

King Crimsonの代表曲

Live at Hyde Park 1969年

1stアルバム「In The Court Of The Crimson King」のファーストトラックより。
プログレッシブ・ロックを代表する一曲。ジャズとクラッシックの手法をロックに持ち込んだこの曲は、今でも斬新さを失わない。
フリップのギターとイアンのサックス、マイケルのドラムスが絡み合うイントロは「狂気」と表現できるぐらい、緊迫感を持った旋律だ。4分の4拍子と8分の6拍子が交互に入れ替わるヴァースの部分は、21世紀への絶望を綴ったリリックを歌うグレックの拡声器を通した声が加わり、更にストレスが高まっていく。そして、怒涛の如く雪崩のように叩き込まれるドラムスのリズムに乗って、ギターとサックスのリフの応酬が続いて行くと、ボルテージは最高潮に達する。
余りにもインパクトがあるこの曲は、オジー・オズボーン、ELPなどカヴァーするアーティストも数多く、日本でも、人間椅子や西村雅彦がカヴァーしている。
当初、邦題は「21世紀の精神異常者」として訳されていたが、レコード制作基準倫理委員会(レコ倫)基準の変化によって現在の表記に改められた。

Epitaph

2010年Live動画より

「In The Court Of The Crimson King」のサードトラックより。
収録曲「21st Century Schizoid Man」のインパクトに比べ、他の収録曲が霞んでしまうが、この曲は、イアン・マクドナルドらしい哀愁あふれるメロディラインを堪能できる一曲である。イアンは、このアルバム制作後グループを離脱してしまう。

In The Wake Of Poseidon

Official Video

2ndアルバム「In The Wake Of Poseidon」より、同名曲。
1stアルバム収録曲「Epitaph」同様に、メトロトロンによるイントロが哀愁を漂わせて始まるこの曲は、ゴードン・ハスケルの素朴な歌声と相まって、淡々と静かに進行していく。暗いトーンながら、1stアルバムで見せたような、ピンと張った緊張の糸が続くような感じは影を潜んでいる。
フリップがメローな旋律を作るとこうなる、と言う初期の見本である。イアン・マクドナルドが作った「Epitaph」と比べると、そのメローな旋律の違いがよく判る。

Larks’ Tongues In Aspic Part Two(邦題:太陽と旋律 パートⅡ)

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