キング・クリムゾン(King Crimson)とは、英国のプログレッシブ・ロックバンドである。5大プログレッシブ・ロックバンドの一つでもあるが、実験音楽としてジャンル分けされる事もある。伝説的ロックグループでもあり、1968年に結成以来、後世のミュージックシーンに多大な影響を与えている。メンバー構成が目まぐるしく変化するが、グループ創設の一人であるロバート・フリップだけがただ一人、オリジナルメンバーとして残っている。
1984年にグループを解散したフリップは、1994年の再結成までの間、ギタリスト養成学校「ギター・クラフト」創設や、元Japanのデヴィッド・シルビアンとのコラボレーション等を行っていた。
“King Crimson”としての音楽活動を再開する1994年、80年代で一緒に活動していたメンバー3人に加え更にベーシストのトレイ・ガンとドラムスのパット・マステロットの2人を追加し、総勢6人態勢で行う事を発表する。フリップは、3人ずつのユニットに分けて演奏を行う形態を考案。通称「ダブルトリオ」と呼ばれるようになる。
1995年、11thアルバム「THRAK」を発表。この時代、プログレッシブ・ロックとヘヴィ・メタルの音楽的融合を試みる動きがあり、「プログレッシブ・メタル」と言うジャンルが誕生していた。フリップもこの流れで「THRAK」を作成。彼はこれを、「ヌーヴォー・メタル」と呼んでいた。
しかし、ワールドツアーが終わる1997年、メンバーの音楽に対する取り組みの違いから意見の対立が表面化。フリップは、グループでの活動の一時中止を決定し、次作に繋げるためのアイディアを模索するために、”ProjeKct”なるグループを結成し、2000年までこの小ユニットで音楽活動を行った。
出典: en.academic.ru
2000年に、12thアルバム「the construKction of light」をリリースするが、ProjeKct X名義となっているのには理由がある。ドラムスのビル・ブルーフォードが、自身のバンドEarthworksの活動に専念したいと脱退。また、トニー・レビンも、盟友ピーター・ゲイブリエルの先約があるため、グループを離脱。6人揃っての活動を望んでいたフリップにとって、King Crimson名義でのアルバム作成は出来なかったと言われている。
ヌーヴォー・メタルへの傾倒と活動休止(2001年~2008年)
2000年、ダブルトリオ編成が瓦解した後に残った4人のメンバーにより、12枚目のアルバム『ザ・コンストラクション・オブ・ライト』をリリースした。結果的にセールスは大きく振るわなかったものの、来日公演や北米ツアーを開催。バンドは早くも次作に向けた構想に取り組み、独自のヘヴィサウンドである「ヌーヴォー・メタル」をこれまで以上に推し進めていく。
2001年からは、次作に向けたアイディア集めのための短期ツアーとレコーディングを並行して実施。2001年にEP『レヴェル・ファイヴ』、2002年にもEP『しょうがない(Happy with What You Have to Be Happy With)』をリリースした。そして2003年、彼が追求してきたヌーヴォー・メタルの集大成と言われる13枚目のアルバム『ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ』を発表し、同年に来日公演を含むワールドツアーを開催した。
しかし同年秋、ダブルトリオ編成時からのメンバーであったベーシストのトレイ・ガンが脱退を表明する。代わりにトニー・レヴィンが復帰したものの、翌2004年から開始した新ラインナップでのリハーサルは想像以上に上手くいかず、頭打ち状態に陥った。多額の経費をかけた割に実りの無さを痛感したフリップは今後のプランを白紙に戻し、バンドは再び長期の活動休止に入った。
2008年4月には、今後の活動計画を話し合う会合とリハーサルが再開される。新たに「ポーキュパイン・トゥリー」のドラマーであったギャヴィン・ハリソンの加入が明らかになり、同年8月に北米ツアーを実施した。その後もさらなるツアーが予定され、デビュー40周年記念ツアーも視野に入っていたが、エイドリアン・ブリューが自身のソロツアーとダブルブッキングしてしまったことで頓挫。フリップとブリューとの確執も表面化し、活動計画はまたしてもすべて白紙となった。
トリプルドラム編成での再始動(2011年~2016年)
2011年、バンド活動休止の間にフリップは、かつて「21stセンチュリー・スキッツォイド・バンド」でも活動していた旧メンバーのピーター・ジャイルズやイアン・マクドナルド、メル・コリンズ、ジャッコ・ジャクジクらを集めて新たな「キング・クリムゾン・プロジェクト(King Crimson Project)」を立ち上げ、アルバム『ア・スケアシティ・オブ・ミラクルズ』をリリース。着々と再活動への準備を進めていった。
ところが翌2012年、フリップは「ユニバーサル・ミュージックとの出版権および所有権について法廷闘争をすることになり、そちらに専念するため」として、バンド活動の終了と音楽業界からの引退をも宣言してしまう。
しかし2013年、ユニバーサル・ミュージックとの係争に決着がつくと、自社レーベル「DGM」のブレーンでありバンド事務所のデイヴィッド・シングルトンが、旧メンバーのジョン・ウェットンらを加えたトリビュート形式での活動再開(クリムゾンDNA構想)を計画する。フリップもこの構想に同意したことで復帰への意欲が湧き、引退宣言を撤回。かつてフリップ主催の「ギタークラフト」に参加していたビル・リーフリンの加入を含めた編成で、正規のキング・クリムゾン再始動を表明した。
2014年6月にライブ活動の再開を発表。メンバー構成はフリップ、メル・コリンズ、トニー・レヴィン、ジャッコ・ジャクジクに加え、パット・マステロット、ギャヴィン・ハリソン、ビル・リーフリンという3人のドラマーを前列に配置した驚異の「トリプルドラム」編成となった。計7人の大人数編成で、同年9月からアメリカツアーを開始。2015年12月には約12年ぶりとなる日本公演を開催した。2016年にはリーフリンが一時降板し、代役にジェレミー・ステーシーが参加。同年12月には、創設メンバーのグレッグ・レイクがこの世を去った。
ダブルカルテット編成と結成50周年(2017年~2020年)
2017年、ビル・リーフリンがキーボード担当として復帰。ジェレミー・ステーシーもそのまま正規メンバーに昇格し、バンドは8人編成へと拡張された。フリップはこのラインナップ構成を「ダブルカルテット・フォーメーション」と命名した。同年5月、前年に他界したデヴィッド・ボウイの追悼トリビュート作品としてEP『ヒーローズ』をリリースし、全米ツアーを開始した。
10月にはリーフリンが再度不参加となり、代役としてクリス・ギブソンがキーボードを担当。2018年4月にリーフリンが再復帰して欧州ツアーを開始すると、同年11月末からは結成50周年を記念した来日ツアーが開幕し、12月まで集大成となるライブが開催された。
2019年、デビュー50周年記念ツアーにおいてリーフリンが再度休養に入った。代役として内定していたセオ・トラヴィス(ソフト・マシーン)とのリハーサルが芳しくなかったため白紙に戻され、結果として現行メンバーのみの7人編成となり、ジェレミー・ステーシーがキーボードを兼任した。2020年3月、長期休養中であったビル・リーフリンが病没。さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行の影響により、年内のスケジュールは翌年へと延期を余儀なくされた。
ツアーの終焉とプロジェクトの今後(2021年~)
2021年夏から北米ツアーを再開した。しかし、会場確保の困難さやメンバーの高齢化に伴う健康事情から、ジャッコ・ジャクジクはこのツアーがバンドにとって最後になる可能性を示唆した。同年11月末からは3年ぶりの来日ツアーを開催。トニー・レヴィンも、フリップから「ツアーの全行程を日本で幕を閉じる」と説明された話を明かし、この日本公演をもってツアー形態による開催は最後になることを示唆した。
2022年2月には創設メンバーのイアン・マクドナルドが死去。3月にはバンドのドキュメンタリー映画『In the Court of the Crimson King』が公開上映された。
同年4月、ギャヴィン・ハリソンはインタビューにおいて、昨年末の最終ツアーは「2013年からのプロジェクトが完走し、一つのサイクルが終了したに過ぎない」とし、フリップは物事をプロジェクト単位で考えるため単純な解散の判断はしないという私見を述べた。しかし同年7月、ロバート・フリップ本人が取材に対し、「我々の年齢の現実からすれば今後のツアーは難しい」「若い頃のようなアスリート能力を求められても応えるのは困難」と語り、ツアーの再開を明確に否定した。
グループとしての活動はライブが主体となっており、スタジオ・アルバムは2003年の『ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ』以降リリースされていない。しかし2024年11月、ジャッコ・ジャクジクが「メンバーでライブ用の素材のスタジオ録音を行っている」と発言。これを受け2025年7月、運営責任者のデヴィッド・シングルトンは「3人のドラマーによる録音は事実だが、ニューアルバムの可能性に期待するのは時期尚早である」とコメントし、録音された素材を作品化するかどうかはロバート・フリップの意欲次第であるとの見解が示されている。なお、2024年11月には創設メンバーでありバンド名の発案者でもあるピート・シンフィールドが逝去している。
King Crimson(キング・クリムゾン)のメンバー
King Crimsonのメンバーとして正式にクレジットされている人数でも30名近くに上る。その為、ここではグループを支えた主要なメンバーのみ説明する。
ロバート・フリップ(Robert Fripp)
出典: tonereport.com
1946年5月16日 イギリス・ドーセット州出身 担当:ギター
1担当パートはギターやメロトロンなど多くの楽器を演奏する。11歳の時に初めてギターを手にし、地元のギター教室に通い始める。元々は左利きだったという彼だが、ギターを弾くために右利きに直したという。最初はチャック・ベリーやエルヴィス・プレスリーの音楽に興味を持っていたが、その後、クラシック・スタイルを学ぶためにフラメンコ・ギターに傾倒していた時期があったという。
18歳でボーンマスにあるマジェスティック・ホテルのジャズバンド専属ギタリストとなる。前任者はアンディ・サマーズであったが、彼がバンドと折り合いがつかず脱退することになり、その後任として選ばれた。その後、1967年にジャイルズ兄弟とジャイルズ・ジャイルズ&フリップ(Giles Giles & Fripp)を結成、これがキング・クリムゾン(King Crimson)の母体になった。
キング・クリムゾンのリーダーであり、ただ一人のオリジナル・メンバーとして現在までバンドを主宰し続けている。時に強権的なリーダーシップを見せ、メンバー構成やグループの活動計画すべてが彼の意向に拠ることから、キング・クリムゾンを「フリップ・バンド」と揶揄されることもある。音楽面においては自ら新しい楽器システムを作り出すこともあり、オープンリール・テープデッキ2台によるテープエコー・システムを改良した、自身の名を冠する「フリッパトロニクス(Frippertronics)」という音響システムが有名である。
ギターのプレイスタイルは、ロック・ギタリストとしては非常に珍しく、常に椅子に腰を掛けて演奏する。グループ主宰者としての強権的な振る舞いとは裏腹に、リード・ギター的な主張のあるプレイスタイルではなく、ギターソロもまれで、機械的な正確さでピッキングを繰り返す、いわゆるシーケンス・フレーズの正確さを持ち味としている。特に、プログレッシブ・ロックの持ち味である、変拍子も含んだ複雑な曲構成を、間違いなく正確に一曲通してピッキングするその技術は、驚異的とも言われる。
5大プログレッシブ・ロックバンドの一つに挙げられるKing Crimsonだが、本人はプログレッシブ・ロックのジャンルにカテゴライズされる事を好まないと発言をしており、「実験音楽家」と名乗る事もあった。
椅子に座って演奏するロックンローラー、複雑な旋律をピッキングで休みなく、ワンフレーズ間違う事なく演奏するテクニック、毎日8時間ギターの練習をする等、逸話に尽きない人物でもある。正確無比なその演奏技術を見て、ジミ・ヘンドリックスが、「心臓に近い左手で握手してくれ(心臓の鼓動に、その性格無比なピッキングテクニックを焼き付けたい、と言う揶揄)。」と言う逸話も残っている。
完璧な演奏技術と相まって、音楽に対する取り組みも非常にストイックで妥協を試みないと言われており、その為、他のメンバーが追従できない事もしばしばで、その為、長期にわたって在籍した者が居ない。また、自身で納得できないメンバーに対して解雇すると言う、強権的な態度をとる事もしばしばある。
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目次 - Contents
- King Crimson(キング・クリムゾン)の概要
- King Crimson(キング・クリムゾン)の活動経歴
- 結成から1969年
- 1970年~1972年
- 1973年~1974年
- 1980年代のニューウェーブ期
- ダブルトリオ時代(1994年~2000年)
- ヌーヴォー・メタルへの傾倒と活動休止(2001年~2008年)
- トリプルドラム編成での再始動(2011年~2016年)
- ダブルカルテット編成と結成50周年(2017年~2020年)
- ツアーの終焉とプロジェクトの今後(2021年~)
- King Crimson(キング・クリムゾン)のメンバー
- ロバート・フリップ(Robert Fripp)
- マイケル・ジャイルズ(Michael Rex Giles)(1969年在籍)
- グレッグ・レイク(Greg Lake)(1969年~1970年在籍)
- ジョン・ウェットン(John Kenneth Wetton)(1973年~1975年在籍)
- ビル・ブルーフォード(William Scott Bruford)(1972年~1997年在籍)
- エイドリアン・ブリュー(Adrian Belew)(1981年~2008年在籍)
- トニー・レヴィン(Tony Levin)(1981年~1984年、1994年~1997年、2003年~2008年、2015年~現在在籍)
- King Crimson(キング・クリムゾン)のディスコグラフィー
- 『クリムゾン・キングの宮殿』 (In The Court Of The Crimson King)
- 『ポセイドンのめざめ』(In The Wake Of Poseidon)
- 『リザード』(Lizard)
- 『アイランズ』(Islands)
- 『太陽と戦慄』(Larks’ Tongues in Aspic)
- 『暗黒の世界』(Starless and Bible Black)
- 『レッド』(Red)
- 『ディシプリン』(Discipline)
- 『ビート』 (Beat)
- 『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』(Three of a Perfect Pair)
- 『スラック』(Thrak)
- 『ザ・コンストラクション・オブ・ライト』(The ConstruKction of Light)
- 『ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ』(The Power to Believe)
- King Crimson(キング・クリムゾン)の代表曲とミュージックビデオ(MV/PV)
- Epitaph
- In The Wake Of Poseidon
- Larks’ Tongues In Aspic Part Two(邦題:太陽と旋律 パートⅡ)
- Elephant Talk
- Frame by Frame
- King Crimsonのエピソード・逸話
- 大学生時代
- ギターに対する取り組み
- 日本好き?
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