花宵道中(小説・漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
原作宮木あや子、作画斉木久美子による日本の漫画作品。女性セブンにて2009年から連載された、江戸吉原での遊女たちの恋愛や生活、商売の様子を描いた作品である。斉木久美子の可愛らしくも艶やかな絵柄で描かれる遊女たちの物語は、読み進めるのが止まらなくなる独特の世界観を作っている。山田屋という中規模の女郎屋に在籍する遊女が主人公となり、1部ごとに主人公が変わっていく。
仕掛け(しかけ)
遊女の来ていた豪華のな打掛のこと。打掛とは、春、秋、冬に着るための和装の最高位の衣装である。現代では、結婚式に新婦が着ているものにあたる。
初見世(はつみせ)
新造だった遊女が、初めて客をとる日の呼称。この日を境に、新造は一人前の遊女になる。
身請け(みうけ)
遊女の見世への借金を肩代わりして、見世を辞めさせること。一般的には遊女は、身請けした客の奥方や愛人になる。
禿(かむろ)
吉原の遊郭に住む童女。6~14歳くらいまでの年齢を指す。特に見目麗しい花魁になる素質がありそうな娘は、引込禿(ひっこみかむろ)と呼ばれる花魁付きの禿になる。
新造(しんぞう)
遊女の一種。まだ初見世を迎えていない遊女見習いのこと。15~17歳くらい。花魁になる素質があると娘は禿のころから英才教育を施されるため、その子たちは引込新造(ひっこみしんぞう)になることができた。引込新造とは、花魁になる素質があると判断され、芸事や学問の英才教育を受ける娘を指す。
陰間茶屋(かげまぢゃや)
男娼が所属している遊郭。主に20歳以下の男性が働いていて、遊女と同じく身請けされることもある。
鉄砲女郎(てっぽうじょろう)
切見世にいる遊女への蔑称。一回の仕事がおよそ5文という格安で行っていたため、梅毒などの病気に感染することも多く、”当たる”と病気になって死ぬかもしれないという意味で鉄砲という名がついた。
『花宵道中』の名言・名セリフ
「お前はもう体に咲く花をほかのだれにも見せなくていい」
第1部で半次郎が朝霧に言った台詞。朝霧と駆け落ちしようと決意して、遊女の仕事はもうやらずに自分の妻として生きてほしいというプロポーズの意味が込められている。
「いいかい。お開帳は愛しい人を心に思って、目をつむって、ほかの男に抱かれるんだ」
第2部で水蓮が茜に言った台詞。茜が好きでもない男に抱かれるのは嫌だと悩んでいるときに、遊女としての割り切り方を自分たちが睦み合っている姿を見せながら教えた。茜はこの言葉と唐島屋の人柄により、仕事に対しての心構えが変化した。
「あれはわしの…わしの自慢の姉ちゃんや」
第3部で半次郎が友人に姉のことを言った台詞。幼いころから自分を守ってくれた姉を心から慕っている様子が伝わる。
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目次 - Contents
- 『花宵道中』の概要
- 『花宵道中』のあらすじ・ストーリー
- 第1部 花宵道中
- 第2部 薄羽蜉蝣
- 第3部 青花牡丹
- 第4部 十六夜時雨
- 第5部 雪紐観音
- 第6部 大門切手
- 『花宵道中』の登場人物・キャラクター
- 朝霧(あさぎり)
- 霧里(きりさと)
- 八津(やつ)
- 三津(みつ)
- 茜(あかね)
- 江利耶(えりや)
- 緑(みどり)
- 桂山(かつらやま)
- 菊由(きくよし)
- 勝野(かつの)
- 阿部屋 半次郎(あべや はんじろう)
- 唐島屋 庄一郎(からしまや しょういちろう)
- 吉田屋 藤衛門(よしだや ふじえもん)
- 弥吉(やきち)
- 三弥吉(みやきち)
- 『花宵道中』の用語
- 吉原(よしわら)
- おはぐろどぶ
- 島原(しまばら)
- 馴染み(なじみ)
- 道中(どうちゅう)
- 仕掛け(しかけ)
- 初見世(はつみせ)
- 身請け(みうけ)
- 禿(かむろ)
- 新造(しんぞう)
- 陰間茶屋(かげまぢゃや)
- 鉄砲女郎(てっぽうじょろう)
- 『花宵道中』の名言・名セリフ
- 「お前はもう体に咲く花をほかのだれにも見せなくていい」
- 「いいかい。お開帳は愛しい人を心に思って、目をつむって、ほかの男に抱かれるんだ」
- 「あれはわしの…わしの自慢の姉ちゃんや」
- 「そうよ。だって姐さんは、この先も生きてゆくんだから」
- 「あなたがいてくれるだけでこの世はこんなにも静かに光りかがやく」
- 「お勝ちゃん、川の向こうに戻んねぇか」
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