花宵道中(小説・漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

原作宮木あや子、作画斉木久美子による日本の漫画作品。女性セブンにて2009年から連載された、江戸吉原での遊女たちの恋愛や生活、商売の様子を描いた作品である。斉木久美子の可愛らしくも艶やかな絵柄で描かれる遊女たちの物語は、読み進めるのが止まらなくなる独特の世界観を作っている。山田屋という中規模の女郎屋に在籍する遊女が主人公となり、1部ごとに主人公が変わっていく。

本名は東雲(しののめ)。霧里の弟であり、母親似の美形である。その容姿のため、母親の往診に来ていた医者から幼いころに性的虐待を受けていた。霧里が父親に強姦されているのを阻止しようとした際に、父親に彫刻刀で顔を切りつけられて左こめかみから頬にかけて傷がある。両親が死んだことで陰間茶屋に売られそうになっていたが霧里が強引に阻止した結果、普通の家庭に養子に出された。姉が自分を犠牲にして助けてくれたことを恩に感じており、基本的には姉が一番。姉が美しいため、どんな娘と逢っても姉と比べてしまうのが密かな悩みだった。染物屋で修業をしていた染物師で、朝霧が履いていた草履の青い牡丹は偶然にも半次郎が染めたものだった。腕が良かったが、ねたまれたことと大店との縁談を断ったことが原因で腕を潰されてしまった。

唐島屋 庄一郎(からしまや しょういちろう)

朝霧の馴染み客だが、あまり頻繁には来ていなかったようで朝霧は顔を覚えていなかった。朝霧に惚れていて身請けしようとしていたが朝霧は半次郎の後を追い自殺してしまった。未練が残っていたが、朝霧にそっくりな茜が初見世を迎えたため初客となった。想いが中々断ち切れず、茜を見ていても朝霧を重ねて見てしまう。優しい性格で、朝霧も茜も唐島屋に対して”いい人”との印象を受けている。

吉田屋 藤衛門(よしだや ふじえもん)

朝霧の初見世の客で、もとの名前は芳之助であり、庭師をしていた。京都にいたころからひどい浮気性の男であり、霧里と半次郎の母親と駆け落ち同然で夫婦になったあとも自分の家はそっちのけで遊び歩いていた。その浮気性が原因で母親が自殺した際、混乱した挙句に霧里を強姦した。江戸では半次郎の取引先だったが、実は親子である。霧里と半次郎の母親と別れたのち、大店の娘をたらしこんで若旦那の座におさまった模様である。羽振りは良いが酒癖が非常に悪く、遊女たちには嫌われている。最期まで霧里と半次郎が自分の子供だと気づかなかった。

弥吉(やきち)

山田屋に通う髪結い。女将の勝野とは幼馴染である。もともとは大見世専門の髪結いだったが、朝霧が自分の死んだ娘に似ていたことから山田屋にも通うようになった。年齢のため引退しても、お盆には死んだ遊女たちのためにお線香をあげに来る。幼いころは勝野のことが好きで、髪結いになったのも吉原にいる勝野に会えるからという理由である。家庭を持っていたが、第6部で女房がなくなりひとり身になった。

三弥吉(みやきち)

弥吉の2番弟子。弥吉が引退した際に、新しく山田屋の担当となった髪結い。顔が整っているため遊女たちには人気だった。無口だが髪結いの腕は確かで、水で豪華な髪型を見事に作り上げる。本音は八津に仕事をやめてほしいが、八津の立場も理解し年季明けまで髪結いとしてくることを誓うなど、かなり器が大きい男性である。

『花宵道中』の用語

吉原(よしわら)

江戸唯一の幕府公認の遊郭。おはぐろどぶと呼ばれるお堀により周りを囲まれた箱庭構造になっており、遊女たちは大門切手と呼ばれる手形を貰わないと外に出ることができないようになっていた。主に大門という門から出入りを行う。

おはぐろどぶ

吉原遊郭を囲んでいるお堀の俗称。遊女たちが使ったおはぐろの汁(既婚の女性が歯に塗っていた墨)を、その堀に捨てていたことからおはぐろの名がついたといわれている。

島原(しまばら)

京都にある遊郭。吉原でいう花魁は、島原では太夫という位で呼ばれていた。基本的なしきたりは吉原と一緒だが、客の浮気には島原のほうが罰が厳しかった。

馴染み(なじみ)

見世に最低3回訪れた客。一回目の面会は”初会”、二回目は”裏”、三回目が”馴染み”と呼ばれる。床に入るのは、三回目以降でないと入れないという決まりがあるので、客は目当ての遊女と寝るまでにかなりの金額を消費しないとならない。

道中(どうちゅう)

遊女が客が待つお茶屋に、豪華な衣装を着て客を迎えに行くために路を練り歩く行事。天保の改革で贅沢が禁止されたことで、1日1回しか道中は許可されなくなってしまった。花魁道中とは、吉原最高位の”花魁”という位の遊女が行う道中のこと。

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