艦隊これくしょん -艦これ-(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

角川ゲームス開発のブラウザゲーム、およびメディアミックス作品群。
2013年正式サービス開始。
2015年にはTVアニメ化も行われ、同アニメの続編が2016年に映画化された。
正体不明の敵「深海棲艦」によってシーレーンが破壊された世界で、在りし日の艦艇の魂を宿す「艦娘」が深海棲艦と戦う姿を描く。

重課金よりも微課金を取った運営方針

ソーシャルゲームは、黒字化が難しいジャンルとして知られている。なぜなら、利益形態が特殊な作品が多いからだ。
ソーシャルゲームはアイテム購入による都度課金制を用いているため、ユーザーは、課金したいと思えばいくらでも課金ができる。逆に、課金したいと思わなければ全く課金しない。
そのため、人気を得た作品は大量の課金を行う重課金者がゲームを支え、運営も彼らに対しより多くの課金を行わせるためのコンテンツを増やしていく形が基本となっている。
対して、『艦隊これくしょん-艦これ-』は重課金が行いにくい形態を取り、代わりに多くのプレイヤーが微量の課金を行うような状況を提供した。
その特徴が一番大きく現れているのが、課金アイテムの重要度である。
多くのゲームで収入源となる消費系アイテムは、殆どが費用に見合わない高額となっており、ユーザーの購入意欲を煽らない。一部の費用に見合ったものも、使用するタイミングが限られる作りになっている。
その代わり、一度買えば再度の購入が不要な売り切り系アイテムを投入した。
これにより、遊びたいと思ったユーザーがほとんど全員それなりの額の課金にたどり着くモデルが完成したのだ。
一例としてあげられるのが「母港拡張」である。
これは文字通り母港を拡張するという触れ込みで、保有できる艦娘の数を増やすアイテムである。
初期状態で保有できる艦娘は100。対して実装されている艦娘はこれを上回る数だった。
ユーザーがゲームの続行を決め、ゲームが上手く回り始めた頃、ちょうど保有できる艦娘の数を保有したい艦娘の数が上回るようになっている。
母港拡張は10隻毎に1000円。他のゲームの保有数拡張よりも高額になっている。
しかし、必要になるまでの間にプレイ続行を決めたプレイヤーは、それまでのプレイ時間も勘案し、またそこまで高くない金額でもあるため、気前よく支払う。
全艦娘を保有するのに必要な金額は数千円を越えるが、これもまた少しずつプレイヤーの手元に艦娘が集まってきてからその都度必要に応じて母港拡張を行っていくため、無理のないプレイスタイルが実現するようになっている。
これにより、艦これは多くのユーザーから少しずつお金をいただき、全体として大きな黒字を出しながら運営を続けていくことができるようになったのだ。
黒字化を受けて、角川書店系列は大規模なメディアミックスに乗り出す。
これは、メディアミックスの前提条件としてゲームの黒字化が提示されていたためである。
後の快進撃は、この単体黒字化によるところが大である。
『艦隊これくしょん-艦これ-』のノベライズやコミカライズは、角川書店系列のメディアミックスとしては珍しいほどに長期に渡り、同時にその期間で展開された大きな物語をきれいに収束させている作品が多い。
これは大本となるゲームのサービス終了を考慮する必要がなくなったため、年単位のスパンで作品の展開が可能になった結果だとされている。
安定した土台の上には、安定した作品が建てられると証明したのが『艦隊これくしょん-艦これ-』なのだ。

作品を支える「同人文化」

本作の人気を下支えしている素地として、同人文化の存在は欠かせないものとなっている。本作は、同人作品に対する明確なガイドラインを敷いていた。それは他の作品に比べかなり自由なものとなっており、人気爆発以降は二次創作作家が存分に腕を振るう主戦場となった。
これがユーザーに更なる広がりを生むこととなった。
同人作品から本作を知るユーザーが増えていったのだ。
話題を席巻すれば席巻するほど、多くの人の目を集め、ユーザーは増えていく。
ゲームに参加できる人数にはサーバー性能の関係で限りが発生したものの、メディアミックス商品には手軽に触れられる。
メディアミックス商品を好きになったユーザーが購入することで、メディアミックス商品の評価は上がり、角川書店系列は展開に力を入れるようになる。
次々に展開されるメディアミックス商品に新たに触れた二次創作作家は本作の存在を知り、また同人作品を作る。
無限に続くループがユーザーを増やした後は、定着にも一役買ったのが同人文化だった。
ストーリーが無いことを前提に、多くの二次創作作家は自分のドラマを作り、作品に彩りを添えた。公式はそれを否定せず、ユーザーは自身が思う艦これ世界に浸る足がかりを得る。
ユーザーという大木が、『艦隊これくしょん-艦これ-』という土地に実っていったのには、公式が二次創作を許容するという、優秀な土壌があったからなのである。

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