
『善悪の屑』(ぜんあくのくず)は、2014年から『ヤングキング』で連載された渡邊ダイスケによる漫画作品。事件を起こしたにも関わらず、様々な理由で十分な裁きを受けることのない犯罪者達に対し、被害者やその家族に代わって復讐を代行する「復讐屋」の二人の男の物語である。実際の事件を土台としていることから凄惨な描写も多いが、2016年にはコミックシーモア総合ランキング1位、music.jp週間ランキング3週連続1位を獲得し、Amazonランキング大賞2016上半期入賞という実績を残す人気作品となった。
カモの相棒。セミロングのくせ毛で、黒いタンクトップを着用、背中から両肩にかけて派手な刺青がある。身体能力が高く、格闘技を極めており、過去には地下格闘技大会「アングラ」で2度の優勝経験もある。関西弁が特徴の話し方。身体能力を活かし、暗闇で加害者を待ち伏せて襲い、拉致する役割を担当。復讐の際には、冷酷なカモに若干引いてしまうこともあるが、被害者の無念を晴らしたい気持ちは熱い。普段は、ひょうきんな性格で、カモと奈々子に鍋や飲み会を持ち掛けたりすることも。母子家庭で母親と二人暮らしをしていたが、ひったくり被害で亡くしている。自身が母親の反対を押し切って参加したアングラで、大けがを負って入院し、母親がその入院費を下ろしに行ったことがきっかけでひったくり被害にあり、運悪く頭をガードレールに打ち付けて死亡したという過去がある。
開成 奈々子(かいせい ななこ)

練馬区一家殺人事件の被害者で、事件発生時に同じ家の中にいた。異変を察知したことで難を逃れるが、両親と遊びに来ていたいとこは殺害されてしまう。犯人は練馬区の殺人鬼として犯人は有名になるものの、逮捕されておらず、手掛かりも少ない。両親といとこの無念を晴らすために依頼人としてカモメ古書店を訪れ、自身がおとりとなって犯人をおびき寄せるも、寸前のところで逃げられてしまう。以降、犯人から匿われる形で同居人となり、また、同居することで犯人の手掛かりが得られないか探っている。眼鏡をかけたオタク気質で、普段は引きこもってゲームばかりしている。カモとトラの復讐屋の仕事に協力することもある。
榎 加世子(えのき かよこ)

座っている女性が榎。
被害者自身に復讐をさせる非合法の団体「朝食会」(ブレックファーストクラブ)で、東京支部長を務める、若く美しい女性。復讐を代行する復讐屋とは異なり、「被害者たちに復讐をさせる」ことに重きを置く、という団体の方針に従い、そのための手助けをしている。高飛車な性格で、上から目線でものを言う。
園田 夢二(そのだ ゆめじ)

練馬区の殺人鬼であり、奈々子の両親といとこを殺害した犯人。普段は、人当たりの良い好青年で、漫研一年生として学生生活を送る傍ら、出版社「ゴアゴアコミック」の編集部で仕事もしている。人が亡くなる瞬間に美を感じており、その描写がしたいが為に殺人を繰り返す。殺人を行った後も、平然としており、殺害現場でカップラーメンを食べたりする異常性の高い殺人鬼。日常に紛れ込んだサイコパスといえる。
事件の加害者たち
強姦殺害事件加害者
第1話から第2話に登場。宅配業者を装って依頼人宅に押し入り、依頼人を強姦、彼女の幼い息子を4階の窓から投げ落として殺害するも、事件当時未成年であったことから短期間で釈放され、社会復帰を果たしている。依頼を受けたカモ達に拘束された後、声帯の一部を切断され大声を上げられない状態にされ、切除した陰嚢を、『三国志』に登場する武将・夏侯惇が負傷した自分の眼球を食べた逸話にならい、それを無理やり食べさせられるという制裁を受ける。
謝罪と反省、後悔の念を口にしたことで依頼人からは許されるも、カモに橋から逆さづりにされる形で処分される。
いじめ自殺事件の加害者と担任教師
第3話から第4話に登場。同級生であった依頼人の孫をいじめ、「学校を休めば祖母に危害を加える」と悪質な脅しをかけて自殺に追い込んだ3人の中学生と、それを見て見ぬ振りをした担任教師。
依頼人が孫の残した遺書を手にして教育委員会に訴えたことで表沙汰にこそなったものの、加害生徒達の親から「言いがかりをつけられた」と反訴されてうやむやになってしまい、被害者を自殺に追いやったことを武勇伝のように語るなど悪びれる様子を全く見せていなかった。
担任教師も保身のため、遠回しに「いじめられる方にも原因がある」といった趣旨の話をし、自分が好意を持っている女性教師にいじめの事実を勘付かれそうになると、「高校へ進学させず、無理やり就職させる」と仄めかす形で脅しをかけていた。
4人揃ってカモに捕まり、バーナーで目を焼く、耳と声帯の一部を切除するなどの苛烈な制裁を受け、「見ザル・言ワザル・聞カザル」の状態にされたのちに学校の校庭に放置された。
なお、この担任教師は続編にあたる第二部『外道の歌』で弁護士を伴って朝食会に駆け込み、カモ達の非道さを語って報復を依頼しているが、「逆恨みの依頼は受けない」と一蹴されている。
久保田(くぼた)
第5話から第6話に登場。依頼人の妹を集団で強姦して自宅に拉致、監禁。その後長期にわたる凌辱と暴行を加えて殺害し、山中に遺体を遺棄した事件の主犯格。仲間の一人が別件で逮捕されたことで事態が明るみになるが、警察官僚の息子という立場を利用して事件をもみ消してもらい、自身だけ不起訴処分になっている。依頼を受けたカモ達に捕まり、被害者の肛門に異物を入れて嘲笑していたことに見立て、肛門に焼けた鉄の棒を押し込まれる。それでもなおカモ達を「殺してやる」と恫喝するなど威勢がいい一面を見せるが、「次があると思っているのか」といなされ、その後は金と引き換えに自身を解放してほしいと交渉するなど、一転して弱気になる。最後の瞬間まで涙ながらに命乞いを繰り返すが、言い分があまりにも卑劣であることから、日頃はカモの残虐な拷問を制止する立場のトラですら制裁を止めることはなかった。
バナー広告で注目を集め、一世を風靡したカモのセリフ「もう二度とウンコできないねえ」は、この久保田に向けられたもの。
ウサギ殺しの加害者
第7話に登場するチンピラたち。依頼人の少女が通う小学校に不法侵入し、少女のクラスで飼育していたウサギの「モーちゃん」をサッカーボールに見立てて遊び、蹴り殺した。逮捕はされたものの未成年であることから大きな罪には問えず、釈放後も学校に侵入を繰り返し、未成年飲酒や薬物の摂取などで好き勝手に暴れていた。
「少女のおこづかい三か月分」で依頼を受けたカモとトラに半殺しにされたが、他の加害者たちとは違って重篤な副作用が出るような苛烈な制裁や、命を落とす結果にはなっていない。
榊 ヨシ江(さかき ヨシえ)
第8話から第10話に登場する老齢の女性。依頼人の父に自転車ではねられたことを大義名分として家に寄生し、洗脳する形で徐々に内部を侵食していく。金の搾取や外出時における徹底的な監視など依頼人家族を奴隷のごとく扱い、少しでも言いつけに背いた場合は「ペナルティ」と称して家族同士で暴行させ合っていた。これを警察に通報した一家の祖父を「ボケた老人のたわごと」として民事不介入で処理するようにことを運び、ペナルティとして祖父を一家に絞殺させて床下に遺体を隠す。
捕らわれた振りをして家に侵入したカモの逆襲に遭い、性器に避雷針を挿入され、クレーン車で逆さに吊るされたまま放置され数回の落雷を受け死亡する。
五人の養子が続編にあたる第二部『外道の歌』に登場する。
危険運転致死加害者
第13話に登場するチンピラの男。薬物で酩酊した状態で運転し、依頼人の女性の母を轢き殺す。所持していた薬物が規制の範囲ではなかったために裁判では罪に問われることなく、SNS上に人生を謳歌している旨を書き残していたことで依頼人の怒りを買った。カモの不在時に依頼を受けたトラの手により、クレーンで逆さづりにされて肥溜めに落とされそうになるが、トラは土壇場でこれを躊躇。
結局トラの行動を見抜いてあとを追ってきたカモの手によってこの制裁は実行され、肥溜めの中で窒息死した。
連続女児殺害事件加害者
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目次 - Contents
- 『善悪の屑』の概要
- 『善悪の屑』のあらすじ・ストーリー
- 強姦殺人事件への復讐依頼
- いじめ自殺事件と女子高生監禁殺害事件への復讐依頼
- 小学生からの復讐依頼
- 「練馬区の殺人鬼」の登場
- トラの過去
- 朝食会(ブレックファーストクラブ)との出会い
- 『善悪の屑』の登場人物・キャラクター
- 主要な登場人物
- カモ/鴨ノ目 武(かものめ たけし)
- トラ/島田 虎信(しまだ とらのぶ)
- 開成 奈々子(かいせい ななこ)
- 榎 加世子(えのき かよこ)
- 園田 夢二(そのだ ゆめじ)
- 事件の加害者たち
- 強姦殺害事件加害者
- いじめ自殺事件の加害者と担任教師
- 久保田(くぼた)
- ウサギ殺しの加害者
- 榊 ヨシ江(さかき ヨシえ)
- 危険運転致死加害者
- 連続女児殺害事件加害者
- ジェイク・堀尾(ほりお)
- 金子 茂(かねこ しげる)
- カップル殺害事件加害者
- 櫻井 志津馬(さくらい しづま)
- 『善悪の屑』の用語
- 復讐屋
- カモメ古書店
- 朝食会(ブレックファーストクラブ)
- 『善悪の屑』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- カモ「おまえさんの精子工場は本日をもって閉鎖だ」
- カモ「もう二度とウンコできないねえ」
- 『善悪の屑』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- モデルになった実際の事件
- 園田夢二が主役のスピンオフ『園田の歌』
- 榎佳世子が主役のスピンオフ『朝食会』