もやしもん(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『もやしもん』とは石川雅之によって『イブニング』と『月刊モーニングtwo』にて連載された、細菌やウィルスを肉眼で目視できる大学生を主人公とした学園漫画、およびそれらを原作としたアニメ・ドラマである。主人公、沢木 惣右衛門 直保(さわき そうえもん ただやす)は菌・ウイルスを見る能力を持ち、なおかつ菌と意思疎通をすることまで可能だった。その不思議な力ゆえに巻き起こる1年間のどたばた劇を描いている。

春祭では毎年違ったルールが適用される。だが、そのルールを熟知しているのは「審判」とかかれたシャツを着た農志会だけであり、直保と及川や1年生にいたっては開催すら知らされていなかった。作中の年では紙風船とハリセンが配られ、紙風船は頭に装着、農志会が生徒を襲撃して頭にある紙風船を破ることによって校票をすべて没収とされる。逆に農志会の紙風船を破ることによって、彼らが保有している校票をすべてもらえる。また、決まったルールがありその条件を満たさない限り、春祭は終了しないことになっている。
生徒を襲撃する「攻撃」とかかれたシャツを着た農志会側遊軍もルールはすべて把握しておらず、審判役によってアウト宣言を出されていた。建物に侵入はできない、日陰がある場所以外では攻撃はできない、などがある。
また、農志会遊軍が全生徒の紙風船を破れば春祭も終了となる模様。

三馬鹿トリオ(直保、美里、川浜)にせまる襲撃班

三馬鹿(長谷川が命名)に迫る襲撃班は顔面にマスクをしているのだが、明らかに『機動戦士ガンダム』のドムのモノアイ(メインカメラのこと)を意識したペイントが施され、しかもローラースケート3人での連携攻撃のストロボでひるませるというドムの黒い三連星まんまの攻撃を行う。三馬鹿に迫った瞬間、明らかに『機動戦士ガンダム』の一場面を真似したシーンになり、川浜に至ってはニュータイプ(認識能力が拡大した戦闘員)のごとき閃きを発揮し攻撃をかわす。だが乗馬部の襲撃には避難が精一杯で結局、夜更けまで隠れていた。

春祭の終結

農志会遊軍が3日目にして全生徒を全滅させれば全生徒に100日のボランティアを義務付けると宣言。これに対して生き残りの生徒全員を集結させ正門を守備する「防衛」と書かれたシャツを着た遊軍大将総攻撃を決める。大激戦の末にバッグに隠れた直保が大将と対峙し、圧倒的な力にひるむも、実は大将は農志会電脳部の操るロボットであり不具合を起こして立ち往生した。待ってくれという電脳部の懇願もむなしく紙風船を破り、春祭は終結。そして大将撃破の賞金として10万農をゲットする。
見事、樹教授の販売する媚薬をゲットし樹研究室に設置するも、長谷川にあっさり見破られる。しかし何を思ったのか、長谷川がすべての媚薬を食する。さらに及川と武藤までも残った媚薬を食し、タクシーで帰宅するもすでに効果が発揮しはじめ、翌朝気がついた及川は武藤と全裸でシーツ一枚で布団で寝ていたのだった。

『もやしもんリターンズ』の大イベント・「農大収穫祭」

昼の収穫祭

地域との交流を目的として昼の収穫祭では、農大で収穫された野菜の無料配布を行うのだが、殺気だった近隣の主婦が10時開門を期し集結していた。女子ラクロス部や男子アメフト部などが野菜無料配布に殺到する主婦を整列させるため「農大の荒廃この一戦にあり各員一層奮励努力せよ」と気合を入れ秩序維持せんとするが、開門と同時に津波のごとく殺到する主婦に蹂躙、瞬殺されてしまうのであった。
また売上一位のお店には出店賞がでることから、樹研究室の面々で美里、川浜が製造したプルケ(メキシコの醸造酒)を「葵‘sBar」で販売することになる。収穫祭の最中、長谷川が父親の計略によって許婚と婚前旅行にフランスに行っていることがわかり、及川はバニーコスチューム、蛍はゴスロリファッション、何故か武藤はエイリアンコスチュームで集客し長谷川を連れ戻すための旅行費用を捻出するため励むことになる。

夜の収穫祭

地域との交流を目指す昼の部とはガラリと趣きを変え、本来の大学の独立自治の姿を取り戻すのが夜の収穫祭である。そこでは、立花准教授による三上教授に対するノックアウト戦が開催された。これは、年一回の教授会議で教授全員の一致によって立花は教授になれるが、長年三上は反対の立場を貫いていた。そこで、夜の収穫祭においてリベンジの機会が与えられ戦って勝てば教授になれる、というもの。過去4回行われていたようで、三上は気功の達人らしく立花を撃退していたが、今年は高齢のためか入院をしていた。今年こそは立花の優位にことがすすむかと思われたが、なんと三上は収穫祭直前に農志会電脳部の顧問に就任、その故もあって、対戦にはロボットが出場、堂々たる体躯であった立花に圧勝したのであった。

収穫祭後夜祭

立花准教授によるノックアウト戦が公認の夜の収穫祭なら、生徒のみで開催されるのが非公認の夜の収穫祭のオークションであり、そこで美里、川浜は学園祭に参加したアイドル田中恭子にガムを差し出し、その食べ後、と称したガムをいれた口噛み酒を出品し¥80000を手にした。その金額をもって長谷川を連れ戻すための旅費とした。
ちなみに、出店賞は、子供たちが見ている前でニワトリを屠殺しからあげを提供し農大の精神をいかんなく示した畜産学科が受賞し、人気、売上とも一位だった「葵`sBar」は学校の記念樹を無許可で原料とした罪をもって出店賞は没収、どころか主犯である美里、川浜は二十日間の停学処分となったのであった。

フランスへ

収穫祭がまさに始まろうとしていたとき、長谷川の父が某農大にまで出向き、長谷川を連れて許婚の龍太とフランスまで婚前旅行に送り出す。自身が「かごの鳥」であって、どうあがいても父から逃れられない運命を悲観的に受け入れた長谷川はこの時はなんら抵抗することもなく受け入れた。その時、偶然居合わせた武藤に退学届けも手渡していた。
収穫祭2日目になって、ようやく樹研究所のメンバーも長谷川が拉致同然にフランスに旅行に出ていることを知り、すべてを中途半端に放り出して親の決めたとおりの結婚など長谷川の本意ではないことを理解するメンバーは長谷川奪還のための旅行費用を調達するべく、及川は奮起してバニーコスチュームを着て、蛍はゴスロリファッションを着て撮影会を開催して出店の売上を伸ばし、美里、川浜は自分達のために稼いだはずのオークションの売上を旅行費に提供する。
後夜祭、農大の記念樹を無断で原料に使用した故もあって二十日間の停学処分を言い渡された主犯の二人、美里、川浜と、直保の三人で、そもそも長谷川の居場所をまったく知らないままフランスに旅立つ。フランスにやってきた三人は、何も考えずにまずは観光とばかりに食事をするものの一回の食事で¥40000も出費、無計画な食事を何度も経て所持金に余裕はなくなり慌てて金を借りるために長谷川探しを始め、直保の思い付きによってブルゴーニュに行き着く。そこでレンタル3人乗り自転車を乗って長谷川を探索する途中、フラフラと道路にはみ出したところをマリーに轢かれてしまう。
日本語に堪能なマリーに負い目をつくることには成功した三人は、とりあえず文無し同然なため宿と食事を確保しようとする。マリーは自分の家、ドメーヌで催される食事会にて三人に給仕をすれば、と宿泊を承諾する。そのマリーの家で開催される食事会に、まさしく偶然にも長谷川がいたのであった。
食事会は長谷川の許婚、龍太の取引相手であるバイヤーのつてを使ってマリーの家で催されたのだったが、さしてワインにも食事にも詳しくないただ高級をてらうだけの龍太はわざわざフランスのドメーヌまできて刺身を出す。自身の実体験には基づかない薄っぺらい作法を語る龍太を、マリーや美里、川浜、直保はさんざん馬鹿にして龍太の面目を潰してしまう。激昂する龍太に対して、長谷川は龍他の取引相手とマリー、とマリーの祖父に無作法を謝罪し、さらに龍太のプライドを潰す。立腹した龍太は長谷川を残してホテルに戻ってしまう。後からホテルに戻った長谷川は龍太を無視し部屋に戻ってしまう。そのことを知った龍太はさらに激昂。部屋に押しかけるが、そこにいたのは完全に酔って本性を表した長谷川の姿だった。
翌朝、おびえる龍太は長谷川の父に働きかけさらなる束縛を長谷川に加えようとするが、長谷川の専属運転手は長谷川の味方であり、長谷川を美里、川浜に引き渡す。捜索の手が及ぶも、美里と長谷川はちょっとみっともないペアルックで脱出する。少ない知識から、恋人とは手をつなぐものだ、と美里から手をつないで歩く二人の距離感に長谷川もまんざらではなかった。
龍太と話し合うべくホテルに戻ってきた長谷川だったが、逃げられ落ち込む龍太はワインを飲み生カキを食べて酔っ払い、ついに我慢の限界に至り怒鳴って長谷川に迫るも、ノロウイルスに罹患し倒れてしまう。長谷川に看病される龍太は、つきものが落ちたかのように心情を吐露する。
長谷川に、子供の頃からいいところを見せようと懸命になっていたこと、うすうす感じてはいたが、長谷川も、龍太も、お互いの結婚を望んではいなかったことを素直に認め、婚約を解消、それぞれの道を歩むことを確認しあう。
最後まで龍太の看病をした長谷川は、三人とは別々に戻ってきて、久しぶりに樹研究室のメンバーと久しぶりに再会し、心から笑う。そして、美里と友達以上恋人未満の仲となり、婚約関係は解消されたことにより、樹研究室に居座る理由はなくなったものの、居続けたい理由はちゃんとあるんだ、と自身の居場所を改めて見出す。

マリーのワイン造り

子供の頃から祖父に付き従ってブドウ畑で働いていてすべてのブドウの木の特徴を知り尽くした兄やマリーと違って、サラリーマンをしていた父はその仕事がうまくいかず今年で引退するという祖父に換わって酒造を引き継ぐことになる。しかし、ブドウに関して一日の長がある兄やマリーに対する負い目から、ある日からワイン造りに関するいっさいの協力を拒絶し、独自にやり始める。そういうあり方を、同じ職人気質の一家は内心に様々な思いはありつつも歓迎し、兄は手伝いをやめパリで仕事を探し、マリーは可能性を高めるため世界に飛び立つことを決意していた。
マリーの家で滞在を続ける直保、美里、川浜のためにマリーはブルゴーニュの名物料理牛肉のワイン煮を提供する。そこで、マリーの父が飲む、勉強の為に自分が作ったものしか飲まないと称するワインを、実はアルコールが入っていないただのブドウジュースであることを菌が見える直保は見抜く。うすうす感づいていたマリーは、父のために新たな仕事の提案をしようとするが、職人気質でしかも長い伝統を保持せねばならないと決意する父はかたくなに拒絶する。だがその時、直保の呼びかけに応じ集まった菌たちが、マリーにワイン蔵の温度異常を知らせる。気づいた祖父がいまの天候は5年前と同じだ、と言うとマリーは5年前にも天候不順による低温に発酵がすすんでいないことを思い出し、蔵の窓を開けることでしのぐ。5年前はちょうど父がサラリーマン生活で家を離れたときであり、自分がいなかったときもマリーたちは真面目にワインと向き合っていたことを思い知る。そして、庭には菌たちによって大きく「みんなでやりな」という文字が描かれていた。
祖父と父をブドウ畑に連れ出し改めて行うマリーの提案に、自身の経験不足を思い知った父は素直に耳を傾けた。それは「発泡グレープジュース」だった。甘くて濃厚で美味しい自分の畑でつくるピノ・ノワール種を、渋くて酸っぱいワインにすることに嫌ってはいても伝統という束縛、重みに縛られていた父も、ブドウ本来の味をいかせる伝統あるドメーヌの本気のジュース造りという新たな可能性に俄然やる気を出す。そして、マリーは家族全員でワイン造りをすることを宣言する。まだまだ元気な祖父には引退を撤回させ、パリで仕事を見つけたにも関わらず兄を呼び戻し、家族全員の絆を取り戻すべく奮闘するのであった。菌たちの声「みんなでやりな」を受け入れて。

印象的な発酵食品

キビヤック

第1話で登場。その見た目からして「もやしもん」という物語の方向性を強烈に視聴者に印象づけた。アザラシの漬物。カナディアンイヌイットの発酵食品。アザラシの腹の中に海鳥を70~80羽ほどつめて土中にて発酵させ、発酵がすすんだ海鳥の肛門から内容物を吸引する、というシロモノ。野菜がとれないイヌイットにとって貴重な栄養源。
ちなみに、強烈な臭気を放つ食品としては世界第4位。

ホンオフェ

第3話に登場。及川登場時に、及川が持っていたことにより、ホンオフェがしゃべっているかのような印象になった。エイの発酵刺身。韓国の発酵食品。本場ものは強烈なアンモニア臭がして、長く噛んでいるとアンモニアによって口内粘膜がただれてしまうという。また、マッコリと相性がよく一緒に食べるのが通らしい。臭いが強烈ながらも高級食品であり、結婚式などで出されるごちそうである。
臭いの強さでいうと、キビヤックの5倍、納豆の14倍、世界で2番目に臭気が強い発酵食品。

シュールストレミング

gin53372
gin53372
@gin53372

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