チャイルド44 森に消えた子供たち(Child44)のネタバレ解説・考察まとめ

『チャイルド44 森に消えた子供たち』とは、2015年のアメリカ映画。「このミステリーがすごい!大賞」にも選ばれたトム・ロブ・スミスの小説『チャイルド44』を原作としている。監督は『デンジャラス・ラン』などを手掛けたダニエル・スピノーサ、トム・ハーディやゲイリー・オールドマン、ノオミ・ロパスなどの豪華出演陣が主演を務める。舞台は第二次世界大戦直後のソ連。政治体制に疑問を持つ1人のソ連国家保安省(MGB)捜査官が、児童連続殺人事件を隠蔽しようとする国家へ、一石を投じようと奮闘する姿を描く。

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ソ連全域で44人もの子どもたちが標的となった、マレヴィッチの手による殺人事件。遺体は裸で、胃が切り取られているなど異様な状態で見つかっている。レオの友人であるアレクセイの息子も被害に遭っており、これが彼を真相究明に駆り立てるきっかけとなった。

ヴォルスク

スパイとして名前が挙がった妻を摘発できなかったレオが左遷された小さな田舎町。

『チャイルド44 森に消えた子供たち』(Child 44)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

レオ「おまえから何を学ぶんだ」

物語序盤、スパイのブロツキーを匿っていた農夫夫妻を彼らの子どもたちの前で「見せしめ」として射殺したワシーリーに向かって、レオが彼を殴り飛ばした際の一言。
ワシーリーは「裏切り者の末路を見せて学ばせようとした」と言い訳をし、非人道的な行為を正当化しようとするが、それに対してレオは「おまえから何を学ぶんだ」と激昂する。犯罪者とその家族相手かもしれないが、決して人として大切なものは見失わない、レオの心優しい性格が滲んだ一言だ。
この優しい性格が裏目に出て一度は陥れられるが、彼は無事に真実を突き止めて返り咲き、最後は関係性を再構築した妻と共に、この時殺害されてしまった農夫夫妻の2人の娘を引き取る決断をした。
権力を手にした人間というものは、ワシーリーのように行使の方法を間違えがちなのが世の常だが、レオは正しい正義感を見失わず、ストーリー中でも一貫して人道的な視点を維持していることがわかる。

『チャイルド44 森に消えた子供たち』(Child 44)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作は「このミステリーがすごい!」にも選ばれた大ヒット小説『チャイルド44』

原作小説『チャイルド44』の上巻書影

本作『チャイルド44 森に消えた子供たち』はトム・ロブ・スミスの小説『チャイルド44』が原作。この『チャイルド44』は世界的に大ヒットを記録し、日本においても「このミステリーが凄い大賞」に輝いている。
本作は「殺人は起こりえない。だからこれは殺人ではなく事故だ。たとえ殺された形跡があろうとも、全てを事故で片づける。」という理想に振り回される人々と、その理想を幻想だとして真実を追い求める人々を描いている。殺人が野放しになる世界。合法でも違法でもなく、そもそも殺人という概念が存在しない。一見理想的な世界に見えるが、ここまで怖い世界もそうそうないだろう。映画でもこの「ディストピア感」はしっかりと表現されているため、原作を読んでいなくても十分楽しむことができる。そして、民主主義に慣れ切った国民性では少々インパクトが強いかもしれないが、場所や時代によっては、こうした理想を掲げることもあり得る、という多様性を感じられるのが、原作小説、映画と共通した魅力となっている。

マレヴィッチのモデルはロストフの切り裂き魔・アンドレイ・チカチーロ

本作には、子どもばかりを44人も殺した非人道的な連続殺人犯としてマレヴィッチが登場するが、これは実際の事件の犯人をモデルとしている。
そのモデルとは、ロシアで1978年から1990年にかけ、ソ連時代のロシアで50人以上もの女性と子どもを殺害し、1994年に死刑が執行されたシリアルキラー、アンドレイ・チカチーロ。その手口の残忍さから「ロストフの切り裂き魔」と呼ばれるチカチーロは、ロシア史上最悪の大量殺人者として恐怖の象徴となっている。

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